旅して世界は救わない   作:堕賀史菓子

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27話

 

 

 

 

 エネルギーが噴出する。この場一体に溢れかえるような気の逆流に、誰も彼もが圧倒されていた。それは、たった一匹のポケモンから放たれたものとは思えないほどの出力であった。これはメガシンカしたことによる強化された結果、だけではない。今までミュウツーが俺の記憶封印に費やしていた力が全てミュウツーの元へと還ったという理由もある。

 

 全ての力を取り戻し、さらには覚醒に至ったミュウツーのエネルギー量は、それまでとは比べものにならなかった。

 

 

『………………』

 

 

 ミュウツー、いや、この場合メガミュウツーと呼ぶのが正しいのだが。そんなメガシンカを遂げたミュウツーの姿は、随分とこじんまりとしてしまっていた。メガシンカをする前よりも体は縮み、頭から生えた触角のような尾が長く伸びている。

 

 以前メガシンカをした際のゴツい姿とは正反対にスリムな印象を抱かせる。かと言って、では弱そうに見えるかと訊かれたら、間違いなくそうではないと言える。

 

「この……力は……」

 

 何かに気づいたように、ヒガナは声を漏らす。メガシンカをした際のエネルギーに気づいたのかもしれない。

 

 筋骨隆々の方のメガシンカの姿が肉体方面への進化だとするなら、こちらは能力方面に特化したのだろう。圧縮されたのは筋肉ではなく、そのサイコパワー、高密度のエネルギーがその小さな体に収まっているのだ。

 

 

「……ック、フハハハ!! なんと……素晴らしい!! 期待通り……いや、それ以上だ。一体どれだけの力を隠し持っていたというんだ? これほどの力があれば、世界など容易く手に入る。玉座に着く者こそが手にすべき王冠だ! この世界の王にのみ許された王笏なのだ!」

 

 

 サカキは興奮のあまり、舌がよく回っている。その姿は、自分が造ったポケモンの可能性に酔ってしまっているようにも思えた。それはミュウツーのことを王冠だ王笏だなどと形容しているところにも表れている。

 

 そこに狂気を感じたからか、俺は若干気圧されてしまう。だが、寸でのところで気を強く保つ。こんなところで押されていては勝負にすらならない。目の前の男に打ち勝つためには強い精神が必要なのだ。

 

「……感想はもう十分か? 勝負なら言葉じゃなくて真っ向から来いよ。お前にお似合いなのは、玉座じゃなくて地べたってことを教えてやる」

「ああ……すまないな。さっきから衝撃の連続でおかしくなったみたいだ。だが、もう落ち着いた。では始めよう……この世界を手に入れるための闘いを」

 

 互いに構える。時間は一瞬、思考は有限。巡りゆく情報の螺旋が一つにまとまっていく。記憶の整理がされたからか、頭は澄み渡るほど冷静だった。

 

 そうして選ぶ初手。先ほどとは違い、今度はデオキシスというポケモンの情報は頭にある。どんな技を使い、どれだけの力量を持っているか。それから、サカキというトレーナーの優秀さもだ。

 

 

「デオキシス、()()()()()()()()。そしてサイコブーストだ」

 

 

 言葉を言い切るのはサカキが一歩早かった。サカキの取った手、それは初っ端からフルパワーで終わらせにかかることだった。しかし、この状況は一度見ている。同じ手を打つということは、すなわち対策もされるということだ。それはサカキも分かっているだろう、それでもなおこの選択をしたことの意味とは何なのか。

 

 それはおそらく様子見、なのだろう。メガシンカしたミュウツーがどう対応するか。それを確認する意味合いを含めて、同じ状況を作り上げたと言える。

 

 もちろん、今の俺が取れる選択肢は無数にある。反省を生かすなら、回避が最も安全だろう。

 

 だが、回避はしない。

 

 

「バリアーだ、ミュウツー」

 

 

