金色のガッシュを終えた俺のヒーローアカデミア   作:規律式足

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 その頃のかっちゃん。

「ふん」

「はあああ!!」

 ドン・ピッツァの放つエネルギー弾とフォルゴ・マイトが錬金した巨大腕がぶつかり合い、歴史ある古都を揺らす。
 両者の戦いは直撃せずともその余波だけで周囲を破壊するほどだ。
 そんな欧州最強格の戦いを見た爆豪勝己は、

「ネタキャラみたいな名前とナリで、テメェらとんでもなく強いのかよ!!」

 とりあえず誰もが思うその言葉を叫んだ。

「当然だろう、ブラザー。
 ドン・ピッツァはかつてその武力により欧州の闇を統べた十人のゴッドファーザー、通称十首領【TENNDON】が一人。
 その火力はナポリの活火山が如しだ」

「なんで通称をテンドンにしたとか気になるが、それよりも誰がブラザーだ」

 火力自慢の爆豪勝己ですら霞む圧倒的なエネルギーに、戦闘向けの個性ではないジュリオはアンナを抱えて逃げ惑うしかない。

「流石は生ける伝説。
 次代の象徴たる俺とブラザーの連携であろうとこのままでは厳しいな」

「だから待て誰がブラザーだ」

「連携はしてたがな」

 ドン・ピッツァの攻撃を錬金にて受け止めるフォルゴ・マイト。爆豪勝己はそのぶつかり合いの隙を爆破による高速機動にて掻い潜り攻撃をしていたのだ。

「この程度か小僧共。
 引退した老いぼれ一人倒せずして英雄を気取るか、これではその娘を守り切ることなどかなわんな」

 フレイムヒーロー・エンデヴァーに匹敵する火力を放つゴッドファーザーを前に、爆豪とジュリオはなんとかアンナだけでも逃がそうと必死に頭を回す。
 だが絶え間なく放たれるエネルギー弾を前にそんな余裕などありはしない。

「フッ、確かに俺たちではまだ足りない。
 だが此処にはもう一人、英雄がいるんだぜ」

 ニヤリと笑うフォルゴ・マイトにドン・ピッツァは冷たく言い放つ。

「戦艦をも粉砕する我がピッツァ波導が直撃したのだ、パルコ・フォルゴレであろうと最早立つことなど不可能だ」
 
「いいや」

「それは違うなメタボ爺」
 
「「どれだけ傷を受けようと、どんなに敵が強大だろうと、それでも立ち上がるから彼(あの馬鹿)は英雄なんだよ」」
 
「さぁ!人々よ、共に歌おうかっ!」

「歌えばあの馬鹿は立ち上がる!」

 フォルゴ・マイト、爆豪勝己の声にジュリオとアンナが、周囲の人々が歌いだす。

「「「「鉄のフォルゴ〜レ、無敵フォルゴ〜レ」」」」

 ガラリと音が鳴る。
 一つになった人々の意思。
 その想いは、英雄を呼ぶ声は、
 彼の元へと必ず届くのだから。

「待たせたかな?」

「フッ、待ちわびたぞ英雄よ」

「サッサと倒してコンサートだ大馬鹿」

 並び立つ三人の英雄。
 その姿にかつての栄光【TENNDON】を思い出し、ドン・ピッツァは笑う。
 同時に復活するであろう闇の帝王オール・フォー・ワンに備えて力を求める必要などなかったのだとようやく理解した。

「来い小僧共!ワシを超えてみせろ!!」

 ならば壁となり立ち塞がるのみ。
 ピッツァ波導を己が周囲に展開し、老人は生涯最後の戦いへと臨む。

「超える為じゃない守る為に戦うのさ」

「これがフォルゴ・マイト伝説の始まりだあ!」

「超え殺したらぁ!!(ヤケクソ)」
 
 ゴッドファーザーの威圧と火力、それは噴火する火山に対峙しているようもの。
 だが彼ら臆すことなく足を踏み出した、抱く想いは違っても打倒する敵と、その先に広がる景色・ゴールは同じなのだから。

 その光景をジュリオとアンナは、人々は生涯忘れることはないだろう。
 その最後の激突は、大地に太陽が生まれたようだった、と語り継がれることになる。


 と、こんなことがあったりなかったり。



第三十九話 2人の英雄、高嶺清麿による蹂躙。

 

 セントラルタワーの7番ロビーに閉じ込められた出久達はひたすらに戸惑っていた。

 携帯などの情報機器は遮断され、エレベーターも動かない。

 未来都市が如きI・アイランドが息を潜めるように沈黙している。

 

