第一高校生の日常   作:ジャスティスⅡ

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天才の横浜騒乱
開発


 

 

フォア・リーブス・テクノロジーCAD開発第三課・・・

 

 

 

世界で初めてループ・キャストを実現し、特化型CADの起動式展開速度を20%向上させ、非接触型スイッチの誤認識率を3%から1%未満へ低下させるなど、目覚しい功績を次々と上げて魔法界全体の進歩させた、あのトーラス・シルバーが所属する研究室として有名な場所である。

 

更に、2095年7月には加重系魔法の技術的三大難問の一つである「汎用的飛行魔法の実現」を成し遂げ、フォア・リーブス・テクノロジーがCADメーカーとしての地位を確固たるものとし世界的に有名になったのも、トーラス・シルバーのお蔭と言っても過言ではない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

栄えあるトーラス・シルバーが所属する研究室では、今日も片割れたるMr.トーラスーー牛山の怒号が飛んでいた。

 

 

 

「おい、テツ! 資材の発注遅れてるぞ」

 

「は、はいただいま」

 

「テツさぁん、ここどうすればいいですかぁ?」

 

「あぁ、ここは・・・」

 

「テツくぅん、お茶買ってきてぇ〜。ダッシュでな?」

 

「サー、イエッサー!」

 

 

 

牛山だけではなく、研究室所属の全員の怒号が飛んでいた。

ブラック企業もビックリの過酷労働の現場で、三課のホープであるテツは今日も忙しなく働いていた。

女性研究員の頼み(という名のパシリ)を聞いて、彼は研究室を飛び出して行った。

 

 

 

「全く、アイツはまだまだ駄目だな・・・」

 

「牛山主任の出世は、まだまだ遠そうですね?」

 

「うるせぃ!」

 

 

 

悪態をつきながら、牛山は研究室の隅に設置されている休憩スペースの椅子に腰掛けた。

それに釣られるように、先程の若い研究員と女性研究員も席に座る。

 

 

 

「しっかし、自分で選んだ道とはいえ、こうも女っ気がないとやってられないですねぇ〜」

 

「それは私に対する挑戦と受け取っていいのかしら?」

 

「いやいや、冗談っすよ。ただ、休みの日とかに自分を優しく包み込んでくれる彼女でもいたらなぁ〜って事です。牛山主任、合コンでも開いてくれませんかぁ?」

 

「そういうのは御曹司に言えよ。あの人なら頼めばマジで何とかしてくれるかもよ?」

 

 

 

根っからの職人気質な技術屋の牛山に、合コンなんて言葉は未知との遭遇レベルの異界語だろう。

右手をひらひらさせながら自分よりも適任だろう人物に丸投げするあたり、この男の女っ気レベルも底が知れるというものだ。

 

 

 

「あぁ、確かに御曹司なら何とかしてくれるかもですね? あの人、この前も街中で五人くらいの女の子に囲まれて買い物してましたよ?」

 

「マジっすか!? すげぇーっす、マジ尊敬するわぁ〜」

 

「御曹司も相変わらずってとこだな? いつか刺されるんじゃないか・・・」

 

 

 

最も、刺されたとしても達也には『再成』があるので、全く無問題なのだが・・・

 

 

 

「牛山主任、今日ヒマですか?」

 

「ん? かなりヒマだなぁ〜」

 

「あっ! そう言えば俺、牛山主任に聞きたかった事あんですよ!」

 

「何だぁ〜」

 

「女の子って、男のどこに惚れるんすか?」

 

「・・・お前、何で俺に聞いた?」

 

 

 

このような話題とは対極の世界で生きてきた牛山に、明確な答えなどだせる訳がないのだ。

しかし、この若い研究員だって別にちゃんとした答えを求めている訳ではないだろう・・・

 

単に、暇だったから話題作りに尋ねただけだ。

 

牛山も当然それは理解しているので、とりあえずパッと思い付いた言葉を口にした。

 

 

 

「まぁ、顔じゃね?」

 

「いや、話終わっちゃいますよそれ・・・それじゃあ、顔以外でなんかありませんか?」

 

「顔以外かぁ〜」

 

 

 

そう言いながら腕を組み、少し目線を上げて考え出す牛山。

暫くすると、今度は女性研究員が何かを思い出したのか、少しだけ身を乗り出して口を開いた。

 

 

 

