金色のガッシュを終えた俺のヒーローアカデミア   作:規律式足

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 全世界100兆万人のステインファンの皆さん、ごめんなさい。
 ステインファンの方は閲覧注意です。



第二十六話 フォルゴレの個性?訊いたことないけど俺は『トラブル吸引』だと思ってる。

 

 雄英高校にてヒーローの有精卵達がさらに大きく成長するであろう行事『職場体験』。

 雄英高校という最難関校に合格した彼ら彼女らは、体育祭を乗り越えて自らの現在の実力を知り、次は憧れた夢の舞台であるヒーロー事務所へと足を踏み出す。

 この国には多くのヒーロー育成校が存在する。けれどトップランカーを含めたプロヒーローの事務所を一年時で体験できるのは雄英高校だけ。

 多くのヒーローを輩出した実績と、体育祭にて学生の実力を知れ渡らさせるからできる荒業だ。

 雄英体育祭はヒーロー候補である学生の個性を大々的に知れ渡らせてしまう行事。それは後に学生達が受験するヒーロー資格取得試験にて『雄英潰し』などを誘発するリスクを背負っている。

 だが、体育祭にて学生の現時点の実力と個性を知ることができるからこそ、プロヒーローは職場体験を受け入れることができるのだ。

 そんな行事が、有精卵達の輝かしい未来への歩みが行われてる最中、闇もまた深く蠢いていた。

 

「なるほどなァ・・・・・・お前達が雄英襲撃犯」

 

 ヒーロー殺し・ステイン。

『英雄回帰』の思想がもとに凶刃を振るい、粛清と称して殺戮を繰り返すヴィラン。

 雄英高校襲撃犯、通称『ヴィラン連合』は悪党の大先輩であるステインを味方に引き込む為に、未だに警察とヒーローが発見すらできなかったこのヴィランとの接触に成功した。

 

「目的はなんだ?」

 

 利益の為に個性を悪用する輩とは異なると察して誘いに乗ったステインは、リーダーと思わしき顔に手らしきアクセサリーをつけた青年に問う。

 雄英高校襲撃。

 それは難易度に比べ、利益など見込めない行為。そこにはなんらかの思惑があると踏んだのだ。

 だが、

 

「とりあえずはオールマイトをブッ殺したい。気に入らないものは全部壊したいな。こういう糞餓鬼とかもさ・・・・・・全部」

 

 五指が触れぬように雄英体育祭にて撮られたソバカス顔の学生の写真を見せつける手男。

 雄英高校襲撃の際に、無謀にも突っ込んできて、なおかつオールマイトのフォロワーらしき技を叫んだとあって、あの最高戦力である脳無を足止めした坊主頭よりも不快だと感じたらしい。

 

「興味を持った俺が浅はかだった・・・・・・おまえは・・・・・・ハァ・・・俺が最も嫌悪する人種だ」

 

 ヒーロー殺しとなる以前は、ヴィラン退治という殺戮を繰り返してきた男。

 その粛清対象は世間で報じられるヒーローのみではなく、社会を乱すヴィランにも及ぶ。

 ヒーロー殺し・ステインはヴィランである。

 だが彼はヴィランではあるが、

 ヴィランの味方でも、ヴィランの同朋などでは断じてないのだ。

『先生』の意図により招き入れられた存在。単なる強キャラを引き入れただけだと認識していた死柄木弔は、その返答と殺意に「はあ?」と疑問の声をあげる。

 

「子供の癇癪に付き合えと?ハ・・・・・・ハァ、信念無き殺意に何の意義がある」

 

 粛清を決めたステインは両腕を交差しスラァとナイフを引き抜く。

 ヒーロー殺し・ステインをこちら側だと浅はかに認識したヴィラン組織は今まで例外無く壊滅させられていったのだ。

 

「(破壊衝動のみの死柄木弔に更なる成長を促す為に招いた男・・・・・・しかしこれは・・・・・・)」

 

 死柄木弔を支えし腹心、従者のような役割を務めるヴィラン・黒霧は、

 

「先生・・・・・・止めなくて良いのですか!?」

 

 自身の創造主である存在にモニター越しに問いかける。

 ステインの激昂による戦闘の開始、その実力によっては仕えし死柄木弔に危機が及ぶ状態。このままだと危険だと彼は告げた。

 しかし、黒幕は揺るがない。

 

「これでいい!」

 

 黒幕はこうなることを想定した上で、ヒーロー殺しを招いたのだから。

 

「答えを教えるだけじゃ意味がない。到らぬ点を自身に考えさせる!成長を促す!

