金色のガッシュを終えた俺のヒーローアカデミア   作:規律式足

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 休憩にならない休憩パート2。
 
 オリジナル設定が色々あります。



第十六話 昼休憩、トウヤタイム。

 

 何か良くない感じに熱くなってるイナサと合流してトウヤさんとの待ち合わせの場所に到着。

 久しぶりに会った彼は普段着ている耐火性の高いロングコートではなく似合わぬスーツ姿だった。

 初めて戦った時の姿は全身がツギハギの火傷だらけの魔物もビビるホラーな姿だったけど、ファウードの回復液、壊理ちゃんの個性の効果で今では傷一つない。

 ただ今は金髪に染めてるその髪は本来ならば燃え尽きた炭のように白い色らしい。

 しかしトウヤさん。

 こうして見ると誰かに似ているような容姿だよなあ、誰だっけ?

 

「悪いなわざわざ呼び出してよ」

 

 以前の暴力的で狂気溢れる姿の記憶がある身としてはフレンドリーな今の彼はまだ慣れない。

 千年前の魔物達並、いやそれ以上に憎悪と怒りを溢れさせ、自らの身を焼きながら蒼炎を放つ狂気の存在。

 今でも魔物のパートナーでブッチギリでイカれていたのは彼だったのではと、よく仲間内で会話のネタになるくらいだ。

 そんな彼とそのパートナーとの戦いはまさに激戦で、その蒼炎で俺はこんがり焼かれ、トウヤさんも俺の造形した炎を何発もくらった。

 千年前とは違う個性を用いた魔物のパートナー同士の戦い、その中でも一番激しい戦いだったのではないかと思う。

 魔物のパートナーで一番火力があったのはトウヤさんで、戦闘向きだったのは俺だからな(清麿とデュフォーは攻撃向きではなく、ヴィノーは赤ちゃんだったので)。

 そのファウード体内での戦い以降は何かが吹っ切れたのか協力的になり(ファウードの回復液に全身どっぷり浸かったのが効いたかな?)、パートナーが還ったのに清麿が復活するまでゼオンと時間稼ぎの為に戦い、壊理ちゃんをクリアから守る戦いでは人間ながらに身体を張ってくれたりもした(身体の6割消滅)。

 そんな彼は今では年長者らしく「まあ食えよ」と高級行楽弁当(一人前二万円)を差し出してきた。

 

「どうもっス。しかしトウヤさん、どうやって侵入したんスか?」

 

「警備は五倍に強化されていて、トウヤさんは現役で高名なヴィジランテですよね」

 

 賞金稼ぎ扱いで犯罪者ではない国もあるが、この国においてヴィジランテはヴィランに次ぐ犯罪者。

 外部から雇われたヒーローが巡回しているのになんで来れたのだろうか。

 

「この国のヒーローは自分で倒せて手柄になるヤツしか見つけられねえのさ」

 

 そのとんでもない暴言にすこしばかり思い当たる俺達は何も言い返せない。

 

(兄さんと勝己さんのヘドロヴィラン騒動があったから否定できないな)

 

(ヒーロー育成機関でぶっちゃけたよこの人)

 

 皮肉げに嘲笑うトウヤさんに俺達は何も言えない。オールマイトという超人がいる反面、ヒーローというには俗物的な者が蔓延っているのも事実だからだ。

 

「ま、今回はアポロのとこの職員として潜り込んだんだけどな」

 

 ひらひらと来賓用IDカードを振りながら潜入手段を暴露。世界に名だたる大財閥の権威は雄英高校すらも無視できない。

 

「財閥に雇われたヴィジランテとか、もうヒーローでは?」

 

「企業は警備部門として個性使用を許された私兵を雇ってるとかよく言われるっスよね」

 

 魔物のパートナーの中には、戦いに参加してしまったことで以前の生活が壊れてしまった者も少なからずいる。魔物との記憶を消すことを選んだ者(ガッシュが撃退した大半の連中とか)は『本』が元の生活に戻したが(それでも碌でもないらしい)、記憶を消さなかった者にはアポロとシェリーさんとナゾナゾ博士が支援して対処した。

 ファウードの時の面々とかは敵ではあったけど、ディオガまで至った魔物達はパートナーとも良好な関係を築いていたからだ。

 その中には直接アポロに雇用された者達も少なくはない。あの戦いに参加した実戦経験は凄まじいので実力はあるからだ。ヒーローだけでは手の足りない現状、財閥や企業は様々な形で自衛として戦力を欲しているのだ。

 

「それよりも夜嵐よお、なんでそんなイライラしてんだ?飯前に軽く吐き出しとけ」

 

