金色のガッシュを終えた俺のヒーローアカデミア   作:規律式足

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 原作がいよいよ乖離しだす襲撃編です。
 
 誘拐、それをほぼ確実に成功させる方法とはなんでしょうか?
 それは、



第四十四話 林間合宿、襲撃の夜。

 

 三日目、昼。

 続、個性を伸ばす訓練。

 睡眠時間が大分少ない補習組がグタと疲れを見せていた。

 相澤先生による厳しい指摘を受けながら、自分がなんの為にこうして訓練しているのかを常に頭に置いてくように意識する。

 原点。

 どうして自分が強くなるのか。

 なんで個性なんて伸ばそうとするのか。

 その理由を明確にして抱き続けることがヒーローが単なる暴力装置になるかどうかの境なんだろう。

 

「ねこねこねこ、それより皆!」 

 

 ピクシーボブが本日の訓練が終わった夕食後に、クラス対抗肝試しを決行すると告げてきた。

 アメとムチ。

 せっかく夏休みに同級生が集う機会に楽しいイベントをさせてくれるそうだ。  

 幽霊やお化けか。

 魔界と魔物は存在したのだし、実際に存在しても可笑しくないよな(魔物や呪文が勘違いされた可能性も高いけど)。

 耳郎さんは怖がって嫌みたいだけど、全体の総意としては楽しみにしてる感じだ。

 そして物間君。

 対抗ってところが気に入ったと言うけど、補習組を参加させるほど相澤先生は甘くない気がするのだけど。

 ちなみに夕食は肉じゃが。

 昨夜の晩に肉をどうするかで一悶着あったけど、俺としてはカレーの次が肉じゃがなことがちょっと。

 いや肉じゃがぶっかけご飯とか大好きだけどさ。あと鍋の底に溜まるじゃがいもがデロデロになったのとか(某大食い探偵風)。

 

 さて腹も膨れて後片付けも終わりお次は、

 

「「肝を試す時間だーー!!」」

 

「その前に大変心苦しいが」

 

 ・・・・・・補習組の子達が一番楽しみにしてそうなのがなんか見てて哀れみを感じるな。

 

「これから俺と補習授業だ」

 

「ウソだろ!!」

 

 ・・・・・・期末試験があの三人のやらかしで免除された俺としては捕縛布でグルグル巻きにされて引きずられる補習組には同情しかない。

 というか抵抗する補習組5名+罰則の峰田君をまとめて引き摺る相澤先生のパワーもかなりあるな。

 

「じゃ、脅かす側のB組は先に行って準備して」

 

「「「はい!!」」」

 

 暗い森の中で脅かす準備。

 それはそれでホラーだな。

 

「?」

 

 なんだろ、この感覚。

 

「イナサ」

 

「成二もっスか」

 

 唐突に全身に走る悪寒に近いこの感覚。

 ひどく覚えのある、懐かしい感じ。

 

「嫌な予感がするね」

 

「ああ」

 

 そうまるで、

 

「ゾフィスが千年前の魔物をけしかけてきた時のように」

 

「リオウがファウードを起動する為に仕掛けてきた時のように」

 

「「クリアが本格的に動きだした時のように」」

 

 実戦を経験したからこそ研ぎ澄まされた感覚。それはこれから戦いが起きることを予感していた。

 

「・・・・・・先生には?」

 

「マジョスティック12が居るから備えは万全かと」

 

「来るとしたらヴィラン連合ってヤツか。だとしたらイナサが勝ちきれなかった脳無とやらが厄介だね」

 

「戦闘じゃなく皆を連れて逃げることを第一とすべきっスよ」

 

「だね」

 

 とりあえずお互いに気をつけること。

 戦友であるイナサとそう話してから俺達は脅かす側と脅かされる側へと別れた。

 ちなみにイナサとの話が終わった後、近寄ってきた小大さんに腕を引かれた。

 なんかいつもやっているなコレと思っていたら、彼女は耳郎さんに向けて、

 

