金色のガッシュを終えた俺のヒーローアカデミア   作:規律式足

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 展開に悩みましたがなんとか書けました。
 


第五十話 時代の節目。

 

 無事だったのは運が良かっただけ。

 

 巨大化した美脚が踏み割るという強引過ぎる侵入方法。砕かれた外壁からナンバー4ヒーロー・ベストジーニストなどの精鋭達が攻め入る。

 その光景を見た雄英高校生達は安心して撤退を決める。ナンバー4ヒーロー、それはヒーローを目指す彼らにとって雲の上の存在であり、雄英高校卒業生でもある彼はその活躍ぶりや功績や方針などを授業でよく語られているからだ。

 ヒーロー達と警察の会話からヒーロー達は二拠点同時攻略を行っていることがわかった。

 八百万百の発信機では脳無保管場所しかわからなかったが、別口の調査にてヴィラン連合のアジトは発見されたのだろう。

 そしてオールマイトがそちらに向かったとなれば鎮圧は時間の問題。

 期末テスト実技にてオールマイトと相対した緑谷出久と爆豪勝己は、守り救うオールマイトの頼もしさとは異なる、襲いかかるオールマイトの恐ろしさを実感しているのだ。

 オールマイトが向かった方にヴィラン連合のメンバーが居るのならば青山優雅もそちらに居る。

 その時にヴィランに拐われた被害者扱いなのか、ヴィラン連合の内通者扱いなのかで彼の今後は定まるが、とにかく救われはするだろう。

 そう考えて動きだそうとした瞬間、

 脳無保管場所廃倉庫の奥から一人の男が現れ、圧倒的な死を錯覚させる悍ましい気迫に隠れ潜む少年達が硬直し、都市を揺るがすほどの衝撃が奔り状況は一変してしまった。

 一撃。

 強化されたただ一つの個性によるものか、複数個性による複合技なのか、巨悪の放った一撃により廃墟立ち並ぶ神野区の一角は幾つもの建物を消し飛ばし鎮圧しようと攻め入ったヒーロー達と警察を無力化した。

 彼らが生存できたのは巨悪の手腕ではない、それを為したのはナンバー4ヒーロー・ベストジーニスト。彼が自身の個性ファイバーマスターにより仲間達の衣類を操り端へと寄せたことで意識は失えど命は繋げたのだ。

 その判断力・技術は巨悪をして拍手喝采するほどのもの。粉砕された都市にCLAPCLAPと幼児の頑張りを讃えるような上から目線の拍手が響く。

 背を地面につけたナンバー4ヒーロー。事前情報との違いと圧倒的実力差があれど彼は意識ある限り動き続ける。一流はそんなモノを理由にしない、揺るがぬ矜持による決死の反撃も巨悪の無慈悲な追撃がねじ伏せようとした瞬間、彼は動き出していた。

 爆音を背に宙を駆ける少年爆豪勝己。

 巨悪の指先から放たれたナニカがベストジーニストの肉体を穿つ間際、その身体を掴み射線から外す。

 

「「「「「!?」」」」」

 

 驚いたのは誰だったか。

 いつぞやの幼馴染のように、平和の象徴であるナンバー1ヒーローのように、イタリアの英雄であるコメディアンのように、魔界の王を決める戦いを乗り越えたパートナー達のように、彼の身体は勝手に動き命脅かされる存在を救い出していた。

 

「ホウ」

 

「君は」

 

 巨悪とヒーローが呟く中、その爆ぜる両手を構える。爆豪勝己だけが巨悪の恐怖に硬直しなかったのは、イタリアでの騒動が原因。

 義心によるものとはいえ形振り構わず襲いかかるゴッドファーザーとの戦いによる経験が、オール・フォー・ワンという巨悪の気迫すらも跳ね除けたのだ。

 

「はっ!!え?」

 

 そしてさらにバシュバシュと宙から物音がしたかと思えば青山優雅及びヴィラン連合メンバーがまっさらになった地面に現れ落ちた。

 どうやらヒーロー達の迎撃と同時に転移個性でヴィラン連合メンバーを救出したらしい。

 

