ドキプリ世界で蒐集家 作:大きいお友達
「ふむ、こうしてみると成程、女児向け番組らしく可愛らしいデザインだ」
「……」
キュアハートは何やら呟きながらこちらを観察してくる男に言い知れぬ恐怖を感じ始めていた。
トランプ王国に連れてこられ、脱出するために挑んだ相手。ジコチューとは別の存在の男はこれまでの相手が弱いと感じる程に強く、全く本気を出していない様子で自分たちを圧倒した。そうして止めを刺すわけでもなくこうして拘束された状態にいる事に段々と恐怖を感じ始めていたのだ。
「(ダイヤモンドもロゼッタもソードもみんな可愛いし、まさか……!)」
キュアハートとて保健体育できちんと性に関しては学んでいる。まさか相手は自分たちにそういう事を? そう考えてしまう程キュアハートは追い込まれ、そして男の行動が理解不能すぎた。
「何が、目的なの?」
「あ?」
故にどれだけ時間が経った頃か? キュアハートは勇気を出して観察して満足した相手に問いかけた。男はいきなりの事で驚きの表情を見せつつなんとはなしに答えた。
「別にどうもしないさ。精々お前たちの力を蒐集するくらいだ。そのあとは……どうしようか? 考えてなかったがふむ……」
男はそこまで言うと長考に入ったのかうんうんいいながらその場でぐるぐると回りながら考え込み始めた。
これにはさすがのキュアハートも予想外でどんな反応をすればいいのか分からなかった。安堵すればいいのか恐怖すればいいのか分からないがこの男の考え次第で自分たちの運命だけは決まるという事は理解できた。故に、彼女は一縷の望みをかけて男に願いでた。
「お願い! 私達を元の世界に返して!」
「え? なんで?」
「え?」
キュアハートとしてはそんな無理だ! 的な返事が返ってくることを想定していたがまさかの答えに一瞬呆けてしまうがすぐに話を続ける。
「貴方はさっきここに置いておきたくないって言ってたよね? ならすぐに帰らせて! そうすれば貴方の願いはかなうでしょ?」
「その通りだ。だが同時にお前らの言う通りにする必要もないだろう? 適当にこの世界の何処かに放り出すだけで俺の目的は完了だ」
「ならば私たちは何度でもここにやってきて何度でも邪魔をするよ」
実際、そうされればキュアハートはそうする自身があった。たとえどんな状況でも諦めないのが彼女の長所なのだから。
「……あー。成程。そういう性格か」
そして、それは男にも分かったようで面倒くさそうに頭をかくとキュアハートの目の前に座った。
「ならばこうしよう。他の3人は人間界に返してやろう。ただし、お前が俺の奴隷になるならな」
「奴隷?」
「ああ。絶対服従のお人形さんになれば無事に返してやってもいいぞ」
そう言って男は嗤う。この後、キュアハートがどんな決断を取るのか少し楽しみに思っていた。了承するのかそんなことできないと怒るのか。しかし、キュアハートの答えは予想していたものではなかった。
「それは出来ないよ。きっとそうなればみんな私を心配する。もしかしたらここに戻ってこようとするかもしれない。そうなればまた大変な目にあう。だからそれは選べない」
「……」
その問いを聞いた男は目を丸くして驚き、そしてまるで面白いものを見たような表情となりキュアハートの顎を掴んだ。
「お前、面白い奴だな。桃ロリ。お前の名は?」
「……キュアハート」
顎を持ち上げられるように触られているキュアハートは嫌悪感を感じつつも男の問いに素直に答えた。普通なら答えないという事も考えたが男の雰囲気はそれを許してくれないと感じるほどの濃密な何かを放っていた。
「違う。それはプリキュアとしての名だろう? 本名だ。嘘をつくなよ」
「……相田マナ、です」
「相田マナね。良し。覚えたぞ」
男は満足げに何度もうなずくと手を放し立ち上がった。その手にはいつの間に本が握られており、自然と浮き上がると白紙部分のページが開いた。
「俺はお前を気に入った。だから今回は全員返してやろう。ついでにサービスとして受けたダメージも回復してやる。まぁ、蒐集はするが本当は痛みを感じるように起きた状態でするつもりだったが意識のないうちにやってやるよ」
「それはどういう……」
「精々、声を上げて俺を楽しませろよ? マナ」
【蒐集】
瞬間、部屋中にキュアハートの悲鳴が響き割った。
「ふむ、4人分ともなればかなりのエネルギーになるな」
「はぁ、はぁ……」
蒐集を終えた男は満足げに本を確認しているがその近くでは4人の少女が倒れていた。プリキュアの力を吸い取ったために変身は解かれてしまっているがその体に傷はなく、一人を除いて全員が気絶したままだった。
「一体、何をしたの……?」
そして、今だ意識を保っているマナは力が抜けた感覚を感じながら男に訪ねた。その顔は疲労にまみれており今にも倒れそうな程だった。
「俺の力だ。俺は他者の力を吸い取り、自分の力に変える事が出来る。プリキュアの力には前々から興味があってな。ジコチューを浄化できる特別な力が欲しかったわけさ」
「まさか、そのために私たちを?」
「そう。だからロリっ子たちには感謝しているんだ。また一つコレクションが増えたわけだからな」
そう言って楽し気に笑う男をマナは理解できなかった。たったそれだけの為にあそこまで痛めつけたのかと怒りを覚えるがそれを表に出す気力は残されていなかった。
「さて、約束通り返してやろう。プリキュアの力もしばらくすれば元通りになるだろう。紫ロリが証拠だ」
気絶した3人をポイポイと鏡の中に押し込んでいく男。その気軽さは人間ではなく物を扱うのに近かったが約束通りに返してくれる気がある事にマナは安堵した。
「あまり言っていいことではないし言いたくもないけど、ありがとう」
「構わんさ。近いうちにまた蒐集しに行くからな」
「……え? それってどういう……」
最後の男の言葉にマナは聞き返すが男によって掴まれるとそのまま勢いよく鏡に投げ込まれた。鏡を見れば結構な速度で離れていく4人の姿があり、それを見た男は満足そうにうなずいた。
「プリキュア。成程、シリーズものとして放送されるだけの魅力はあるらしいな」
男はそう呟きながらトランプ王国の魔改造の為に部屋を後にするのだった。
もし続編を出すならどのプリキュアが良い?
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