 イナサの様子に気づいたトウヤさんからの言葉。最初は言い淀んでいたが、意を決して第二種目後の轟君とのやり取りを話し出した。

 

 ざっくり轟家について説明、終了。

 

「とんでもないクソ親父だねエンデヴァー」

 

「エンデヴァーだからな」

 

「いや案外軽い反応っスね」

 

 トウヤさんの反応は少しばかり変だが、俺にはそうなる理由がある。

 

「俺は実家に居づらいから家族と離れて田舎の祖父母と暮らしてたからなあ」

 

 個性とヒーローに由来する家庭での苦しさはわからないでもない。

 ウチは人間の出来た両親ではあったけど、兄さんと勝己さんとの関係はしんどいものがあった。

 轟家の人達と違うのは俺に祖父母の元という逃げ場所があったこと。

 轟君もそのお母さんもそんな場所があればまた違う生き方もあったかもしれないと思うが、轟家の母方の実家はエンデヴァーに資金援助されてるそうだから多分無理だろう。

 

「エンデヴァーか。先代の魔界の王並のクソ親父だね」

 

 エンマから聞いた『雷帝』と謳われたゼオンの日常。それはあの圧倒的な強さを得るのが当然と思えてしまう程の鍛錬を課された日々。

 それを指示したダウワン・ベルはまさしくエンデヴァーと同じクソ親父だ。

 

「おいおい、エンデヴァーがクソ親父なのは間違いないが、ダウワン程ではないだろう」

 

 しかしなぜかトウヤさんが反論。

 

「そうか?魔界の王だから子供を酷い目に合わせたダウワンと、ヒーローという一事業主で酷い目に合わせるエンデヴァーなら、むしろエンデヴァーの方がクソ親父」

 

「いやいや、いくらエンデヴァーでもガキにバオウ(世界を壊しかねない劇物)押し付けて、クソ使用人に預けたりしねえから」

 

「でも、資金援助はしてたじゃん(横領されてたけど)」

 

「エンデヴァーはまともなお手伝いさんを雇いはしてたから」

 

「いや・・・・・・」

 

「だからな・・・・・・」

 

 

「二人とも魔界人界最強クソ親父議論は後にしてくれません?昼休憩が終わるっス」

 

 最強なのか最低なのか。

 先代魔界の王と、現役ナンバー2ヒーロー。戦闘力ならば最強だな。

 

「だったな。

 なら俺の話は弁当を食いながら聞いてくれ」

 

「じゃ遠慮なく、いただきまーす。

 エビフライ、デカっ」

 

「こんな弁当初めてだ、いただきまっス」

 

 モグモグ。

 お高い弁当はご飯からして違う。ブランド米で炊き方からして手間をかけるから、冷めてもしっとりと固くならず味も落ちない。

 

「そんでどんな話があって呼んだっスか?」

 

「しんどい話を聞いた後だから、明るい話だと良いなあ」

 

「飯を食いながらでも大丈夫なら、そんな重たい話ではないっスよね」

 

「ならヴィラン退治の話とか?先日もヒーローを何人も殺害したヴィランをヒーロー夫婦を救った上で撃退したとか」

  

 モグモグ。

 おかずが多く彩り豊かなお高い弁当を雑談しながら、どんな話かなとトウヤさんに問いかけると。

 

「俺はな、実は十年前に焼死したことになってるエンデヴァーの息子なんだ」

 

「「っんぐ」」

 

 そのとんでも情報に俺とイナサは弁当を喉につまらせる。慌ててペットボトルのお茶で流しこみ窒息死は免れた。

 

「エンデヴァーによる個性婚。

 その一番最初に生まれた俺は失敗作だった」

 

 モグモグモグモグモグ。

 だが休憩時間は限られていて、お弁当もてんこ盛りだから箸は動かさないといけない。

 

「個性婚による、個性の掛け合わせ。

 それは理想的な結果を齎す可能性もあるが、失敗する例もまたある。

 焦凍は冷気と熱を合わせ持てたが、俺はエンデヴァー以上の火力は得たが、熱耐性は耐えきれるほどは備わっていなかった」

 

 モグモグモグモグモグ。

 一心不乱に箸を動かす俺とイナサ。

 

「今でこそ火傷は治り、個性もデュフォーのアレ(脳みそズブリ)のおかげで制御できるようになったが、ガキの頃は炎を出す度に火傷したもんさ」

 

 モグモグモグモグ。

 デュフォーさんのアレ(脳みそズブリ)か。魔物だけではなくパートナーの俺達もしてもらったけど、個性の制御と火力が格段に上昇したんだよな。

 

