第一高校生の日常   作:ジャスティスⅡ

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※このお話には、事実と異なる設定があります。
事前にご了承の上でお読みください。


使命

 

未来には無限の可能性があると言われているが、実はそうではない。

 

確定した過去は変えられないように、過去の上に成り立つ未来も実は既に確定していると言えるのではないだろうか?

 

つまり人は皆、世界に定められた役割に従って動く人形みたいなものなのかもしれない・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私、司波深雪のお兄様である司波達也は偉大な人物である。

理論上だったループ・キャストの実用化に始まり、最近では加重系統三大難関の一つである飛行術式を実現した。

そして現在も同じ三大難関の一つである重力制御魔法式熱核融合炉の実現に向けて研究をしている。

 

そんな私の誇りでもあるお兄様だが、ここ数日はFLTに泊まり込んで牛山さん達と研究に明け暮れていた。

そんなお兄様とついでにその他の研究員達を労うべく、私、司波深雪は現在、青木さんの運転するフェラーリでFLTへと向かっていた。

 

 

「もうすぐ着きますので、降りる準備をお願いします」

 

「わかりました。そう言えば青木さん、お兄様達は一体なんの研究をなさっているのですか? 前にお兄様に聞いてもはぐらかされるだけで教えて下さらなかったんですよ」

 

 

深雪の疑問に、朗らかに笑っていた青木は急に真顔となり、横目だけで深雪を見やった。

 

 

「・・人類の未来の為の研究ですよ」

 

 

その一言は、深雪の心を満たすのに十分な力を持っていた。

やはり私の兄は偉大な人物なのだと再認識できたのだから。

 

 

「さぁ、到着しましたぞ」

 

 

車から降りて、深雪はFLTの建物を見上げた。

いつもと変わらない外観の筈なのに、何故か今日は一際大きく見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

青木を伴って深雪が何時もの通路を歩いて彼等の根城であるCAD開発第三課へと辿り着くと、室内では万歳の合唱が響いていた。

何事かと深雪が視線を向けると、牛山達第三課の研究員達が万歳と連呼しており、その中心には深雪の全てであり、第二のキリストと呼んでも過言ではない我等が救世主・司波達也の姿がある。

普段あまり感情を表に出さない彼が心なしか嬉しそうにしている所を見るに、余程素晴らしい成果を上げた事だろう。

 

今すぐ達也の元へ駆け寄りたい深雪だったが、達也を囲む牛山達の熱気に気圧されて近づくのを躊躇していると、後ろに控えていた青木が興奮を隠しもせずに牛山達に向けて駆けて行って達也に近づいた。

 

 

「達也様、おめでとうございます。遂に例のアレが完成したのですな!」

 

「青木さん・・えぇ、まだ試作品ではありますが遂に全人類の夢が完成しました」

 

「おぉ・・まさか、私が生きているうちに実現するとは・・・」

 

 

そう言って泣き出した青木は側から見て気持ち悪いが、青木の登場で室内の熱気が少し下がったのを見て、深雪は漸く達也の元へと向かうことができた。

 

 

「お兄様!」

 

「おぉ、深雪! お前も来ていたのか」

 

「何やらわかりませんがおめでとうございます、お兄様」

 

「ありがとう、深雪。俺にとってその言葉は最大の報酬だよ」

 

 

慈愛の微笑みを浮かべる達也にうっとりとしていた深雪だったが、達也の後ろにある様々な配線やパイプに繋がった大きな筒状の金属が気になり、そちらに意識を向けた。

 

 

「この筒が人類の未来の為の発明ですか?」

 

「そうだよ、深雪。これを俺達が作り出す事は百年以上前から定められた運命だったんだよ」

 

 

何やら珍しく浸っている兄に若干の違和感を覚える深雪だったが、元よりお兄様のやる事に疑問を挟まない深雪には些事であったのか直ぐに頭から排除する。

深雪へ身体を向けながら達也は片手でパネルを操作すると、筒状の金属に繋がっていたパイプが大量の白い煙を吐き出しながら外れていく。

 

 

「さぁご覧、深雪。これが人類の未来に栄光を齎す21世紀最大の発明・・・」

 

 

巨大な円柱の中から出てきたそれを深雪は知っていた。

まだ周りを覆うカバーが出来てないからか機械部分が剥き出しではあったが、それは紛れもないどこか見覚えがある二頭身だった。

 

具体的には、小学生の頃によくテレビで見ていた・・・

 

 

「僕、ドラ「はいアウトォォォーーーーッ‼️‼️‼️」

 

