金色のガッシュを終えた俺のヒーローアカデミア   作:規律式足

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 僕のヒーローアカデミア原作キャラの設定を改変して登場します。
 


第一話 雄英高校は全国から学生が集まるから予想外な再会もある。

 

 俺、緑谷成二には双子の兄と幼馴染がいる。

 兄の名は緑谷出久。

 俺とは違い無個性ではあるが、幼少期から誰よりもヒーローらしい存在。

 幼馴染の名は爆豪勝己。

 強力な個性持ちで、幼少期から俺なんかより遥かに才能ある存在。

 そんな二人に挟まれた俺は、自分が酷く中途半端で情けない存在だと幼い頃から悟ってしまった。

 ナチュラルボーンヒーローな兄のようには成れず、才能ある幼馴染のように強くなれない。

 兄が個性診断で無個性だと判明して、兄と幼馴染との関係がアレコレあったりしたものの、接していると嫌悪というよりは劣等感ばかり感じていた。

 だから耐えきれなくなった俺は、やりたいことがあると嘘をついて遠方の母方の祖父母の実家近くの中学へと進学した。

 直視するには眩しすぎる二人とこれ以上関わりたくなかったから。

 側にいたら、それこそヴィランに堕ちてしまうほどに狂ってしまいそうだと悟ったから。

 俺は劣等感から、ヒーローという誰もが抱く夢を投げ捨てたんだ。

 スペックは優秀、個性は強力。

 そんな俺は中学で教師陣に高校はヒーロー科のある学園、それこそ頑張って雄英高校を目指すように勧められていた。だが爆豪勝己という才能の権化を知るがゆえにそんな気にはならなかった。

 ヒーローには多分成れる。

 でも一番には、トップには成れない。

 ヒーロー飽和社会を背景として彩る、その他大勢の一人になることに俺は価値を見い出せなかったんだ。

 そして、

 仮にヒーローになったとしても、胸の中にとある一つの考えが根付いていただろう。

 誰よりもヒーローに相応しい精神を持つ兄に、個性があればよかったのに。

 自分ではなく兄にこそ個性があるべきだったと。深く根付いた考えが俺を蝕み苦しめるのは目に見えていた。

 だから俺は、身体こそ鍛えてはいたが(田舎はヒーローが少なく自衛の為の鍛錬が推奨されていた)、中学の時点でヒーローになる気はさらさら無かったのだ。

 

(ま、今はこうして此処に立っているんだがな)

 

 少し、いやかなり早く辿りついた雄英高校。四つのビルが空中廊下で繋がれたような独特な校舎を前に俺は昔のことを振り返っていた。

 そんな経緯で兄達から離れたのに、あのパートナーとの日々がきっかけで俺は戻ってきたのだから。

 ちなみに昨夜は実家ではなくナゾナゾ博士の所有するマンションへと泊まった(あの人は何故かこういった拠点を世界各地に所有している)。

 そしてもし雄英高校に合格すれば、俺に貸して(くれるといったが断った)くれる予定だ。

 俺が実家から通わない予定なのは母や兄と折り合いが悪いからではない。

 せっかくずっと一人部屋だった兄を兄弟二人部屋にするのは申し訳ないし、魔物の王を決める戦い関連の説明するには少しばかり面倒な友人たちとの付き合いがあるからだ。

 ゾフィスによる千年前の魔物復活からの襲撃。それをきっかけに知り合い、それ以降も協力し合った戦友達とは今でも関係が続いていた。

 

(そういえば兄さんも受験するんだったな)

 

 母からそう伝えられたことを思い出す。

 あの誰よりもヒーローらしい精神を持つ兄が同じ会場にいる。

 この一年で食事メニューまで母にお願いして、本気で鍛えているらしい兄ならば、もしかしたら無個性でも雄英高校ヒーロー科に合格するかもしれない。

 まだ早すぎる時間だからいないみたいだが、見かけたら声をかけよう。

 

「エンマのパートナー、緑谷成二」

 

 そんな風に考えていたら、不意に背後から声をかけられた。

 しかも魔界の王を決める戦い関連の事で。

 

「お前は・・・・・・」

 

 そこには金髪の少年がいた。

 この件を覚えている以上、コイツもまた魔物のパートナー。戦ってきた相手を思い出し、思い出そう、としたのだが。

 

「誰?」

 

 ズルっと滑る少年。

 おっと受験前に滑るや転ぶは縁起が悪いな。

 だが声には薄っすら覚えがあるが、誰だかわからない。

 少なくとも共闘した戦友ではないことは間違いないだろう。

 

「ま、まあ、わかんねえよな。

 素顔見せてねえし」

 

 すると少年は、リュックからガスマスクを取り出して装着する。

 そしてその姿には覚えがあった。

 確かあの戦いで二度遭遇した相手。

 