「だからだろうな、次の子を作ったのは。

 失敗作の、ヒーローになる前に焼き尽きてしまうだろう俺ではない子を拵えたのは。

 当時はそうとしか思えなかったんだ」

 

 モグモグモグ。

 当時は、か。

 どうやら今は違うらしい。

 

「今ならば、あの戦いを、世界を、色んな人達を知った今ならば、それが成功作を求めてではなく、俺を止める為の行為かもしれないと思える。

 火傷する姿を見る両親は、失敗作を見る目ではなく、止めてくれと心配する目だったからな」

 

 モグモグ。

 

「だが当時の俺はそう思えなかったんだ。エンデヴァーに見限られたと思ったんだ。ヒーローなんて目指すな、個性を使うな、という言葉はむしろ努力しろと、焼けるのを気にするなと俺を煽る結果になった」

 

 モグ。

 

「焦凍が、成功作が生まれた時にその感情は爆発した。それより俺を見ろと、エンデヴァーに迫ったのさ。

 結果、個性が制御できずに山火事を起こし、俺は生死不明となった」

 

 ・・・・・・・・・。

 

「どこぞの施設で目を覚ました俺はお前らの知るあのツギハギ火傷の姿となっていた。三年間意識不明のまま眠り続けていたそうだ。

 なんとか自宅に帰った俺が見たものはなんだと思う?

 線香のあげられた俺の仏壇と、俺がいくらお願いしてもしてくれなかった訓練をつけて貰っていた末っ子の姿さ」

 

 ・・・・・・・・・。

 

「だから俺は轟燈矢を過去にして荼毘となった。エンデヴァーの大切なもの全て焼き尽くす為にな。

 ま、そのすぐ後に変な野郎、俺のパートナーと出会うなんて思いもしなかったがな。

 その後はお前らも知っての通り、俺はリオウ達と組んでファウードを奪い日本を破壊しようと目論んで失敗したんだ」

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・。

 

「「飯を食いながら聞く話かーーー!!」」

 

 語られたものはトウヤさんの過去。

 先ほどの轟君の話とガッツリ関わる、轟一家のもう一つの物語。

 色々思うところはあるがとりあえず、

 弁当食いながら聞く話じゃねえ!!

 

「なんで食いながら聞けと言ったんスか?」

 

「聞いた後だと食欲失せるだろうから、聞きながらの方がまだマシだろ?(シレッ)」

 

 午後が本番なんだから飯抜きはキツイだろ? 

 コイツ、シレッと抜かしやがる。

 そんなん気遣いにならねえんだよ。

 

「だから、エンデヴァーがブラゴにディオガグラビドンくらって海の藻屑になった時にブチギレたんスね」

 

 日本破壊を見せつけたい存在がその前にリタイアじゃそうもなるか。しかし、

 

「イナサも「エンデヴァーザマァ」って呟いてたろ」

 

 皆で「「「「何してんだブラゴ!!」」」」と叫んでた時に一人だけな。

 

「あの時はつい」

 

「アレは本当にブチギレたぜ。  

 いや所属不明なヘリに攻撃するのは仕方ないが、その反撃でトップヒーローを掻き集めた高速艇が一撃で沈められるとは」

 

「ヒーローで、ディオガ級しかもブラゴの破壊重力を防げるのは、アメリカのスターアンドストライプくらいでは?」

 

 それも出来るか疑わしいけど。

 さらに日本のトップヒーローは肉弾戦か対人戦のさらに捕縛特化が多いから魔物の呪文とは相性最悪だからなあ。

 

「そんでその話をされましたけど、どうするんスか?過去はわかったし、轟との関係はわかったスけど俺達にどうしろと」

 

 確かにそうだ。

 魔界の王を決める戦いの後、監視もつけられていたトウヤさんだが現在は家に帰ることも、復讐を企むこともなくヴィジランテ活動をしている。

 吹っ切れた、というのは伝わったが何をしにきたんだろう?

 

「焦凍と同期だと知ったからな。

 まあアレだ、あのまだ歪んだままの末っ子を叩き潰して欲しいのさ」

 

「叩き潰す?」

 

「復讐・・・・・・ではないスね」

 

「今更俺が実家に帰ろうが何も変わらねえ。

 エンデヴァーは、あのクソ親父は、お袋にしたように俺も遠ざけて必死に目を逸らすだろう。

 それを変えるには、全部ぶっ壊すしかねえのさ」

 

 十年前の長男の死が、よりエンデヴァーを頑なにした。否、それしかないと他の選択肢を奪ってしまったのだ。

 

「焦凍をぶっ倒して変えて、エンデヴァーの意識を変える。それからじゃないと俺が姿を現しても何の意味もねえからな」

 

