金色のガッシュを終えた俺のヒーローアカデミア   作:規律式足

39 / 61

 その頃のかっちゃん。

「俺が来た!!」

 二メートルを超す筋肉質な巨漢さらには金髪とこのセリフとくれば、誰もがあの偉大なヒーローを連想することだろう。
 しかしその人物、否、怪人を見てオールマイトと呼ぶ者は一人としていないだろう。
 目の色が異なるから? 否。
 声の質が違うから? 否。
 纏う雰囲気がおかしいから? 否。
 ならばなぜなのか、それは。

「俺こそは、
 平和の象徴オールマイト、
 イタリアの英雄パルコ・フォルゴレ、
 二大英雄を合わせた究極の英雄!!」

 右半身をオールマイト、
 左半身をパルコ・フォルゴレ、
 両者を正中線から2つに分け、強引にくっつけたかのような異貌だったからだ。

「フォルゴ・マイトだっ!!」
 
 半身ずつ正面に見せて強調してから、その名を高らかに名乗るのであった。

「アシュラ男爵かテメェエエエエエ!!」

 無論、両英雄の大ファンである爆豪勝己は一瞬でブチギレ、怒りの叫びをあげるのであった。

「そういえば、ゴリーニ・ファミリー首領の倅が引き籠もりをやめて珍妙な格好でヴィジランテをしだしたと風の噂で聞いていたが、アレがそうか」

 呆気に取られたドン・ピッツァはそんな呟きをこぼしていた。

 
 こんなことがあったりなかったり。




第三十八話 2人の英雄、事件開始。

 

「ここが私の通うアカデミーの校舎。そしてここが私が使っている研究室、散らかっててごめんね」

 

 レセプションパーティーの準備の為に解散した緑谷出久一行。

 しかし、お茶子達の宿泊するホテル前で別れた緑谷出久はメリッサ・シールドにすこし付き合ってもらえないかと声をかけられた。

 さきほどまでのやり取りで彼女と2人で行動することに若干怖気づいていた緑谷出久ではあるが、生来の押しに弱い性格ゆえに断りきれず了承してしまった。

 沢山の資料と本格的な実験機器に囲まれた雑然とした研究室。

 まだ学生の身でありながら個人で研究室を使えるのは、父の威光が理由ではなく彼女自身の実力によるものだろう。それを示すように資料棚の上にはたくさんのトロフィーや盾が無造作に置かれていた。

 部屋の奥、研究成果や試作品のしまってある倉庫へと入る彼女の隣に高嶺清麿はいない。

 彼とはアカデミー前で別れ、今頃は正装の用意をしているのだろう。

 

「デク君と二人きりになるんだけどなあー(チラッチラッ)」

 

 と別れ際にメリッサは清麿にアピールをしていたのだが、天才的な頭脳を持つが幼少期より漫画やドラマなどではなく外国の学術論文や医学書を読み耽ってきた彼にそのようなアピールが通じるわけもなく、「なら安心だな」と彼は言って去って行った。

 彼女の事を心配して自宅まで送り届ける甲斐性はある清麿だが、出久がいるならば大丈夫だと判断したのだろう。緑谷出久のヒーローらしさは双子の弟である成二から何度も聞いていたからだ。

 

「デク君はあんなことしちゃ駄目よ」

 

 ここは二人きりさせないために食い下がる場面だろうに不満になるメリッサ。

 だから緑谷出久には同じことをして麗日お茶子を怒らせないようにと助言した。

 

「いや僕と麗日さんはそんな関係では」

 

 緑谷出久にとって麗日お茶子は人生ではじめて親しくなった女子ではあるが、あくまで友人関係であり色恋沙汰などにはなっていないのだ。

 

「そうかしら?」

 

 その返しに緑谷出久も高嶺清麿と同じタイプなのかと首を傾げるのであった。

 

「それでなんの用事なんですか?」

 

「渡したいものがあるの」

 

