金色のガッシュを終えた俺のヒーローアカデミア   作:規律式足

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 予想以上に死柄木弔に悪の親玉感がでて作者も驚いています。
 そしてナゾナゾ博士と成二の会話はまだ続いております。
 むしろ、これから話すことが本題なのです。

 アンチ・ヘイト表現あり閲覧注意です。




第四十六話 衝撃。

 

「彼が内通者」

 

 その情報はまさに青天の霹靂というもの。

 まだ数ヶ月ではあるが同じ学び舎で勉学に励み体育祭などの行事に挑んだ学友が、まさかヴィランに情報を流していたなんて。

 

「驚くのも無理はない。

 だがね、一連のヴィラン襲撃事件。内通者の存在なくば雄英高校の警備は抜けないのだ」

 

 それはそうだろう。

 ヒーローという何よりも目立ち人前に立つ職業であることから、雄英高校は外部に流れる情報の管理を厳しくしっかりと行っていた。

 ヒーローとして独立した後ならばともかく、ヒーローに成れるかわからない学生の段階での個人情報流出はその者の今後の一生に大きく影響を与えるからだ。

 また雄英高校の授業カリキュラムは、ヒーロー育成機関としての根幹。

 他ヒーロー学校と競合している以上は、独自の育成方式は機密にすべき商売道具なのだ。

 

「正直、意外としか思えない」

 

 はっきり言って青山優雅は傍から見たら天然過ぎてよくわからない人物だった。戦友の中ではフォルゴレ枠に分類できるほどに。

 知った今でも、え?アレが?

 という気持ちが拭えないのだ。

 そしてそれが他クラスの自分だけではなく、彼を知る殆どの者がそう思うだろう。

 

「そうだろうね、スパイとして日本最高峰のヒーロー育成機関に合格するなど、どれだけの努力があったのか」

 

 それもそうだけど、青山優雅君本人のキャラが濃すぎてそっちばかり気になります。

 いやスパイ活動する為に雄英高校に合格とか確かに凄いけど、中学校トップの学力あっても受かるかわからないレベルでさらに戦闘力まで必須なんだから。

 

「しかしナゾナゾ博士、林間合宿の状況からだけが彼を内通者として断定する理由ではないんだよな?」

 

 誘拐が不可能な状況で誘拐された。

 それだけで青山優雅を内通者として断定なんてできない。

 まだナニカ確信となる情報があるから、そう告げたんだろう。

 

「察しが良いのう。

 じゃがその理由を告げる前に、とあるヴィランについて説明しよう」

 

「とあるヴィラン?」

  

「そう、かつて闇の帝王と呼ばれし巨悪。

 決して公的な情報には記載されぬ、後世に残らぬよう存在しなかったことにされた人物」

 

 歴史に名を残すヴィランは数多くいる。

 異能解放軍指導者・デストロ。

 稀代の盗人・張間欧児などだ。

 

「如何に歴史書から名を消そうと、それでもヤツの存在は我々の記憶から消えることはない」

 

 秘匿されし者。  

 その名は、

 

「伝説の支配者オール・フォー・ワン」

 

 オール・フォー・ワン。

 それがヴィラン連合の首魁なのか。

 

「そんな人物が居たなんて」

 

「国としては彼が、というより彼の生まれ持つ個性が人々に知れ渡ることが恐ろしかったのだろう。

 それだけ個性社会において脅威の力だからだ」

 

「国が恐れる個性、エリちゃんみたいな?」

  

 あのクリアが危険視した、治療にも延命にも確殺すら可能な超常の力。

 それゆえに実家である組織からパートナーに連れ去られるまで口にするにも悍ましい目にあっていたらしい。

 

「彼女もまた世界に影響を促す個性を持って生まれたがヤツはその比ではないよ。

 人から個性を奪い、保有し使い、さらに他者に授けることができるのだからね」

 

「それってもしかして」

 

 その個性については知っている。

 なにせ昔必死に調べていたのだから。

 兄になんとか個性を、と個性を得られる方法を探していきついた真偽不明な都市伝説。

 

「知ってはいるようだね」

 

「そんな噂があるとは」

 

「生きるのに不便な個性を持ってしまい悩む者、個性を持たずに生まれ絶望した者の想いが、その救いとなる個性の存在を消すことを許さなかった。

 個性黎明期から歳月が流れようと都市伝説という形でのこってしまったのだよ」

 

