金色のガッシュを終えた俺のヒーローアカデミア   作:規律式足

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 緑谷出久君は弟が受験に参加していることは母から聞いていて探そうと思っていたけど、女子(麗日ちゃん)と喋っちゃった(喋ってない)インパクトでコロンと忘れてしまいました。
 男の子だから仕方ないね。
 ちなみにかっちゃんから見た緑谷成二は個性のやや強いモブ程度で存在を殆ど忘れています。
 盆や正月などは成二が来るのではなく、引子さんと出久君が田舎に行っていたので。



第二話 呪文って個性で模倣したら全部必殺技になるよね。ちなみに俺の必殺技は百八式まである。

 

 実技試験をプレゼント・マイクがサクッとプレゼンしてくれた後、俺達受験生はAからGに割り振られたグループに移動する。

 移動中に兄である緑谷出久と幼馴染の爆豪勝己を見つけたが声をかけることもなく、正確にはガチガチに緊張する兄に声をかけられなかっただけだがバスへと向かった。

 ただあまりに不利な試験に清々しい表情となったマスタードは心配だったので近寄ったのだが、「俺の散り様を見届けな」と親指を突き上げていた。

 不合格と決まったわけではないと思うが、自身の身体能力的に不可能だと悟ったのだろう。

 まあ割り当てられたグループが違うから見届けるのは無理なのだが、せめて良い結果に終わるよう祈っておこう。

 学園の敷地内であるにも関わらず、試験会場にバスに乗り込んで移動。

 そのスケールの大きさに圧倒されていると、横に座った女子に声をかけられた。

 

「さっきの穏やかな表情したヤツって友人なの?」

 

 ツリ目が特徴的な美少女。

 耳たぶがプラグの形をしているのは、それが個性によるものだろう。

 さっきの俺とマスタードのやり取りが気になったらしい。

 

「友人、というほどの付き合いはないかな?」

 

 なにせ会うのは三度目。

 あの魔界の王を決める戦いで、敗北しパートナーと別れた者で関わり続けた者は少ない。

 事態の危険度を理解し、助力のできるアポロとナゾナゾ博士、あとはせいぜいトガとトウヤくらいだろう(下手な魔物よりも実力がある為)。

 

「いやさ、試験前なのにあんな穏やかな表情だから、本人に余裕があるのか、緊張を解す方法を知っているのかと思ってね」

 

 なるほど。

 彼女の言葉に俺は納得した。

 確かにマスタードの菩薩のような表情はそう誤解しても仕方ない。

 周りを見渡せば、不安そうに貧乏ゆすりする者、サポートアイテムをガチャガチャ確認する者、爪を噛む者、人の字を書いて呑み込み者、人形をママと呼んで話かけ続ける者、とストレスの末期者だらけだった。

 

「いやアイツに関しては、諦めの境地で「もうどうにでもなーれ」状態なだけなんだよなあ」

 

 どうしてそうなったのか訊かれたので、個性がロボット相手だと不利だとだけ伝えた。

 本人不在時に個性について語るのはマナー違反だからぼかすことが必要なのだ。

 

「そ、それはまたなんとも。

 ウチはまだマシな方なんだ」

 

 耳たぶのプラグ。

 それが音、すなわち振動に関連する個性ならば有利とはいえずとも不利ではないからな。

 少なくとも、生物の意識・感覚、生理現象や神経に作用する個性よりかは遥かにマシだろう。

 無個性や生身の身体能力でロボット破壊など普通なら不可能なのだから。

 ・・・・・・・・・とある高嶺清麿さんならなんとかなりそうで怖いな。

 彼なら周りの資材から即興で破壊道具やら罠を作り出しても驚かない。

 

「ま、緊張して身体が縮こまると全力だせないからリラックスしとくべきだな。

 ロボットと戦うなんて普通はできない体験なんだから勉強するとか、楽しむ気分でな」

 

 個性は基本的に使用してはいけない。

 ゆえに個性で戦う経験など、それこそ貴重な機会なのだから。

 真面目な人なんかは、ヒーロー科に入学して初めて個性で人を攻撃したという話もある。

 ヒーロー一家生まれ、爆豪勝己みたいな性格、俺みたいな事情がない限り、個性を戦闘で使い慣れるわけがないのだ。

 

「その言葉で少し楽になったよ。

 ウチは耳郎響香。

 もし合格したらよろしくね」

 

「俺は緑谷成二。

 お互い頑張ろう」

 

