金色のガッシュを終えた俺のヒーローアカデミア   作:規律式足

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 悩みましたがこんな形にしました。



第五十三話 家庭訪問、緑谷家。

 

 雄英高校教師達が今回の事件と全寮制についての説明の為に家庭訪問を行う数日前のこと。

 魔界の王を決める戦いで協力し合った戦友である、純粋な魔人形キッドのパートナーであるなんでも知ってるナゾナゾ博士こと、ハワード・フリードマンに緑谷成二が借りてるマンションへ一人の女性が訪れていた。

 

「こっこっ、こんにちは」

 

「いらっしゃい」

 

 その人物の名は緑谷引子。

 このマンションを借りてる少年、緑谷成二の実の母である。

 

 

 

 母さんが話があるとマンションに訪れてきた。

 実は初めてではなく、雄英高校合格が決まり引っ越した時には見に来たりと何度かは来てたりする。

 

「ひっ、一人暮らしなのに綺麗にしているのね」

 

 何度来ても玄関入ってすぐに置いてある熊の剥製(手作り)に驚きながら母さんはそう言う。

 

「掃除は田舎でもしてたからね」

 

 爺ちゃんと一緒に婆ちゃんに尻を蹴られながらあの広い藁葺き屋根の日本家屋を毎日ピカピカに掃除したもんだ。

 

「ご、ご飯はきちんと食べてる?」

 

「学食で弁当を買ってるよ」

 

 自炊できないわけではないが、とにかく面倒なのと一人分の材料はとにかく余る。

 雄英高校学食であるランチラッシュの飯処ではそんな一人暮らし食事難民の為に栄養バランス抜群の夕飯用弁当を安く売っているのだ。

 

「お、お小遣いは足りてるかしら?」

 

「兄さんみたいにヒーローグッズを買わないから生活費だけで充分だって」

 

 現状そこまでお金が必要な暮らしをしていない。空いてる時間は鍛錬と勉強に費やしているし、恵さんグッズとフォルゴレグッズやチケットは本人達が無料で送ってくるのだ。

 

「ぼ、ボードに女の子とのツーショット写真が張ってあるわねえ・・・・・・三枚とも別の女の子っ!?誰と付き合ってるの成二!?」

 

「?・・・・・・三人ともただの友達だけど」

 

 壁にかけてあるコルクボード。そこには予定や学校からの連絡に緊急連絡先、戦友達とトガに小大さんと耳郎さんと出かけた時の写真が張ってある。

 

「(この娘達の方はそうじゃなさそうなのよね。どうしましょうお義父さんや旦那に似てきてるわ)」

 

「どうしたの?」

 

 考え込む母さんに訊ねると真剣な表情でこう言ってきた。

 

「その言葉はこの娘達には言っちゃ駄目よ」

 

「? 皆そう言うけどなんでさ」

 

 女心ってヤツかね?よくわからない。

 

「あ、ゲームもしてるのね。ウチにいた時はしてなかったわよね」

 

「あれは妖怪セ◯置いてくが置いてったんだよ」

 

「妖怪◯ガ置いてく!?」

 

 テレビ前のゲームハードに気付いた母はウチに限らず戦友達の自宅に現れてはセ◯ハードを置いてく妖怪(トウヤ)の存在に驚きの声を上げた。

 しかしさっきから必死になんか会話しようと目についたものを片っ端から話題にしようとしているな。

 

「母さんそれで今日来たのはさ」

 

「うん・・・・・・全寮制についてのことよ」

 

 母の前に紅茶を出しながら俺は本題を切り出す。もっと雑談していても良かったけど母さん本人がソワソワと落ち着かない様子だったからだ。

 

「今回の家庭訪問は貴方の面倒をまるで見ていない私なんかじゃなくて、お義父さんとお義母さんがするべきだと思ったわ・・・・・・でも」

 

「あの二人が自分でやるようにと断ったんでしょ?」

 

 この時期は二人とも忙しいって理由もあるけど、母さん自身が自分でやるべきか悩んでるのを察して断ったんだろう。

 やるか、やらないか、悩むならやれ。

 それが祖父母の行動理念の一つだからな。

 

「・・・・・・そんな資格、私にはないのにね」

 

「そんなことはないと思うけど」

 

 三者面談に参加する資格とはいったい?

