金色のガッシュを終えた俺のヒーローアカデミア   作:規律式足

37 / 61

 その頃のかっちゃん。

「フンッ、ステージより余計なお節介を優先するとは英雄とやらは偽善者だな」

 赤毛の執事のそんな吐き捨てるような言葉に巻き込まれた日本人の少年は言葉を返す。

「はっ、目が腐ってんのか?
 あの馬鹿は偽、なんかじゃねえよ」

「なに?」

「正真正銘の大馬鹿だ」

「ならばなぜお前はそんな男と共に居る?」

「知らねえのか?
 大馬鹿につきあって全力で踊るのは、不思議と気分が良いもんなのさ」

 ニヤリと笑う爆豪勝己。
 
 そんなことを言い合いながら機関銃構えるマフィア達から逃げるパルコ・フォルゴレ一行の姿があったとかなかったとか。
 



第三十六話 2人の英雄、再会。

 

 I・アイランドを見守るように立つセントラルタワーの一室にあるメリッサ・シールドの父にして、オールマイトのアメリカ時代のサイドキックにしてコスチューム及びサポートアイテム作成者であるデヴィット・シールド博士の研究室へと、オールマイト一行はサプライズ再会の為に向かっていた。

 少しばかり恋する乙女の暴走により一悶着ありはしたが、とりあえずは落ち着いた。

 諦める気など一欠片はないが、常に恋愛を優先するほど恋愛呆けなどしてないメリッサ・シールドが今はこのくらいでと引き下がったからだ。

 高嶺清麿の受難はまだこれからのようである。

 

「それで高嶺少年。君はどんな研究をしているんだい?」

 

 セントラルタワーまでなんらかの移動手段を利用したいところではあるが、オールマイトの知名度と人気を考えれば騒動が起こるのは確実。

 メリッサのナビの元、人目を避けて徒歩で移動をしていた。

 その最中、未だに名前と日本人であることと娘同然の親友の愛娘の想い人であること以外は知らない少年へとオールマイトは話しかけた。

 けっしてお見合いでの保護者役ではない。

 

「俺は考古学の研究をしています。将来的には未解明の遺跡の発掘と調査を主にやるつもりですね」

 

「考古学ですか?」

 

 その高嶺清麿の言葉に驚いたのは緑谷出久だ。

 考古学自体をよく知りはしないが、それでも知りうる限りの知識とイメージからこの個性研究、サポートアイテム発明の最先端の場所であるI・アイランドと関係があると思えなかったからだ。

 

「デク君、関係ないかと思うだろうけどそうでもないのよ」

 

 メリッサは緑谷出久のヒーロー名・デクの名で緑谷出久を呼ぶ。

 それはヒーローコスチューム着用時の者へのマナーのようなものだからだ。

 

「そうなんですか?」

 

 考古学と遺跡発掘。

 地面や山を掘り起こし、発見した土器や遺骨などを調査する。そんな漠然としたイメージしかないが、そこに最先端科学のI・アイランドとどう関係しているのだろうか。

 

「I・アイランドは何も発明したサポートアイテムをヒーローと政府だけに提供しているわけではないんだ。民間、各企業の要望を受けて作り出すことだってある」

 

 人工島I・アイランドは独立した科学者達の島。されど完全に孤立しているわけではなく、様々な機関や国家、企業との関係があって運営できている。

 個性研究こそが現在の科学者において最優先事項であり、それゆえ個性を最も扱うヒーローとの繋がりが重要となるが、それだけではないのだ。

 

「例えばだが、遺跡の発見。

 未発見の遺跡などは、今までは遺された伝承や口伝を頼りにその場所に赴き発掘や探索をして発見していたが、現在では探索に特化したドローンで発見できる場合があるんだ」

 

 小型飛行機械であるドローンの進化。

 それは記録、撮影、調査、運搬、戦闘、など様々な分野で活躍している。

 国家全体でもあらゆる運用がされている中で、民間・個人でも見たことのない景色を見る為に使用する場合だってある。

 そしてその結果、未踏の山奥の遺跡を発見するなどの事例があるのだ。

 

「それに古代文字の解読や翻訳にはやはり高性能なパソコンの力を借りる必要があるからな」

 

