金色のガッシュを終えた俺のヒーローアカデミア   作:規律式足

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 なんだかんだで爆豪勝己君が仕切る救出チームとなります。



第四十九話 アジトへ。

 

「実は楽しんでるだろテメェら(イラァ)」

 

 神野区へと到着した青山優雅(内通者)救出の有志達。

 そんな彼らは現在、ヴィラン拠点のある都市についたからと変装の為に『激安の王道 鈍器、大手』にて(雑に)変装を行っていた(爆豪勝己以外)。

 

「爆豪はしないのか、変装」

 

「二秒も誤魔化せねえ雑な変装なんぞやるだけ無駄だ。つーか来ちゃいけねえ場所に来てんのに購入履歴なんて物証を残してんじゃねえ(クワッ!)」

 

 ノリノリで購入しさらにわけのわからんキャラ作りと演技ぶりに(根が生真面目な)爆豪勝己はキレる。

 ナンバー1を目指す爆豪勝己は完璧主義、やるなら徹底的ではないと気がすまない彼は中途半端な変装と中途半端なキャラ作りに苛つきだす。

 なんだその緑谷出久と飯田天哉のキャラ作り、と怒鳴りたくなる気持ちをグッとこらえる。

 個性社会において変装はほぼ無意味。

 なぜならどんな変装をしても個性を使用してしまえば誰だか一発で判明するからだ。

 そんなイラァと爆豪勝己がしている中(なお周囲の酔客達は怒気を放つ彼に圧倒され近寄らない。夜の街は危機意識が大切なのだ)、街頭モニターに雄英高校謝罪会見が放送されだす。

 並ぶのは根津校長、イレイザーヘッド、ブラドキングの3名。彼らはヒーローコスチュームではなくスーツを身に纏い、今回の林間合宿での過失についての謝罪と説明を行っていた。

 欲望と悪意と勝手な義心による記者の質問、それに対する返答もより面白くかつ大衆受けしやすいように湾曲した解釈を繰り返される。

 そこには被害者である生徒達の心境は含まれていない。彼ら彼女らヒーロー科生で雄英高校を担任教師をプロヒーロー達を恨み、不満を持つ者など誰一人としていない。

 確かに雄英高校をさらに警備をしっかりとしていれば防げた事件かもしれない。

 自分達は今頃林間合宿を続け、別のレクリエーション(一部は補習)していたかもしれない。

 そうならなかったのは学校側の過失である。

 だが同時に生徒達は知っているのだ。

 USJで遭遇したヴィラン連合のリーダー、それの見せた粘り付くような強い執着を。

 プロヒーロー達がどれだけ身体を張って助けてくれたのかを。

 だからこそ、事件を防げないことに納得し、プロヒーロー達の働きに不満などないのだ。

 しかし、

 無関係な大衆は、情報発信が商売なマスコミはそんなこと知ったこっちゃない。

 事件の当事者の想いなどどうでもよく、ただ一時の娯楽としてエリート校の不祥事を愉しんでいた。

 

「いくぞ」

 

 空気が淀む。

 そんな様を見せられた、悪意に慣れぬ学友達を爆豪勝己はその場から離れるように誘導する。

 大衆の一面を見せつけられ愕然とする純粋な学友達。その心情はわからないでもないし、ショックを受けるのもわかるが、

 

(夜の繁華街を彷徨く連中にモラルを期待するなんざアホらしい)

 

 とリアリストな爆豪勝己は大して気にしていなかったりする。

 そう、この時間帯この場所に居てアルコールの入ってない一般人など少数。

 そんな者達の反応が世間一般全てのわけがないのだから(現場の記者は除く)。

 

「かっちゃん」

 

「爆豪」

 

「爆豪さん」

 

「爆豪くん」

 

 そんな爆豪勝己の姿に凄えと尊敬の眼差しが集うのであった。

 

「・・・・・・やっぱ、俺一人で来たほうがよかったかね」

 

 彼の本音としては尻拭いとフォローの為に参加したのだが、大丈夫かコイツラと変装の辺りから思いはじめてたりするのだ。

 

「しかし爆豪」

 

「あん?」

 

 発信機の反応を当てに人集りから離れてゆく。そんな時に轟焦凍から声がかけられた。

 

「成二と夜嵐が参加してくれなかったのは痛いな」

 

 雄英高校一年トップレベルの実力者達の不参加について轟焦凍は触れる。

 よくわからないが経験豊富な二人ならば救出作戦で大きな助けになっただろうと彼は思ったのだ。

 

「いやいらんだろ」

 