 倉庫から箱を持ってきながら彼女は言う。

 緑谷出久と初めて会った時に彼女は彼の着ているコスチュームと身体を満遍なく観察した。

 そしてその時に手に内部から自壊したような傷があることを確認したのだ。

 同時に清麿と二人で視聴した雄英体育祭を思い出した。凄まじいパワーと引き換えに自分の身体を破壊していく緑谷出久の姿を。

 I・エキスポの体験型アトラクションをやっていた時は自壊しないで個性を引き出せるようにはなっていたが、体育祭ほどのパワーは発揮できてなかった。

 それを見たからメリッサは、自身が開発したサポートアイテムを渡そうと決めたのだ。

 

「これはフルガントレットと言って、マイトおじさま並のパワーで拳を放っても3回は耐えられて使い手の負担を軽減できるサポートアイテムよ」

 

 取り出した細いベルトのようなものはスイッチを押すと腕と手に巻き付き、バンテージのようなグローブになる。

 個性を発動して身体が自壊するのは個性で発生したエネルギーが体内に留まり肉体が耐えきれないから。

 だが身体にピタリと張り付くこのサポートアイテムならばそのエネルギーを肩代わりできる。

 すなわちフルカウルのセーブした拳ではなく、体育祭での自壊パンチを自壊せずに放てるのだ。

 

「そんな、こんな凄いものを貰えませんよ!」

 

「良いのよ」

 

 緑谷出久にとってはありがたいサポートアイテムではある。しかし必要そうだからといって貰って良いものではないと思ったのだ。

 

「ヒーローをサポートする。

 必要とする人の手助けをする。

 それが私の目指す存在だから」

 

 メリッサにとって一番のヒーローは父であるデヴィットだ。

 彼は柔らか指というヒーローには到底なれない個性だった。 

 だが彼はヒーローに成らずともその発明品と研究成果でヒーローを支え、ヒーローのように他者を救っている。

 そんな父にメリッサは憧れていて、そんな父のようになりたくて勉強を頑張り研究をしてきたのだ。

 

「だから使って欲しいの」

 

「はい!」

 

 渡された物は研究成果の試作品などではない。ヒーローを目指す自分への応援なのだと理解した緑谷出久は姿勢を正して力強く返事をした。

 

「でも、僕ではなく成二にも」

 

 傷を負うのは自分だけではない。

 また成果を出しているのは弟も同じで、緑谷出久は意識しているのもありついそんな事を言ってしまった。

 

「確かにカンフーを使うから必要かなと思ったけど、彼の場合は熱耐性の方が重要みたいなの」

 

 緑谷成二の戦闘スタイルだが確かにカンフーを使って殴打もするが、メインは個性である火炎造形。

 またパワーも個性による強化などない鍛えた身体なので自壊するほどの威力を出すこともない(また発勁の類とフルガントレットは微妙に噛み合わない)。

 それらの理由から緑谷成二ではなく、緑谷出久に渡したというわけだ。

 

「そうなんですか」

 

 その説明に緑谷出久は納得するのであった。

 

「さ、私のせいで遅れてしまったけど遅刻しないように着替えにいきましょう」

 

「ですね」

 

 遅刻は厳禁。

 遅れてしまえば生真面目な委員長である飯田天哉にしこたま叱られてしまうだろう。

 緑谷出久は急いでホテルへと向かうのであった。

 

 

 

 セントラルタワー7番ロビー。

 待ち合わせのその場所に緑谷出久は慌てた様子で到着した。

 すでに男子は全員集合していた。 

 バイトの為にI・アイランドに来ていた峰田実と上鳴電気は正装を用意して居なかったので、借りているバイトの先の制服になんとか調達してきた上着を羽織っていた。

 

「ごめん、遅くなって」

 

「まったく団体行動をなんだと思っているんだ君は!!」

 

「着慣れない服だから時間はかかるって」

 

「女子もまだだしね」

 

 遅れた緑谷出久を叱る飯田天哉、彼を高嶺清麿と緑谷成二がなんとか宥めようとする。 

 