 俺は隣の席になった彼女と握手をして実技試験へと臨むのであった。

 なお、俺が席をたった後に彼女が「初対面のイケメンに話しかけて握手とか、端から見たら逆ナンじゃん」と顔を真赤にして悶えていたとか。

 

 

 市街地を再現した実技試験会場。

 魔物の戦いで古代都市やら遺跡、ファウード体内を踏破した経験があっても学園敷地内にこんなものがいくつもある事実に度肝を抜かれる。

 耳郎響香以外に知り合いの居ない会場。

 相棒のいない訓練以外の初の戦いに気合が入る。

 門を潜り、高い壁でグルリと覆われた会場内に受験生が全員入り終わるが、まだ開始の合図はならない。

 すこしばかり戸惑うように全員がぼんやりとしてしまうと、

 

「ハイスタートー!」

 

 とプレゼント・マイクの軽い言葉が放送された。すぐさま反応し獲物を探しに走りだした俺とは対象的に大半の受験生は呆気に取られていた。

 

「どうしたぁ!?実戦じゃ〜〜〜」

 

 試験官による尤も過ぎる言葉を聞きながら俺は見つけたロボットへと個性を使用する。

 

「フレイ!!」

 

 息を吸い込み口内に火花を散らして発生した炎を吐き出す。

 父から遺伝した個性である口から吐く炎だ。

 皮膚から炎を発生させるトウヤとは違い、口内に発生することで肺活量が重要になる不便な個性だ。

 炎に呑まれた仮想敵・ロボットは鉄が溶解するような火力でないが、それでも容易く破壊できた。

 その材質は見た目に反して鉄ではなく強化プラスチックの類なのかもしれない。

 続けてガシャンと破壊音をしたのでそちらに顔を向けて、俺は口径を絞り炎を吐く。

 

「フレイガ!!」

 

 フレイが炎の息ならば、フレイガは炎のレーザー。吐くイメージを変えて放てばそれは技となる。

 魔界の王を決める戦い。

 同じ炎使いであった相棒。

 魔本に記された呪文は全て炎系であったがゆえに、呪文をイメージして個性を使う。

 ただそれだけで、個性を使用するだけとは異なる必殺技となるのだ。

 

「「「標的補足!!ブッ殺ス!!」」」

 

 だが俺の個性は、炎を吹き出す、だけではない。

 何故俺の両手が肘まで包帯で覆われているのか、それだけで突然変異個性などではないだろうという点だが、

 

「火炎造形(ファイヤーワーク)

 ソルド・フレイガ」

 

 吐き出した炎を握り締め剣へと形を変える。

【火炎造形】

 それが俺の個性。

 手に触れた炎の形を自在に作り変える力。

 一斉に襲いかかる仮想敵共を纏めて真横に切り捨てる。

 口内やら喉とは違い、熱の耐性がそれほどではなく触れる度に皮膚が焼けてしまうのが難点ではあるが、自分の吐いた炎以外にも干渉できる便利な力だ。

 コレに遺伝した個性を合わせることで俺は、かつて相棒と使った呪文を必殺技として再現できるのだ。

 いやまあそれだけではなく、格好良かった他の魔物の技もアレンジして再現したけどな、アースの呪文とか。

 魔物の呪文は一定の法則があるから、形状を認識するのに便利なんだ。

 いくら再現したとはいえ威力は次元が違う程に差があるが、それでもヒーロー活動、ヴィラン相手には十分通じるとは思う。

 

「さて、やるか」

 

 魔物との戦い。

 持ち主は自身の本を焼けないという特性を利用(悪用)して全身を炎に包んでは魔物に特攻したんだよな(なお相棒のエンマはドン引きしていた)。

 息を吹き込んだペットボトルが破裂するほどの肺活量から生み出される炎を呪文の形へと作り変えて、俺は実技試験へと集中するのであった。

 

 

 BOOOOM!!