「フッ」

 

 と勝ち誇ったように笑った。彼女は何をしてるんだろうか。

 

「ピクシーボブゥゥゥ!!肝試しの組み合わせですけどA組B組で混ぜてやるべきだと提案しますゥゥゥ!!」

 

 突然どうしたの耳郎さん。

 

「ホホゥ、他クラスの男子と組みたいのねジロウキティ。実に青春溢れる提案ね!!」

 

「だったらっ!」

 

「だが許さん」

 

「「「「ええ〜〜〜〜」」」」

 

「そんな美味しい目を許すわけないわ小娘が、じゃなくてプロヒーローたるものチームアップ相手を選べない状況なんてザラにあるのよ!!」

 

「「「いや本音」」」

 

 なんか本音が顔をだしてますよ、婚期に焦ってるらしいこのヒーロー。

 そんなやり取りを終えた後に肝試しの驚かす役として森へと散るのであった。

 俺は個性で人魂とか作ろうかな。

 ちなみに出水洸汰君は流石に危ないので不参加。現在はマタタビ荘にて就寝時間まで過ごしている。

 

 

 そして肝試しが始まり、耳郎さんの悲鳴が夜の森に響き渡る中、

 

「肉ぅ」

 

 その声と殺意が肌を撫でてきた。

 

「マジできたか」

 

 俺の感覚、鈍ってないね。

 背後から迫る白刃を躱し、空に向けてと大きく火を吹く。個性にて造形した炎は暗い夜にメッセージを刻む。

 

 ヴィラン襲撃。

 

 かつてなんどもやった緊急連絡。

 それは空を見てないと気付けないけど、同じく嫌な予感をしていたイナサは空へと意識を向けている筈。

 

「肉見せて」

 

「肉屋行け」

 

 夜を切り裂き現れたのは拘束着に身を包んだ異貌。露出した口から伸びる歯が刃となりこちらを切り裂かんと迫る。

 

「緑谷ァ!!」

 

「皆は逃げて先生方と合流して!!足止めは俺がやるっ!!」

 

 枝葉のように伸びる殺意否、肉の断面が見たいという悪趣味な欲望に塗れた白刃。

 A組の切島君か鉄哲君でも無ければ防ぐことは不可能。

 

「クソッ!!」

 

 逃げるクラスメイトの背に迫る攻撃を炎弾にて阻害し、ヴィランと相対する。

 本来俺は彼らと別れるべきではない。

 明かり無き夜の森での活動経験が少ない皆ではやみくもな逃亡そのものが危険な行為だ。

 でも俺の個性は炎。

 対処する攻撃が夜の森では目立ち、ヴィラン共を引き寄せる誘蛾灯になってしまう。  

 だからこそ俺は単独で行動しなければならない、ヴィランと相対した状態でだ。

 

「できれば他のお仲間の場所にご案内願いたいけど」

 

「肉ぅ、見たいぃ」

 

「んな頭なさそうだわ」

 

 ヴィランってのは個性を用いる犯罪者に過ぎず、化け物やモンスターなんかじゃないのだけどね。

 でも稀に、コイツみたいな自分は人以外なナニカであると、だから人間に何をしても良いのだと、上位存在気取りのクソ野郎が発生する。

 

「くっだらねえよ」

 

 その人外アピールのような珍妙な衣装と動きを鼻で笑う。

 たかが異能力宿した人間。

 本物の魔物を知る俺からすれば、

 

「怪物ごっこは楽しいか?」

 

「ああっ!?」

 

 恥ずかしい格好した変質者にしか見えねえよ。

 

「殺す」

 

「テメェが死ね」

 

 炎剣を造り構える。

 そして俺とヴィランの戦闘は、

 

「フンッ」

 

「凍れ」

 

 地中より現れたダイナソーアームの圧倒的パワーによる恐竜パンチと、ブリザードシンクによる冷凍ガスにより終了となった。

 