 個性を疎ましく思う者もいる。

 実際に俺の父は火を吹く個性のせいでアルコールの類が危ないから苦手で、そのせいで仕事で接待などができず出世が出来ずに海外勤務だ(本人の性格も原因)。

 無個性であることに絶望する者はいる。

 ヒーローを夢見る者には個性が無いことそのものが夢を絶たれることであり、また大多数の者が持つモノが無いということは排斥の対象になるからだ。

 あの都市伝説はそんな者達の希望。

 だが希望であるがゆえに夢のような話で現実味がなく、縋る者はいても、信じる者なんてほんの僅か。兄さんだって一時期夢中だったけど諦めたくらいだし。

 

「しかしそんな個性を持つ者が黒幕なら、あの脳無とかいう改造人間の存在が作れてもおかしくないか」

 

 複数の個性保有とおかしな存在。 

 その個性で奪い与えればできるのだろう。

 もう人というよりファウードの体内魔物みたいになっていたし。

 

「ああ、かつてのヤツの部下にも複数の個性を与えられて壊れた存在が居たという。それを発展させ完成させたのが脳無なのだろう」

 

 悪党ってのは発想がぶっ飛んでいて怖いよ。

 

「とにかくオール・フォー・ワンという黒幕についてはわかったけど、それが青山優雅の内通者確定とどう関わるんだ?」

 

 まさかかつて人身を操る個性を保有していた記録でもあったのかね。

 

「わからないかい?」

  

 問いかけるようなナゾナゾ博士の言葉。

 それはあの戦いの最中に何度もやられた、自ら気付けというナゾナゾ博士からのメッセージ。  

 この時は訊いてもはぐらかされるから、自分なりの考えを述べないといけない。

 えっと、青山優雅は内通者。

 その特定理由は林間合宿での不自然さ。

 さらに追加の特定情報。

 敵の首魁は個性を奪い保有し使い与えられる。

 ここから導きだされる答えは・・・・・・。

 なんだ?  

 考えてはいけない気もするけど、そうなると、いやならば従う理由にはなる。

 でもなんでこの答えに俺は焦燥感がゾワゾワと沸き立つんだ?

 

「青山優雅は無個性だった?」

 

 無個性とは限らないが今の個性ではなかったとしても、最初の個性診断の記録は残る。

 なにせ兄さんもそうだったけど、本当にその診断が正しいのかと複数の病院で調べるなんて当たり前にやることだからだ。

 

「その通りだよ。

 彼は最初に無個性と診断された。

 その後に個性が発現したと訂正されたんだ」

 

 なるほど兄さんと俺はネット上の噂話で終わった都市伝説に彼は辿り着いたのか。

 いや子供では無理ならもしや親が必死に調べたのか?青山優雅の実家はそれなりに裕福みたいだし(本人のキャラからの勝手なイメージ)。

 ただ辿り着いた先が救いではなく絶望だったのか。

 

「親の愛がとんだ落とし穴だ」

 

 下手したらウチもそうなっていたかも知れないと思うとゾッとするよ。

 

「その通りだ、青山優雅君のご両親は息子の為だと行動した結果、知らずに巨悪の手をとってしまったのだ」

 

 愚か、とは言えない。

 子供の為に手段を選ばない親なんていくらでも見てきたし、子供である俺にはその想いを理解も実感もできないからな。

 

「でもそんな手段で作られた内通者なら救いはあるかもしれない」

 

「うむ」

 

 その境遇ならばオール・フォー・ワンとやらの生粋の部下じゃなくて替えのきく手駒の可能性が高い。

 幼少期から英才教育を施された、これも都市伝説の類だが異能解放軍残党末裔のような生粋の信徒ではないのなら、たとえ捕まっても情状酌量の余地があると判断されそうだ。

 

「ま、そんな適当に用意した駒が雄英高校に合格したのは驚きだがね。これなら他にいくらでも駒がいてもおかしくないよ」

 

 腹心の部下を潜入させたのではない。

 適当に替えのきく存在に強制させた程度。

 ならば部下未満の捨て駒は多分たくさんいるんだろう。

 ん?