 確かに兄さんと比べたら放任ではあったけど、いつも俺のやりたいことを反対せずにやらせてくれた。思うところがないわけではない、でもそうしてくれたから俺はエンマと出会いパートナーとして戦い抜けたのだから。

 

「だから家庭訪問を受ける以上は貴方の考えを聞いてから、私の考えを伝えておきたかったの」

 

 俺の考え・・・・・・か。

 それはもう最初から決まっている。

 

「雄英高校に通い続けるよ。

 全寮制になるなら寮に住む」

 

「・・・・・・雄英高校じゃないと駄目なの?ヒーローになるんだったら何も雄英高校じゃなくても」

 

「俺はヒーローになりたいんじゃない」

 

 そこは多分だけど、兄さんともクラスメイト達とも違う俺の考え。

 

「俺は相棒が一目で見つけられるような存在、ナンバー1ヒーローに成りたいんだ」

 

 人助けをするならばヒーローである必要はないと俺は知っている。

 それなのにヒーローになることに拘るのは、人助けすることよりもヒーローであることが自分の中で重要だからだ。

 フォルゴレに返り討ちにされた【ヒーロー殺し】が斬りかかってきそうな、ヒーローを目指す理由。

 だけど俺にとっては、何よりも大切な理由なんだ。

 

「成二」

 

「雄英高校は事件の連続で評判は下がってきつつある。でも依然として日本最高のヒーロー育成機関なことに変わりはない。

 雄英高校をトップで卒業。

 ナンバー1ヒーローに成るためには必要な評価なんだよ」

 

 オールマイトという不動の1位が去った後は、他の国のようにランキングは度々入れ替わるだろう。

 現トップヒーロー達に雄英高校出身者が多い以上は、雄英高校トップ卒業は、最低限果たすべきラインなのだ。

 

「・・・・・・失望させたかな?」

 

 戯けたように肩をすくめる。

 兄さんのようにナチュラルボーンヒーローになんて成れはしない。

 そんな自分に失望して嫌悪して、劣等感から潰れた。

 けど、今は気にしていない。

 相棒に見つけて貰うためにナンバー1ヒーローに成る、それが俺なんだ。

 

「失望なんかしないわ。

 それが成二なんだってようやくわかったから」

 

 母さんは深く頷いてからそう呟いた。

 

「私は、私はね。

 雄英高校に貴方達がこれ以上通うことに反対なの。雄英に入ってから出久はどんどんボロボロになるし、成二も小学生の時と違って火傷だらけじゃない」

 

 うん、そうだよね。

 

「先日のオールマイトの戦いを私も見たの。

 出久が憧れるオールマイト。  

 成二が目指すナンバー1。

 貴方達の行く末があんな血みどろの未来なら、ヒーローなんてなって欲しくないの」

 

「母さん」

 

 親が子供の夢を否定する。

 それはいったいどれくらい辛いことなんだろう。

 泣き出しそうな顔の下にどれだけの感情が溢れそうなくらいに抱えているのだろう。

 

「昔から私は出久のことばかりに構っていて、成二を蔑ろにしていたわ。

 だから貴方の願いを否定する資格なんてない、そんなことはわかっている。

 でも、それでも、

 ヒーローになることを諦められないなら、せめて雄英高校以外のヒーロー科に通って欲しい。

 傷つく機会を少しでも減らして欲しいと、血みどろになんてならないで欲しいと思うの」

 

 雄英高校以外、か。

 

「兄さんの三者面談でも」

 

「誰が来ても、それこそオールマイトが来てもそう告げるつもりよ」

 

 参ったね。

 今まで向き合ってなかった母の想いが胸に染みていく。

 都合が良いからと、トラブルが起こらぬように避けていた母との関係。

 対立するくらいなら会わない方が良い。

 そんな互いに顔をそらし合っていた俺達は今向き合ったんだ。

 

「ごめん母さん。

 それでも俺は雄英高校に通う。

 別の手段や横道はあるかもしれない、でも俺は確実にナンバー1ヒーローに成る道を選びたい」

 

 そこに妥協はできない。

 無論、今の友人達と離れ離れになりたくないという理由もある。

 けどそれ以上に、

 

「エンマに見せてやりたいんだ。

 最高の天才のパートナーは、頂点に登りつめたぞって」

 

 パートナーに対する想いは特別だから。

 

「成二。それが貴方の幸せなのね」

 

 母さんは俺の、俺達の幸せを願ってくれている。

 だから、これを欠いてしまえば俺が幸せになれないとここで悟ったんだ。

 

「わかったわ・・・・・・・・・、それでも約束して頂戴。貴方の願いの為に、途中で死んだりはしないって」

 

「傷つかない、血みどろにならない、は約束出来ないけど、死なないとは約束する。  

 エンマとガッシュとウマゴンとキャンチョメとティオとサラマと、皆と再会するその時まで何があっても死ぬつもりはないよ」

 

