金色のガッシュを終えた俺のヒーローアカデミア   作:規律式足

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 夜嵐イナサ君強すぎ問題。
 原作でも強いのに、この作品では戦闘経験がマシマシマシです。
 


第九話 事件は会議室でなく現場で起きている、つまりどちらにしろ俺のいない場所。

 

 雄英高校にマスコミが侵入し昼休みが台無しになってから数日がたった。

 雄英高校にマスコミが侵入。

 ただそれだけの、本来ならありえない出来事。

 それが俺には何かの予兆のように感じた。

 またファウードの時のようなことが起きるのだろうか?

 嫌な予感が肌をチリチリと刺激していた。

  

 

「ではテキストを開け」

 

 ヒーロー基礎学。

 ヒーローの素地をつくる為、様々な訓練を行う科目だが、その内容は担当するプロヒーローである教師に一任される。

 A組では初日から戦闘訓練であったが、B組のブラドキング先生は座学を重視する。

 それは筆記テストを重要視しているからではない。体力テストに個性を使用した個性把握テストを見た上で、俺達B組には法律などの基礎知識を学ぶべきだと判断したのだ。

 はっきり言って、一年B組の生徒の個性は極端に効果範囲の広いモノがチラホラいる。

 鉄哲君の「スティール」や拳藤さんの「大拳」のように自分にしか影響のない個性も多い。

 けどそんな彼らの個性制御力・操作性能は優れていて、すぐに伸ばせるものでもなく、急いで伸ばす必要もない。

 だから先ずは座学にて、ヒーロー活動における知識を叩き込むのだと告げられた。

 如何にヒーローであっても、否、だからこそ許されている力の範囲というものがある。

 ヒーロー免許さえあれば公の場にて個性使用は認められる。

 だからといって、人命を救う為とはいえ、ヒーロー活動だからといって、超法規的に全てが許されるわけではない。

 例えばヴィランを捕らえる為に破壊した建造物の弁済費用は、捜査の為に侵入した時はどこまで認められるか、ヴィランにはどこまでダメージを与えてよいのか、挑発として許される発言、など。

 ヒーローを夢見る子供たちは知るよしもないが、法律や条例で事細かに規定されている。

 もっとも、人命と被害阻止が最優先ではあるので結果で許される、黙らせることは可能ではあるが、それでも後で書類を書いて提出する必要はあるのだ。

 ブラドキング先生は、近い内に雄英体育祭があり、その後でヒーロー事務所への職場体験があるという。

 ゆえに体育祭対策として基礎体力向上の体力トレーニング、職場体験時にヒーロー達から評価を得る為に座学にて知識取得、をするという。

 個性把握テストで優秀な結果だからこそ、個性伸ばしはそれらを終えた後で本格的に行うそうだ。

 ブラドキング先生。

 その方針は先を見据えた長期的な向上であるようだ。

 

 雄英高校で勉学に励み、ヒーローになるために成長する日常を過ごし、これから先もこんな日々が続いていくのだと思っていた。

 だが、

 そんな夢のような淡い願いはあっさりと崩れさることになる。

 

『雄英高校内にヴィラン侵入、そしてヒーロー基礎学を受講していたA組生徒達を襲撃』。

 

 その一報は事件収束後に伝えられた。

 本来は生徒にその日の内に告げられる情報ではない。だが、一部の重傷を負った被害者の兄弟である俺には兄の状態と事件の詳細を教えられたのだ。

 

 

 

「兄さんっ!!」

 

 その一報を知り、スペースヒーロー・「13号」がつくった演習場『ウソの災害や事故ルーム』へと到着した時、そこには多くの警官と連行されるヴィラン集団、そして怪我こそしてないが戦闘後らしく汚れてしまったA組生徒達と担架で運ばれる手足が負傷し気絶した兄さんの姿があった。

 

「こんなになるまで無茶するなんて」

 