「爆発物が設置されただけで、警備システムが厳戒モードになるかしら?」

 

「いや、先日メンテナンスに参加したが人工島の心臓部であるエンジンや中枢部ならともかく、エキスポ会場ではあり得ない」

 

 何かが引っかかっているメリッサの呟きに、そのプログラム技術と頭脳を買われ警備システムのチェックをした清麿がおかしいと告げる。

 

「なにか起きてるんスか?」

 

「情報収集が必要だな。でも何処に」

 

 トラブルが起きたのは確定。

 だがそれが何処なのか土地勘無きイナサと成二には見当すらつかない。

 

「パーティー会場に行こう」

 

「ん?」

 

 出久が真剣な表情でそう言った。

 

「そうか、パーティー会場には世界各国のトップヒーロー達と、何よりもオールマイトがいる。

 お前ら雄英生には教師でもあるし指示を仰ぐべきだな」

 

「それにパパも指揮をとってくれる筈よ」

 

 如何に実力と将来性があろうともこの場にいるのはあくまで学生。

 年長者、目上の者に指示を仰ぎにいくのは当然のことなのだ。そしてデヴィット・シールドはI・アイランドでは発言力がある人物、責任者に代わり動いていてもおかしくはない。

 

「オールマイトがいるなら安心やね」

 

「もう対応をはじめてるかもしれねえしな」

 

 オールマイトという安心を与える存在、とりあえずの行動方針が決まり一同はホッと落ち着くのであった。

 

「メリッサさん、どうにかパーティー会場まで行けませんか?」

 

「非常階段を使えば、会場の近くまで行けると思うわ」

 

「じゃあ俺が行く。なんか嫌な予感がするしな」

 

「耳郎さん、念の為に清麿についていって貰えないかな?」 

 

「いいけど」

 

「俺も行くっス」

 

 道を知る清麿、音を拾える耳郎、機動力と制圧力のあるイナサ。

 非常階段までは全員で、パーティー会場にはこの三人が行くことに決めたのであった。

 

 

 

「マズイことになった」

 

 パーティー会場から戻ってきた三人。

 清麿が代表してその最悪の状況を告げる。

 パーティー会場はヴィランにより制圧され、トップヒーロー達はI・アイランドのセキュリティシステムにて捕縛されていた。

 会場には銃を所持するヴィランがいて警戒している。

 さらに拘束されたオールマイトから、タワーを占拠したヴィランに警備システムは掌握され、島にいる人々全てが人質となっている、そして自分達は逃げるようにと伝えられた。

 ヴィランの襲撃。

 A組の面々は雄英高校にて経験しているとはいえ、その事態に頭が真っ白になる。

 ヒーローという人々を助ける職業を目指そうと、彼ら彼女らはまだ学生。

 また精神的な支柱ともいえるオールマイトが拘束されたことで、何をしたら良いのかわからなくなってしまったのだ。

 だが、

 

「となるとやることは」

 

 彼らは違う。

 

「パーティー会場のヴィラン共なら俺と成二でやれるっス」

 

「ヒーロー達を解放できれば希望はあるが、問題は警備システムか」

 

「順序を逆にしよう、先ずは警備システムを取り戻して、それからヴィランを鎮圧してヒーローを解放」

 

「あとはデヴィット博士の救出だな」

 

 魔界の王を決める戦いを経験し、こういった事に慣れているパートナー組三人はサクサクとどうするか意見を出し合う。

 I・アイランドの警備システムを掌握され、トップヒーロー達が動けない。

 その程度のことでは、彼らを絶望させるどころか足を止めさせることすらできないのだ。

 

「なら問題は・・・・・・」

 

「待ってくれ!なぜ動こうとしているんだっ!ここはオールマイトの指示に従い脱出に専念すべきだ!!」

 

 解決する為に動こうとする三人を飯田が慌てて止めに入る。それは生真面目な本人の気質もあるが、何よりも仲間達の身を案じていた。

 

「飯田さんに同意しますわ。私達はまだ学生、ヒーロー免許もないのにヴィランと戦うわけには」

 

 飯田の言葉に八百万も頷く。自分も何かをしたいと思いはしても緊急事態ならばこそルールは遵守しなければならないと考えたのだ。

 

「脱出は無理だな、警備システムが掌握されてるから警備ロボに捕まるのがオチだ」

 

「外のヒーローに頼ろうにも辿り着けるかは疑問っスね」

 