「フフ、お義父さんのところでそんなに大切な友達ができたのね」

 

「ああ、皆と共に戦えたことは俺の、俺達の誇りなんだ」

 

 母さんは涙を浮かべながら笑って、俺も笑った。

 

 色々あった母さんとの関係。

 思うところは多分、今でもある。

 でもこの人は自分の子供に嫌われることを覚悟の上で、子供の幸せのためならばモンスターペアレントと呼ばれることも辞さないくらい幸せを願っているのだと知ったから。

 それだけで俺は充分なんだ。

 

 

「けどいい加減、昔のことを気にしなくていいって」

 

「でも・・・・・・」

 

「いや気にするのは仕方ないなら、せめて気に病むのはやめてよ」

 

 雄英高校にこれから通うことに、少なくとも俺については納得してもらえた(兄さんはまた別、生傷が半端ないしヴィランとの接触が多いからだ)。

 

「私は出久が無個性だからって、出久のことばかりにかかりきりで」

 

「実際に兄さんは手のかかる子供で、それは殆ど無個性関係なかったからね?」

 

 小学生時代の兄さんも今と同じくらい生傷や病気による病院通いが多かった。

 ナチュラルヒーロー気質の兄さんは、自分が傷つくのも厭わずにトラブルに首を突っ込んでは怪我してきたのだ。

 その中には勝己さんにやられたものだってある。イジメをする勝己さんに立ち向かってやられるなんてしょっちゅうだった。

 川に流される子猫を救うために飛び込んで溺れかけたり、木に引っかかった風船を取るために木に登って落ちたり、雨の中に濡れながら探しものを手伝って病気になったこともある。

 個性があればまだマシだったかもしれない。

 でも個性があっても怪我はしただろう。

 

「それはそうだけど」

 

 母さんもそんな叱るに叱れない理由で体調を崩す兄さんに何も言えなかった。無個性でヒーローに成れないのに、ヒーローみたいな行動すら奪いたくなかったんだろう。

 

「見てほしかった、構ってほしかった、そんな風に思っていたけど、兄さんと同じ行動する勇気がなかったのは俺だからさ」

 

 というか、双子で個性あるのに兄と違ってやらないの?という周囲の視線に耐えきれなかったのもあるしなあ。

 当事はそんな自分自身が大嫌いだったし。

 

「成二」

 

「もう謝らないでよ。

 逃げた先で俺は大切なモノを得たんだから」

 

 だから今は前を向けるのだ。

 

「・・・・・・そうね。

 なら謝るのは今日限りにしておくわ」

 

 憑き物が落ちたように母はそう言ってくれた。

 

「じゃあ、次はそんな成二が相棒と呼ぶ子のことを教えて頂戴?」

 

「長くなるけど・・・・・・良いかな?」

 

「うん、私が聞きたいの」

 

 そうして俺は母さんに最後まで話した。【金色のガッシュ】タイトルを付けるとしたらそんなタイトルの物語に加わった、俺とエンマのストーリーを。

 





 補足・説明。
 
 今話は母と子が向き合う話です。
 気まずい中取り敢えず話題を振り続けてから、本題に触れました。
 成二は母が嫌いではありません。
 ただ向き合うことで起きるトラブルが嫌で避けていた感じですね。
 決定的な意見の対立で、一生関わらなくなった身内なんてどこにでもいますから。
 なら対立しないで、決裂しない関係の方がまだマシにも感じてしまうのです。

 妖怪セガ置いてく。
 通称、轟トウヤ。
 遊びに行った先にセガハードがないと嫌だから、戦友宅にセガハードを置いて回る妖怪。
 日本国内の戦友宅には全て置き済み。なおハイツアライアンスにも置いてく予定。

 成二が雄英高校に居る理由。
 ヒーローに成りたいのではなく、ナンバー1ヒーローに成りたい。
 人助けとヒーロー活動を切り離して考えている。
 
 緑谷出久。
 母がかかりきりだったのは無個性だからではなく、実は身体が勝手に動いて生傷病気が絶えなかったから、という本作設定。でもかっちゃんからイジメられっ子を庇う原作シーンからありえそうではある
 成二の劣等感の原因の一つで、兄と同じことができない自分が嫌いだった。

 家庭訪問編はこれで終わりです。
 緑谷出久とオールマイトとの三者面談では、洸汰君のくだりはありませんが原作とだいたい一緒です。
 ブラドキングと根津校長との面談は結論がでているので受け入れます。

 
 すいません、何気なく購入したファンタジーライフIにどハマリしまして、しばらく毎日投稿は難しいです。
 書けたら投稿しますので、どうかこれからもよろしくお願いします。
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