金色のガッシュを終えた俺のヒーローアカデミア   作:規律式足

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 その頃のかっちゃん。

「「「「「鉄のフォルゴ〜レ!!」」」」」

「「「「「無敵フォルゴ〜レ!!」」」」」

 輝くステージの上で英雄とあしゅら男爵もどきが踊る。
 イタリアに到着してから巻き込まれた騒動は敵のボスを撃退したことにより終結した。
 壊れた町並みはフォルゴマイトの個性により大部分が修復され(少しデザインは変わったが)、残る後始末は駆けつけてきたヒーローと警察が請け負ってくれた。
 ドン・ピッツァを倒した俺達三人は、その足でコンサート会場に向かい、遅れたことを謝罪してからコンサートを開催したのであった。

「ありがとうな」「ありがとうございました」

 赤毛の執事であるイケモブ・ジュリオとその主であるアンナが礼を言ってくる。
 あれほど不快そうに疑り深くこちらを見ていた彼の姿は最早ない。
 アンナと手を繋いでいる(恋人繋ぎ)彼は気を緩めた柔らかな態度だった。
 そして俺はこの心からの礼を聞いて、本当に今回の騒動が終わったんだと感じた。

「なあに俺は、ただ大馬鹿に巻き込まれて力いっぱい踊っただけだよ」

 だから俺は笑った。
 憧れた英雄(ヒーロー)達のように。
 心からの笑みを浮かべたんだ。


 その頃のかっちゃん、イタリア編完。
 なお彼はこの後にイタリア政府から特例としてヒーロー免許を発行されることになる。
 日本のように例外的にヴィラン犯罪が低い国とは違い、一部の国では原付免許試験程度の手間でヒーローライセンスを取得できたりするのだ。



第四十話 2人の英雄、エピローグ。

 

「ずいぶんと男前な顔になったねデイブ」

 

「トシ」

 

 I・アイランド、セントラルタワー襲撃事件。それは表向きはI・アイランド主催の襲撃事件を想定した訓練という形にされた。

 世界最高峰の監獄タルタロスに匹敵する防衛システムという名声を失うわけにはいかず、また内部からの手引きがあったなど世間に公表できなかったからだ。

 幸いなことに被害にあったのはレセプションパーティー参加者と警備室職員のみ。

 それならば誤魔化すことは不可能ではなかったのだ。

 そして、今回の事件。

 自身の開発した封印された装置の強奪を画策した人物デヴィット・シールドは、頬を大きく腫れさせた状態で厳重な警備という監視をつけられた状態で病室にいた。

 

「清麿君に馬鹿野郎と殴られてしまってね」

 

「意外だな、彼がそんなことをするとは」

 

 理知的な清麿らしからぬ行動。だが清麿だからこの程度で済んだとも言える。

 

「パートナーなのに、腹を割って本音で向き合うことすらできないのかと怒鳴られたよ」

 

「デイブ」

 

「トシ・・・・・・私は君という光を失うのが怖かった、築き上げた平和が崩れてしまうかもしれないという不安に耐えきれなくなったんだ」

 

 だからあんな装置を作った。

 被るだけで個性出力が上がるそんな装置を、オールマイトの輝きを永遠のものとするために。

 

「本当にパートナー失格だな。不安だったら君に打ち明ければよかったんだ、頼ればよかったんだ。

 ただそれだけのことなんだ」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「独りよがりな行動が、君の意思を考えようとせずにこんな事件を起こした。

 それが全てなんだ」

 

「それは私もだ、友よ。

 君の、君達一家の身を案じる為とはいえ私は個性の詳細を伝えなかった。

 その秘密という距離が踏み込めない境界になってしまったのだと思う」

 

「闇の帝王オール・フォー・ワンか。

 君の個性ワン・フォー・オールとの因縁を考えたら秘密にするのは納得だよ。

 私には家族ができてしまったから余計にね」

 

「デイブ」

 

「「アンタ達はいつでも会えるのに!なんできちんと向き合わないんだ!」清麿君の泣きそうな顔の叫びが忘れられない。

 きっと彼は、いや彼以外の子供たちも大切な相棒を亡くしてしまったんだろうね」

 

「ああ、そうだな」

 

 オールマイトは体育祭での選手宣誓を思い出していた。自身の後継者である緑谷出久の弟である緑谷成二がなぜ高嶺清麿と親しいのか。

 それは同じ痛みを知る同志だったからなのだろう。

 

