第一高校生の日常   作:ジャスティスⅡ

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※使者

 

 

国内の旅行先としては、最もポピュラーで且つ「普段の日常とは違うところ」に行ってきた感が強いのは、おそらく京都と沖縄が上がるのではないだろうか?

 

そしてバカンスを楽しみたいのならば、やはり開放的な気分になれる沖縄旅行が一番だろう。

 

別に海に入らなくても気軽にクルージングを楽しめるし、珍しい舞踊や食事に選り取り見取りと飽きることはあまりないと思われる。

更に一番近い旧鹿児島とかなり距離が離れた島だというのも高ポイントで、海外への渡航が旧時代より難しく、特に魔法師の海外渡航はかなりの制限がかかっているので、沖縄旅行は気軽に海外気分を味わうのに最適である。

 

そのため、二十八家や百家などの現代魔法師の名家では沖縄に別荘がある事は、割とお約束のようなところがある。

 

つまり魔法師の旅行先は、余程の事が無い限り沖縄が多いのである・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「着きましたわね、沖縄・・・」

 

 

 

そう言って空港から出て来たのは、この陽射しの強い中でも黒のゴスロリドレスを着ており、小学生にも見える黒髪をツインドリルにした美少女であった。

 

彼女の名は、四葉真紀夜・・・

 

数奇な運命を辿った結果誕生した、本来ならあり得ない存在である四葉家現当主・四葉真夜の実の娘である。

クローンとかそんなのではなく、正真正銘、四葉真夜のお腹の中から生まれた子供である。

 

父親については、今は割愛する・・・

 

 

 

「ま、待って下さいデブ〜」

 

「何時までも空港のお土産屋でお菓子を漁ってるから置いてかれるのですわよ、この豚が!! なんでお母様は、貴方みたいなデブを私のガーディアンなんかに・・・」

 

「ブヒヒヒヒ、そこは拙者の魔法師としての才能デブ〜」

 

 

 

そして、真紀夜の後を追って空港から出て来た高校生?くらいの肉の塊が、激しく息切れをしながら彼女に抗議の声をあげた。

 

彼は、四葉真紀夜のガーディアンで名を肉戸豚之介 (ししどぶたのすけ)といい、調整体魔法師『肉』シリーズの最高傑作と言われている二次元をこよなく愛する男である。

その風貌はまるで肉の要塞であり、身長と体重が同じという奇跡の体格をしていて共に数値は二百である。

 

ちなみに『肉』シリーズは、先に開発された比較的防御重視である『桜』シリーズの後に開発され、主に使い捨ての自爆特攻用の魔法師として使用する筈だったのだが、予想以上に素の肉体スペックが高すぎて、生身でマグナム弾を弾くという防弾チョッキ要らずの身体を手に入れた為に、ボディーガード用に急遽コンセプトを変更したという逸話がある。

 

そしてこの豚之介だが、最初は他のシリーズと同様MIBみたいな筋肉質なナイスガイだったのだが何が切っ掛けだったのかある日いきなり二次元に目覚め、『オタクの嗜み』とか言ってぶくぶく太り出したのだ。

しかし彼は、他の誰よりも肉の壁ーーつまり防御能力に優れていたという特性があった。

 

これには流石の四葉真夜も参ってしまい、見た目の醜さからすぐにでも廃棄してしまいたいのに廃棄するには惜しい高スペック・・・

悩みに悩んだ結果、その防御力を買って我が娘のガーディアンとして採用したのだ。

 

幸いだったのは、真紀夜と豚之介の相性が割と悪くなかった事であろうか・・・

 

 

 

「それにしても、真紀夜氏? その服は沖縄には合ってないデブよ。汗がダラダラになるから、早目に着替えるといいブヒね」

 

「・・・せめて語尾は統一してくれません? 後、私は少し着替えてきますから絶対に覗くんじゃないですわよ」

 

「ブヒヒヒヒ! 拙者のストライクゾーンは、二次元の少女達だけなのブヒよ? 三次元はお呼びじゃないデブ〜」

 

「もう、ツッコみませんわ・・・」

 

 

 

疲れた表情をしながら、真紀夜はお付きの使用人の女性を伴って更衣室に向かった。

彼が真紀夜のガーディアンに選ばれた一番の理由はその卓越した魔法のみならず、彼のその二次元に賭ける情熱故に、主である真紀夜と間違いが100%起こらないと確信出来るからだろう・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