 

「そうさ、気付いたようだね」

 

 ナゾナゾ博士は重たい口ぶりで語り出す。

 そうこれこそが彼が俺に対する本題だったに違いない。

 個性を奪い与えることができるヴィランが内通者を雄英高校に放った。

 元無個性が個性を与えられて・・・・・・。

 

「え?」

 

 悪寒が沸き立つ。

 焦燥の理由がわかった。

 その考えに気付いてはいけない。

 けれどその可能性は零ではない。

 考えるな、考えるな、考えるな。

 

「いや、でも・・・・・・」

 

 内通者は青山優雅一人だとは限らない。

 そして青山優雅は無個性だった。

 彼は幼少期に取り引きし、小中学校と個性持ちとして生きてきた。

 だが与えられた個性であるがゆえに、使用し過ぎると腹を下すという肉体損傷がある。

 そんな存在が、

 無個性と診断された存在が、

 唐突に個性が発現した存在が、

 個性を使用すると自壊する存在が、

 

 俺の身内に一人、いる。

 

「兄さん」

 

「そうじゃよ、ワシは君の兄緑谷出久君をもう一人の内通者として疑っておる」

 

 ナゾナゾ博士の言葉は震えていた。

 戦友の親族を疑うなんて誰がしたいものか。

 それを実の弟に誰が告げたがるものか。

 

「本当にたまたま発現した可能性は?」

 

「無い。

 外科医として断言しよう、手に入った情報からして彼には個性が発現するほどに個性因子そのものが存在せんかった。

 だがある日から突然その量が増加しておる」

 

 医学界において個性因子解明は大きな課題。

 未だに解き明かされぬ中でわかっていることは、すべての人々に個性因子は存在するが、その体内の量が異なり無個性は極めて少ないこと。

 なぜ兄さんに個性が発現したのか?

 それは個性因子が増えたからに他ならない。

 少なくともカルテにはその増減がデータとして現れていた。

 

「そんな・・・・・・馬鹿な」

 

 あの生粋のヒーローである兄さんがヴィランに加担するなんてありえない。誰かを傷つけることができるわけがないと知っている。

 

「杞憂であれば良い。

 だがこの状況でもし彼が独自に動くとなれば、疑念はより強まるのじゃよ」

 

 けれど俺は、

 

「学生のみで青山優雅を奪還しようと動こうなどのな」

 

 あの人の、

 緑谷出久の個性への羨望と執着を誰よりも知っている。

 無個性だったから、ヒーローの夢が絶たれたことから、兄さんは個性を分析するようになった。

 それは自分にあったら良かったのに、という願望の範疇を遥かに超えた狂気があった。

 その眼差しに耐えきれなくなった俺は実家から逃げ出したのだから。

 

「どうしろと?」

 

「何もするな」

 

 揺れている。

 俺が揺れている。

 

「幸いクラスは別、誘われぬ限りは彼のやろうとすることに関わってはならん」

 

 あまりに危険すぎるから。

 ナゾナゾ博士はただ、俺の身を案じていた。

 

 兄を信じたい俺と、

 兄を疑う俺で、

 揺れている。

 

「これはあの戦いではないんじゃ。

 君が戦う必要はない。

 大人に任せて休んでいなさい」

 

 その気遣いの言葉も、揺れる心を落ち着かせない。

 俺はどうしたらいい。

 兄をどうしたい。

 青山優雅をどうしたいんだ。

 わからないよエンマ。

 

 通話の終わったスマホを握りしめてただ空を眺めた。その先の、魔界にいるだろう、こんな時に頭を叩いて道を示してくれたパートナーの姿を探して。

 

 プルル。

 またもや鳴る携帯。

 事件が報道されたからきっと他の戦友達がかけてきたのだろう(勝己さんもフォルゴレと例のアレから鬼電されてると騒いでいた)。

 今は電話をする気分ではない。

 悪いが切ろうとしたところでその相手の名に驚愕した。

 

【デュフォー】

 

 それはこの世の全ての答えを導きだせる人物。

 

「デュ、デュフォーさん!!」

 

 縋り付くように電話を取る。

 すると彼は、

 いつものように、

 

「お前、頭悪いな」

 

 呆れたように語りかけてくれたんだ。

 希望と呼ぶには少しばかり口の悪い。

 俺にとっての、もう一人のヒーローが。





 補足・説明。
 
 今話ですが、  

 緑谷出久って怪しいよね!!

 というだけの話でした。
 なおナゾナゾ博士はオールマイトとの付き合いはありません。
 オールマイトの執刀医に推薦されましたが、過去の失敗から周り(サー・ナイトアイ)が猛反対して付き合いができませんでした。本人も失意の隠棲中でしたし。

 兄に対する疑惑に絶望する弟。
 こうなると現在病室にて行われてる切島君主導の青山優雅奪還作戦も疑わしく見えます。
 いや真実は違うのですが(笑)
 なお爆豪勝己君は、緑谷出久君本人から貰った個性だと聞いているので既に疑ってたりします(性格的にあり得ないとは思いつつ、洗脳などがあるので)。

 作中屈指のバグキャラからの連絡。
 果たしてどうなるのか。
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