 だが、オールマイトの逃げろという指示の方が実は現実的ではない。

 この人工島で警備システムを掌握されてしまえば安全な場所などなく、島外への脱出など不可能なのだから。

 

「かといって!」

 

「ウチは助けにいきたい。パーティー会場を実際に見たら何もしないなんてできないよ」

 

「おいおいオールマイトまでヴィランに捕まってんだぞ!オイラ達だけで助けにいくなんて無理すぎだって」

 

「いや、オールマイトを助けるだけなら今すぐできるから」

 

「俺と成二が連携したら一瞬っス」

 

 問題は警備システムを掌握され、島内の人々が人質になっていることだと成二は言う。

 

「ですから、私達はまだヒーロー活動を」

 

「だからって、何もしないでいいのか」

 

 子供たちの議論は煮詰まり、無為に時は過ぎていく。結局、全員の心は助けたい・何かをしたい、ではある。けれども仲間の身の安全と規律を破ることへの忌避、そして襲撃事件の被害体験が足を止めさせるのだ。

 

 

「落ち着けっ!!」

 

 パンっと大きく手を叩く。

 清麿はその話し合いの流れに一拍の間を作る。

 

「飯田君と八百万さん、君達には悪いが俺達は事態解決に動く、これは決定事項だ。

 俺は雄英生ではないし、治安部から緊急事態での対処は許されているんだ」

 

「しかし」

 

「ですが」

 

 食い下がる二人を清麿は宥める。

 他の誰かに頼る。

 それは間違いではない。

 けれど緊急事態において自らやらねばならない時もあるのだから。

 

「それにさ、俺達はヒーロー活動をするんじゃない。人助けをするんだ」

 

 高嶺清麿はヒーローに興味がない。

 それは彼の過去が原因だ。

 無個性でありながら優れた頭脳を持って生まれてしまったばかりに彼は妬まれ見下され、周囲から疎外されていた。

 そんなずっと孤独だった清麿を救ってくれたのは、ヒーローなんかではない。

 天才少年と呼ばれる彼に手を差し伸べたヒーローは一人としていない。

 原則的に民事不介入であり、また無個性を気に掛ける利点などないからだ。

 だから、

 声を掛け続けてくれたのは両親だ。

 気にかけてくれたのは植物園のお姉さん。

 邪険にしても寄り添ったのは同級生で。

 そして救ってくれたのは、

 常識知らずで泣き虫でバカで間抜けで、まっすぐで誰よりも優しくて強い、魔界の子供、最高のパートナーだった。

 

「色々足を止める理由があるのは理解できる。理屈なんて数え切れないくらい存在する。  

 でもな、それでも俺は助ける。ガッシュならそうするから俺もそうするんだ」

 

「スね」

 

「うん」

 

 パートナー三人は躊躇わない、足を止めない。ずっとこんな時に迷わず前に進んでいたから。そうしてきた自分達が、今はそうできる自分達の姿がパートナーとの絆であるのだから。

 

「「「「「!?!?」」」」」

  

 その言葉にヒーローを目指す少年少女は押し黙るのであった。

 

「で、でも清麿さんは個性が・・・・・・」

 

 出久が無個性がそんな危険なことをとその身を案じて言う。

 

「人助けに個性なんか必要ないさ」

 

「だね」

 

 あっけらかんとした清麿の言葉に、幼少期の出久の姿を思い出しながら成二は力強く頷く。

 兄も、出久も個性が発現してなくとも我が身を顧みずにそうしていたと誇らしく思いながら。

 だが、

 その言葉は、

 今の緑谷出久にとっては立っていられなくなるほどの衝撃を与えた。

 清麿と成二は、出久がワン・フォー・オールを受け継いだことなど知らない。

 それゆえ無個性なのに人助けをできるという言葉が、そして無個性であることを一切気にしていないことがどんな意味を持つのか。

 彼らは知らなかった。

 

「あ、あ」

 

「?」

 

 出久の反応に首を傾げ、清麿は事態解決の為に動き出した。

 

 

 

「とにかく警備システムをなんとかしないとっスね」

 

「それならここから端末でアクセスすれば最上階にいかなくても操作できるな」

 

「さっすが清麿」

 

 いくら監視カメラで見ていようと本職の警備員ではなく制圧したヴィランに全てのモニターの把握なんてできはしない。

 システムが発達しようと警備はモニター越しの目視にて行っており、異常を伝えるセンサーとブザーさえ誤魔化せれば膨大なモニターからピンポイントにこちらを見つけることなんてできないだろう。