「マスタード、だったか」

 

「久しぶりだな。ムカつくチート炎野郎」

 

 個性と呪文。

 二重のガスによる奇襲攻撃を仕掛けてきた相手と、俺は数ヶ月ぶりに再会した。

 あとチート炎野郎は、蒼炎生み出すトウヤの方じゃないかな。

 ファウードの戦いに参加しなかったマスタードは知らない相手だろうが。

 

  

 話すネタがネタだけに場所を変えて、歴代ヒーロー像の並ぶ正門から少し外れたベンチに座る。

 お互いに遠方から来たため受験開始の大分前に到着してしまっていたので雑談するくらいの時間はある。

 これが筆記試験なら最後の最後まで勉強するところだが、個性使用前提の実技であること以外は不明な実技試験だとむしろリラックスしておくべきだろう。

 

「っで、なんのようだ?」

 

 マスタード(日本人で本名は別らしいけど今更名乗るのもアレだからこのままで良いらしい)にそう尋ねると本人は何と言ったらよいかと悩みだし頬を掻く。

 彼との関わりは二度。

 奇襲からの戦闘(決着前に逃げられたが)、と失敗に終わったナゾナゾ博士に頼まれて向かった千年前の魔物に襲撃されたコイツとパートナーの救出だ。

 守りきれなかった恨み言かね?

 マスタードの話したいことがそれぐらいしか思い浮かばなかった俺がそう予想していたら、意を決した彼はまっすぐ立ってから深く頭を下げた。

 

「ありがとうございました」

 

 それは襲撃したことに対する謝罪ではなく、俺に対する感謝の礼だった。

 

「いったい、何に対する礼だ?」

 

 文句や恨み言、謝罪ならばまだわかるが、なんで彼は感謝しているんだろう。

 心当たりの無い俺はただ戸惑うばかりだ。

 

「お前らが頑張ったおかげで、ガスマーは消えなかったって知ったからさ」

 

 礼ぐらい言いたくなる。

 そうマスタードは言った。

 ガスマー。

 マスタードのパートナー。

 ガスを吐き出す風船のような姿の魔物。

 ロップスやウマゴン(シュナイダー)のように人語を話せない幼い個体。

 実はマスタードの方が個性で凶悪なガスを放出できるのだが、それもあってペットのような、弟みたいな関係だったらしい。

 

「あのガッシュが王になったことにも驚いたけど、ガスマーからの手紙にクリアとかの事が書いてあってな」

 

 ガッシュとブラゴによる最終決戦。

 それからしばらくしてパートナーの魔物とのことを忘れたくないと思っていた者達に魔界から手紙が届いた。

 書かれていた字は、それこそアンサートーカーでも無ければ解読できない魔物文字だったけど、意味は心に伝わった。

 マスタードも手紙を受け取った一人で、だからクリアの件についても知ったのだろう。

 

「ハハハ、地球滅ぶとこだったアレ」

 

「そこまでなってたのかよ。あと海を爆走したあの巨大怪人も魔物関連だったんだろ?ヒーローとかどうしたんだよ」

 

 学生に過ぎず、パートナーとの別れで塞ぎ込んだマスタードはアポロやナゾナゾ博士のような協力者にならなかった。

 だからファウードの件も詳細は知らないのだろう。しかしファウードの時の日本のヒーローかあ。

 それはとても言いにくいことだ。

 特にこれから雄英高校に受験するのだから余計に。

 ゼオンによるファウード日本襲撃。

 当然、詳細を知らずともそれに何もしない日本でも、日本のヒーロー達でもなかった。

 彼らファウード到達地点に特殊高速艇で待ち構えていたのだが。

 

「ブラゴが邪魔だからとまとめて叩き潰したんだよ」

 

 最強の一角、黒の魔本のブラゴ。

 自身のパワーも竜種に匹敵し、何よりあの重力呪文が強力すぎた。それこそトップヒーローも歯牙にかけないほどに。

 

「うわぁ」

 

 本による世界修復、改竄により無かったことにはされたが、オールマイトとエンデヴァーを中心としたヒーローチームを撃退したからなあ。

 ファウード内で全員で呆気にとられたもんだよ。

 魔物より強い個性持ち、鍛え抜かれたヒーローは多い。流石に凡百のヒーローでは呪文まで使われたら相手にならないが。

 けど、クリアにアシュロンやブラゴにゼオン、そして俺のパートナーのエンマなどナンバー1ヒーローが束になろうと敵わない存在も一部ではいたのだ。

 

「無かったことになったから大丈夫だとは思うけどよ」

 

 クリアは当然だが、ファウードも洒落にならんかった。いや大量誘拐のゾフィスもだけどな(あのカエルが有能過ぎる)。

 

「引き籠もってネットばかり見てた俺でもとんでもないことになってたのはわかったからなあ」

 