 傷を負いボロボロになるまで戦うのは、あの戦いではごく普通のことだった。

 自分がそうなることに慣れて、そんな状態の人も見慣れているけど、いざ身内がそうなると堪えるものがある。

 ああ、祖父母が戦いに反対していたわけだ。

 自分達の手の届かぬ所で傷ついた身内を見るのはこんなにも辛いことなんだ。

 ましてやこれから戦うという気構えと覚悟のある戦友達でなく、平穏な日常を過ごす、こんなことになるとは思わなかった人が負傷したのだ。

 心に走る衝撃は尋常でない。

 

「成二」

 

 担架に横たわる意識なき兄を見て涙を浮かべる俺に、コスチュームを破損しボロボロな姿のイナサが声をかけてきた。

 

「イナサ、いやA組の皆さんも無事で良かった」

  

 そんな彼らに俺は強がりながら笑いかける。

 兄が重傷だからと彼らを責めるつもりはない。彼ら彼女らもまた全力で抗い、切り抜けたのだから。

 この負傷にしても、兄の性格、生来のヒーロー精神ゆえになってしまったのだと双子の弟である俺にはわかるのだ。

 

「緑谷出久さんの怪我ですが・・・・・・」

 

「気にしないで、君達のせいではないだろ?

 こうまでしてしまうのが兄さんなんだから。

 ただ兄さんにはこんな状態ではなく元気な時に話しかけに来れば良かった、とは思うかな」

 

 俺のその言葉に周りのA組生徒。特に葡萄のような頭の小柄な男子とカエルのような女子が気まずそうに顔を伏せる。

 

「あー、その俺が言いたいっのはスね」

 

「いいよ夜嵐、オイラが言う」

 

 酷く躊躇う様子のイナサが何かを俺に伝えようとするが、葡萄頭の男子が遮り代わりに口を開く。

 

「緑谷弟」

 

「あ、成二です。緑谷成二」

 

「お前の兄ちゃんの怪我なんだがな」

 

 ゴクリと周りのA組生徒達も緊張し息を呑むような音がした。

 

「確かにオイラ達や先生方を助ける為に出来た負傷なんだが・・・・・・・・・」

 

「? なんだが?」

 

「ヴィランに負わされた物は一つもなく、全部個性の反動ダメージなんだ」 

 

 彼は言いにくそうに、けれどはっきりと告げた。

 その瞬間、僅かではあるがピシリと空気が凍りついたような感覚が走った。

 それだけの衝撃がその言葉にあった。

 

「個性の反動ダメージだけで一番の負傷者になるってどんな個性っ?!!」

 

 それを聞いた俺はその驚きの情報、衝撃の事実に思わず叫び声を上げてしまう。

 確かに自分の個性も火傷有りきだけど、使わなければ負わない傷であり、発動だけで身体が壊れるものではないのだ。

 また火傷にしても、耐えられる温度は常人のソレとは比べものにならない。

 名称も知らぬ兄さんの個性、凄まじい強化の身体能力向上個性らしいが、あまりにもぶっ壊れた性能すぎる。

 

「B組の緑谷弟か。身内のお前が知らないなら俺達が知るわけないだろう」

 

 A組担任であるイレイザーヘッドは警官への説明を切り上げて、負傷した右腕を包帯で吊りながらそう告げた。

 担任にしてヒーローである彼は前にでて戦い、そして負傷したのだろう。

 その横には汚れてはいるが無傷の宇宙服のようなコスチュームを着たヒーロー、おそらくは13号がいる。

 

「もっとも、緑谷兄にそこまでさせてしまったのは夜嵐のサポートに助けられていた不甲斐ない俺達教師のせいだがな」

 

 無事な左腕でガリガリと頭を掻きながらイレイザーヘッドは言う。

 

「いや俺は大したことはしてないッスよ」

 

 サポートをしたとイレイザーヘッドに言われたイナサがそう零すが、その事は否定されることになる。

 