 さらにヴィラン共が警戒しなければならないのは拘束したオールマイトとトップヒーロー達。

 どうしても意識はそちらにいってしまう。

 

「でも清麿、最上階は外部干渉を防ぐために接続されてないんじゃないのか?」

 

 警備システムによる干渉は最上階からの一方通行。コンピュータはハッキングとクラッキングを防ぐには物理的に切り離されているほうが確実なのだ。

 

「物理的に繋がってないなら、繋げばいい。

 整備ロボを操作して回線の一つでも結べばそこから侵入できる」

 

 セントラルタワーは広く、また人力では修繕整備できない場所も少なくない。ゆえに警備ロボと同様に整備用のロボやドローンも設置されているのだ。

 

「なるほど、そっちは俺がやっておく」

 

 携帯端末を素早く叩き、警備システムに侵入し書き換える。

 手を動かしているのは、清麿とメリッサそして成二の三人だ。

 

「・・・・・・凄」

 

 指の動きが目で追えないくらいに早い。

 最上階に行かずに近くから接続という清麿の行動に全員は無理だと思ったが、このまま上手く行きそうな流れだ。

 

「成二ってあんなこともできたんだ」

 

 I・アイランドにスカウトされて留学している清麿と、I・アイランドにて研究室を使用できるアカデミー生のメリッサならばまだわかる。

 しかし緑谷成二は雄英高校の一年にすぎない筈の彼が、さすがに二人には劣るもののサポートとして問題ないレベルで端末を操作していた。

 

「勉強したんスね」

 

「知識や技術は荷物にならない道具で武器だからな。できる限りあらゆることに手を出したよ」

 

「「「「「!?」」」」」

 

 その言葉は学生にしてヒーローを志す子供たちに突き刺さった。

 確かに雄英高校にて高偏差値レベルの勉強に励んではいる。

 けれどヒーロー科では、ヒーローは何よりも個性の技量を重要視し、どうしてもそれ以外の技術は二の次になりがちなのだ。二年三年ともなれば自分の目指すヒーローに合わせて専門的な技能を身につけるだろうが、一年の夏休み段階でここまでできる者は殆どいないだろう(八百万百の知識量は凄まじいが、道具の構成や組成が主で操作やプログラムまでは手が回っていない)。

 

「それに、ファウードの時みたいに清麿にだけ負担を押し付けたくないんだ」

 

 戦友だけではない空間で成二はつい本音を零してしまう。

 魔界の王を決める戦いの決戦の一つである魔導巨兵ファウードを巡る戦い。

 敵も味方も多くの魔物が魔界に帰ったその戦いは清麿が居なければ勝利できなかった。

 確かにパートナーが機械関連の特級呪物ではあったが、それでも言語もわからぬ魔界の装置とファウードの操作を清麿一人に押し付けてしまったことを成二は忘れることができなかった。

 

「・・・・・・自分が恥ずかしいっス」

 

 そんな成二を見てイナサは自分を恥じる。

 その時にパートナーをなくしたイナサはそれ以来、知識よりも強さと速さを重視していたからだ。

 

「・・・・・・何もできないのは辛いな」

 

「むぅ、しかし二百階まで駆け上がりそこからヴィラン鎮圧というのは現実的ではない」

 

「いくら走り込んでも無理やで」

 

「絶対途中で見つかるよな」

 

「人質にされたら目も当てられねえよ」

 

「・・・・・・・・・(ギュッ!)」

  

 トップヒーローならば人質をとるヴィランの対処は熟知しているだろう。だがまだ学生にすぎない彼らには荷が重すぎる状況だ。

 清麿が実行している手段は、なにかしたいヒーローの卵の役割がまだなかった。

 

「君達に頼みたいことがある」

 

 端末を見ながら清麿は言う。

 警備システムの改変はもうすぐ終わる、そうなれば後はタイミングが重要。

 

「頼みたいこと?」

 

「警備システムの改変が終わり次第、ヒーロー達は解放される。君達はヒーロー達が拘束解除と同時に動けるように伝えに言ってくれ」

 

 トップヒーローならば、あらかじめ意識していればたとえ銃を構えるヴィラン相手でも拘束解除と同時に殲滅できるだろう。

 だからこそ、伝えに行くことは重要なのだ。

 

「そしてイナサ」

 

「うス」

 

「デヴィット博士救出の為に足になってくれ」

  

 たとえどれだけ距離があろうとも、人質を二人も連れたヴィランにイナサが追いつけない筈がない。

 清麿は額に指を当てながらそう頼む。この仕草はアンサートーカーを使用することを示していた。

 

