第一高校生の日常   作:ジャスティスⅡ

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大会 森崎激闘編

 

 

前回までのあらすじ❗️

 

 

身も心も忍者となった達也は、遂に魔法超人達が蠢く国立ハイパースタジアムへと足を踏み入れる。

家族やライバル達との会合に闘志を漲らせる将軍達を尻目に、達也の心は冷え切っていく・・・

 

が、しかぁぁーし❗️

 

大会運営委員長として姿を現した祖父・四葉元造により、達也は未だ嘗てない窮地に陥れられた!

この窮地を脱するには、全力で試合に臨んで勝利するしかない・・・

 

不本意ながらも達也が闘志を漲らせていると、遂に試合が開始される。

Aブロックで行われる第一高校最初の試合は、なんと森崎改め特別男が所属する第一高校チームBなのであったぁぁーっ❗️❗️

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ウィ・・二科生に対する態度が悪いという理由で、僕は十文字会頭と渡辺委員長の手によって地獄に送られた)

 

(地獄での生活は過酷だった・・・。週に二日という約束だったのに、あの悪魔は平気で破って毎日遅くまで拷問のような特訓を課せられた。後で学校側に文句を言ったのだが、何故か書類上は週に二日だけの活動をしている事になっており、僕の訴えは握り潰された)

 

(そこからは、もはや僕自身の意識を変えざるを得ない程の地獄の修練の日々だった。それが出来なければ、間違いなく僕は発狂していただろう・・・)

 

(そして今、僕は・・・)

 

 

 

 

 

 

 

「ぬうぅぅん❗️❗️」

 

 

 

青と白を基調としたマスクとコスチュームに身を包んだ筋骨粒々の男が、コスチュームの胸部分に「SPEIAL99」と描かれた一昔前の出来損ないのヒーローのような出で立ちの男の両脚をその逞しい両腕で抱え、ジャイアントスイングの要領で振り回しながらコーナーポストにぶち当てた。

 

 

 

『おぉぉと、これは強烈な一撃だぁぁーーっ❗️ 第一高校チームB“正義軍”の大将・特別男の両脚を掴み、そのままジャイアントスイングでコーナーポストにぶち当てる❗️ それはまさに悪魔の所業❗️❗️ 邪悪の神に選ばれし運命の王子の一人というキャッチフレーズに偽りなしぃぃーーっ❗️❗️』

 

 

 

リングアナウンサーの実況に熱狂する観客達に、それに応えるように右腕を突き上げる青白のコスチュームの男、第八高校Aチーム“飛翔組”のリーダーである「筋肉男マリポーサ」を、震える上半身を起こしながら森崎は睨み付ける。

 

 

 

(チクショー・・・何で初心者の僕が、こんな如何にも『実力者です』みたいな奴と、最後の大将戦を戦うハメに・・・)

 

 

 

特別男ーー森崎の脳裏に、この大将戦が始まる前の光景が蘇ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぼ、僕が大将ですか! ロビン仮面さんじゃなく⁉︎」

 

「そうだ」

 

 

 

そう答えたのは、白き仮面と鎧に身を包んだ第一高校Bチーム”正義軍”のリーダー「鋼鉄の貴公子」ことロビン仮面であった。

 

 

 

「特別男・・・いや、森崎君! 君はマジック・レスリングを始めてまだ半年も経っていない半人前以下の素人と言ってもいい」

 

(そこまで言うなら試合に出すなよ)

 

「しかし、君は四月から今まで現役の魔法超人レスラーに負けない練習量を積み上げてきたんだ。自信を持つんだ❗️」

 

(好きでやってた訳じゃねぇーよ!)

 

「それに我ら正義魔法超人は、足りない技術を補う素晴らしい力“友情パワー”がある! 去年、まだ半人前だった原始男も、このパワーで試合に挑んで見事な死闘を演じたものだよ?」

 

「・・・」

 

「君にも素晴らしい力が眠っているはずだ! 私は、君になら任せられると思ったからこそ、大将に推薦したのだ! 頑張ってくれるかい?」

 

 

 

仮面の奥から覗くその眼からは、有無を言わせない威圧感に満ちていた。

 

逆らったら殺されると本能で感じた森崎、いや特別男は・・・

 

 

 

「・・・はい」

 

 

 

そう答えるしかなかった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先鋒戦の水牛男と次鋒戦の戦争男の連勝で安心していたのだが、中堅戦の原始男の敗北で雲行きが怪しくなった。

信じていた副将戦のテリー男が引き分けたせいで初心者の自分が敵チーム最強の男と戦うハメになり、開始早々からずっとリンチみたいにボコられまくって、既に試合時間は十五分を過ぎていた。

 

森崎がロープを使って何とか立ち上がると、それを狙っていた筋肉男マリポーサは華麗に跳び上がって、森崎にドロップキックを放った。

マリポーサは跳躍や加速系統の魔法を使った空中戦を得意とし、USNA南部の伝統的レスリング「ルチャリブレ」の技を基盤としたその華麗な空中殺法で、森崎を追い詰めていく。