 だが爆豪勝己は不要な存在だと断じる。

 

「そうか?」

 

「そいつら共通の知り合い(フォルゴレ)から聞いたんだが、アイツラは存外に好戦的で短気だ。もしヴィランが目の前にいたら叩き潰してからどうするか考えるだろうよ」

 

 これは二人の生来の気性というよりは、パートナーの魔物とあの戦いの影響である。

 話し合いと説得と後始末と処置は無力化(撃退)してから。容赦と躊躇なく襲いかかる他の魔物とパートナー、そして戦いに介入しようとするヒーローとヴィランを相手しているうちに、説明して静止しようなどとは考えなくなったのだ。

 理由を説明しても納得される筈はなく、戦いの場所を選ぼうと提案しても蹴られる。

 そんなことを繰り返せばそうなって当然だろう。

 

「そうなのか」

 

「らしいぜ」

 

 ヴィラン連合にカチコミかけるならば必要な戦力だったが、誰にも発覚せずかつ戦闘行為をせずに青山優雅を救出するならばあの二人はむしろ邪魔。

 使えてもせいぜい囮だろう。

 ちなみのちなみに、この救出作戦について爆豪勝己は既に雄英高校の教師達に連絡済みである。

 どんな形であれどうせバレることは間違いなく、あの場にいたクラスメイト達が報告している可能性は十分にあるからだ(それはそれで正しい行い)。

 だから責任はヒーロー免許持つ自分にあると前置きしてからどうするつもりなのかまとめ、報告してあるのだ。

 これはイタリアに滞在した時にフォルゴレのやらかした後の手続きの手伝いで学んだことである(イタリア語と文章は翻訳機だより)。

 こんなことをやらかせばヒーロー免許返納に追加で処分はあるだろうが、爆豪勝己はそれならそれで良いと感じていた。

 あの英雄を知った彼に、キャリアに執着する気持ちなど一切ないのだから。

 

「んでアレがクソ共のアジトか?」

 

「脳無とやらにつけた発信機の示す場所なのでアジトとは限りませんが、拠点なのは間違いありませんわ」

 

 古びた倉庫、雑草が生い茂り廃墟のように見える。取り壊すことにも金がかかり更地にした後の管理費と税金の関係から放置されたよくある倉庫の一つ。

 それはヴィランに体良く利用されてしまっていた。

 

「アジトか定かじゃねえなら、クソナルシスが居る保証もねえか」

 

 かといって侵入するわけにもいかない。

 個性を使えば容易く侵入できる程度の外壁。だが雄英高校敷地内の訓練場ではない場所で個性のしようなどできる筈もない。

 簡単に飛び越えられる程度のチャチな壁は法律という絶対防壁により補強されているのだ。

 

「耳郎くんや葉隠くんのようなスニーク活動に秀でた者はいない。少しでも危険だと判断したらすぐ止めるぞ。友であるからこそ、警察への通報も辞さんからな!」

 

 目的地には着いた。

 あとは目的(救出)の為に法に触れる所業をせざるを得ない。

 それを意識し、

 

「・・・・・・ありがとう飯田君。出来る範囲で出来ること・・・・・・考えよう(ブツブツブツブツブツブツ)」

 

「久々に見るなブツブツ」

 

「緑谷さんって感じですわ」

 

「うるせえ」

 

 思考に没頭する緑谷出久を見て、爆豪勝己もまたどうすべきか悩む。

 この時点で自分達に出来ることはほぼないと彼は理解していた。

 八百万百は受信機をオールマイトにも渡している。ならばヒーロー達がこちらに来ることは確定しているのだ。

 強引に侵入した挙げ句にヒーローとかち合わせてしまえばいらん誤解すら招くだろう。

 

(できることねえな)

 

 発信機の示す場所に青山優雅が居て、偶々一人で行動している状態で発見する。

 そんなあり得ない状況でもない限り、発覚しないで救出なんて不可能だったのだから。

 

(アイツラなら躊躇わず侵入して内部を調査、資料や情報でも漁るんだろうな)

 

 あの戦いを経験した緑谷成二と夜嵐イナサから遵法精神は消失している。

 そんな裏事情を知らずとも爆豪勝己はなんとなくではあるが二人のしそうな所業を察していた。

 

(どうすっかね)

 

 道路から内部を窺うも廃倉庫であることしかわからない。ドアの前に雑草が生えてることから使用してないと推察できるが、ワープ個性があるからわざわざ玄関を使用する必要そのものがないのだろう。

 また面倒なことに、

 

「ホステス〜〜〜」

 

「せめて男装にしろボケ」

 