 

深雪はその二頭身の機械を蹴り飛ばした。

 

 

「あぁ、世紀の大発明が・・・」

「人類の夢が・・・」

「俺達の希望の光が・・・」

 

「何をする深雪❗️ これがどれほどの発明か分かっているのか‼️」

 

 

珍しく深雪を叱責する達也だったが、今の深雪にそれは届かない。

 

 

「お言葉ですがお兄様❗️ 深雪は誰よりもそれが何か解っているつもりです❗️ 毎週見てましたもの❗️ コミックスも全巻持ってますから❗️ 結構マニアックな情報も熟知していますもの❗️」

 

「だったら何故、人類の悲願に対してどうしてこんな・・・」

 

「人類の悲願って、これどう考えてもアレですよね⁉️ 流石にヤバいですよ、お兄様! 勝手にこんなの作ったら、版権元が黙ってませんよ?」

 

「安心しなさい、深雪。言ったろう・・・これは、運命が決めた定めなのだと」

 

 

そう言って達也は深雪に背を向けた。

 

 

(これは、何かを語り出す前フリ・・・)

 

「そもそも、深雪。原作である『ド◯えもん』の誕生日はいつだったか覚えているかい?」

 

「(言っちゃったよ・・)確か、2112年でしたよね」

 

「そうだ。そして今、現在は2095年だ・・」

 

 

そう呟いて達也は勿体ぶりながら振り返る。

 

 

「深雪、あと十七年しかないんだぞ! ドラえ◯んの生誕日まで❗️」

 

「ですがお兄様、◯ラえもんは創作です! 現実ではないんですよ❗️」

 

「実はそうじゃないんだよ」

 

 

そう言って達也は牛山に目線を向けると、牛山は心得たとばかりに頷いて奥の部屋へと入っていった。

そして大量の本を抱えて戻ってきて、持ってきた大量の本を深雪の横にあったテーブルに置いた。

 

 

「これは、ド◯えもんのコミックス・・」

 

「いいかい、深雪。落ち着いて聞いてくれ」

 

 

そう言って達也は両手を深雪の両肩を手を置いて、その瞳をじっと見つめる。

 

 

「ドラ◯もんの作者である手鹿治巳は、今でいうBS魔法師だったんだよ」

 

「バカなのですか」

 

「ドラえ◯んという作品はな、1960年代後半に旧東京練馬区で本当に起こっていた出来事を元に制作されたドキュメンタリー作品だったんだ❗️」

 

「あっ、無視するんですね。分かってましたけど」

 

 

深雪の肩から手を離し、達也はおもむろにド◯えもんのコミックスを一冊手に取った。

 

 

「1960年代・・詳しい事は定かではないが、この年代の時に練馬区の民家“野比家”の一室に、未来を変えるべく世界の運命を背負った一人の少年と全ての鍵を握る自律思考型汎用ロボが降臨した」

 

「の◯太の部屋の机の引き出しから、貧乏が嫌で今を変えようとしたのび◯の子孫が、型落ちのお世話ロボを送りに来たのでしたね」

 

「茶化すな、深雪。兎に角、練馬区にド◯えもんがやってきたんだ。ところで深雪、不思議に思った事はないか?」

 

「私は今のお兄様達が一番不思議です」

 

「明らかにオーバテクノロジーの塊である二頭身の自律思考マシーンが普通に街を歩いていても誰も疑問に思わず、小学生の工作みたいなプロペラで空を飛んでいても誰も不思議に感じていない事に・・」

 

「それは・・・」

 

 

言われてみればと、深雪は思った。

あんな二頭身のロボが街を歩いていれば大騒ぎになるのは間違いないし、マスコミが飛びつかない訳がない。

タ◯コプターにしても、あんなに堂々と飛んでいても騒ぎ立てる人間は一人もいない。

創作故のご都合主義だろうと当時は幼さもあって疑問にも思わなかったが、もしドラえ◯んが創作ではなく真実だとしたらそれは大きな矛盾点だろう。

 

 

「当時の練馬区を中心とした日本には、ド◯えもんが巨大な認識阻害結界を張っていたらしい。故に誰も疑問に思わなかったのだ」

 

「しかし、お兄様。それが本当だとしたら、手鹿先生はどうやってド◯えもんを観測して記録したというのですか?」

 

「そこに手鹿治巳先生がBS魔法師だという事実が関係してくるんだ。手鹿先生は、この結界の効果が効かない体質だったんだよ。だから、◯ラえもんの存在を正しく認識出来ていたんだ」

 