 ミュウツーが手をかざすと、サイコブーストを受け止める障壁が展開する。この流れはさっきも見た、そしてその時バリアーは打ち破られた。が、今回は違う。

 

 エネルギーの上昇により密度が増したバリアーはサイコブーストをかき消していくように防ぐ。同じ技だというのに、ここまで違うのかと若干驚いてしまうほどだ。

 

「バリアーで受けるか……回避していればいいものを、さっきの言葉にムキになったか? それとも、力自慢でも?」

「はっ、その手には乗らねーよ。お前に言われた通り回避しても、次の攻撃が待ってるだけだろ」

「はて……どうだかな」

 

 頭が回るやつほど次の手を用意している。サカキはもし俺が回避を選択していたら、それに合わせた攻撃を狙っていただろう。また、俺はこのバリアーにある考えも含ませていた。

 

 

「「サイコキネシス」」

 

 

 不可視の攻撃が衝突する。だが、単純な出力勝負になって今のミュウツーが負けるはずがない。デオキシスも凄まじい力を持っているが、込められたエネルギーの量が違う。ジリジリと押し返していくと、デオキシスを端へ端へと追いやっていく。

 

 一瞬、さらにエネルギーを込める。すると、ついに耐えられなくなった力のつり合いが崩壊し、衝撃となってデオキシスに襲いかかる。

 

『……………』

 

 ミュウツーの紅い眼が輝く。デオキシスが怯んだ、この隙を逃すわけにはいかない。

 

「畳みかけろ、サイコブレイクだ!」

「ッ……受けろ。()()()()()()()()()だ」

 

 デオキシスが再び肉体を変形していく。細身だった手足や胴体に、まるで肉で埋まったような厚い肉体を形成していく。今までのが攻撃特化の姿ならば、これは防御特化の姿だろう。サイコブレイクを耐えるための行動だ。

 

 だが、それでも遅い。

 

 今のミュウツーに溜めは必要ない、サイコブレイクを放つのに必要なエネルギーは一瞬で供給できる。完全にさっきまでとは別の次元にいるのだ。

 

エ ビ フ ラ イ !?」

 

 デフェンスフォルムへの変形の途中、すかさず距離を詰めたミュウツーの手によって、無防備な体にサイコブレイクが直撃する。

 

 デオキシスから発せられたのは無機質な鳴き声であったが、かなりダメージが入ったということが読み取れる。その認識を経て、ようやく反撃を喰らわせられたことに確かな満足感を覚える。

 

「なるほど、技を打つ際のデメリットも克服したか。まさに欠点のない、完全無欠の存在だ」

 

 ……だというのに、この男の表情は崩れない。現状、圧倒的に有利なのはこちらのはずなのに、どうしてそこまで余裕でいられるのだろうか。いや、考えるな。相手を動揺させる、それもヤツの作戦のうちかもしれない。

 

 それとも、まさか……こちらの狙いが気づかれたのか?

 

「ふっ……能力は十全なのだがな、トレーナーとしてはまだ未熟だな。顔に出ているぞ」

「……何のことだ?」

「とぼけるなよ。アキハ、お前の能力のことだ」

 

 問い詰めるように、サカキは語り出す。

 

「そもそも……あの記憶での時点で、疑問に思っていた。最後の瞬間、ヌメルゴンたちを大量に操った時、あの男はお前の能力を無尽蔵に竜を操るのものだと考えたようだが、実際はそうではないな?」

「………」

 

 沈黙、するしかなかった、それが答えを口にするのと同じことだとしても。この沈黙を見て、サカキは余計なことは何も言わずに、ただ俺の浅い企みなど暴いていくように、続けるだけだった。

 

「今もそうだ。このミュウツーの力、確かにメガシンカによるパワーアップの側面も強いが、まだ要因がある。それはお前の能力の本質、大雑把に言えば()()()()()()()()だろう?」

「………クソが、何で分かるんだよ」

 

「当たりか。まあ半分は勘だが、ドラゴンポケモンを操るだけでは説明のいかない場面があったからな。いくら操れるからといって、力尽きた生物がどうやって再び動き出す? 何かしらの回復能力、もしくは類似したものがなければおかしい」

 

 やっぱコイツに記憶見せたの失敗だったんじゃねえかな……あれだけの情報でどうしてこの結論に至れるんだ、頭のネジ外れてんのか?