「なあ、オールマイト」

 

「なんだい?」

 

「いつかまた昔みたいに喧嘩をしよう。

 そうして本音をぶつけあおう」

 

「ふん、運動不足の発明家の先生にはたとえこのトゥルーフォームであっても負けないぜ」

 

 まるで骸骨のようなオールマイトの真の姿。

 直視しがたいこの姿もまた彼であるのだと、デヴィット・シールドはようやく受け入れることが出来たのだ。

 

「ならばボクの通信ボクシングが火を吹くぜ」

 

「なぜボクシングっ」

 

「「ハハハハハハ!!」」

 

 歳をとってしまい出来なくなった親友との触れ合い。けれど今この瞬間は昔へと還って笑いあった。

 清麿がイナサが成二が、やりたくてもできない相棒との幸せなやり取りを。

 ちなみに真の元凶であるデヴィット博士の研究をヴィランへと売り払おうとした助手のサムは現在拘束されていて、捕らえられたヴィラン達共々最初から居なかったことにされるだろう。

 

 

 I・アイランドの中にある湖の側のテラスで、雄英高校ヒーロー科一同はバーベキューパーティーを開催していた。

 美味しそうな肉や野菜が鉄板グリルの上でジュージューとアピールするように鳴き、良い香りを漂わせ食べて食べてと自己主張していた。

 

「「「「いっただきまーす!!」」」」

 

 Iエキスポ一般公開の為にI・アイランドに訪れていた雄英高校の学生達。

 予定では見て回れる筈が急な点検により無理になり、空いた時間をバカンスで過ごすことにしたのだ。

 

「やったー!肉だ肉!」

 

 招待券を貰った面々と違い、自費で参加した生徒達はお小遣いを切り詰めて食費などを節約して見学する気だった。

 しかし予定外の奢りバーベキューによりお高い肉というご馳走にありつけたのだ。

 

「うんまー!」

 

 ただでさえ旺盛な高校生の食欲は存分に発揮され、大量に用意された肉はみるみると消費されていく。

 

「肉が足りなくなるかも知れないっスね」

 

「ちょっと、そこらの海でサメでも獲ってくる?生きたまま捌けば臭みもでない」

 

「懐かしいけどやめような」

 

 ガッシュ達がブリの一本食いをしていたが、サメは勘弁してくれと言う。

 

「あーん」

 

 そんなパートナー組で固まっていた成二に小大唯が串に刺されたよく焼けた肉を突き出す。

 どうやら食べさせたいらしい。

 

「あーん(パクリ)、ってあっちぃ」

 

「「普通に食うのなお前」」

 

「な!?」

 

 その肉に平然と齧り付く成二。

 なお熱いとは言ったが個性の関係上から口内の耐熱性は高くグラグラ煮えた湯をイッキ飲みできたりする。あっちぃと言ったのはあくまでポーズだけである。

 

「せ、成二。ウチも、ウチもやるから!?」

 

「駄目」

 

「邪魔しないでよ小大!!」

 

「駄目」

 

 意中の人が恋敵にあーんされてる光景に耳郎響香も対抗しだすがすかさずガードされる。今日は自分のターンと言わんばかりだ。

 

「青春っスね〜」

 

 そんなラブコメな一幕にイナサは目を細め。

 

「ねえ清麿、私達も」

 

「やらないからな」

 

「蚊帳の外っスね〜」

 

 いつの間にか金髪美少女にまとわりつかれた戦友を見て、寂しさから涙を零すのであった。

 同じ魔物のパートナーなのに自分はなぜモテないのか、夜嵐イナサは格差という現実を知る。

 そんなラブコメ空間な成二と清麿を緑谷出久は何かを考えるかのようなじっと眺めていた。 

 そして耐えきれなくなり、盛り上がるその場から逃げるように離れていった。

 離れてからしばし、ようやく精神が落ち着いてきたところで、

 

「デク君?」

 

 両手に焼けた肉の刺さった串を持ったお茶子が、出久へと近づいてきた。

 

「あ、麗日さん」

 

「一緒に食べよ」

 

「うん」

 

 モギュリとよく焼けた肉に齧り付く。塩とこしょうだけのシンプルな味付けが良い肉の味を引き立てていた。

 