 多くの仮想敵を屠った俺に激しい破壊音が聞こえてきた。

 見れば複数のビルよりもデカい巨大ヴィランがそこにいた。

 ファウード、アシュロン、エリのパートナー、オウ系・シン系の呪文に慣れている俺には然程驚く程ではないが、アームですら乗用車以上で超大型重機のようなロボットは圧倒的な脅威だ。

 お邪魔ギミック、ドッスンのようだと説明された零ポイント敵はその姿を曝すのであった。

 周りを見れば全力で逃げ出す受験生達。

 中には腰を抜かして動けない者もいる。

 交通事故やら猛獣に襲われた時もそうだが、突然の危機に咄嗟に反応できず、動きを止めてしまう者は多くいるのだ。

 だから、

 

「ギール・ランズ・フレイガ」

 

 炎を大鎌のような鉾のような槍へと作り変えて、動けない受験生へと降り注ぐ瓦礫を弾き飛ばす。

 破滅の子クリアの呪文のアレンジだが、やはり格好良く、長柄で振り回しやすい。

 

「え?」

 

 助けられたことに驚く受験生。

 ボブカットの黒髪の女の子を通り越して俺は前へと、零ポイントヴィランへと駆け出す!!

 

「成二!!」

 

 聞こえた声は、悲鳴のような耳郎響香のもの。

 そこにはなんでそんなことをという疑問と、こちらの身を案じる優しさが混ざりあっていた。

 だけど俺は踏み出す。

 

「いつだって逃げる理由を探していた」

 

「いつだって進まない理由を探していた」

 

 夢を諦める理屈を。

 挫折を賢い選択であると正統化する論理を求めていた。

 挑戦することが、夢を目指さないことが、利益であると思い込むことで、出来なかった苦しみを、出来なかった痛みを感じない為に。

 だけど、

 

「それじゃあ、なにも掴めない!!」

 

 魔界の王を決める戦い。

 それは参加した俺達に痛みを与えた。

 魔物との出会い。

 別れることが決まりきっていた出会いは、最後まで残った、勝ち残ったガッシュと清麿にも、ブラゴとシェリーにも、別離の悲しみと涙を与えた。

 でも、

 それでも、

 あの日々を過ごした俺達は、掛け替えない「財産」を得て、笑って生きている。

 痛みがあるから得た「財産」を誰もが抱えて生きている。

 

「エンオウ・フレイガ!!」

 

 全力で吹き出した炎が、竜の姿となって零ポイントヴィランへと襲いかかる。

 ガッシュのバオウ・ザケルガのようなめちゃくちゃな能力はないけど、準最強クラスの必殺呪文。

 

「エンオオオオオオオ!!」

 

 え、吠えた?

 形だけを変えた筈の炎はかつて放った呪文のように、獲物へと吠えながら零ポイントヴィランのその身体を食い千切り爆散した。

 

 

 緑谷成二は、自身の個性に「心の力」が上乗せされている事実をまだ理解していないのであった。

 

 

「うん、なんとかなったな」

 

 ボシュウ、と熱を帯びた息を吐きながらその破壊の瞬間を見届け、同時に終了のアナウンスが響きわたった。

 脅威を跳ね除けられたこと。

 動けない受験生を助けられたこと。

 相棒との想い入れのある呪文を再現できたこと、それらのいくつもの事柄に満足し、俺は試験を終えるのであった。

 これだけやったら、結果はどうあれ悔いはない。

 そう思いながら。

 

 

 試験後、耳郎には無謀だと詰め寄られたり、助けた受験生の女の子には言葉少なげに礼を言われたりとアレコレあったが、そんなやり取りも、魔物関連以外の同世代の付き合いも悪くないものだった。

 

 なおどうみても美少女二人にまとわりつかれる黒髪イケメンの図だった為、周囲(男子)は舌打ちしまくっていたとか。





 補足説明。

 緑谷成二。
 外見 痩せていた時の母親似のイケメン。
 両手は肘まで包帯か長手袋を常につけている。
 個性発動の際に、炎に手を突っ込んでばかりいたので治りきらない火傷によりかなり凄い見た目になっている。某轟さん家が見たら顔が曇るレベル。

 個性 火炎造形(ファイヤーワーク)
 触れた炎の形を作り変える能力。
 ただ炎を生み出す口内とは異なり、普通よりやや高めの耐性しかないため普通に火傷する。
 炎系個性の天敵にもなりうるが、高火力だと触れた時点で手が焼け落ちる。
 痛みには慣れきってしまい気にしないが、端から見たらとんでもない状態。
 魔物との戦いでは、仲間から「流血の清麿」「火傷の成二」と真剣に心配されていた。
 そしてこの二人は何故か治るフォルゴレを、羨ましそうに怖いように見ていた。

 基本的にこの個性で呪文の形を再現して戦うのが、成二の基本スタイルとなる。

 
 耳郎響香ともう一人。
 好きな女キャラの為にフラグが、だって耳郎ちゃんは「あの歌」をネタにいじりたいので。
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