『教育』とはそういうものだ!」

 

 先生と呼ばれる、呼ばせるスーパーヴィランは教育者気取りでそう宣うのであった。

 

 暫しの交戦。

 

「何を成し遂げるにも、信念・・・・・・想いが要る。ない者・弱い者が淘汰される、当然だ。だから死ぬ」

 

 結果は明瞭。

 床に左腕を踏みつけられ仰向けに倒された死柄木弔。首元にナイフを添えられ、右肩はブシと突き立てられている。

 カウンター越しに控えていた黒霧の肩にも出血。転移個性を警戒し、先ずはこちらから動きを静止させられていたのだ。

 個性ではなく、刃物にて粛清対象を殺害し続けてきたヴィラン。

 その刃の間合いでの戦闘は無謀としか言えない。

 動けぬヴィランを見下ろす思想犯は冷たい眼差しのまま言葉を紡ぐ。

 

「『英雄』が意味を失い、偽物が蔓延るこの社会も、徒に力を振りまく犯罪者も、粛清対象だ」

  

 ヒーロー殺し・ステインの自身の行動理由は社会奉仕である。

 ゆえにその行為に躊躇いはなく、ゆえにその刃は死柄木弔の首を落とさんと動く。

 だが、

 

「ちょっと待て待て、この掌は駄目だ」

 

 ナイフが顔を覆う作り物の掌に触れようとした所で、死柄木弔の意思は衝動のまま高まる。

 

「殺すぞ」

 

「ーーーー!!」

 

 そのナイフは死柄木弔が握りしめることでその個性によりボロボロと崩れだす。

『崩壊』。

 とある個性の劣化コピーに過ぎぬその個性は、五指にて触れたモノ全てを崩し壊す。

 

「口数が多いなぁ・・・・・・信念?んな仰々しいもんないね・・・・・・、強いていえばそう。

 オールマイトだな」

 

 掌に覆われた顔が垣間見える死柄木弔の、狂気の眼差しと吊り上げられた口。

 

「あんなゴミが、祀り上げられてるこの社会を、目茶苦茶にブッ潰したいなァ、とは思っているよ」

 

 溢れ出す、あるいは零れ出たその激情は、ヒーロー殺し・ステインをしてゾァと圧倒されるものがあった。

 

「責任とってくれんのか?」

 

 ヴィラン連合にはリカバリーガールのような回復個性持ちはいない。

 傷の手当は非合法な手段か、自分でやるしかない。抉られた肩から溢れる流血のまま死柄木弔は臨戦態勢をとる。

 しかし、

 

「それがおまえか・・・・・・」

 

 自身の個性上いつでも粛清できる存在を前に、ステインは語りかける。

 

「は?」

 

「おまえと俺の目的は対極にあるようだ・・・・・・だが『現代を壊す』この一点に於いて俺たちは共通してる」

 

 誘いをかけてきた雄英高校襲撃犯。

 その真意を試し、見定めた。

 ゆえに今始末する必要はない、そうステインは判断したのである。

 そうヒーロー殺し・ステインは知っている。

 真のヒーローが誕生するには相応の悪が必要であると。

 だからこそ、自身は『真のヒーロー』に討たれるべくヴィランとなったのだから。

 

「こんなイカれた奴がパーティーメンバーなんて嫌だね俺」

 

 理解できぬ思想のまま暴力を振るう大先輩を前に死柄木弔はそう不満を口にする。

 

「死柄木弔、彼が加われば大きな戦力になる。交渉は成立した!」

 

 そんな主を創造主の指示の達成から黒霧が窘める。事実としてステインの実力は高い。

 死柄木弔と黒霧。

 この二人を同時に無力化など凡百のヒーローでは不可能な難行なのだから。

 

「用件は済んだ!

 さァ『保須』へ戻せ、いやそれよりもやるべきことが出来たか」

 

 ヒーロー殺しはこれまで出現した七箇所全てで、必ず四人以上のヒーローに危害を加えている。

 都市単位で行われる粛清活動。

 犠牲をもって街を正す。

 英雄気取りの拝金主義者。

 ヒーロー紛いの存在が間違いであると世の人々、社会に理解させる為に、その殺戮は実行される。

 しかし、

 そのステインの信念ある行動を一旦曲げてまで行われること。  

 するとステインはカウンターに広げられた新聞。そこにデカデカと記載されたとある記事へと突如ナイフを突き立てた。

 黒霧はカウンターに傷を付けられたことにわかりにくいが悲しそうな表情となる。

 

「パルコ・フォルゴレ、このヒーロー気取りのコメディアンの粛清だ」

 

 そこにはオールマイトとは違うタイプに画風の違う人物が写っていた。

 特徴的なポーズ(胸元に両掌を当てるアレ)をとるイケメン?絶世の美男子。

 コメディアンでありながらも、なんだかんだ成り行きで幾人もヴィランを倒し、ヴィラン組織を壊滅してしまい、政府から請われてヒーロー資格を半ば強制的に押し付けられた例外中の例外。

 イタリアの英雄、パルコ・フォルゴレ。

 

「「((え、コレ?))」」

 

 死柄木弔と黒霧はステインの標的とされた哀れな存在を確認して、ステインの正気を疑った。

 イタリアの英雄で、コメディアンで、スタントマン無しでアクション映画をこなす俳優で、ついでにヒーローではあるが。  

 日本でもよく流れる彼のテーマソング、代表的なダンスがあまりにもアレなのだ。

 