「どうかしたん?」

 

 麗日お茶子は昨日からどこか思い詰めた様子の緑谷出久が心配だった。

 ずっと見ているから、いつの間にか目で追ってしまう存在だから、誰よりも早く変化に気づくのだ。

 期末テストの演習試験で青山優雅に指摘された感情。今はそれどころではないと懸命に蓋をしているその想いはこんなことでも発揮される。

 

「何も・・・・・・できなくてさ」

 

 昨日の事件。

 事件では無かったことにされた事件。

 何かしたかった自分なりに動こう思っていた。けれど自分がなにかするよりも早く、無個性の青年が場を仕切り解決してしまった。

 双子の弟に、自分よりも親しい青年に。

 その事実が緑谷出久を苛む。

 オールマイトよりワン・フォー・オールという個性を託され、新たな象徴になって欲しいと期待されているのに、雄英高校に入学してから実力はついても結果にまるで反映されていない。

 

「デク君」

 

「情けないよ、何なんだボクは」

 

 だから苦しい。

 先を征く弟の緑谷成二と、大きく成長した幼馴染の爆豪勝己を見て、自分のちっぽけさに耐えられなくなっていた。

 

「情けなくないよ」

 

 お茶子は縮こまる出久を背後から抱きしめる。

 

「入試ではウチを助けてくれた。

 USJでは梅雨ちゃんと峰田君を守って切り抜けた。

 体育祭では轟君の為に身体を張った。

 デク君は情けなくなんてない」

 

「でも・・・・・・」

 

 彼女の慰めも、目指す山の高さにばかり気にしていた心に染みていく。

 

「頑張れって感じのデク。

 デク君は一歩一歩、進んだらええと思う」

 

 そうだったと緑谷出久は気付く。

 彼女に自分は救われたのだと思い出す。

 入試で不合格だと絶望していた時、彼女の訴えが心を救ったのだ。

 木偶の坊のデクではない、頑張れって感じのデクと呼んでくれたから、緑谷出久は進んで来れたのだ。

 

「麗日さんっ」

 

 なにかを言おうと勢いよく振り返ったら、

 

「「!?」」

 

 そこにはドアップの彼女の顔。

 その顔の隙間は殆どなく今にも〇〇してしまいそうな距離だった。

 

「もぎゃ〜〜〜!!」

 

「ほぶへっ!?」

 

 一瞬で沸騰したかのように顔が真っ赤になった麗日お茶子は照れくささのあまり勢いよく頭突きをかます。そして緑谷出久はそのあまりの威力に吹き飛ばされ、地面をゴロゴロと転がり気絶した。

 

「何をやってんだアイツラ」

 

「青春ね、緑谷ちゃんお茶子ちゃん」

 

 そんな一幕を心配して様子を見に来ていた轟焦凍と蛙吹梅雨はただ眺めるのであった。

 

「あああ、デク君。誰がこんなことを」

 

「お前だ」

 

「お茶子ちゃんよ」

 

 かくしてI・アイランドでの事件は幕を下ろす。

 デヴィット・シールドは責任を問われたがオールマイトの為ということで不問にされた(オールマイトの衰えが知られたが年齢的に納得された)。

 元凶達は秘密裏に処理。

 少年達は様々な物を得て帰国するのであった。

 ちなみに帰国したら爆豪勝己がイタリア政府からヒーロー免許と勲章を渡されていて、雄英高校が大騒ぎになる。

 

 なお後日、I・アイランドに日本のトップアイドルが訪れちょっとした騒動(修羅場)が起きるのだが、それはまだ先の話。

 




 
 補足・説明。
 
 劇場版完結。
 前書きについ筆がのったり、書いてて楽しかったです。
 デヴィットとオールマイトは魔物のパートナー達を見て自分達の行いを恥じてやり直します。
 そして色々と精神的にやられた緑谷出久ですが、なんかラブコメになってました。
 なんでこうなったんだろ?作者もわからない。
 まあトガちゃん後押しないからこれくらい必要かもしれません(笑)。
 また緑谷出久君の内面の闇も完全に払拭はされてないわけですし。
 でも見ていてくれる麗日お茶子さんに救われはするかなと。
 う〜むキャラが勝手に動いた感じてす。

 次回からは閑話か林間合宿予定。
 結構変わる予定です。
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