 

 サカキの言う通り、この力の正体は『ポケモンにエネルギーを与える』というものだ。この力の本質に気づいたのは、ミュウツーに言われてメガシンカしてから……つまり、ついさっきなのだが。

 

 ドラゴンポケモンを操っているように見えたのは、自身のエネルギーを送り込んでいたからだ。どうやら俺は無意識にエネルギーにある種の意思を混ぜていたせいで、それを受け取ったポケモンがその指示に従ってしまうかららしい。

 

「そして、そのエネルギー量も常人とは一線を画しているというわけで、決して無限ではない。あの時、ヌメルゴンを一斉に操ったのもそれが尽きかけていた故の選択だろうな。その点で言えば、あの男は惜しかったとも言える」

 

 ミュウツーが何も言わないということは、そういうこと……なのだろう。詳しくは俺も理解しているわけではない、だが、確かに体の活力のような何かが減っていく感覚はある。つまり、限界はあるのだ。

 

「それらの過程を踏まえるとやろうとしていることも予想がつく。そうだな……こういうのが、一番嫌だろう? デオキシス、“じこさいせい”」

「ッ、回復技持ってんのかよ……」

 

 吹き飛ばされたデオキシスだったが、自己再生(じこさいせい)を始めると、傷が半分以上回復していく。

 

 こうなってはまずい。要するに、俺の狙っていた展開は短期決戦だったのだ。エネルギーに限界があると分かった瞬間、長期戦になってはすでに手傷を負っていたこちらが不利。それを見越して、できる限り技をかわし合う流れを避けたかった。最初にバリアーで力を誇示したのも、相手に力戦しかないと思わせるための小賢しい一手だったのだが……今やそれも全てがパアだ。

 

()()()()()()()()、つづけてサイコキネシスだ」

「なら次だ、シャドーボール!」

 

 相手が戦略を切り替えるなら、こちらも手を打たなければならない。体力のことを考えると長丁場には出来ない。そうなると取れる選択肢は限られていくが、性能ではこちらが勝っているのなら物量で押し切ればいいはずだ。

 

 しかし厄介なのがこのフォルムチェンジ。純粋な力で劣るデオキシス側が、こうもまともにミュウツーと戦えてるのはこれが原因だ。トレーナーとしての思慮を含めて、俺はサカキに及ばない。フォルムチェンジの使い方やその他の要因諸々が釣り合って、互角の戦いに見えているのだ。

 

「甘い。照準も定まっていないシャドーボールなど、かわすことは容易い」

「なら量を増やせばいいだろ! ミュウツー、今の十倍のシャドーボールだ!」

 

 質で劣るのならば量で勝る。一つのシャドーボールを何重にも分解して細分化する。大量に量産されたシャドーボールは機関銃の如く、デオキシスに向けて撃ち放たれる。

 

 空を駆け抜けるデオキシスだったが、量が量だ。追尾していくシャドーボールの先端が、とうとうデオキシスを捉え始める。

 

「掻き消せ、サイコブーストだ」

 

 すると、空中で身体を反転して一閃、胸から極大の光線が発射する。サイコブーストの威力で小型のシャドーボールはあらかた打ち消されてしまう。

 

「さて……お前のエネルギー残量はいくらかな? それが完全に打ち止めになるまで続けさせてもらおう、目算を見誤った例はすでに見ているのでな」

「………ッ」

 

 次だ、次の策を練らなければ。質でも量でもコイツは対応してくる、ならばコイツを出し抜く作戦が必要だ。テレポートしてサイコブレイクを当てにいくか? いや、デオキシスのスピードじゃテレポートしてからでも回避できる。ならばシャドーボールを陽動に……って、それじゃ安直すぎる、気づかれて終わりだ。

 

 焦りが視界を狭める。

 

 サカキは一体何を考えている? 俺はその思考に飲まれているのか? それはいつから?