「芸人風情がヒーローの領分を犯すな」

 

 嫌悪以上に憎悪すら滲ませたステインの本気の殺意。それを見た死柄木弔と黒霧は反応に困っていた。

 いやだってコイツ、「チ〜◯〜チッチ、オッ◯〜イ」とか熱唱しながら踊るコメディアンを殺すとか言ってるわけだし。

 正当防衛の末にヒーローに成らざるを得なくなった芸人、パルコ・フォルゴレ。

 最強であるせいで一人ぼっちになってしまった孤独なライオンは、小鳥が集まってくれるカバさんに成りたいけれどヒーローになりたいとは思わない。

 しかし、その功績からヒーロー資格を持たざるを得なくなったのだ。

 

「アンタ、正気か?」

 

 死柄木弔らしからぬ本気トーンでステインの真意を問う。

 

「ふん、当然だ。

 こんな輩がこれから現れぬように、この巫山戯た男は特に惨たらしく粛清する」

 

「「(コレを・・・・・・なあ)」」

 

『乳をもげ♡』が脳裏に刻まれた両者は、どうしてもステインの信念に同調できぬのであった。

 

「では、到着予定の空港のある都市までお送りしますね」

  

 色々納得できなくはあったが、とりあえず仲間になったから手助けしようと黒霧は協力を申し出た。素体の影響からか黒霧は世話焼きなのである。

 

「ああ助かる。この英雄気取りのコメディアンを粛清した後は保須に行かねばならぬからな」

 

「好きにしろよもう」

 

 疲れたと言わんばかりにシッシッと手を振る死柄木弔。

 ステインへの反発から、草の根運動を台無しにしてやろうかとも考えていた死柄木弔だが、標的がパルコ・フォルゴレで場所が国際空港ならば話は変わる。

 この個性社会において空港の警備は強固である。

 奇跡的なバランスで大規模空中移動輸送が可能となっている飛行機は、僅かなトラブルで地に落ちる。

 ましてやかつてとは違い、乗客は取り上げることのできない爆弾『個性』を保持している。なお『個性』によっては飛行機に乗る許可がでない場合もある。

 ヴィランの存在もあり、多くの国家において空港の警備は近くにトップランカーヒーローの事務所を招聘するほどに厳重だ。

 そんな面倒な場所で、こんな『パルコ・フォルゴレ』というコメディアンを殺害する件に関与する気は死柄木弔には、否、黒幕であるオールフォーワンにすらならなかったのだ。

 

「この世が自ら誤りに気付くまで、

 俺は現れ続ける」

 

 そう言って黒霧のワープゲートに身体を潜らせるヒーロー殺し・ステイン。

 そしてそれが、死柄木弔が直接見た最後のステインの姿であった。

 

 

 

【イタリアの英雄、パルコ・フォルゴレ。

 ヒーロー殺し・ステインを撃退!!】

 

 そして数日後、日本を震撼させる大ニュースが報道された。

 

 オールマイト台頭以降、単独犯罪者では最多の殺人数。犯罪史上に名を残すであろうヴィランの活動はここに幕を降ろしたのであった。

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、アイツと俺達は関わってない。

 それでいいな黒霧?」

 

「・・・・・・・・・はい」

 

 客無きバーの一角でそんな二人の呟きがあったとか。

 





 補足・説明。
 
 全世界のステインファンの皆さんごめんなさい(ドゲザ)。
 今回はヴィラン連合、死柄木弔とステインの接触と、ステイン編終了についてです。
 
 感想で言い当てられてましたがステインはフォルゴレを襲撃しまさした。フォルゴレはガチヒーローファンからは嫌悪される存在なのです(あと現役プロヒーローからも)。
 ぶっちゃけ最後のオチの為だけに一話丸々使いました。
 前話でも述べましたが作者はステインが苦手です。その思想にはアンチ意見が絡む、書いてて熱くなるが楽しくないからです。
 また他の名作二次創作にてステインについて繊細に深く触れてるので、自分ではそんな風には書けないのでこんな決着にしました。
 また、成二にはステインの思想が欠片一つ響かないという理由もあります。
 クリアという、粛清思想の極みという存在から魔物達の為に戦い抜いたのは伊達ではありません。
 フォルゴレがステインに勝てるのか?   
 という点ですが、彼って魔物の呪文やら攻撃を何発も直撃しているんですよね。また外国人であることからナイフやら拳銃の対処には手慣れてもいます(日本のヒーローが遅れを取るのは日常的にナイフや拳銃に慣れてないのもあるかと)。
 なので普通に勝てました。
 本を燃やされたら終わりな戦いの経験から、触れずに戦う経験もありますので。
 
 長く語りましたが、次話からは職場体験編です。
 死柄木弔君はドンマイですね。
  
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