 高嶺清麿がアンサートーカーを常に発動させていればその必要はない。  

 しかし、いくら戦いの最中の生命の危機にて目覚めた力とはいえ常時発動してられる異能力ではない。

 それが出来るのは、その為に幼少期から何年も時間を掛けて研究及び調整と訓練を施されたデュフォーのみである。

 使おうと思えば使える。

 だがその負担から戦闘時のみにと使用を制限しているのだ。

 そうでなければアホになるビンタにより使用自体が出来なくなる可能性が高い。

 

「それにね、個性そのものが遥か古代から存在した、という説もあるの」

 

 各神話、各王朝の指導者が超常の力を振るったという伝承は世界中どこにでもある。

 それらは信仰と王権を集める創作だと考えられていたが、現代の人類が得た個性の存在により、古代から僅かではあるが存在したのではないかという説が生まれたのである。

 

「そんな説が」

 

「ま、ロマンの類ではあるけどな」

 

 考古学という過去の探求は学術的には最もロマンが強いものと言える。

 考古学から現代の発展へとは直接繋がりはしないからだ。

 しかし高嶺清麿には考古学自体の思い入れ以外にも研究する理由がある。

 

「(それに個性が魔界由来の力の可能性もあるんだよな)」

 

 人間界と魔界の関わりは原則的に、千年に一度の魔界の王を決める戦いのみだとされている。その戦いの痕跡は戦いが終わり次第、『本』が無かったことにしていた。

 だが千年前の魔物達が封じられた石版のように完全ではなく、人間界にて発見される遺跡に魔物や魔界を示すものもいくつかあるのだ。

 かけがえのなき友、パートナーであるガッシュ・ベルとの再会。

 その手がかりは古代遺跡にある。

 だからこそ高嶺清麿はあらゆる技術を身に着けて、遺跡調査、発掘へと活用しようと考えているのだ。

 

「けどまあ、いくら最先端の装備やサポートアイテムがあっても、一番重要なのは現地の人達の協力だ。彼らの協力を得る為の人付き合いとコミュニケーションが遺跡発掘では欠かせないのさ」

 

 考古学、遺跡発掘において大切なことはそこである。人類の足跡を調べる研究ではあるがその理解を得るのは難しい。

 なにせ調べる場所によっとは人手を集めることが困難であり、調べる場所が現地民の聖地や禁足地である場合も珍しくないからだ。

 その上で実行するには研究者本人が現地民と友好的な関係を築くしかない。

 そしてかつてその天才的頭脳により周囲から孤立していた高嶺清麿はガッシュ・ベルとの出会いにより、また多くの戦友を得たことで、他者と関係を築く大切さを知りそれを可能とするコミュニケーション力を得ているのだ。

 

「フフ」

 

「オールマイト?」

 

 そんな事を語る高嶺清麿を見てオールマイトは笑い声を零してしまった。

 

「いや、メリッサが彼に惹かれるのも納得だとは思ってね」

 

「そうでしょ?」

 

 高嶺清麿の姿。

 その研究に一身に打ち込む姿勢はオールマイトにとってはよく見慣れていたものだ。

 分野こそ違えでも親友であるデヴィット・シールドとそっくりだったからだ。

 

「清麿みたいに一途に研究する人なんて、私もパパ以外は知らないわ」

 

 父に似ているから興味を持った。

 接しているうちに目を離せなくなった。

 その隣で夢を支えたくなった。

 メリッサ・シールドは今は亡き実母と同じように研究バカな男に惹かれてしまったのだ。

 

「・・・・・・・・・そこまで一途ではないんだがな」

 

 研究は好きだ。

 父と同じ分野を学ぶのは誇らしい。

 過去の足跡を未来に伝えるのは意義があると思うし、それが人々に知れ渡るのは価値ある行いだ。

 けれど、高嶺清麿にとって一番の目的とは。

 

「(お前と再会したいからなんだよな)」

 

 パートナーとの再会。

 そこにあるのだろう。

 

「凄いなあ」

 

 そんな高嶺清麿の姿に緑谷出久は尊敬の念を抱く。彼もまた自分の夢・ヒーローになる為に着実に歩んでいるが、高嶺清麿はその遙か先に居るように見えたのだ。

 

「そろそろセントラルタワー。

 マイトおじさま、パパを驚かせてあげましょう」  

 

「ああ、勿論さ!!」

    

 