「マジョスティック12」

 

「「「(グッ!!)」」」

 

 三人のヒーロー達は親指を突き上げてこちらへと笑顔を向けた。

 トレマーマグラーが地中を掘り移動、ダイナソーアームがヴィランを無力化、ブリザードシンクが凍結。

 三者の流れるようなコンビネーションに対応できるヴィランなどそうはいない。

 

「フウッ」

 

 ホッと息を吐く。

 この場所をすぐに発見できたのはわざと炎を吹き出して目立ったから。

 そうすれば位置の特定はセカンドサイトにより透視能力で一発だ。

 連携に必要な意思疎通もテレパシスレーダーが指示をしてるなら万全。

 ナゾナゾ博士が万が一に備えて派遣したヒーロー達。彼らと真正面から戦えるヴィランなんてそうはいないのだ。

 

「さぁマタタビ荘へ、異形のヴィランは我々が対処する」

 

 ダイナソーアームに手を引かれ確実に安全な土中から帰還する。

 他の生徒は空からフライングビートが、地上ではロケットフットとセカンドサイトが発見しテレパシスレーダー経由の連絡で伝えて行っているそうだ。

 予知能力を持つワンダフルトゥザフューチャーは、自分では予知のタイミングを選べないが自身の生命の危機には高確率で発動するので、肝試しのチェックポイントである奥の場所にラグドールと待機していたそうだ。

 

「異形のヴィラン、ですか」

 

 なお凍結したヴィランは発信機をつけて放置。生徒の避難が終わり、安全を確保してから回収するらしい。マタタビ荘で目覚めて暴れられても困るし、ヴィランの仲間が回収したら敵のアジトの追跡ができる。

 

「うむ、何やら執拗にラグドールを狙ってきたが我が同志ワンダフルトゥザフューチャーの予知封殺拳とファイヤーエルボーのギロチンラリアットで撃退したそうだ」

 

 ラグドールを執拗に?生徒ではなくヒーローを狙うのか。

 

「緑谷成二よ」

 

「はい」

 

「我々は君が歴戦の雄であることをよく知っているつもりだ」

 

 魔界の王を決める戦い、ナゾナゾ博士のサポートをして共に戦った魔物のパートナーではない戦友は諭すように語りかけてくる。

 

「けれど君は子供で学生。

 ここは我らに任されよ」

 

 三人のプロヒーロー。

 尊敬すべき先達はそう言って笑う。

 頼りがいのある大人として。

 

「はいっ!!」

 

 そうだ思い違いしてはいけない。

 あの戦いは俺達がパートナーと一緒にやるしかなかった戦いだ。

 けど今は違うのだ。

 俺やイナサが前線にでる必要はない、というか出てはいけない。

 頼ってよい、甘えてよい、助けを呼んだってよいのだ。

 

 

 場所は変わってA組待機場所。

 最大戦力である広範囲攻撃から戦力供給が可能なピクシーボブへの奇襲は護衛として控えていたビッグボインがそのボインで受け止めた。

 

「やはり付け乳?」

 

「防具なのかアレ?」

 

 そんな生徒達のツッコミが囁かれる中、攻撃してきたタラコ唇の大男はビキリと額に青筋を浮かべる。

 

「気に入らないわねえっ」

 

「え?マグ姉・・・・・・」

 

 そんな相方の反応にトカゲのようなヴィランは怯んだように後退る。

 

「アンタ達はいったい」

 

 マンダレイの呟きに気をよくしたのか、気を取り直したのか、トカゲヴィランは高らかに名乗る。

 

「ご機嫌よろしゅう雄英高校!!

