休憩できない昼休憩スタート。
なおトウヤさんとの関係ですが、こんがり焼かれましたが悪いものではありません。
敗北後にはゼオンとも戦い、クリア編では身体を張ってエリちゃんを守ったりしてくれてました。
関係的には、口の悪いからかってくる年長者?みたい感じです。
今話は原作キャラアンチ要素強めです。
閲覧注意でお願いします。
夜嵐イナサは緑谷出久と共に、轟焦凍に話があると声をかけられ人通りのない通路にて対面していた。
「あの・・・・・・話って・・・何?早くしないと食堂すごいこみそうだし」
緑谷出久の遠慮がちな言葉に轟焦凍はギロっと睨む。
(嫌な目っス。あの時のエンデヴァーを思い出して気分が悪くなる)
その冷たい目が嫌いな夜嵐イナサは不快となり立ち去ろうかとすら思うが、接触してくることという今までなかった出来事にもしかしたら変われるのではないかと淡い期待を抱いていた。
入学してからそれなりに日数は立った。
轟焦凍が他者と関わりを持ち出したのはこの体育祭が開始してからなのだ。
「これは緑谷に対してなんだが、お前はオールマイトの隠し子かなんかか?」
「「!?」」
轟焦凍の言葉、発想に二人は目を見開いて驚く。
「違うよそれは・・・・・・って言ってももし本当だったら違うと言うに決まってるから納得しないと思うけどとにかくそんなんじゃなくて・・・・・・」
「似た個性持ちだから血縁。ってのは差別2歩手前な発言スよ。聞いてて気分良く無いっスね」
何やら慌てて否定しだす緑谷出久と冷めた態度で不快だと言わんばかりの夜嵐イナサ。
同じような個性だから血縁関係がある、というのはこの個性社会ではよくあるイジりのネタだ。
実際に親から個性を受け継ぐパターンは多いが、最初期の世代はそれに当てはまらない上、外見のみ似ていて新たな個性が発現するのも珍しくない。
親と似てない個性だから捨て子やら貰い子、などは割と誰でも言われたことがあるだろう。
「夜嵐は気分を悪くしてすまないな。
でも緑谷「そんなんじゃない」って言い方は少なくとも何かしら言えない繋がりがあるってことだな」
「!?」
(成二からは聞いてないスけど、緑谷さんはオールマイトと関係が)
緑谷成二から緑谷出久についての話は、実はけっこうされていたりする。
如何にヒーローらしく行動するのか。身体が勝手に動いてしまう性格なんだ、オールマイトやヒーローの知識が詳しすぎて怖い、などと。
ただその中に、緑谷出久がオールマイトと個人的な付き合いがあることは入っていない。
同じA組だから緑谷出久とオールマイトが一緒にお弁当したり仮眠室で密会したり(たまたま目撃した口田君が震えながらクラスで話した)となんとなく親しいのはわかるが、それは緑谷成二の知らない中学時代からの付き合いなのだろう。
「俺の親父は『エンデヴァー』知ってるだろ?万年ナンバー2のヒーローだ。緑谷がナンバー1の何かを持ってるなら俺は・・・・・・尚更勝たなきゃいけねえ」
そこから轟焦凍が語った話は酷く胸糞悪いモノであった。
フレイムヒーロー・エンデヴァー。
上昇志向の強い彼は、雄英高校を卒業後に破竹の勢いで名を馳せる。
戦闘ではヴィラン相手に敗北はなく、己の力を万全に活かす為に組織を作り上げ、1代にして国内最大手ヒーロー事務所を設立。
優秀なサイドキックを何人も育てあげ、事件解決数史上最多の記録まで成し遂げた。
だがそこまでしてなお生ける伝説、平和の象徴、ナンバー1ヒーロー・オールマイトは超えられなかった。
超えられないナニカをオールマイトは持っていたからだ。
しかし諦めきれないエンデヴァーは、ナンバー1の座を諦めることのできないエンデヴァーは、次の策にでた。倫理感の欠落した最悪の手段を実行した。
自分では無理ならば、自分以上の、オールマイトを超えられる存在を創り出そうとした。
エンデヴァーが自身の個性に欠陥があることを自覚していた点が悪く作用した。オールマイトに勝てない理由はこの欠陥のせいだと思い込んだ。
エンデヴァーに人をサイドキックを育て上げた実績があることが悪く反映された。自分ならば誰よりも強く育てられると自信が出来ていた。
ゆえに、自身の個性の欠陥を埋められる女性を配偶者として選び、最高の個性が生まれるまで子を為した。
欠陥無き炎を操る我が子を、自ら鍛え育ててオールマイトを超えさせる。
それがエンデヴァーの手段だ。
そこで生まれてしまう悲劇に目を逸らして、そんな始まりからできた家族と言えない関係で、どんな思いで妻と子が生きるのかを考えもしないで。
「記憶の中の母はいつも泣いていた「お前の左側は醜い」と母は俺に煮え湯を浴びせた」
顔の火傷跡を抑えながら轟焦凍は言う。
「ざっと話したが、俺がお前達につっかかんのは見返す為だ。クソ親父の個性なんざなくたって、いや・・・・・・使わずに『一番になる』ことで奴を完全否定する」
それが彼の理由。
轟焦凍が雄英高校に通う理由であり、体育祭での目的。