 

ドロップキックをまともに受けた森崎は、ロープの反動でマットに倒れそうになる身体をロープを掴んで何とか支え、マリポーサへ破れかぶれの突進を敢行した。

しかしマリポーサは跳躍魔法によって森崎の突進を華麗に躱し、特別男の頭に指一本で逆立ちして自慢の「飛翔のテクニック」を披露して観客の拍手を誘う。

それに逆上した森崎はマリポーサに向けて加速魔法を使ったパンチを繰り出すも、頭の上という極めてやりにくい場所への攻撃が当たる訳もなく、マリポーサは再び跳び上がってパンチを避けて身体を半回転させる。

 

そして森崎の顔を股で挟んで、駄目押しのフランケンシュタイナーで特別男をマットに叩きつけた。

 

 

 

『特別男ぉぉーーーっ❗️ 筋肉男マリポーサの空中殺法の前になす術なしぃぃーーっ❗️❗️ リングサイドのセコンドであるロビン仮面の声も大きくなるぅぅーーっ❗️❗️』

 

「立つんだ、特別男! 君はまだ負ける訳にはいかない筈だろう?」

 

(いや、勝ち負け以前に戦う理由が無いからモチベーションが上がらないんだよ! そもそも、原始男の野郎が負けてから何かおかしくなってきたんだ。友情パワーどうしたんだよ⁉︎ どんなに素晴らしい試合をしたって、負けたら意味ないだろ!)

 

 

 

フランケンシュタイナーをまともに受け、身体中の骨が砕けたかのような衝撃と激痛に苛まれる森崎には、既に起き上がれるだけの力が残っていない。

マリポーサは森崎の頭を掴んで無理矢理起き上がらせて顔面に膝を叩き込んでくるが、森崎にはその痛みすら感じるだけの余力すらない。

 

以前の第一高校の興行では硬化魔法の相乗効果による万全の保護が行われていた為、とんでもない威力の技を受けても殆ど怪我をすることは無かったが、マジック・レスリングの公式戦の硬化魔法は最低限の保護しかしない為、本当に再起不能直前まで追い詰められる。

 

連続の膝蹴りを受けた森崎は再びマットに沈むも、何が彼を支えているのか、半分意識が飛んでいる状態で立ち上がってくる。

 

 

 

「辛そうだな、ルーキー君? そろそろトドメを刺して楽にしてやろう・・・」

 

 

 

そう言ってマリポーサは跳び上がり、頭から森崎に向けて落下してくる。

そして森崎の頭上に激突し、マリポーサは再び空中へと跳び上がる。

 

 

 

『あぁぁーーっと、筋肉男マリポーサ❗️ 自慢の跳躍で跳び上がり、特別男に連続でフライング・ヘッドバッドを叩き付けるぅぅーーっ❗️❗️ 特別男の身体が段々とリングにめり込んでいくぞぉぉ❗️❓』

 

 

 

何度も何度も頭を打ち付けられ、森崎の意識は殆どない。

失神寸前の森崎ではあるが、マリポーサは全く容赦することなく最後の一撃を森崎にくらわせる。

 

 

 

「これぞ私が修行の果てに身に付けた、三大筋肉奥義の一つである『マッスル・リベンジャー』だぁぁーーっ❗️❗️」

 

 

 

最後のヘッドバッドをくらい、森崎の身体は胸近くまでリングに陥没してしまい、意識は殆ど消えかかる。

 

 

 

「特別男❗️ しっかりするのだ❗️ 君には目指すべき目標があるのだろう❗️❓」

 

「むだだよ、ロビン仮面! 素人同然の身で我が必殺のマッスル・リベンジャーをまともに受けたのだ❗️ むしろ命があるだけ儲けものではないか?」

 

 

 

セコンドのロビン仮面の必死の声援を、筋肉男マリポーサが嘲笑混じりで静止する。

それでも諦めずに声援を送るロビン仮面だが、最早ボロボロの森崎には殆ど届かない。

 

 

 

(クソッ、煩いな! こんなリングに無理矢理立たせて、こんなボロボロになってもまだ戦えっていうのかよ・・・。マジック・レスリング部に入れられてから楽しい事なんでなかった・・・全く、なかっ・・・)

 

 

 

その時、森崎の脳裏に、マジック・レスリング部での日々が走馬灯のようにフラッシュバックする。

 

 

 

将軍先輩に練習で殺されかけた記憶・・・

 

砂川先輩の実験に巻き込まれ、砂埋めになった記憶・・・

 

板垣先輩の鋲付き板にプレスされて入院した記憶・・・

 

 

 

(碌な記憶がねぇぇーーーーっっ❗️❗️❗️)

 

 

 

森崎の意識が覚醒した。

 

 

 

(巫山戯んな❗️ 普通、こういう時って、何か感動的な記憶を思い出して、それを力に変えて復活するんじゃないのかよ⁉︎ クソッタレが、本当にマジック・レスリング部には碌な奴がいねぇ❗️❗️❗️)