 本当に激動の一時だった。

 アレから一年。

 あんなレベルの事態が再び起こるとかありえないだろう。

 

「けどさ、お前もヒーロー志望だったんだな」

 

 ガスという強力な個性持ちなら納得ではあるが。

 

「ん〜〜〜、いやヴィランみてえな個性って周囲から虐められてたし、中学受験でアレコレあって学歴を妬んだりしてたから、ヒーローそのものが嫌にはなってたけどさ」

 

 そっちのタイプか。

 清麿も無個性扱いで虐められてたらしいし、兄さんもそうだから、個性そのものがかなり虐めの種だよな。

 

「憧れてたのは事実だし。

 ガスマーみたいなガキも夢に向かって頑張ってるなら、俺もいっちょやってみるかな、って思ったのさ」

 

 魔物というパートナー、力を得て犯罪に走った者も数多くいた。

 だが、魔物と共に過ごすことで自分を変えられる者も、前を向けた者もいるのだ。

 

「その気持ちはわかるよ」

 

 俺も、そして清麿もそうだったからな。

 そうして俺はマスタードからの礼を納得して受け取ることができたのだ。

 

「さて、そろそろ時間だし行くか」

 

 良いことがあった。

 気分よく、最高のコンディションで実技試験を受けることができそうだ。

 

「お前の個性なら個性を使う実技なんて余裕だろ」

 

 俺の個性。

 一部は父親から影響を受けたが、突然変異に分類される戦闘向きの力。

 

「それはそっちもだろ?ガスマスクがなければ対人戦なら圧勝だろう」

 

 実技試験。

 おそらくは個性を用いた戦闘だと思われる。救助やら競争もありうるが、救助はヒーロー活動の一環だが救急隊員の領分だからないだろうし、競争ならば俺達とガッシュ達からも逃げ切れたマスタードなら余裕だろう。

 

「そうだな。実技試験がロボットとの戦いでもなければ、あの戦いでの経験がある俺ならなんとかなるさ」

 

 自信のある表情でフッと笑うマスタード。

 あの戦いで得たものは確かに彼にもあるのだ。

 

「お互い頑張ろう」

 

「そしてヒーロー科、だな」

 

 パチンと手を叩き合わせて、俺とマスタードは講堂へと向かった。

 

 

 

『各々なりの個性で仮想敵を行動不能にし、ポイントを稼ぐのが君達の目的だ!!』

 

 ボイスヒーロー、プレゼント・マイク。

 プロヒーローにして雄英高校教師、さらにラジオに出演までしている彼の試験説明。

 その説明を聞き、配布されたプリントを読んだところ、これロボットとの戦闘じゃね?

 と冷や汗をかきながら斜め前の席のマスタードを見れば、

 彼はさながら悟りを開いた菩薩のような穏やかな表情へと到っていた。

 なんか色々悟ったらしい。

 

(哀れな)

 

 あまりにも個性と相性の悪すぎる実技試験。

 俺向きではあるけど、幻覚やら洗脳やら、対人特化な個性に不利過ぎねえか?

 別途で加点要素がなければ不公平とも感じる試験内容を聞きながら、俺は試験に臨むのであった。

 

 あとなんか実兄が、眼鏡をかけた受験生に注意されていた。

 あんなに目立った状況だと声をかけにくいなあ。

 





 補足説明。

 緑谷成二(みどりや せいじ)。
 個性は父親の影響受けた突然変異。
 兄は尊敬してるけど眩しい。
 幼馴染は才能で勝てない認識。
 ちなみに本人達に自覚はないが、千年前の魔物編の月の光、ファウード編の回復液、クリア編のデュフォーによる人体改造により、全員常人離れした身体能力を得ていたりする(特に清麿はエグい)。フォルゴレは元からとんでもないが、最後まで残った成二、恵、サンビーム、清麿はトップヒーロークラスだったりする。

 
 マスタード。
 本名不明(ヒロアカ原作を調べたが不明)。
 ヒロアカ原作では林間合宿でヴィラン連合に参加した学歴コンプレックスを拗らせたヴィランだが、この作品では魔物の存在により前を向いて生きている(ガッシュ原作での襲撃はヴィラン活動では?とツッコんではいけない)。
 年齢も不明なので、ヒロアカ原作勢と同世代に改変した。
 実技試験に絶望を通り越してなんか悟った。
 心操人使君と並ぶ不利な個性だが、やはり葉隠ちゃんの存在で言い訳が許されない。
 この後に別の学校のヒーロー科に合格する。


 ガスマー。
 ポケモンのドガースのような外見の、当作品のオリジナル魔物。
 マスタードのパートナーで、動物寄り思考の魔界の子供。
 だからこそ自分より凄いガスを放つマスタードを慕い、良い関係を築けた。
 千年前の魔物編にて敗北。
 
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