 我らヴィラン連合、開闢行動隊!!」

 

 やはりヴィラン連合。

 その名乗りに素早くマンダレイがテレパスにて情報を伝え、生徒達の避難を促す。

 トカゲヴィランは、あのヒーロー殺しの思想に当てられた存在。

 タラコ唇ヴィランはネームドヴィランのマグネという容易く鎮圧できない強者。

 たった2名と言えど、プッシーキャッツ3名+ビッグボインでは厳しい相手だ。

 

「待って、すぐに土魔獣を作るから」

 

「させるわけないでしょ!!」

 

 布に包まれた巨大な武器をふりかざすマグネ、その瞬間ビッグボインは動き出す。

 

「オーイエー!!」

   

 必殺ボインチョップ。

 自身の胸をチョップで揺らすその技はその場の視線を自身へと集める。

 

「「「「「・・・・・・・・・・・・」」」」」

 

 ナニやってんだコイツ。

 そんな呆れの視線とつい目で追ってしまう男の性に支配された男性陣。

 だが、

 彼女だけは違う。

 

「・・・・・・見ぃせつけてくれちゃってまあ」

 

 そう引石健磁ことヴィラン・マグネ。

 男に生まれ、女の心を持った彼女はその技を見た瞬間、

 

「私だってボイン持って生まれたかったわよオオオオオオオオオ!!」

 

 持ち得ぬものを見せつけた存在。

 その怒りにより覚醒を果たしたのである。

 

「「「何やってんだお前ぇっ!!」」」

 

「テヘペロッ」

 

 戦闘力が数倍へと跳ね上がったマグネ。

 プッシーキャッツはその元凶へと怒鳴り、ビッグボインは笑って誤魔化した。

 覚醒を果たしたマグネ。

 その実力は、プロヒーロー四名を相手に一歩を引かぬほどに高まっていた。

 生徒達を逃がしたあとのヒーローとヴィランの戦い、それは夜の森を揺るがすほどに激しいものとなった。

 

「あ、あのー」

 

 トカゲヴィラン、スピナーを置き去りにして。

 

 

 そうして襲撃の夜はブラドキングが通報した警察とヒーローの到着を持って決着した。

 マタタビ荘にも脳無と呼ばれた異形のヴィランが襲撃をかけていたが、サイコジャングルとイレイザーヘッドとブラドキングの三者により防衛しきった。

 ただ倒された脳無は泥のように溶けて消えてしまったが。

 生徒達に軽傷者はいても無事。

 セカンドサイトとラグドールによる捜索により素早く保護が出来たからだ。

 そこにはフライングビート、ロケットフット、トレマーモグラーの尽力も大きな助けになった。

 ネームドヴィランはムーンフィッシュは回収に成功したが、マグネとスピナーそして脳無の分身を創り出したヴィランの捕縛に失敗、奇術師のようなヴィランの仕業だと思われる。

 襲撃は受けた。

 被害はでた。

 だが、

 それは備えにより跳ね除けられた。

 林間合宿に参加した者達、関係者全員がホッと息をついたその時、点呼により数が合わないことが判明。

 そこに居たはずの生徒が一人、まるで溶けるように消えてなくなっていたのだ。

 

 

 雄英高校林間合宿襲撃事件。

 

 行方不明者1名。

 その生徒の名は、

 

 

 青山優雅。

 

 

 雄英高校教師、2名。

 ワイルドワイルドプッシーキャッツ、4名。

 マジョスティック12、12名

 総数18名に及ぶ対策。

 万全を期し林間合宿は、それはヴィラン連合の手により破られることになる。





 補足・説明。

 林間合宿襲撃事件。
 予感がした成二とイナサですがあくまで生徒として動いていました。
 マジョスティック12の尽力(1名はやらかした)により被害は出ずに終わる、筈でした。
 原作を知る読者の皆さんならばお分かりいただけるようですが、失敗に終わる筈の襲撃は「彼」が指示を受けたことにより成功したのです。
 誘拐事件を成功させる方法、それは誘拐される側が誘拐する側とグルであることなのです。

 この展開を書きたくて頑張っていました。
 いやー満足です。
  
 次回は事件後。
 それぞれの動きとなります。
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