「また失敗したね弔」

 

 ヒーロー達に敗北する寸前だった自身の次となる器にオール・フォー・ワンは語りかける。

 

「でも決してめげてはいけないよ。

 またやり直せばいい。

 こうして仲間も取り返した。

 人質もまだこちらにある。

 いくらでもやり直せ、その為に僕が、先生がいるんだよ。

 全ては君の為にある」

 

 まるで励ますように、導くように、後押しするように、保護者のように、教師のように、先達のように、オール・フォー・ワンは死柄木弔にそう語りかけた。

 さながら感動的な一幕。

 だが、彼らは自らの欲望が為に悪逆を為すヴィランであり、此処は暴威に破壊された都市の一角である。

 

「ッ!!」

 

 爆豪勝己はその光景を見て理解する。

 なぜあのドン・ピッツァほどのゴッドファーザーがさらなる力を求めてまで立ち向かおうとしたのかを。

 聖者のようなお綺麗な言葉を語り、気ままに厄災の一撃を放つ存在。

 そんなモノから故郷を守るには理不尽を越えられるほどの力がいる。

 そして青山優雅を爆豪勝己やベストジーニストの前で仲間やコマと呼ばなかった。

 その事から、たとえ救出されても内通者として再度使用するつもりなのだと察することができる。

 

「(やるか)」

 

 怪我人集団を抱えて逃亡は不可能。

 ならば戦い、打ち破る。

 実力差は明瞭。  

 数秒の足止めすらできるかどうか。

 だけど今動けるのは自分だけ、

 だから立ち向かうのがヒーローだ。

 

「待、」

 

 ベストジーニストの静止よりも早く踏みだした爆豪勝己の一歩は、

 

「全て返して貰うぞ、

 オール・フォー・ワン!!」

 

「また僕を殺すか、

 オールマイト」

 

 金色の希望の乱入により止められた。

 

「オールマイト!?」

 

「爆豪少年、よくやった!!

 あとは私に任せなさい!!」

 

 残り火とは思えぬワンフォーオールのパワーと、全盛期と程遠いとは思えぬオール・フォー・ワンの個性同時発動による一撃がぶつかり合う。

 衝撃は夜の街を破壊音となり震わせる。

 

「ここは逃げろ弔」

 

 幾度かぶつかり、オールマイトを吹き飛ばしたオール・フォー・ワンはその隙に意識のない黒霧を動かして死柄木弔達ヴィラン連合を逃がそうとする。

 

「ぼ、ボクは」

 

 そんな中、どうしたら良いかわからず右往左往する青山優雅。

 自分の意思で、望んでこの場に居るわけではない彼は、何をしたら良いかどうしたら良いのかもうわからない。

 ヴィラン連合による誘拐被害者になるよう命令されたら、ヴィラン連合の仲間であるかのように扱われ、拠点に攻め入ってきたヒーローと警察もヴィランではなく被害者として助けようとしてくれていた。

 

「(ボクは今、なんなんだっ!?)」

 

 彼の胸中はソレに尽きる。

 内通者なのか、ヴィランなのか。

 被害者なのか、ヒーロー候補なのか。

 皆と同じになりたかっただけの子供は、

 自分が今、如何なる存在かわからない。

 両親を自らの命を守る為にやってしまった所業。ソレが後戻りできないことなのは理解している、

 それでも、

 それでも、

 

「誰か、助けて・・・・・・」

 

 願望と罪悪感と絶望と諦めと申し訳なさとあらゆる感情によりぐちゃぐちゃとなった心は、ただただ救いを求めていた。

 

「!?」

 

 その言葉を聞いた瞬間、彼らは青山優雅の仲間達は全力で動き出していた。

 緑谷出久のフルカウルと飯田天哉のレシプロで推進力を生み出し、切島鋭児郎の硬化で壁をぶち抜く!開けた瞬間すぐさま轟焦凍が氷結で道を形成。

 なるべく高く跳べるように、ヴィラン達の手の届かない高さで戦場を横断できる高さの氷山を。

 