「成る程、お話は分かりました。しかしそうすると、大きな謎が浮き彫りになります。手鹿先生は一体どうやって学校の中の様子やその他の詳しい事に精通しているのですか? ドラえ◯んは、お話の大体が野比家か学校を舞台にしてますよね?」

 

「そこは、手鹿先生の正体が関係してくる」

 

 

達也は持っていたコミックスを開き、あるページを深雪に見せた。

そこには、ヒロインである静◯ゃんと歩く文武両道の少年の姿があった。

 

 

「◯木杉くん、ですか?」

 

「彼が手鹿治巳先生だ」

 

「は?」

 

 

深雪は一瞬、達也の言葉が理解出来なかった。

 

 

「手鹿治巳はペンネームで、先生の本当の名前は出木杉英樹というんだ。本名をもじって、ド◯えもんに出てくるサブキャラクター・出◯杉英夫が生まれたんだ」

 

「出木◯くんが、手鹿先生・・」

 

 

衝撃の事実に、身体が凍り付く深雪・・

今ならニヴルヘイムを喰らった今迄の敵達の気持ちが理解できるかもしれない。

 

 

「手鹿先生は小学生離れした天才的な頭脳により、周りと自分に認識の齟齬がある事を理解していた。そしてその原因があの青い狸っぽいロボットだという事も・・・。下手に騒ぎ立てれば何をされるか分からなかった先生は、周りに合わせて様々な疑問をスルーする事にした」

 

「そして後に、その経験を元に漫画を描いたと?」

 

「自伝として出すには荒唐無稽すぎる出来事が多すぎた。だから先生は、最悪冗談ですむ漫画という形で世に出す事にしたんだ」

 

 

深雪の脳裏に達也の話が荒唐無稽すぎると一瞬よぎったが、彼女のお兄様フィルターは直ぐにその疑問を霧散させた。

 

 

「お話は分かりました・・・ドラえ◯んが創作ではなく事実だったということ。作者の手鹿治巳先生が作品中のキャラクターである出◯杉英夫その人であるということ。ですが、お兄様! どうしてお兄様が◯ラえもんを作る事が運命だと言うのですか⁉️」

 

 

結局のところ、行き着くのはそこなのだ。

何故、達也達がわざわざドラ◯もんを作らなければならなかったのか?

 

達也はコミックスの山から更に一冊を取り出して深雪に見せる。

それはドラえ◯んのファンコミックスで、主に設定資料が収録されていた。

 

 

「この中に、ド◯えもんのプロトタイプとなった自律思考ロボットは“FLT”という会社で制作されたと書かれている」

 

「へ・・つまり、その百年以上前の資料に『FLTで自律思考ロボットが作られた』とあったから作ったと?」

 

 

深雪の言葉に、達也と開発第三課の面々は一斉に頷いた。

 

 

「やっぱりバカじゃないですか」

 

「無論それだけではない。これは人助けの意味もあるんだよ、深雪」

 

「人助け、ですか?」

 

「実はな、野比の◯太の子孫が俺達の知り合いの中にいるんだよ。今ここで自律思考ロボットを完成させないと、野比のび◯の一族は貧乏からの脱却という目的を達成出来ないんだ」

 

 

深雪は驚いた。

歴史の中の英雄の子孫が実はクラスメイトだったと言われたのと同等の衝撃を受けたのだ。

 

 

「よく思い出しみな深雪。◯び太の特技はなんだい?」

 

「昼寝と、鼻くそを1ダース並べる事ですか?」

 

「・・映画版でよく出てくるだろ? 野比のび◯は射撃が大得意だ」

 

「あぁ、そういえばそんな設定が・・って、あああぁぁぁぁ‼️‼️‼️」

 

 

深雪は気付いた。

 

いた・・いたのだ❗️

射撃を得意とし、心無しか◯び太に顔つきが似ている男が深雪のクラスメイトに❗️

 

 

「そう、森崎駿! 約十七年後に生まれる奴の息子こそが、の◯太の元にド◯えもんを送り込む事になる少年、本名・森崎セワ◯❗️ つまり森崎家とは、何度も様々な世界・時代・宇宙を救った大英雄“野比の◯太”の子孫の血脈を受け継ぐ宿命の一族だったんだ‼️」

 

「な、何ですってぇぇぇーーーーっっ‼️‼️‼️」

 

 

開発第三課に、深雪の叫び声が響き渡った・・・




達也「ちなみに、満月美◯子の子孫が中条先輩だ」

深雪「そっちの方が衝撃的なのですけど・・・」
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