「そういえば、大学時代の友人が言ってたんだけど、好きって言われると好きになるらしいよ?」

 

「マジっすか!? 今度言ってみよう!」

 

「でも顔が気に食わないから、とりあえず最初はふるらしいけど・・・」

 

「何だよ、結局顔じゃねぇか・・・」

 

「何世紀経ったって、女なんてそんなものじゃないですか、主任?」

 

「お前も女だけどな」

 

 

 

牛山はげんなりした表情をしながら、両目を右手で押さえながら天を仰いだ。

 

 

 

「って言うかお前、モテたい訳?」

 

「な、何言ってんすか! 俺モテまくりですし! 毎日女を取っ替え引っ替え・・・」

 

「だったら何でお前、さっき俺に合コン頼んできたんだ?」

 

 

 

焦る若い研究員を、牛山がからかい混じりで弄くりだす。

そこらへんは人生経験の差ゆえか・・・

 

そんな光景を眺めながら、女性研究員はふと思い付いたことをそのまま口に出したかのように、自然と呟いた。

 

 

 

「疑問なんですけど、男ってなんで聞いてもいない自慢話を勝手に始めるんですか?」

 

 

 

その言葉に牛山と若い研究員は固まった。

別に彼等が彼女に対して何か非がある訳ではないのだが、ただ何と無く身に覚えがあっただけなのだ。

 

 

 

「何か、スマン・・・」

 

「マジで此れから気を付けます・・・」

 

「何で主任達が謝ってるんですか? あれって、凄いって言ってほしいんですかね?」

 

 

 

空気がどんよりと重くなった・・・

 

そんな空気を払拭すべく、若い研究員は明らかに空元気な声音を出しながら身を乗り出した。

 

 

 

「そ、そう言えば、主任はどうなんですか!?」

 

「は、俺?」

 

「私が思うに、牛山主任はもっと自分を磨いた方がいいと思いますよ? そろそろいい年ですし・・・」

 

「はぁ!?」

 

「そうですよ、主任! もっと努力しましょうよ!!」

 

(クソうぜぇ!! こいつら、俺を標的にしやがったな・・・)

 

 

 

少し苛立ちを感じた牛山は、立ち上がっておもむろに自分の席へと向かい、引き出しからワックスを持ってきた。

 

 

 

「おい、ちょっと凸面鏡持ってこい・・・」

 

「あ、はい・・・」

 

 

 

言われるがままに若い研究員は凸面鏡を持ってきて、それをテーブルの上に置いた。

そして牛山はワックスで髪をオールバックに固め、ポケットから黒縁で少し横に長い眼鏡を取り出してそれを掛けた。

 

そして・・・

 

 

 

「フンッ!!」

 

 

 

限界まで目を見開くと、凸面鏡に向かって口元に笑みを作った。

するとそこには、渋めの紳士の顔が浮かんでおり、作業服じゃなければ十人中八人の女性が恋に落ちるかもしれない程の素敵なオジサマが存在していた。

 

 

 

「・・・ふぅ〜」

 

 

 

魔法の時間は終わりだと言わんばかりに、牛山は眼鏡を取って頭をガシガシと掻いて元のアフロに戻す。

 

そんな牛山の肩に、若い研究員が手を置いた。

その手は、心なしか震えていた。

 

 

 

「ちょっと待って下さい、主任。何を勝ち誇ってんですか? ていうか、今の何ですか?」

 

「言っておきますけど、主任。人間、顔って訳では・・・」

 

「あぁーーもぅぅーー面倒臭ぇな、お前ら!! 休憩終わり!! 仕事しろ!!」

 

 

 

牛山が怒りだしたので、二人はすたこらさっさと逃げて行った。

そして自分の持ち場に戻ると、おもむろに女性研究員が口を開いた。

 

 

 

「ねぇ? 鏡の中のあの人に、もう一度会えないかなぁ・・・」

 

「信じて待ち続ければ、きっと会えますよ」

 

「さっさと仕事始めろ、馬鹿どもがぁ!!!」

 

 




レオ「なぁ、達也・・・お前の力で合コンとかできねぇか?」

達也「合コンだと?」

レオ「あぁ。女の子と仲良くなりてぇんだ・・・」

達也「女性と仲良くなるだけの事に、何故わざわざそんな集まりを必要とするんだ?」

レオ「かぁぁーーっ!! モテる男は言う事が違うな!」
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