所々に青のハイビスカスをあしらったワンピースと麦わら帽子を装備した四葉真紀夜は、自身のガーディアンである肉戸豚之介を伴い那覇市内を歩き出した。

豚之介は歩きながらスナック菓子を食べ、コーラをがぶ飲みするというデブそのものの行動をしながら真紀夜の後について行く。

 

 

 

「・・・とりあえず、黒羽家の皆様と合流するのが先決ですわね」

 

「おぉ! 文弥氏と亜夜子氏にも会えるブヒね? それでは真紀夜氏、拙者は早速タクシーを・・・」

 

「アンタが普通の乗用車何かに入るわけないでしょ? さっき、アンタ専用の車をレンタルしたからそれに乗って行きなさいな」

 

「ブヒヒ! なんだかんだ言いつつも、拙者の為にわざわざ車をレンタルする真紀夜氏であった。マジ、ツンデレ乙」

 

「アンタの言動はこの際置いておくとして、その菓子とコーラを今すぐに捨てろ!! 脂まみれで汚らわしいですわよ!!」

 

「ブ、ブヒィィーーーッ!!?」

 

 

 

豚の鳴き声と共に、レンタルした高級車が二人の前に停車した。

運転席には先程の女使用人がおり、運転席を降りて真紀夜が入れるように車のドアを開けた。

 

 

 

「どうぞ、お嬢様」

 

「えぇ、ありがとう」

 

「ブヒヒヒ、では拙者も・・・」

 

 

 

真紀夜に続いて車に乗ろうとした豚之介だったが、それを女使用人が華麗に止める。

 

 

 

「アンタはあっち! そんな菓子屑まみれで脂ぎった臭いを撒き散らす奴と一緒にいられないわ」

 

「後ろに追加でレンタルした家畜用のトラックがあるでしょ? その荷台に乗りなさい」

 

「オッフ、真紀夜氏マジ鬼畜。拙者は名が豚であっても、この身は人間でブヒよ?」

 

「既に身も心も立派な豚ですわ。脳まで豚になる前に、とっとと後ろのトラックに乗りなさい」

 

「ブッヒィーーーッ!!?」

 

 

 

最後に豚の鳴き声を辺りに響かせて、豚之介は何の躊躇もなく家畜用トラックの荷台に乗り込んで、ゴロンと寝転んだ。

その様子を見て、真紀夜とお付きの使用人はゲンナリとした表情を浮かべた。

 

 

 

「・・・割と本気で、アイツが近い将来、本物の豚になる日も近いと思うのは私の勘違いかしら?」

 

「お嬢様は正常です。私も本気でそう思います・・・」

 

 

 

四葉真紀夜とお付きの使用人ーー桜井華波は車に乗り込み、とりあえず黒羽家の別荘へと向けて車を走らせるのであった。

 

 

続く




『※』マークがある話は、ストーリー性を持たせています。



【新キャラ紹介】

名称:四葉真紀夜
生誕:2080年5月24日 (現時点で12歳)
家族:四葉真夜の娘
魔法:流撃《ストリーム》
(流体力学に基づいた移動・収束系の系統魔法。真紀夜は主に空気や水の流れに干渉する魔法として使用するが、その応用性は計り知れず、真紀夜が真に流体力学を理解しきったら途轍もない力を発揮すると達也はみているが、今は宝の持ち腐れ)

経歴:現四葉家当主・四葉真夜の一人娘。
意外と鉄火場を潜り抜けている四葉の放し飼い娘。
母を見て、当主になるのは面倒臭いと思ってる。



名称:肉戸豚之介
年齢:多分18位
家族:調整体魔法師『肉』シリーズの皆
魔法:???(おそらく防御系)
経歴:『肉』シリーズのある意味失敗作。
凄腕の魔法師ではあるが、見た目が醜悪。
イメージとしては、ダンガンロンパの山田君。



名称:桜井華波
年齢:多分20そこそこ
家族:調整体魔法師『桜』シリーズの皆
魔法:???(多分、穂波さんと同じ系統)
経歴:四葉真紀夜の護衛その2兼使用人。
豚之介が“護衛としては”優秀なのでほぼ使用人。
桜井穂波とは、遺伝子上は姉妹。
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