金色のガッシュを終えた俺のヒーローアカデミア   作:規律式足

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 今回は繋ぎ回です。



第五十一話 神野の悪夢の後に。

 

 何もできなかった。

 いや、何もしなかった神野の夜が明けた。

 

 青山優雅を、雄英高校で起きた襲撃事件を手引きした内通者を救う。

 俺はソレに本心から納得できなかった。

 直接的な被害はほぼ無い。

 ヒーロー基礎学の授業で襲撃されたのはA組だし、林間合宿でも雄英高校教師、プッシーキャッツ、マジョスティック12の尽力もあり大した怪我も負ってはいない。

 けれどそれでも、

 青山優雅という人物が俺達が作れる筈だった思い出を台無しにしたのは事実なのだ。

 それが家族と己の命を守るという理由があったとしても納得はできなかった。

 だからこそ俺は助けにいかなかった。

 内通者としてクラスメイトに負い目を抱いている人物を救う為には、本心から助けたいという気持ちが重要なのだから。

 現場で戸惑ってしまえば致命的な失敗をする恐れもあったのだから。

 そんな懸念がゆえの選択はどうやら正解だったらしい。

 青山優雅は心から友人を助けたいと思う兄さん達に救われたのだから。

 

 神野区のニュース。

 それが全国放送され俺達が見たのは、オールマイトとオール・フォー・ワンの戦いから。

 その時点で神野区の一角は崩壊し、兄さん達は青山優雅を助けて去った後だった。

 勝己さんだけは残り、ナンバー4ヒーロー・ベストジーニストと合体(背負っただけ)した状態で周囲の被害を抑える為に飛び跳ねていた。

 平和の象徴と闇の帝王の戦いはそこからさらに激化し最終的にオールマイトが勝った。

 オールマイトの正体?

 俺はそれについては気にならなかった。

 だってあの外見については知っていたからだ。

 いや、確認したわけではない。

 ただ雄英高校の職員として兄さんと親しげに話す骸骨のような外見の人がオールマイトと同一人物だとわかっていたのだ。

 外見も痩せ細っているだけで面影があるし、何よりも心の波長がまったく同じだったのだから。

 なのでオールマイトの真の姿が痩せ細った骸骨のようなものだったと明らかになっても、あんな姿になるまで頑張ってくれたんだと思うだけで、別にショックや衝撃をうけてはいない。

 

 さて、【神野の悪夢】、そう名付けられた事件が終わったその後について。

 兄さん達は青山優雅を救出した後に現場を離脱し、彼を警察に送り届けてから家路を辿った。

 その際に彼の事情を聞き、そのただ従うしかない境遇に同情してしまい内通者という事実に怒りを抱けなかったそうだ。

 でも青山優雅は話終えた後に憑き物が落ちたかのようにスッキリした表情だったそうだ。

 彼がこれからどうなるのか?

 それは雄英高校、ヒーロー、警察、の話し合いで決められるだろう。

 まあ、境遇が境遇だからそう悪いことにはならないだろうけど。

 そして一人現場に残ったイタリアの資格とはいえヒーロー免許を持った爆豪勝己さんだが、そのまま新人ヒーローとして現場で救助活動に従事した。

 どうやら俺達が想像していたより爆豪勝己という、パルコ・フォルゴレに次いで特例でヒーロー資格を得た人物はヒーロー業界で有名だったらしい。

 というかイタリア政府がウチのヒーローだからと牽制するかのように広めまくっていたのだとか。

 そんな特殊な立場であり、あの悪夢のような現場でベストジーニストを救うなど活躍してしまったのだからさらに有名になるだろう。

 というか、雄英高校中退してヒーロー業界で働けるのでは?という状況だったりする。

 爆豪勝己さんの明日はどっちだ。

 オールマイトは記者会見にてヒーロー活動引退を表明。

 神野区でオール・フォー・ワンに吹き飛ばされた脳無保管場所にいたヒーロー達は怪我を負ったものの無事に復帰可能とのこと。

 

 

「なんか他人事だな」

 

「蚊帳の外っスもんね」

 

 電話でイナサとそんなこれからについて話していた。林間合宿襲撃に続けて起きた神野の悪夢、これからどうなるか不穏な空気漂う世間に対して俺達学生には何もできない。

 俺達は所詮ただ少しばかり伝手があり事情通なヒーロー科の学生に過ぎないのだ。

 当事者であった魔界の王を決める戦いだったらヴィラン連合と決着をつけるために駆けずり回るのだろうが、今の状況ではそうもいかないしやる事が許されない。

 だからやれることはヒーロー科生として、きちんと学校に通うだけだ。

 