「ウマゴン代わりでさらにガッシュ役っスね。最高速度で飛ぶっス」

 

「なら、シン・シュドルクも使おう。そうすれば速さはさらに増すよ」

 

「乗る側の負担は考えてないな?」

 

 生身でジェット機に乗せるようなもんだろと、清麿はジト目で睨む。

 

「「今更だろ」」

 

「まあ、そうだけど」

 

 上空にてシンクリアの一部と殺り合ったヤツが何を言ってんだと二人は返す。

 まあそちらはむしろサンビームの方なのだが。

 

「清麿、準備終わったわ」

 

「よし、後は起動するだけだ」

 

 清麿は意識を集中しアンサートーカーを発動する。導きだされた答えは作戦の成功を告げていた。

 

「イナサ、俺の指示通りに」  

 

「ウス」

 

「耳郎さん達はパーティー会場へ」

 

「「「はい!」」」

 

「メリッサには起動を頼む」

 

「うん」

 

「成二、お前も念の為に外から屋上まで飛んでくれ」

 

「ヴィランの逃走手段はそこか。直線距離ならひとっ飛びだ」

 

「他の皆は護衛を頼む。警備のようにうろついてるヴィランもいるだろうからな」 

 

「「「はい」」」

 

 清麿の指示で役割分担をする。

 事実としてオールマイトが人質がいない状態で解放されればそれでこちらの勝ちだ。

 デヴィット博士と助手のサムの救出、最上階警備室にいるヴィランの撃退、屋上の制圧も、オールマイトならひとっ走りだ。

 だからこれからやることは無駄なことかもしれない。だがそれでもやる意味はきっとあるだろう。

 

「清麿、パパをお願い」

 

「ああ、任せろ」

 

 メリッサは自分もついていきたいという気持ちを堪えて父の救出を頼んだ。

 

「皆、自分の身を第一にしてやり遂げろ」

 

「「「「「「「はい!」」」」」」」

 

((清麿には言われたくないなあ))

 

 清麿の言葉に戦友二人は呆れた眼差しを向けるのであった。

 

 

 さて、その後の顛末について。

 警備システム改変を起動後、拘束から解き放たれたオールマイトはヴィラン達を木端のごとく蹴散らした。

 デヴィット博士とサムは、シン・シュドルクで加速したイナサと清麿が救出。

 鉄を操る強力な個性を振るうヴィラン、鉄仮面の男ウォルフラムは清麿が指示するイナサにより呆気なく打ち破られた。

 そしてその時に、清麿とイナサは今回の騒動のきっかけと元凶を知る。

 ふざけるな!!

 清麿のその怒声は、パートナーと語り合わずに独りよがりな押し付けをしようとしたデヴィット博士に叩きつけられた。

 本来はレセプションパーティーが開かれる予定だった事件。

 それはあまりにあっさりと終息したのである。

 

 真相を知る者達にやるせない気持ちを残して。

 

 





 補足・説明。

 かっちゃんサイドが前書きの文量ではないかなと焦っております。書いてて楽しかったけど。
 結局オリキャラゴッドファーザー、ドン・ピッツァがやりたかったのは復活するだろうオール・フォー・ワンへの備えです。
 かつての盟友達が、老衰したり、破産したり、腹上死したり、入院したり、引退したり、部下に寝首をかかれたり、転職したりとすっかり居なくなったので焦ったのです。
 彼は欧州の平和を託せる英雄達を見つけ、ようやく戦いの舞台から降りれるでしょう。
 
 2人の英雄サイド。
 清麿がいるからなんとかなるかなって作者は思いまして。やはりファウード編での活躍がありますので。警備システム問題がなくなれば後はオールマイトによりスピード解決です。
 ぶっちゃけこの劇場版、二百階まで走るのが問題過ぎです。
 緑谷出久君の成長に関してはすこし不安ですが、最終話付近ならともかく現時点ではちょっと。
 ちなみに無個性なのにという清麿への発言ですが、劇場版にてメリッサにも「個性が」と言っています。
 なお清麿の返しに悪意は一切ないし、成二も兄さんもそうだったよなとなりました。
 言われた側の出久君のダメージはでかいですが。
 そして最後のデヴィット博士への言葉、次話にて触れるつもりです。
 真の元凶であるサムはイナサがぼこりました。

 長かった劇場版も次で終わり。
 いや〜〜、好き放題した前書きかっちゃんサイドが楽しかった。
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