新作です。
金色の光が高く高く昇っていく。
全ての決着をつける為、魔界の皆をこの地球の人々を滅ぼさせない為、ガッシュと清麿は心繋いだ友の力を借りて宇宙へと飛ぶ。
もう大丈夫だ。
見上げる俺に不安はない。
百人の魔物子供達の誰にもできなかった事をガッシュは出来た。
魔界に住む魔物を一つにしたアイツならば、滅びの意思なんかに負けはしない。
だから俺はそんなわかりきった勝利から目を逸らし、この魔界の王を決める戦いを共に戦い抜いた相棒へと顔を向ける。
既に透けてる身体を、手に半ば焼けてる本を持ちながら。
「あと・・・・・・少しだったのにな」
『そうだね。順位にしては四番目かな』
悔しさと申し訳なさから顔を歪める俺に反して、相棒である魔物は悔いはないと言わんばかりに穏やかな表情だ。
「すまねえ」
自然と謝罪の言葉が口に出ていた。
近くでパートナーであるシェリーに抱えられたブラゴはまだ消えていない。
けれど俺は本を破損し、相棒を残すことができなかった。
『別にいいさ。
王になるのがガッシュかブラゴ、そのどちらであってもワタシは納得できる。
だから、ここでリタイアでも良いと思えるんだ』
むしろワタシが王になる方が納得できないね。と肩を竦めながら言う。
【炎の御子エンマ】。
【雷帝ゼオン】、【竜族の神童アシュロン】【黒の狂児ブラゴ】に並ぶ優勝候補の一角。
ヴァルセーレの担い手アースと同様に魔界の王族に仕える一族の出身。
ゆえに最強の力を持ちつつも何処か一歩ひいてこの戦いに臨んでいたように思える。
「そうか」
ただ。
魔界を良くしたい。
魔界を守りたい。
そんな思いで戦っていた。
そう、
まるで俺が憧れて、双子の兄と幼馴染への劣等感から諦めた存在。
ヒーローのように。
だから俺はここまで戦ってきたんだ。
コイツを王にすることで、俺もナニカになれるんじゃないかと思って。
でも、もうおしまい。
俺は相棒を王に出来ず、何者にも成れなかった。
『ヒーローだったよ』
俯く俺に言葉が贈られる。
最後の言葉が。
『ワタシの手を取って共に戦い抜いてくれた君は、誰にも、オールマイトとやらにも劣らぬ最高のヒーローだった』
ひどいだろソレは。
あんまりにもひどい言葉だった。
「俺はお前を王に出来なかったのに、お前が俺を成りたかったモノと呼ぶなんて、あんまりじゃねえかよ!!」
貰ったものに比べてこちらは何も返すことができていない。
あまりにも不平等すぎる。
あまりにも貰い過ぎている。
『そんなことないさ。
ワタシだって君が居なければこの世界で何もできなかったからね』
なにせ貴族生まれの箱入りなんだから、とおどけたように言う。
「要領いいお前ならなんとでもなりそうだがな」
ケッと拗ねたように俺は吐き捨てる。
それは出会ってから幾度となくした、いつものやり取りだ。
最後となるいつものやり取りだ。
いよいよ本は端まで焼けてきた。
出会ったその日からわかりきっていた別れの時。
いつのまにか、その時が訪れなければと願っていた瞬間。
アポロも、ナゾナゾ博士も、トガも、リィエンも、アリシエも、トウヤも、ジードも、グスタフも、サウザーも、シスターエルも、ニコルも、デュフォーも、エリーも、リーンも、ルーパーも、フォルゴレも、ミールも、エリも、めぐみも、サンビームも経験した別れ。
それが遂に俺の番が来たんだ。
『またね、マイヒーロー』
「またな、相棒」
だから俺は誓った。
最後にお互い突き出した拳を合わせて誓った。
もう劣等感なんかに潰されない。
夢を投げ出さず、己と向き合い、
ヒーローに成るんだと。
再会した時に、その姿を、ヒーローとなった姿を相棒に見せてやる為に。
同時に大きな輝きがこの星を照らす。
ガッシュと清麿は勝利し、地球は、魔界は救われた。皆が恐れた終末は阻止され、明日は続いていく。
だから俺は、
誓いを胸に、夢へと歩き出す。
緑谷 成二。
中学二年生。
パートナー エンマ。
ヒーロー志望。
補足説明。
この作品は僕のヒーローアカデミアと金色のガッシュのクロスオーバーとなります。
世界観としては、僕のヒーローアカデミア世界にて魔界の王を決める戦いがあった感じです。
なので金色のガッシュ本編の戦いにはパートナーの個性による援護もあり難易度が上がっています。またヒーローやヴィランによる介入もありました。
最終的に、本の力で魔物のパートナーとそれに関わったごく一部の者以外は記憶を改竄され無かったことにされています。
ただ一部の無かったことにするにはあまりにも厄介な事例(カイルとレインなど)もあります。その場合は置き換わったりと処置がされています。
また、僕のヒーローアカデミア原作ヴィランが金色のガッシュに参加し、原作とは異なる人生を歩んでいたりもします。
それらは本編で登場するたびに明かす予定です。
この作品は、金色のガッシュ本編終了後の一年後に雄英高校受験から始まります。
思いつき作品ですが、どうかお楽しみください。
なお次話からとある人物を登場予定です。