ドキプリ世界で蒐集家 作:大きいお友達
人というのは本当に予想外の出来事には何も対応できないらしい。俺は突然飛んでいったクリスタルを呆然と見送る事しかできなかったわけだがレジーナ達は慌てて追いかけて行ってしまい、後にはプリキュアと俺が残される事となった。
「……えっと、その、ごめんなさい?」
「え、あ、はい」
俺が謝罪の言葉と共に頭を下げればマナもよくわかっていなさそうに相手をしてくれる。優しい。
「って! クリスタル飛んで行っちゃったじゃない! 追いかけないと」
「でもどうやって?」
まぁ、正直に言ってあれだけの速度だとサーチャーでも追い付けん。一直線に飛んでいったことを祈ってまっすぐ追いかけてみるか?
「皆さん。ここは私にお任せを」
「セバスチャン?」
そうしたら黄ロリの執事が突如として現れて人工衛星を用いた追跡で直ぐに向かう事となった。氷河地帯、つまり一年中雪に覆われた山を最後に反応は消えたのでそこを中心に探すようだ。……俺も。
「え? 俺も?」
「まぁ、貴方のせいで飛んでいったわけだしね」
「最後まで責任もって捜索を手伝ってくださいね♪」
マジか……。俺も探すのかよ。面倒だな。しかも雪山に向かうのに俺だけ防寒着が渡されなかった。扱いに泣けてくる。いや、敵同士なのに普通にこうしてだべっているだけでもありえないのか?
そして霊峰と呼ばれる山まで来たがそこには変身して向かう事になったようだ。傍目にはあり得ない光景だな。何しろ雪山でフリルたっぷりの露出高めの服装でいるんだから。自殺行為過ぎて普通の人は何度も見てしまうどころか必死で止めるレベルだ。
「さぁ! 貴方も探してください!」
「へいへい」
なんでプリキュアにこき使われているのかと思いつつサーチャーを飛ばすが特にそれらしいものは見つからない。プリキュアたちは登っていくようで変身後の能力を生かして軽やかに飛び跳ねている。一方、トランプ王国の騎士はかなり後からついてきているが大分息が上がっている。プリキュアに比べて情けないという気持ちも出てくるが普通の人間ならあり得ない身体能力をどちらもしている。俺? 俺は浮遊魔法で楽について言っているさ。
「おかしいですわね。最後に反応した場所はこのあたりのはずなのですが……」
「もしかして雪に埋もれたとか?」
「其れだと探すのは困難だぞ」
「よし! 掘ろう!」
「いやいやいや」
こういう時のマナの行動力には驚かされるがそれどころではないだろう。
と、思っているとジコチュー達が登場した。どうやら後をつけて来たらしい。先に向かったと思ったがこちらに便乗する気だったか。
そうなれば当然戦闘が始まったために俺は上空に避難させてもらったよ。今回の俺は完全に巻き込まれた被害者だ。戦闘する気なんて全く起きないからな。
「あ」
そしたら紫ロリの放った技によって雪が砕けて大きな穴が出現した。その穴にレジーナが落ちたがそれをマナがキャッチ。落下は止められたと思いきや地面が崩れてそのまま深い穴の底に落ちて行ってしまった。
「キュアハート!」
「マナぁ! 大丈夫!?」
雪山では気を付けないといけない天然の落とし穴だがまさか引っ掛かるとはな。サーチャーを向かわせているから大丈夫だと思うがマナに何かあったら嫌だし俺も降りるとするか。
ジコチューとプリキュアも休戦してレジーナとマナを探すようにしたようだ。俺も透明化して探してみるとするか。
だがサーチャーを使えばあら不思議、ではないな。直ぐに見つけてみたがそこでとんでもないものも発見することとなった。
なんとトランプ王国の女王の体だ。生きているのか死んでいるのか分からないが氷に覆われ、手を出すことは出来ないようになっている。見るからにただの氷ではない為こいつが作り出した何かだろう。
そしてその前で行われるレジーナとマナのいちゃらぶ。ふむ、レジーナも出自のせいかマナの言葉に押されているようだ。このままでは改心してしまうかもしれないがそこは抜かりの無いジコチューだ。合流したプリキュアたちとジコチューを戦わせている間にレジーナと王女を回収してしまった。クリスタルを取り戻すという目的は達成された一方で、最重要である王女の捜索は失敗に終わったというわけだな。
「さて、そろそろ俺も……」
“……よ。聞こえるか”
「っ!?」
唐突に響く声、それを俺は知っている。聞いたことあるし何度も話したその声を忘れるわけがない。
「久しぶりだなキングジコチュー。封印されていらいか?」
“随分と自由気ままに動いているようだな”
「そりゃ、許可を出された以上好き勝手に動きますよ」
ああ、そういえば許可貰う際に話したな。固まったというのに普通に喋れるあたり封印もそこまで強くはないみたいだな。
“今すぐトランプ王国に戻れ。ベールたちにも来るように通達を出してある。そこでお前には頼みたい事がある。直ぐに来るのだ”
「了解」
それを最後にキングジコチューの声は聞こえなくなった。キングと名の付くだけあって規格外だな。それだけに俺も従っているわけだがな。
さてはて、一体どんな用事を言いつけられるのか。簡単なものだと楽でいいんだけどなぁ。
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