 

 

 

そして森崎は、今だに声援を送り続けるロビン仮面を、本人にバレないように睨み付ける。

 

 

 

(あのマスク野郎が一番たち悪ぃわ❗️ 善人ぶって何か耳触りのいいことばっか言うから反論しづらいし、言葉巧みに地獄に送ろうとするから本当にムカつく❗️)

 

 

 

怒りのパワーが森崎の中に貯まり出す。

そして森崎はそのパワーでめり込んでいたリングから無理矢理脱出し、そのままの勢いでリングの上空へと飛び上がる。

 

 

 

「な、何だと⁉︎」

 

 

 

そして突然の森崎の復活に狼狽するマリポーサ。

そんなマリポーサを尻目に、森崎は自身の内から溢れる謎のパワーを解放する。

すると森崎の身体を覆う特別男のオーバースーツにひびが入り、額から光が輝き出す。

 

その光が会場を満たし、それが収まってから観客達が改めてリングを見ると、そこにはもう特別男の姿はなくなっていた。

 

 

 

『何とぉぉーっ❗️❗️ 突然、リング上が光り出したかと思ったら、特別男の姿が変わっているぅぅーーっ❗️❗️』

 

 

 

翡翠色の鎧とマスク、更に同色の手袋とブーツに身を包み、先程までの特別男のオーバースーツとは比べものにならないほどセンスの良い姿に変わっていた。

そして何より、その緑の魔法超人の額には“森”という文字が激しい光を放って自己主張していた。

 

 

 

「貴様、一体・・・」

 

 

 

突然、姿だけでなく雰囲気まで変わった森崎に狼狽するマリポーサに対し、森崎は落ち着いた口調で言葉を発す。

 

 

 

「激しい怒りによって進化し、特別男の皮を脱ぎ捨てた今の僕は大森林から生まれし守護者にして正義魔法超人『森林男』だぁぁ❗️❗️❗️」

 

 

 

かっこ良くポーズを決めた新・森崎は、まだ落ち着きを取り戻していないマリポーサの背後に回り、素早く腰に手を回す。

そこまできて漸く正気に戻ったマリポーサは技を解こうともがくが、森崎の身体は全く動かなかった。

 

 

 

「はぁぁ〜『密林(マングローブ)パワー』❗️❗️」

 

(な、何だこのパワーは⁉︎ まるで樹齢幾千年を超える巨木に捕らえられてるようにビクともせん❗️)

 

「くらえ、筋肉男マリポーサ❗️❗️」

 

 

 

森崎は腕に力を込めてマリポーサの身体をそのまま持ち上げ、ジャーマン・スープレックスの態勢に入る。

ここまでくると、最早マリポーサに脱出の手段はない。

 

 

 

『特別男改め、森林男ぉ❗️❗️ 筋肉男マリポーサの身体を捕らえ、ジャーマン・スープレックスの態勢に入ったぁぁーーーっ❗️❗️ その姿、まるで大地に根を張る巨木を引き抜くが如く、微動だにしない足腰は正に大木❗️ 森林男、ここで決めてしまうのかぁぁーーーっ❗️❗️❗️』

 

「オオオォォォーーーっ❗️❗️❗️ これが僕の必殺『大木スープレックス』だぁぁぁーーっ❗️❗️❗️」

 

 

 

森崎の叫び声と共に放たれた必殺の大木スープレックスにより、マリポーサの上半身がリングに突き刺さる。

森崎が技を解くと、既に意識を絶たれたマリポーサの身体が完全に沈んだ。

 

 

 

カンカンカン❗️❗️❗️

 

 

 

それと同時にゴングが鳴り響き、レフェリーが勝者である森崎の右手首を掴んで天へと突き上げさせる。

 

 

 

『決まったぁぁぁーーーっ❗️❗️❗️ Aブロック第二試合大将戦、遂に決着ぅぅーーーっ❗️❗️❗️ 三十分を超える死闘を正に大地に根を張る力強い必殺技で制したのは、特別男改め、大森林の守護者・森林男ぉぉーーっ❗️ この結果により、第一高校Bチーム“正義軍”の二回戦進出が決定ぃぃーーーっ❗️❗️❗️』

 

 

 

リングアナウンサーの声を聞いたところで限界だったのか、森崎は力尽きたかのようにリングに倒れる。

 

ロビン仮面などの同じチームの仲間に肩を借りながら退場するその姿に、観客席で見ていた忍者こと司波達也は、何となく羨ましい気持ちを持ったとか持たなかったとか・・・

 

続く❗️




レオ「いやぁ、凄い試合だったなぁ」

幹比古「うん、途中までは負けるかと思ったけど、最後の最後であのオーバースーツ破っての大逆転劇は見応えあったね?」

レオ「おぅ、俺も出てみたくなったぜ!」

幹比古「ハハッ、何か似合ってるかもね?」



ハハハと笑い合う二人だが、その手元で広げられている課題は全く進んでいなかった・・・
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