 

 まずい、冷静さを欠いている。時間が経過すればするだけ不利になるのはこちらだ、エネルギーがなくなればメガシンカも解けてしまう。そうなれば本当に勝ち目は無くなってしまう。どうする、どうすれば―――

 

 

『……………』

 

 

 ………は? 考えて戦うな……? バカが考えたところで意味ない?

 …………まあ、一理ある。このままサカキと頭脳勝負したところで敵わないのは百も承知だ。

 

 一度、落ち着こう。状況としては短期決戦が失敗、デオキシスが自己再生(じこさいせい)を持っていたことで流れはだんだんと悪い方向へと動き始めている。このまま長期戦になってしまえば勝ち目は薄い。

 

『……………』

 

 なぜ相手のルールで戦おうとする、って? それはどういう…………

 ……いや、考えてみれば確かにそうだ。俺はどうしてサカキの作り上げた長期戦というレールの上を走ろうとしている? それはアイツが有利になるだけの一方的な状況ではないか。

 

 ではそのレールから外れるためにはどうしたらいいのか、それにはあの回復をどうにかせねばならない。

 

『………………』

 

 ッ!? それだったら回復も関係ないけど……いくら何でも脳筋すぎないか? それに、それだけの力が残されてるかどうか……

 

『………………』

 

 ……ああ、お前が出来るって言うんならそうなんだろうな。分かった、やろう。

 

 そうだ、俺は最期まで信じると決めたんだ。そうと決まれば一瞬でも躊躇う余地なんてない、全身全霊をもって出し尽くすだけだ。

 

「……作戦会議は終わったか?」

「おかげでな。もう迷わない、まどろっこしい戦い方ももう十分だ。これで決めてやる」

 

 コイツとの問答も、もはや無意味だ。どんな策を練ってこようと、どんな罠を仕掛けてこようと、やることはたった一つ。それに合わせて、俺もミュウツーも共に動き出す。

 

「…………あ? 何を……している?」

 

 俺たちのやろうとしていることを見て、サカキの口から聞いたことのないような困惑の声が上がる。今まで取り繕っていた仮面が、たった一時でも外れた瞬間だった。

 

「見て分かんねえのか? 何の変哲もないただのシャドーボールだよ。ちょ〜っとばかし大きいけどな」

 

 そう、シャドーボール。

 ただし、今度は量ではない、ちゃんと質重視のものだ。

 

 ミュウツーは片腕を大きく天へと向けると、たった一つのシャドーボールを形成し始める。その大きさは通常のものに留まらず、二倍、三倍とどんどん膨れ上がっていく。

 

 しかし、それを作り上げている間ミュウツーは本当に無防備の状態だ。バリアーでの防御も、テレポートの回避も行えない。攻撃が来れば、真っ直ぐに直撃してしまうような体制だ。

 

「………バカなのか? そんな無謀な真似を……」

「ならさっさとこいよ。お前らの攻撃なんて邪魔にすらならないからな」

「………ふ、クク……バカもここまで来るとなんとやら。そんなことをされては戦略だ策略だやっていた俺こそバカみたいではないか。……だが、面白い! いいだろう、乗ってやる。そこまで言うのなら耐えて見せろ!」

 

 乗ってきやがったコイツ……でも、これまでのサカキの行動を振り返ってみれば別におかしくはない。確かに、サカキは自分の目標を叶えるためだったら手段、過程は問わない。非情な手ですら平気で使うような男だ。だが、その目標自体はどうだ?

