金色のガッシュを終えた俺のヒーローアカデミア   作:規律式足

20 / 61

 緑谷家の祖父母ですが、
 電撃耐性の訓練はつけてませんが、狩猟やサバイバル技術や農業は一通り成二に仕込んでいます。
 山も私有地なので個性使用在りで熊や猪を狩ったりしてました。



第十九話 最終種目・第二回戦。

 

 さて、どうなるかな? 

 

『雄英体育祭一年の部 最終種目第二回戦。

 緑谷出久 対 轟焦凍!!

 スタート!!』

 

 一回戦の心操君は厄介な個性ではあるが派手な攻撃手段はない。

 だから兄さんも個性を発動して攻撃することがなかった(洗脳解除で使用したが)。だが轟君はそうではない。冷気で氷山を作り出して相手を場外まで押し出せば勝つことができる。

 前試合の瀬呂君は氷で拘束すれば動けなくなったが、自壊するほどの超パワーの個性である兄さんにはその手段はとれない。

 ゆえに轟君の攻撃は氷結に限られる。

 俺やイナサ、勝己さんならその攻撃は対処できる。火と風と爆破、放出する時間も轟君には劣らないからだ。

 だが兄さんにはそれができない。

 冷気から生み出される氷山を破壊する手段は、超パワーの自損覚悟衝撃波しかない。

 

「懐かしいな」

 

 スタジアムで腕を破壊しながら戦う兄さんの姿を見てそう思う。

 ボロボロになって戦い抜く。

 それは魔界の王を決める戦いで、俺達全員がやってきたことだからだ。

 魔物の呪文を直撃したこともある、崩れた瓦礫に押し潰されかけたこともある、相手の個性で攻撃されたことだってある。

 そんな目にあっても戦ったんだ。

 パートナーの願いを叶える為に。

 

「兄さんもそうなのかな」

 

 自分の為だけに痛みに耐えられる者はそうはいない。ぐちゃぐちゃになった拳を握り締めて轟君へと叫ぶのは自分の為だけではない。

 半分の力で戦う轟君に憤るのは、自分が舐められてると感じてではなく、この体育祭に参加してる全員の想いを理解してのこと。

 轟君に皆が本気であると伝えたいのだろう。

 

「敵わないなあ」

 

 俺が轟君を倒そうと思うのはトウヤさんに頼まれたから。

 彼とはクラスが違って付き合いもなく、イナサの言葉からあまり良い印象が無いので、個人的に思い入れがないからだ。

 でも兄さんは違う。

 身体が壊れることを厭わずに、本能で救おうと全力で向き合っている。

 その姿は、魔界の王となった小さな大器ガッシュ・ベルを思い起こさせる。

 我が身を省みず全力で進む姿に、閉ざされた心は動かされるのだから。

 心閉ざし他者を拒絶した天才児が、世界を救うほどに誰かを想いやれるようになるくらいに。

 

「俺だって、ヒーローに」

 

 兄さんの本気は轟君に届き、湧き上がる拒絶されていた炎は彼の凍りついた瞳を溶かしていた。

 

「あんな目もできたんスね」

 

 イナサが俺の横に来てそう呟いた。

 どこか悔しそうに、それでも嬉しそうに。

 

「兄さんだからこそだよ。

 きっと二人とも同じヒーローに憧れているんだ」

 

 おそらくはあのナンバー1ヒーロー・平和の象徴オールマイトに。

 

「憧れたヒーローが同じだから、思い出せたんスね。成りたかった存在のことを」

 

 俺やイナサでは多分無理だな。

 俺はオールマイトに興味ないし、イナサは熱ければヒーローにこだわりはない。

 

「見ろよイナサ。俺の言ったとおりだろ?」

 

 強化のせいか全身をバリバリと鳴らす兄さんと、炎を吹き出す轟君が大きく踏み込む。

 この試合、次が最後。

 

「ミッドナイトとセメントスが止めようと動きだしましたね」

 

「間に合わないよ」

 