「青山君っ!!」

 

「緑谷君っ」

 

 そうすれば爆豪勝己が手を貸してくれるから。

 

「ハッ、行けやクソナルシス。

 んな助けて欲しい面してんなら、助けられてきやがれっっ!!」

 

 呆然と空を見上げる青山優雅を、爆豪勝己は胸ぐら掴んで爆破しながら投げ飛ばす(容赦無し)。

 

「かっちゃん!!」

 

「先帰ってろっ!!

 俺も後から行く!!」

 

 逃がすまいと動き出すヴィラン連合達にクラスターによる連続爆破で大量に爆竹鳴らすかのように足止め。

 爆豪勝己は最初から足止めと説明の為に残る気だったのだ。

 

「何よ、この子!!」

 

「アダダタダ、痛い痛い痛い。威力は弱いけど集中できねえ!!」

 

「救出を邪魔せず死ねやヴィラン共!!」

 

「やるじゃないか、イタリアの新人」

 

 紡がれた繊維が爆豪勝己への攻撃を弾く。ダメージにより禄に動けないベストジーニストはヴィランの捕縛は出来ずとも足止めに専念する爆豪勝己のサポートを行う。

 遥か遠くから聞こえた着地音。

 

「(やったじゃねえか)」

 

 それを聞いた爆豪勝己は笑い。

 

「さあて、後はクソ共皆殺しだ!!」

 

「その口の悪さ。矯正案件だぞ新人」

 

 ナンバー4、さらには駆けつけてきたヒーロー達と連携しヴィラン連合と交戦を開始する。

 激戦の夜はまだ終わらない。

 

 

 

 

 ボロボロの拳が高らかに突き上がる。

 巨悪を打ち倒した英雄の、

 勝利の、最後のスタンディング。

 

「かっけえな」

 

 ヴィラン連合は死柄木弔はオール・フォー・ワンに逃された。

 爆豪勝己とトップランカー達は、巨悪と英雄の戦いに割り込むことすらできなかった。

 都市は戦いの余波で砕かれ犠牲者も出た。

 救助活動が開始し脳無らと共に移動牢にオール・フォー・ワンが入れられた。

 そして戦いの最中から駆けつけてきた報道陣達によりその状況が発信される中、

 残り火まで燃やし尽くし、本来の骸骨のような姿を曝け出した英雄は、

 

「次は、君だ」

 

 カメラへと、その先にいる後継者へと言葉と全てを託した。

 短く発信されたメッセージそれは一見、まだ見ぬ犯罪者への警鐘、平和の象徴の折れない姿を現しているようだった。

 もっとも、事情を知る者達はその真意を悟る。

 

「私はもう出し切ってしまった」

 

 そんな彼の真意を。

 

 

 

「終わったか」

 

「なんとかなったみたいスね」

 

 病院の屋上でスマホ越しにその光景を見届けた二人は夜明けの日差しを全身に受けながらそう呟いていた。

 




  
 補足・説明。

 今話は青山優雅救出からの決着です。
 途中、オールマイトの最後の戦いは全カットしましたが、そこは原作のままです。
 爆豪勝己君は意識のあるベストジーニストを背負いながら現場を駆け回っておりました。
 救出の時に青山優雅君と緑谷出久君にアレコレしようか悩みましたが、原作と比べたらまだ青山優雅君はそれほど接点がないので。ただ助けにきてくれたクラスメイト達によりその心は救われました。
 しかし、原作でも当初は林間合宿で内通者バレ予定だったらしいですがどうなってたのか超気になりますね。
 なお察する方もいると思うので書きますが、オール・フォー・ワンは青山優雅君を助けられた被害者という美味しいポジションで内通者を続けさせる気満々です。
 内通者バレしてるとは気づいてません。

 次話は後始末とこれからです。
 
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