 

 その目標とは、世界征服。何ともアバウトなのだろう。経済を牛耳るとか、生物兵器を量産するとか、そういうものじゃない。ただ純粋に、子供が夢見るようなことを現実に思い描いているのだ。

 

 一見、理知的な印象の裏には、少年気質が隠れている。それ考えるなら、この勝負に乗ってくるというのも納得だ。

 

 

「デオキシス、()()()()()()()()、そしてサイコブーストだ!」

 

 

 そうして、無抵抗のミュウツーへと最大火力のサイコブーストが撃ち込まれる。通常状態であれば一撃で瀕死になるような技だったが、今のミュウツーなら……!

 

『…………ッ』

 

 苦悶の表情を浮かべるミュウツー、だが、その姿勢は崩さない。

 

「まだだ、サイコキネシス」

 

 次なる攻撃は、サイコキネシスで砕いた瓦礫、それが全速力でミュウツーへと衝突する。物理耐久には優れていないミュウツーには堪える一撃となっただろう。

 

 だが、まだ倒れない。

 

 

「サイコブースト」

 

 堪える。

 

「……サイコキネシス」

 

 怺える。

 

「……ッ、サイコブースト!!」

 

 ―――耐える。

 

「……なぜだ。なぜ、そこまで――――!!!」

 

『………………』

 

 ミュウツーは、一体何のために持ち堪えたのか。どうしてここまで執着していられるのか。その鬼気迫る目は、どこから来ているのだろうか。

 

 メガシンカを経てエネルギーのやり取りをしていると、どうやら互いに念が伝わっていくようだ。ミュウツーの放つ念は、遥か遠い憎しみだった。そう、理由は単純に復讐なのだ。自らを生み出した親に対しての恨みをぶつけている――

 

 ………いいや、それだけではないはずだ。

 

 黒い感情の中にも、一寸ほどでも光が差し込んでいる。きっとこれは何かを守りたいという、正の感情だ。正しい行いをしたいという、善の感情だ。

 

 そうだ。どんな過去を持つ者だろうと……不幸に生きなければいけない理由なんてない。いつまでも暗いままでいる必要はない。それはミュウツーにも、俺にも、ヒガナにも、当てはまる。

 

 だから……だから、ここで決着をつけなければいけないんだ。過去との決別するために、未来を手に入れるために―――!!!

 

「ッ!! デオキシス、かわ―――――」

 

「ミュウツー、シャドーボール」

 

 

 太陽と見間違うほどの巨弾が、天より降り注ぐ。

 

「………かわせ、だと? クク……ハハハ!! ありえないだろう! それだけは!! 悪いなデオキシス、最期まで付き合ってもらうぞ!!!」

 

サ バ ノ……ミ ソ ニ!!」

 

 デオキシスが抵抗するが、それは無駄に等しい行為だ。圧倒的質量の前では、誰であろうと無力。漆黒の球体はブラックホールのごとく全てを飲み込んでいく。

 

 正面からこれを受け止めるなど無謀。だが、この相手に限ってはそうとは言えなくもない。

 

「全てだ! 後はどうなってもいい!! この一瞬に、全てを出しきれ!!」

 

 今にもシャドーボールが体まで侵食しかかっているデオキシスに向かって、サカキは吠える。

 

 

「は か い こ う せ ん !!!」

 

 

 一瞬、デオキシスから最大熱量を確認する。膨張していくエネルギーは悉くを貫通する光線となって、シャドーボールを押し返すように放たれる。すると、僅かだがシャドーボールの勢いが弱まる。

 

『…………!』

 

「ああ、分かってる。こっちも全部出しきるぞ」

 

 これが本当に最後の勝負だ、出し惜しみなんてしない。全力を、たったこの一瞬に。

 

 

「サイコブレイクッッ!!!」

 

 

 正真正銘、最後の一撃。それは、一切の反撃を許さない。

 そして、互いの技が激突したその時、サカキは何かを悟ったように笑みを浮かべる。

 

「………流石、といったところだな」

 

 斯くして、閃光と共に勝敗が決まった瞬間だった。

 

 

 

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