「お前が風で俺達を覆いガードしてくれなかったらあの『崩壊』で手足が壊されていたよ。ワープゲートに呑まれそうになった13号や生徒達も何人も引っ張りあげてくれたしな」

 

 夜嵐イナサの個性『風』。

 自身から放つ風をイナサは自在に操ることができる。

 

「挙げ句の果てに俺の右腕をへし折った超パワーの脳無とかいうヴィランをオールマイトが駆けつけるまで空中連撃で抑えてくれた。あれがなければ何人か犠牲になっていたかもしれん」

 

 守るべき対象である生徒が前にでて戦う。

 それは教師であり、ヒーローであり、大人であるイレイザーヘッドには歯痒くて辛い気持ちになったのだろう。

 褒めてはいたが、自責もあるのか苦々しい表情だ。

 褒められたイナサは照れくさそうに頬を掻く。

 

「確かに厄介なヴィランでしたけど、『ウンコティンティン二世』に比べたら対したことなかったスよ」

 

(((((((((((((((((((ウンコティンティン二世???)))))))))))))))))))

 

 うん。

 イナサにとっては一番思い入れある敵だからつい言っちゃうのはわかるが、そのとんでも過ぎる名称を聞いたA組クラスメイト達が疑問符を浮かべているからね。

 いやイナサにとって最後の戦いだからつい言っちゃうのはわかるけど。

 ファウード創り出した魔物の一族は何を考えてそんな名前にしたんだろう?

 

「すまなかった緑谷弟、お前の兄の負傷は俺達教師の責任だ」

 

 説明後にイレイザーヘッドは13号と揃って頭を下げる。この後に母にも正式に謝罪に行くのだろうなとなんとなく予感した。

 それぐらい誠意の籠もった謝罪だったからだ。

 

「その謝罪を受け取ります。

 ですが、皆さんが取り返しのつかない傷を負わなくて本当に良かった」

 

 イレイザーヘッドと兄とオールマイトの負傷はリカバリーガールの個性で即日治る程度のものらしい。

 雄英高校の授業中に襲撃を受けた事実はあれど、一生残る傷がつかなかったことに俺は安堵した。

 

 雄英高校USJ襲撃事件。

 これが後に起こる大事件の始まり。 

 その事実はまだ誰も知らない(某デュフォーさんは怪しいが)。

 

 





 補足・説明。

 ブラドキング先生によるヒーロー基礎学方針。
 個性把握テストから、肉体に関わる個性の生徒は練度が高く急いで鍛える必要はなく、効果範囲の広い個性の生徒は集中して鍛える必要があると判断。
 どちらも体育祭と職場体験までには成果が直結しないので、基礎体力向上のトレーニングと基礎知識を得る為の座学へ。
 個性伸ばしは林間合宿で行う予定。

 ヴィラン連合襲撃。
 イナサ君が大活躍。
 スマホを崩壊させた死柄木弔(当作品展開)から教師達に風を纏わせ、ワープホールに呑まれそうな生徒は引き寄せ、イレイザーヘッドの右腕を砕いた脳無を空中に打ち上げタイマンバトルした。
 緑谷出久君は水害エリアでの指折りとオールマイト到着後の飛び出しで個性反動ダメージ。
 オールマイトも原作よりは負担は少なめ。

 ウンコティンティン二世。
 ファウードの体内魔物、イナサの魔界の王を決める戦いで最後の相手。
 パートナーと共に殿を務めて相討ちにて決着。

 緑谷成二。
 襲撃事件と兄の負傷という情報にすぐさま駆けつけた。早すぎる連絡はイレイザーヘッドが緑谷出久に個性制御できないと身内を泣かせることを教えたかったから(気絶してたが)。
 心配する成二に、A組生徒達は「それ反動ダメージです」とはとても伝えるのを躊躇わせた(助けられた峰田君が代表して言ったが)。
 
 オールマイト。
「どんな個性!?」という継承者弟の叫びにビクリと反応し、心の内で謝罪していた。
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