かっちゃんがクラスター(モドキ)を使用しなかったわけ。
偶然できて未完成なのと、撒いても即誘爆したからです。
あと最後のネタの反応が今から怖いです、閲覧注意です。
Pom、Pom。
空砲がスタジアムに鳴り響き、ミッドナイトの司会のもと最終プログラムの表彰式が始まる。
1、2、3、と数字の刻まれた高さの違う円柱に最後まで勝ち残った俺達は立つ。
「何アレ・・・・・・」
「なんで起き上がれたんだアイツ」
「恐るべしタフネス」
A組勢の若干引きながらのコメントの理由は、俺の右側の2番の円柱に立つ人物・爆豪勝己だ。
エンオウ・クロウ・ディスグルグとコンクリートの舞台に挟まり叩きつけられた彼は自身の爆破液で大爆発した。そのダメージは普通ならば集中治療室送りになる筈がリカバリーガールのチユーにより動けるまで回復した。チユーには体力を使う筈なのになんで動けるんだろう、やはり才能の化身。
だが外傷(主に火傷)が全てキレイになるわけでなく、彼はミイラのような包帯ぐるぐる巻き姿で立っているのだ。
周りの生徒達がドン引くのも当然だろう。
ただ、不機嫌な様子ではあるけど勝己さんは悪態つくことなくしっかりと立っていた。
「あー、轟君」
「焦凍でいい」
そして反対の3位の円柱では同着の二人が気まずそうに並んでいる。
色々あったけど、どうやらお互い歩み寄ろうとしているみたいだ。
イナサがずっと気にしていた轟君との関係、良い感じになりそうだな。
「メダル授与よ!!
今年メダルを贈呈するのはもちろんこの人」
ミッドナイトが大きく手を振って促せば、
「私がメダルを持っ「我らがヒーロー、オールマイトォ!!」」
スタジアムの屋根からお約束のセリフをもじってオールマイトが降りてきた。
ミッドナイトとセリフが被ったけど。
平和の象徴、世界に名だたるスーパーヒーローであるオールマイトが完璧超人などではなく、どこか抜けていて力押しで解決しがちな存在である、ということをヒーロー基礎学の授業を受けているヒーロー科の生徒達はよく知っていた。
むしろ最近は、これがオールマイトらしい、とすら感じるレベルに達している。
気を取り直して本当にメダル授与。
3位のイナサからメダルをかけられていく。
「夜嵐少年おめでとう!
正直言うと君の実力で3位は意外ですらあったよ」
「どうもっス!!
でも実力がある存在でも予想外の退場してしまうなんて実際にあると知ってますので」
あの戦いでもそうだったな。
純粋な実力ならば明らかにリオウより強く、優勝候補達に匹敵したレインやバリーが最終決戦まで残らなかったのだから。
「(過去にいったい何が?)勝負は時の運。
だが時の運は自力で引き寄せるもの、これからも精進したまえ」
「はいっス!!」
銅メダルを首にかけハグをしてからイナサの番は終了。
「轟少年、おめでとう!!」
次は同着3位の轟君。
「顔が以前と全然違うね」
「緑谷兄にきっかけを貰って、緑谷弟との戦いで全力を出し切りました」
その表情は体育祭開幕前とは違い、どこかすっきりとしていて、その目は冷たい怒りなどではなく、やるべきことを見据えた前を向くものだった。
「これから清算しなきゃいけないことを果たして、貴方のようなヒーローを目指します」
「そうか、君ならば成れる。
私はそう思うよ」
背中をポンポンと叩きながらのハグ。
なぜかその瞬間に観客席から凄まじい怒気と熱が吹き荒れた気がするけど、なんなんだろう?
「さて、爆豪少年!!
大丈夫かい?」
「何がだコラァ!!」
そらまあ包帯ぐるぐる巻きですし。
「リカバリーガールのチユーは体力を使う筈なんだけど、なんで元気なのかな?」
「体力なんざ怒ればいくらでも湧いてくるだろうがァっ!!」
どんな体質ですか?
怒りやすい勝己さんの気性と合わせたら永久機関じゃないですか。
「うん(ドン引き)。
とにかく爆豪少年、おめでとう!!
正直もっと荒れるかと思ったけど、意外と落ち着いているね」
「ああっ!?2位の結果に腸煮えくり返ってるに決まってんだろうが!!
けどよう、全力出して負けたから文句を言えねえだけだわ!!」
充分に荒れてる気がするけど、これで大人しいのか勝己さん。
「ま、それによ」
しかし、憤る最中に突如その感情をおさめ、
「これで俺はA組トップだしなあ!!」
ものすごいドヤ顔(包帯で見えないけど雰囲気が)をかましだした。
((((((だからかあ))))))
同じクラスのA組から感じるのは不快さよりも納得。この体育祭までは常にイナサか轟君か八百万さんという娘が上に居たらしいからなあ。
「そうだね、一歩一歩向上心を忘れずに登り続ける。その先に君の夢が待っているだろう」
「うす」
首にかけられた銀のメダルを勝己さんはどこか誇らしそう(包帯で見えないけど)に見つめていた。
「最後に緑谷成二少年、優勝おめでとう!!」
「はい!!」
いよいよ俺の番か。
「君の実力を考えれば納得の結果!!