「ごめん、遅刻してもーたぁ」

 

 すると可愛らしくも大胆なドレスに着替えた麗日お茶子が現れ、上鳴電気と峰田実は「おお〜っ!!」と興奮し、緑谷出久は「は、はだっ」と彼女の肩の出たドレス姿を見て頬を赤らめて硬直してしまった。

 そんな緑谷出久の反応に麗日お茶子も恥ずかしくなり顔を俯かせて固まる。

 

「なんか初心同士で微笑ましいっスね」

 

 筋肉質で大柄、さらに坊主頭でスーツ姿であることから護衛やらSPのように見えるイナサはそんな2人をほっこりとした気持ちで見ていた。

 こんなラブコメならば彼は大歓迎なのだ。

 

「うう、ウチはこういうカッコは・・・・・・」

 

「? とても似合って素敵だよ耳郎さん」

 

「はうわっ!?」

 

 さらに到着した八百万百の大人っぽいエレガントなドレス姿に上鳴と峰田がテンションを上げながら見る傍らで、こんな格好自分には似合わないと気にする耳郎響香へと緑谷成二は素の表情のまま褒めていた。

 

(アイツはその内刺されるな)

 

 この場に耳郎響香と同様に緑谷成二を慕う小大唯がいないことを夜嵐イナサは神に感謝した。

 女性は似合うと言われると喜ぶが、褒められるのが自分だけではなく、さらに同じ言葉を使われると不機嫌になる。

 

(なんで色恋沙汰と縁のない自分が女心に詳しくなるんスか)

 

「えへへ」

 

「???」

 

 ご機嫌な様子で自分に寄り添う耳郎響香の姿に首を傾げる緑谷成二。

 双子なのにずいぶん違うなとイナサは思うのであった。

 

「デク君たち、まだここにいたの?パーティー始まっているわよ」

 

「真打ち登場だぜ!!」

 

 その時、自動ドアが開きメリッサがやってきた。彼女のドレス姿に上鳴たちは本日一番の反応をする。

 

「それはそれとして、

 どうかしら清麿?」

 

 似合ってる?とわざわざ清麿の前に来てターンしてみせるメリッサ。

 

「ああ君にピッタリだよ」

 

「恵さんのステージ衣装に似て(もがもが)」

 

「黙ろうかお前」

 

 目を逸らしながら言う清麿の感想に喜ぶメリッサ。直視できない程度には意識されているという事実が彼女を喜ばせたのだ。

 そして素直にコメントする成二をイナサは羽交い締めにした。

 和気あいあいとした空間。

 しかし、今日この夜。

 楽しかった時間はここまでだった。

 

 

『I・アイランド管理システムよりお知らせします。警備システムによりI・エキスポエリアに爆発物が仕掛けられたという情報を入手しました』

 

 島内に流れ出す放送。

 それが事件を少年達を巻き込む引き金となる。

 





 補足・説明。
 
 フォルゴ・マイト。
 劇場版ボスの一人である勘違いおじさん。オールマイトとパルコ・フォルゴレ、尊敬する二大英雄のどちらになるべきか悩み抜いていたその時、自室にあった漫画を読んでコレだと思い到った(パクリ)。
 コイツの部屋に永◯豪作のマジ◯ガーZを置いたヤツは誰だ。
 何が酷いかって普通に強い事が一番の問題。
 現在はフォルゴレの影響から部屋を飛び出してヴィジランテ活動中。コメディアンや俳優を目指したりもした外見が権利問題で無理ですと断られた。

 ゴリーニファミリーの首領の倅。
 世襲制ではなく幹部会の合議で首領が決まるため、跡取りではなく首領の倅。
 当代首領はストレスで倒れかけたが、ファミリーの為に胃に穴を開けながらも頑張っている。
 いつオールマイト事務所とフォルゴレ事務所から権利問題で裁判されないかとヒヤヒヤしている。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。