 ぶつかり合う二人の間にコンクリート壁が伸び上がるがもう遅い。

 そして強度も足りない。

 超パワーからの衝撃波、炎の熱波に冷やされた空気の膨張による爆破は遮るコンクリート壁を容易く粉砕し、会場全体に暴風を撒き散らして揺らす。

 そして、水蒸気が晴れた舞台に立つのは轟焦凍。

 兄さんは入口横の壁に吹き飛ばされて叩きつけられていた。

 

「兄さんは負けたか」

 

「負けても、やり遂げはしたんじゃないスか?ヒーローってやつを」

 

 ちょっと見直したっス。

 イナサはそう言ってその場から離れた。

 アレでもちょっとなのか。

 兄さんの日頃の行いが気になるな。

 俺ももう行こう。

 舞台の整備に時間はかかりそうだけど、次の試合なのだから。

 

 

『さーて会場揺らす試合の後は、第二回戦第二試合目。

 緑谷成二 対 飯田天哉!!

 スタート!!』

 

 さて、飯田天哉。

 プロヒーロー・インゲニウムの弟である彼はスピードファイター。

 両足のエンジンを吹かせた高速の蹴りが売りだ。

 

「レシプロバースト!!」

 

 ならば開幕から速攻でくるのは当然。

 

「風手双掌」

 

 けれどわかっているなら対処は容易い。

 

「騎馬戦の時のカンフーか!?」

 

「速いだけでは俺には届かないよ」

 

 飯田君がどれだけ速かろうが蹴りを当てるには接近するしかない。

 遠距離攻撃による牽制ができないようだし、待ち構えてからのカウンターが正解だな。

 

「舐めるなあ!!」

 

 攻撃する瞬間を読ませまいと俺の周りをグルグルと走り出す飯田君。

 人間の知覚器官である両目は正面とその左右しか見れない。如何に俺が首を振るおうが身体を動かそうがそれよりも速く後ろを取れる速度が彼にはある。

 死角を狙う彼の意図。

 だが、それもまたわかっていれば対処は可能。

  

「火炎造形・匕首」

 

 武技を修めれば己の死角など把握している。そちらへ向くのが一手遅れるのならば、向かずに先手を打ち足を止める。

 吐いた火を匕首へと造り変えて、死角から接近する飯田君の足元へと投げ放つ。

 実は俺、投擲術はかなり得意。

 祖父から狩猟を習っていたのもあるからだ(ビクトリームとの戦いでも股間の紳士にめっちゃ当てた)。

 

「!?」

 

 足を止めた飯田君。

 今はもう俺のターン。

 

「接近戦は陣取り合戦とも称される。

 攻撃の予測、相手の動きの阻害、それらがあって速さが活きる」

 

「くっ!?」

 

「今回は俺の勝ちだ。

 崩拳!!」

 

 一撃必殺の拳打が飯田君の意識を刈り取った。

 

『大技使わずとも強い緑谷成二!!三回戦進出!!』

 

 勝つには勝った。

 だけど、飯田君が速いから呪文再現する余裕が無かった事実そのものはなんか負けた気分になるね。

 拘って負ける無様は晒したくはないが、皆との繋がりを表す呪文を使いたい気持ちは確かにあるのだから。

 

 

『体術勝負は終わり次の試合は、

 一年女子トップになった芦戸三奈 対 さっきの技はなんだ夜嵐イナサ!!

 スタート!!』

 

 イナサと芦戸さんの戦い。

 触れたら溶ける酸を放つ芦戸さんとの接近は本来誰もが避けるところ、イナサの風なら防ぐことはできるが撒き散らすのは危険。

 かといって前試合のチャーグル・イミスドンはチャージする間に(特に紳士を)攻撃されてしまうだろう。

 俺ならばディオガ系を再現して吹き飛ばすところだがイナサはどうするのか。

 彼女との戦いは最低でもゴーグルは欲しくなるな。

 

「参ったスねえ」

 

「女の子だから殴らないとか言ったら承知しないよ!!」

 

「ス。わかりやした」

 

 全員が全員、勝己さんのように老若男女容赦なしをできるわけではない。

 でも、芦戸さんは一年女子の最後の一人だからかやる気は充分。

 加減などできるわけがない。

 

「ちょいと痛いけど、勘弁っスよ」

 

「あの構えは」

 

 イナサはクラウチングスタートの姿勢をとった。

 

「やるのかイナサ、グスタフさんと訓練したあの呪文を」

 

 王を殴れる者バリー、彼の姿に憧れたイナサは彼のパートナーだったグスタフさんに訓練をつけて貰っていた。

 というかバリーの呪文と一緒に回転して進み、平然としていたあの人は何者なのだろうか?