ヒーローになりたい、からではない。
エンデヴァーを、憎き父親を否定したいから彼はこの雄英高校、父親の母校へと通っていた。
緑谷出久、そして通路の曲がり角で聞いてしまった爆豪勝己はただ圧倒される。
家族に恵まれて育った、生まれた時から虐待同然の訓練など受けたことはない、悲劇や苦労や苦悩と無縁ではなかったけど、そのあまりに違う世界にビビってしまっていた。
「夜嵐と緑谷成二は強え、けど負けねえ。
俺が一番になるにはお前ら二人はデカい壁だと感じたから伝えた」
そんな轟焦凍をして意識せざるをえないのが、夜嵐イナサと緑谷成二だ。
雄英高校に入学してから大したことない、所詮は碌な訓練も受けたことのない連中、と思う中で目についた実力者達。
だからエンデヴァーが意識するオールマイトとは無縁だとしても宣戦布告したのだ。
その話を聞いて、緑谷出久が轟焦凍はコミックの主人公のような背景があると思う中、夜嵐イナサは、
「ざけんな」
ただキレていた。
「あ?」
「俺は熱いもんが好きだ、誰よりも熱いもんを求めて雄英高校に来た、日本一熱い学生生活の為にこうして頑張っている、だからな」
分かり合えるかも知れないと期待していた夜嵐イナサは裏切られたショックで、轟焦凍の自分らへの認識を知りブチギレていた。
「エンデヴァーが嫌いだ、大嫌いだ。
ファンサービスをしなかったからじゃない、邪魔だと袖にされたからじゃない、凍りついたような冷たい、遥か先を憎むような眼差しだったから大嫌いなんだ」
「珍しくもないクソ親父アンチかよ、くだらねえ」
ナンバー2ヒーロー・エンデヴァーのアンチは多い。いや、知名度の高いヒーローには支持するファンだけではなくアンチする人々も生まれてしまう。
イタリアの英雄パルコ・フォルゴレが本業がコメディアンなのにヒーロー活動(結果としてなっただけ)することに不満を抱かれるように、ヒーローを悪しざまに批判する存在は一定数いるのだ。
特にエンデヴァーは、ファンサービスをしないというわかりやすい批判箇所がある。
ナンバー2であるがゆえに、ファンサービスに余念のないオールマイトと比べられやすい点だ(ファンサービスをしたらしたでエンデヴァーガチ勢は血涙するから面倒な点でもあるが)。
「屑の道具にならねえって言ったお前も、学友である俺達を道具にしか見てねえだろ!!」
「「「!?」」」
「おんなじだよ、お前もエンデヴァーも」
「テメェ!!」
友達になりたかった。
友達になれば、嫌だと感じたあの目も気にならなくなると期待していた。
でも実際は、
轟焦凍は、自分達を共に学ぶ学友とも、競い合うライバルとも、共に歩む仲間とも認識していなかった。
「復讐なら他所でやれ。
此処はヒーローになる為の学び舎で、復讐の舞台じゃねえ。俺達はお前の力の証明する都合の良い駒じゃねえっ!!」
轟焦凍にそんな認識はないのかもしれない。そこまで考えていないのかもしれない。
だが無意識の内にクラスメイトを対等な存在であるとは思ってはいないのだろう。自分とは違う生き物だと壁があるのは間違いない。
「「!!」」
「左だけ使おうが、右を使わなかろうが好きにしな。俺と成二は、ヒーローになる気のねえヤツに負けたりはしないっスよ」
そこで最終種目参加者全員と言わないのは、夜嵐イナサが轟焦凍の実力を正確に見極めてるからだ。
轟焦凍の実力は本物。
彼に並大抵の者では相手にならないのは事実である。
「成二には俺から伝えるっス、じゃあな」
話しは終わりだと夜嵐イナサはその場から去っていく。彼自身がもう耐えられなくなっていた。これ以上は嫌な存在に自分もなってしまいそうだと感じたのだ。
夜嵐イナサの怒りと言葉。
それは轟焦凍の凍てついた心にも響くものはあった、だが決定打とはならない。
魂の叫びとは、言葉だけではなく全身全霊の拳と共にぶつけ合わねば伝わらない。
夜嵐イナサが去った後、轟焦凍へと緑谷出久も言葉を紡ぐ。
ナチュラルボーンヒーローたる彼は、無意識ながらも伝えなければならないと理解していた。
「僕も君に勝つ!」
緑谷出久の宣戦布告。
轟焦凍の過去と痛みに呑まれそうになってしまったが、彼には彼で自分の歩みには救けてくれた人達の姿があることを知っているのだから。
休憩できない昼休憩。
轟焦凍タイム終了。
続いて、トウヤタイム開始。
補足・説明。
轟焦凍君による昼休憩時の決意表明です。
内心を誰かに話すだけ雄英高校に来て成長していますが、まだ色々拗れています。
原作のように緑谷出久君に気圧されなくオールマイトと重ねてはいませんが、つい話してしまいました。
ブチギレ夜嵐。
轟焦凍君の発言にキレました。
友人になるかならないか以前でしたからね。
轟焦凍アンチで書いててしんどかったです。
でも体育祭終了したら変わるので我慢ですね。
予定ではさらりと流して、トウヤと食事予定が長くなりましたので分割します。
多分同じくらいの文字数になるので。