「ハッ!?」

 

 八百万百が通り過ぎる酔っ払いを引き寄せる格好をしているときた。

 夜の街に溶け込む為の変装だったんだろうが、このままではたちの悪いナンパすらも引き寄せかねない。

 だいたいこの時間帯にうろつく真面目で真っ当な学生はいないが、真面目で真っ当ではない若者ならばうろついているのだ。

 そんな不良児を装えば良いだけだとなぜ気が付かないのか(なんだかんだで全員世間知らずの為)。

 とにかく多くはないが人通りもあり目立つ動きなんてできはしない。

 ここしか情報がないので裏に回ってみることにした。

 建前間の通路といえない隙間を移動、八百万のつっかえそうという発言に切島鋭児郎がどこがつっかえるのか察して反応する。

 そこで緑谷出久が窓を発見し中の様子を見ようと提案した。

 

「この暗さで見れるか?」

 

「それなら私が暗視鏡を・・・・・・」

 

 すぐに八百万が創造しようとするが、切島鋭児郎が「いや!!」と静止。

 なんと彼は既に用意していたのだ。

 

「ええ凄いなんで!?」

 

「・・・・・・峰田から借りた」

 

「「「「(何で持ってんだ?)」」」」

 

 その理由は明白である。

 

「林間合宿に持ってきてたらしいから貸してくれたんだ」

 

「「「「(何で持ってきてんだ?)」」」」

 

 その理由は明白である(二度目)

 

「参加はできねえが協力してくれたんだ。アイツも青山を助けてえけど自分じゃ何もできねえからって」

 

 A組のドスケベ、峰田実。

 しかし彼が友人想いの情に厚い人物であることもまた事実である。

 

「んじゃ肩車で高さ調整して確認しろ」

 

 青山優雅が居れば最上。

 脳無とやらが真っ当な生き物ではないのは見て取れるが管理している可能性はある。

 

「わかった」

 

 飯田天哉が切島鋭児郎を肩に乗せて塀を越えて内部を見る。

 

「んあー・・・・・・汚ねーだけで。特に、は」

 

 暗視鏡ごしに切島鋭児郎が見たモノは放置された機材が片付けられていない倉庫の様子、だった。

 

「うおっ!!」

 

 それを発見するまでは。

 

「何があった?」

 

「左奥、緑谷左奥見ろ!!」

 

 それがナニカ、言葉にすることすら抵抗ある切島鋭児郎は緑谷出久に暗視鏡を渡す。

 そして渡された緑谷出久が見たモノは、洗濯機のような鉄の箱に浸された脳みそ剥き出しの怪人達の姿。

 この時点でようやく、脳無とやらがヴィランの仲間ではなく道具に過ぎないことを学生達は理解した。

 

「退くぞ」

 

 ヴィラン連合のアジトではなく、道具の保管場所ならば内通者でありヴィランの仲間である青山優雅は此処にいない。

 爆豪勝己はそう判断した。

 ワープ個性があるなら連中が取りにくることもない、ならば此処にいる意味はないのだ。

 

「・・・・・・そうだね」

 

 道具に過ぎないならアジトにあんなモノを招くことはないだろうからこれ以上の情報は得られないと緑谷出久達も理解した。

 そう全員が頷いたところで、  

 車を履いた巨大な美脚が振り下ろされた。

 

 THOOM。

 

「来ちまったか」

 

 その尋常でない衝撃と光景に、爆豪勝己はヒーローによる逆襲の開始を理解した。

 

(混戦の最中にあのクソナルシスの救出をするタイミングなんざあるかどうか)

 

 青山優雅を救い出すには緑谷出久が手を伸ばす必要がある。

 青山優雅の背景を事前知識から察した爆豪勝己はそう考えていた。

 





 補足・説明。

 今話は神野区到着からヒーローの作戦開始に、爆豪勝己君のツッコミを添えてになります。
 キレないかつ悪態つかない爆豪勝己君はツッコミ役でしかないだろうというのが作者の考えです。
 なんだかんだいって、かなりズレていて一般常識の欠けるイメージの強いA組メンバーで希少な感性の持ち主かと思います。というかこのメンバーが特に常識ないだけかもしれません。

 原作だと切島鋭児郎君が五万で購入した暗視鏡ですが、時間のズレの関係から峰田実君が貸してくれました。彼ならば所持していてさらに貸してくれそうだと思いまして。

 話の展開がイマイチ遅いですが、そろそろ青山優雅君を救いたいところです。

 最後に、

 車を履いたマウントレディってなんかよいですね。

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