 

「な、なにをする気?」

 

 慌てた芦戸さんが回避しようとするがもう遅い。

 

「ディガル・ドルゾニス!!」

 

 自身の風で自らを回転させる体当たり。

 ただそれだけの技なのだが、その風は芦戸さんの酸を弾き威力は絶大だ。

 かつてファウードの肉壁を突き破り体内に侵入した本人の呪文ほどの威力はないだろうが、彼女を場外まで叩き出すには充分だった。

 

『夜嵐イナサ!!三回戦進出!!』

 

 しかし回転するゾニス系呪文は、イナサよりB組の回原旋君の方が向いてるかもな。

 機会があれば教えるのも良いかもしれない。

 

 

 

『二回戦最終試合は、

 切島鋭児郎 対 爆豪勝己!!

 スタート!!』

 

 この試合はひたすら切島君が勝己さんに猛攻を仕掛け続けていた。 

 爆破に耐えられる硬化の個性。

 ダメージを気にせずに攻撃できる切島君は本人は地味な個性だと言うが厄介極まりない。

 俺ならばどうするかと考えるが崩拳は内部に響く拳打。硬化の上から打っても倒せる可能性はある。

 勝己さんの爆破ならば網膜鼓膜などを狙えばダメージを与えられるだろうが、切島君の硬化はそれらすら硬めてるようだ。だからこそ勝己さんと接近戦をできるのだろうし。

 しかし勝己さん。

 道場に通ってるわけでもないのに動きが良いな。体育の授業だけであの身のこなしは身につくものなのか?硬化された切島君の拳はロボットすら破壊する、硬化された皮膚は尖り、鉄哲君のスティールとは違い、掠れるだけで皮膚が裂ける。

 そんな攻撃を間近で躱しながらなおも爆破で攻撃する。

 無駄な行為では?と誰かが呟いたところで、切島君の脇腹が焼けた。そこの部位の硬化が緩んでいたのだ。

 

「てめぇ、全身ガチガチに気張り続けてんだろ?その状態で速攻仕掛けちゃ、いずれどっか綻ぶわ」

 

 個性発動に何かしらの動きをし続け無ければいけない例はよくある。

 切島君の万全な硬化とは動かずに集中することなのだろう。

 だがその状態で攻撃するならばどこかしらは解けてしまうのは当然。

 勝己さんの絨毯爆撃はその綻びを引き出す為にあったのか。

 まあ、あれだけ爆破され続けては切島君は呼吸すらままならない。

 硬化が解けるのも当然のことだろう。

 

「死ねえ!!」

 

 その言葉は大丈夫なのか勝己さん。

 

『爆豪エゲツない絨毯爆撃で三回戦進出!!

 これでベスト4が出揃った!!』

 

 いよいよ準決勝。

 轟君は兄さんのおかげでだいぶ前向きになったみたいだけど、トウヤさんの頼みは果たさないとな。

 しかし、

 

「俺相手だと炎使われてもなあ」

 

 それが轟君の本気なんだろうが、かつてのトウヤさんとの戦いみたいに俺の武器が増えるだけだ。

 火炎造形。

 俺の個性は焼けることを気にしなければ炎系個性の天敵なのだ。

 





 補足・説明。

 最終種目第二試合、すべて1話にしました頑張りました。
 やはり大変だったのはイナサ戦。
 原作だと芦戸さんの戦いの描写少ねえ。酸が必殺すぎる問題。  
 でも原作での指定無しは不思議、彼女は塩崎さんと並ぶ一年女子トップなのに。
 緑谷成二君は呪文再現せずとも強いです。
 魔物との戦いではむしろしてませんでしたし。
 なお火炎造形ですが、掴んだ炎の形を変えれるので火事の場合は炎そのものを引っ剥がすことも可能です。その炎の消化は必須ですが。
 
 いよいよ準決勝、轟君との試合は書きたいシーンだから今から楽しみです。
 
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。