「それなら」

 

「まあ」

 

 納得できる理屈かな。

 

「実際あのクソ親父。

 仮面を付けただけの息子がヴィジランテとして有名になっても欠片も気が付きもしないからな」

 

 メラリと怒気と共に蒼炎が滾る。

 うん、事情を知ったら今なら、気づけよ!一目瞭然だろ!と叫びたくなるくらいわかりやすいのに、接触どころか調査すらないらしいからなあ。

 でもそれは、敢えて気づかないように心に蓋をしてるだけかもしれない。

 向き合うことを恐れる、心の自衛として。

 

「けど轟君を変えると言ってもどうすれば」

 

「ぶっ飛ばせば良い。

 全力出し切った後に心の籠もった一撃くらうとなんかスッキリするもんだぜ」

 

 実体験だとトウヤさんは笑う。

 

「つまりトウヤさんの時みたく、エンオウ・フレイガをぶちかませと」

 

「俺もお前をこんがり焼いたが、アレを別に許しちゃいねーからな」

 

 それはお互い様だと思う。

 

「全身焼けた二人を担いで回復液に浸したのは俺っスけど」

 

 しかしエンデヴァーはディオガグラビドン。荼毘はエンオウ・フレイガ。

 となれば轟君には何をやるべきか。

 個性で再現する呪文は熱耐性ある存在には熱い馬鹿デカい鈍器にしかならないから効きにくいんだよな。

 でもまあ、

 

「種目にもよるけど、もしかしたら轟君を救うのは俺かイナサではなく兄さんかもしれないぞ?」

 

「は?」

 

「え?」

 

 俺の言葉に二人は呆気にとられたような反応をする。まるで考えてもいない想定だったらしい。

 

「あの人は、オールマイトと同じナチュラルボーンヒーローだから」

 

 轟焦凍が俺達以外に気にした存在、緑谷出久。あの人のヒーローっぷりは劣等感を抱いて潰れてしまうほどに理解している。

 

「あのぱっとしないヤツがか?」

 

「確かに熱い人っスけど、勝負になるんスかねえ」

 

 ヒーローは強さだけじゃない。

 想いを伝えるのはどれくらい本気であるかどうかなのだ。

 そして兄さんには、その本気がある。

 

「ま、そっちは期待できないが、頼んだぞ。

 終わったら焼き肉を奢ってやるから」

 

「ふざけんな回らない寿司だ」

 

「こんな話の後に焼けた肉なんて食いたくないっス」

 

 最後にそんな笑い話をして、トウヤさんとの昼休憩は、トウヤタイムは終了した。

 一人のヒーローの挫折からはじまった家族を巻き込んだ悲劇。

 その中心となり焼け堕ちた青年は、巡り合いを経て、家族を想いやれる大人になっていた。

 まあ、やるだけやるか。

 正直、轟君とは付き合いもなく想い入れも特になかったが、今はもうなんとかしてやりたいと思っている。

 それはきっと、彼を嫌っていたイナサも同じなんだろう。

 さて、最終種目。

 全力でやるとするか。

 

 

 ちなみに、トウヤさんが実家に帰らないのはもう一つ理由があった。

 それは調査。

 山火事が起きたあの日、まるで予想していたかのように、消防隊員とエンデヴァーより早く現れた謎の男。

 そして、身元は明らかなのに実家に連絡しなかった謎の医療機関。

 その不審な存在を探っているそうだ。

 ナニカある。

 実戦で研ぎ澄まされた彼の勘がそう告げているそうだ。

 それが明らかにならない限り、トウヤさんは安心して実家に帰れないとのことだ。

 はたして、彼にそこまで警戒される存在とはいったい何なんだろうか?





 補足・説明。

 トウヤによる過去暴露とファウード戦でのアレコレ。さらに彼のお願いです。
 トウヤが帰宅しないのは、今のエンデヴァーなら何も変わらないと確信しているからです。
 焦凍が変わり、その言葉が響き、奥さんに意識を向け、ナンバー1の重みを理解してから、ようやく向き合えると作者は思いました。
 なおさり気なく自分アピールしてるけど、一切気付かれなくて長男はブチギレてます。
 まだ書いてなくて構想だけですが、ファウード編では色々ありました。
 エンデヴァーはディオガ・グラビドンをくらい、荼毘はエンオウ・フレイガをくらいました。なおMJ12が救助したから無事でした。

 轟君に関してですが、成二は兄に期待しています。
 実は成二は割と盲信レベルで兄をヒーローとして見ていたりするので。
 
 さて、トーナメント。
 序盤はサクサクと進めたいですね。
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