 ガランとした研究施設。 

 数年来の研究の結果はあまりにも無惨なものであり、その虚しい気持ちを逸らすように携帯に保存した懐かしい写真を男性は眺めていた。

 輝かしい若き時代。 

 デヴィット・シールドはその輝きが未来永劫続くように足掻いて足掻いて足掻いていたのだ。

 だが、現実はその足掻きを・・・・・・。

 

「彼ともう少し早く出会えていれば変わったのかな?」

 

 優れた頭脳を持ちつつも自身よりも視野の広い少年の姿を脳裏に描く。

 彼があの場に居れば、あるいは上層部を説得できたのではと思わずにはいられない。

 

「いや、もはや詮無きことか」

 

 助手の手助けにより目的は果たせる。

 世間にアレは広まることはなく、真に渡したい者へと届けられる。

 ならば良いではないか。

 デヴィット・シールドはそう強引に自身の感情に抑え込みのであった。

 

「I・エキスポ中は休校では?」

 

「自主的に研究しているんだよ」

 

 助手であるサムと会話しながら娘についても考える。せっかくの休みだから彼とデートでもすれば良いのにと内心で零しながら。

 

「だってパパの娘ですもの。似ちゃったのね」

 

「メリッサ」

 

 苦笑しながら答えたその時に入口から愛娘の声が聞こえた。

 

「どうも博士」

 

「清麿君もか」

 

 現れた2人は顔見知りであるサムに挨拶をしながら片付け中の研究室へと足を踏み入れた。

 

「どうしたんだい2人とも?」

 

 研究に夢中になりがちな2人がわざわざ来てくれるのは嬉しいとデヴィット博士は思う。

 しかし訪ねる理由に心当たりがなかった。

 

「私ね、パパの研究が一段落したお祝いに、ある人に招待状を贈ったの」

 

「ある人?」

 

「パパの大好きな人よ」

 

 そう言ってメリッサと清麿は両側に演出するように離れ、入口から一人の男、否、ヒーローが現れた。

 

「私がぁぁぁ、再会の感動に震えながら来た!!」

 

「トシ・・・・・・オールマイト・・・・・・!?」

 

 オールマイトを本名で呼ぶ人物は世界中でもごく僅か。八木俊典、その名を呼ぶ時点でデヴィット・シールドとオールマイトの関係の深さがわかるというものだ。

 

「HAHAHA!わざわざ会いに来てやったぜ、デイブ!」

 

 そしてノーベル個性賞を受賞した世界的に有名な科学者であるデヴィット・シールドを愛称で呼ぶ人物もまたごく僅か。

 2人の関係はまさに親友と言える。

 

「どう、驚いた?」

 

 サプライズ成功。

 メリッサの顔にはそんなやり遂げたという表情が浮かんでいた。

 

「ああ・・・・・・驚いたとも」

 

 そんな博士の想いは言葉となって溢れ落ちた。

 

 オールマイトとデヴィット・シールドの数年ぶりの再会。

 それを高嶺清麿は羨ましいと思いつつも心から祝福するのであった。

 オールマイトはそれから同伴者として誘った緑谷出久を紹介し、それから2人で積もる話があるからとメリッサ達をI・エキスポの案内に、助手のサムにも休みを与えた。

 ここからはオールマイトの秘密に関わる話だからだ。

 

 

 と、その前に。

 

「ところでデイブ。高嶺少年とメリッサの関係についてだが」

 

「フッ、娘ももう立派なレディ。

 男親が口出すことではないよ。清麿君ならば不満はないしね」  

 

「流石はデイブ。

 私なんてオロオロしてしまったよ」

 

「それにね・・・・・・」

 

「それに?」

 

「メリッサは若き日の妻と同じ目をしていた。

 経験者としては、清麿君には諦めろ、としか言えないよ」

 

「それが本音か親友っ!!」

 

 デヴィット・シールドの結婚の経緯。

 どうやら亡き妻君もまた押しの強い女性であったようだ。

 





 補足・説明。
 
 今話は高嶺清麿がI・アイランドに居る理由とデヴィット博士との再会までです。
 それだけで一話とか少しばかりゆっくり展開ですかね?
 個性と魔物の関係についてはどうするか未定です。でも考古学と関連つける説はありそうかなと。
 メリッサと清麿の関係について、デヴィット博士は認めているというか、諦めています。
 奥さんもかなり押しが強かったみたいです。

 次話にて清麿はようやく戦友と再会かな?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。