「ま、夏休み中っスからね。こんなことが起きた状況で残りの休みで旅行するわけにはいかないわけで」

 

「自宅待機の指示が雄英高校から来てるから、マジで暇なんだよな」

 

「一人暮らしに夏休み自宅待機。クーラーの電気代嵩むだけの地獄スね」

 

「それな」

 

「多分雄英高校側から、今回の件で対策講じるからその為の措置なんスよね」

 

「だろうなあ」

 

 果たして雄英高校はどうするのやら。

 

 

 当事者になれなかった俺達はこんなもの。

 一学生は事件が起きても学校からの指示を仰ぐしかない。

 オールマイト引退による不安もショックも無ければ、さほど精神的な不調も起こりえない。

 それにはクラスメイトに被害がなかったという理由が大きいのだろうけど。

 雄英高校が対策を定めそれについて通達するまでの期間、俺は友人との電話のみが娯楽という退屈な夏休みを過ごすことになった。

 

 

「ならセ◯やろうぜ、◯ガ」

 

「なんで遊びにくるんだよトウヤさん」

 

 通っている学校で事件が起き、社会の混乱が懸念される中、高名なヴィジランテが自宅に出入りするのは問題なのではなかろうか。というかいらん疑惑がかかりそうだ。

 

「しゃーねーだろ、清麿達から頼まれたんだし。こっちまで来れないアイツラ(特にサンビーム)に代わってお前らの様子を見に来てんだよ」

 

「これだからフリーランスは」

 

 ヴィジランテはフリーランスの職業なのだろうか?というかなんか色々調査してるらしいけど、この轟燈矢という人物は資金援助されてる無職なんだよなあ。

 だから自由に動けるのだけど。

 

「あ、そうだポストに手紙きてたぞ」

 

「ども。なになに」

 

「「雄英高校全寮制導入検討による家庭訪問のお知らせ」」

 

「・・・・・・・・・焦凍はクソ親父が応対すんのかね?なんか代理で冬美ちゃんが教師と面談しそう」

 

 それは認められるのだろうか。

 

「いや、入院してたお母さんだけど現在は自宅で過ごしてるって轟君が言ってましたよ」

 

「ならアノ人がやんのかね」

 

 どうやらトウヤさんとしては母親の方が複雑な感情がありそうだ。というかエンデヴァーが家庭訪問受ける発想はないらしい。

 

「つーかお前こそどうすんだよ」

 

 そう、問題は俺の方。

 

「母さんかあ」

 

 緑谷引子、俺の実母。

 兄さんを無個性に生んでしまいヒーローになる夢を潰したという負い目から、兄さんばかり気にかけていた人。

 正直、どう向き合えばいいかわからない。

 

「爺ちゃん婆ちゃんに頼もうかな」

 

「もしかして俺並に家庭に問題あるだろお前」

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・かも知れない(汗)。

 俺の意思を尊重してくれたのは本当に感謝しているのだけど。

 

 変わりゆく日常。

 その前に家庭訪問という難行が待ち構えていた。





 補足・説明。

 今話は事件が終わった後の説明回です。
 しかし書いてて思いましたが、
 当事者じゃないとどうしたら良いかわかりませんねこの状況。
 他人事で蚊帳の外。
 原作でも瀬呂君やら尾白君はどんな感じに夏休みを過ごしたのやら(名前付きモブな存在とかも)。
 グダグダに思考垂れ流した後に(ヒマな)トウヤさん参上。
 実は一人暮らしの未成年の戦友達を心配だからと訪ねて回っています。
 そしてゲームはセガ派です。
 彼が去った後には必ずセガハードが置いていかれるそうです。新手の妖怪かな?
 家庭訪問という地雷イベント。
 
 本当にどうしよう。

 いや本当にどうしよう。
 距離ある息子について語る母親の心境とか想像できないのですが。
 さらに彼女には緑谷出久君という洒落にならない被害でてる子供もいますし(重傷(自爆)とショッピングモールでヴィラン遭遇)。

 書きたいシーンの合間のこのような外せない場面は書くのが大変で困りますね。
 飛ばすわけにはいかないですし。
 
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