ゆえに一言だけ」
するとオールマイトはメダルをかけると片腕を俺の肩に回し、反対の腕を空に向かってまっすぐ伸ばす。
「亡き友はあの空の果てで間違いなく君の活躍を見ていてくれるだろう、胸を張ってこれからも進んで行き給え!!」
「あ、ハイ」
((生きてるんだよなあ))
全力の誤解で表情が引き攣りそうになるのをなんとか堪える。亡き友ではないと言いたいけど、生きてると証明できなければ死んでるのとかわらないというのが本当に辛い。
「さァ!!
今回は彼らだった!!」
そんな本心を抱える俺を置いてきぼりに、オールマイトによる締めの言葉。
「お疲れ様でした!!」
最後の最後に見事に滑り、雄英高校一年目の体育祭は幕を閉じた。
その後、ロッカーで着替えて教室で帰りのホームルーム。明日、明後日は休校とのことだ。
1位おめでとうとクラスの皆に祝福され、ブラドキング先生は「流石は俺の自慢の生徒だ」と男泣きまでしていた。
B組のこの団結している感じを俺はけっこう好きだったりする。
そして、帰りなんだけど。
「あー、つい誘っちゃって」
トウヤさんとの約束である奢り。
そこになんと轟君もいた。
「回る寿司が気になった」
「奢りのグレード下がってない?」
「回らない寿司をご馳走してもらうと言ったら、逆に回る寿司が気になったみたいで」
轟さん家は、家族で回転寿司を食いにいったこともないのかな?ないんだろうなあ。
いや回転寿司でも全然構わないけど、
「(トウヤさん、まだ正体を秘密にしてるだろ)」
「(なんすけど、話してるうちについ)」
髪を金髪に染めてるから大丈夫かな?
トウヤさん、怒らないといいけど。
「おう、お前ら。
約束通り奢ってやるぞ」
どないしよと考えていたらトウヤさんが合流。幸いなことに怒ってはなさそうだけど。
「あの、俺は」
「体育祭見てたから知っている。
轟焦凍だろ?よく頑張ったな」
轟君が居ることの苛立ちはないか。
となれば素性についてだが、果たしてどうする気なのやら。
「俺はウルフガンブラッド。
とある財閥の職員だ」
((なんだその偽名?))
「どうも。
すいません身内の席に参加しちゃって」
((身内なのは君だけどな))
「いいさ、大人ってのはガキに飯を奢りたくなるもんさ」
ウルフガンブラッドもといトウヤさんはフッと笑うと俺達を引き連れて回転寿司屋へと向かった。
コンベアの上の寿司を目をキラキラ輝かせながら見つめる轟君、サイドメニューのうどんばかり注文するイナサ、特にこだわりなく片っ端から食べる俺と、賑やかな夕食となった。
「兄貴らしいことしたのは初めてだ」
トウヤさんのその呟きを、俺は轟家って本当にヤバいのだなと改めて思うのであった。
いやかなり歳の差ある兄弟とは聞いてたけど、長らく離れていたとは聞いてたけど、一緒に暮らしていて初めてとか。
雄英高校体育祭。
本当に濃くて、そして得るものがある楽しい一日だったなと俺は思った。
しかし光あれば闇もある。
賑やかで穏やかな日常が過ぎゆく中、とある信念の元に凶刃は振るわれ悲劇が起こる。
「兄さん!!」
一人のヒーローが、弟を応援しにいきたい気持ちを堪えて人々の為に職務に励んでいた兄が、病院のベッドに横たわっていた。
「一命はとりとめました。
しかし、もう彼はヒーローとして活動することはできないでしょう」
にんじんのように長い鼻をした老医者は重苦しい口調でそう告げる。
その言葉に、飯田天哉は崩れ落ちそうになるも必死に縋り付く。
憧れたヒーローの敗北。
尊敬する兄の痛々しい姿。
「本当に、本当に、兄は!!インゲニウムにはもう走れないんですか!?」
それは一人の少年を昏き復讐へと、
「ウ・ソ」
歩ませないかもしれない。
「ハアアアア!!」
良い笑顔でそう告げる老医者に、飯田天哉は眼鏡が罅割れるほどに驚くのであった。
補足・説明。
メダル授与からの奢りと飯田君イベントです。
最後に関しては、不謹慎かも知れませんが、ガッシュ2にて自分の命でやらかしたナゾナゾ博士ならやるかなと。またインゲニウムは復帰できないことにしないといけない理由もあります。
なぜ彼が居たのかは次回にて。
かっちゃんの体質。
本当にそんなゼブラ的体質なのかは定かではありません。
単なる負けん気かもしれません。
相棒への誤解。
もうどう解消したら良いかな。
回転寿司奢り。
轟家の闇に成二とイナサは慄いています。
インゲニウム治療とナゾナゾ博士。
インゲニウムは無事復帰予定。
孫の時とは違い手術が成功したことに、彼はおちゃらけないと心が保たなかったのです。