『せ、先生ーー!!!!』
フォルゴレの持つタブレットから幼い女の子の声が響き渡る。
だが、悲しいかな。
その声を聞くことが出来たのフォルゴレだけであった。
「へっ...へへへっ!!なんだよビビらせやがって!!何が無敵のフォルゴレだ!!」
プスプスと音を立てて倒れているフォルゴレの姿を見て、不良たちは笑い声を上げた。
不良たちから見れば、ただの変態が現れて勝手にやられただけなのだろう。
「ちょ、ちょっと!?あの人やられちゃったじゃない!?どうするのよ!?!?」
「...大丈夫です」
「何が大丈夫なのでしょうか?」
「首席行政官、すごい汗ですよ??」
「連邦生徒会長が選んだ先生です...絶対...いや、多分...おそらく大丈夫でしょう...」
ダラダラと冷や汗を流すリンを問い詰めるユウカたち。
そんな彼女たちを他所に、アロナはウキウキな声で不良たちに宣言する。
まあ、その声は不良たちに聞こえていないのだが...
『フ...フフフフフフフ...みなさん、フォルゴレ先生を舐めていますね!?』
『良いでしょう!!教えてあげます!!フォルゴレ先生が鉄の戦士ということを!!無敵の戦士、フォルゴレということを!!』
でんてけてけてけ♪でんてけてけてけ♪
でんでんでん♪♪
「なんだ、この音楽は!?」
「あいつのタブレットから流れているのか!?」
フォルゴレのタブレットから流れ始める、軽快な音楽と太鼓とドラムのリズム音が、この場にいる人たちの心を不思議と踊らせた。
『『『鉄のフォルゴレー♪無敵フォルゴレー♪』』』
そして、アロナを含む複数人の歌がタブレットから流れ始める。
すると———
「鉄のフォルゴレー♪無敵ー♪フォルゴレー♪♪」スクッ!!
「「「「「い、生き返ったーーー!?!?」」」」」
先ほどまで倒れていたはずのフォルゴレが突如立ち上がり、歌を歌いながら満開の笑顔を見せつける。
その姿に、この場にいる人物全員がツッコミを入れた。
リンだけはツッコミを入れていなかったが、いつものクールな表情を忘れ、口をあんぐりと開きフォルゴレを見ていた。
『フフフ!!どうですか!?驚きましたか!?無敵の英雄、それが!!』
「パルコ・フォルゴレさ!!」
「撃てぇぇ!!」ドォン!!
ドカーン!!
「「「「また撃たれたーー!?!?」」」」
不良たちは驚きのあまり、再びフォルゴレに向かって砲撃を繰り出した。
そしてまた砲撃が直撃したフォルゴレは地面に倒れ込む。
『フフフフフ!!何度やっても無駄です!!えへへっ♡』
「へ...へへへっ...」
笑顔で倒れながら涙を流すフォルゴレを他所に、アロナは可愛らしい笑顔を見せ再び音楽を流し出す。
『『『鉄のフォルゴレー♪』』』
「無敵フォルゴレー♪」スクッ!!
「撃てぇぇ!!」ドォン!!
ドカーン!!
そして再びフォルゴレは砲弾を受け、地面へと倒れ込んだ。
『フフフ!!気が済むまで撃ってください!!フォルゴレ先生はびくともしませんよ!!』チラッ
「ま、待つんだアロナ...もう...もう...許してくれ...」
残念。フォルゴレの言葉はアロナには届かなかった。
アロナはウキウキな声で不良たちに宣言する。
「おい!!あの歌が流れるからあいつは生き返るんだ!!あのタブレットを撃て!!」
「だ、だめです!!バリアみたいなもので弾が当たりません!!」
「なんだって!?!?」
復活の原因がタブレットにあることを見抜いた不良たちは、タブレットに目掛けて銃弾を放つのだが、謎の無敵バリアによって一切傷つけることが出来なかった。
『鉄のフォルゴレー♪無敵フォルゴレー♪』ジー
アロナはタブレットの画面越しに先生を見つめながら歌を歌い続ける。
しかし、フォルゴレはアロナから視線を逸らし涙を流しながら話しかけた。
「ゆ...許してくれ!ゴメンよ...私は無敵じゃないんだ!ただの人間なのさ!!」
『鉄のフォルゴレー♪無敵フォルゴレー♪』ジー
「ホラ、ここをよく見るんだアロナ!まっクロクロスケ出ておいで〜「ハーイ」分かったか!?もう乳首も黒焦げなんだ。だからもう、やめてくれ...!!」
「......おい、流石にもう立ち上がれないだろ。てか、立ち上がらないでくれよ。もうボロボロじゃないか...」
「なんか、こっちが申し訳なくなってくるというか...」
「あいつらとは関係ない人じゃないか。もう諦めてどっか行ってくれよ...」
不良たちは涙を流すフォルゴレの姿を見て同情をする。
フォルゴレの言葉はアロナには届かなかったが、不良たちには届いたほだ。
どうやら、無抵抗の人間を何度も攻撃するのは気が引けるほどの良心は残っていたらしい。
しかし、フォルゴレは不良の言葉を聞き、ボロボロな身体を無理やり動かしてゆっくりと立ち上がった。
「...フ...関係ない...?何故、そんなことを言うんだい...?」
今にも倒れそうなほどボロボロで立っているのがやっとなはずなのに、フォルゴレの瞳には強い意志が秘められていた。
その瞳と目が合った不良たちは、思わず後ろに足を引いてしまった。
「私は彼女たちの先生だ...!!私は約束した。彼女たちを正しい道へと導くと...!!大人としての責任を果たすと!!」
『先生......』
「そして、私は君たちの先生だ!!何か嫌なことがあるなら...不満があるなら...彼女たちではなく、私にぶつけたまえ!!」
「「「「先生...」」」」
「これが...連邦生徒会長が選んだ先生...!!」
初めてだった。
自分たちのことをここまで真剣に考えてくれている大人を見るのを。
ユウカたちはフォルゴレのことを全く知らない。
だけど、これだけは分かる。
この人の言葉に嘘は無いと。
この人は本当に私たちのためを考えてくれると。
そして、不良たちも全く同じ想いだった。
「...本当に私たちの言葉を聞いてくれるのか?」
「ああ!!」
「私たちの不満を受け止めてくれるのか?」
「勿論だとも!!」
「本当に...」
「本当に君たちの想いを受け止めよう!!だから、その銃を下ろしてくれ...!!話し合おうじゃないか!!」
「こんな大人を見るのは初めてだ...!!」カチャリ
「イヤ、待つんだ!!言葉と行動が合っていないぞ!?とりあえず降参!!降参さえしてくれればいい!!」
「お前ら!!私たちの想い(銃弾)をフォルゴレ先生にぶつけようじゃないか!!」
「「「「「おーーーー!!!」」」」」
「よせ!!やめろ!!そうじゃない!!やめて!!」
「やめるんだーーーーーー!!!!」
ズドドドドドドドッッッッ!!!!
フォルゴレの叫びも虚しく、不良たちは自身の想いを込めた銃弾を全力でぶつけた。
銃弾によって地面が抉れ、砂煙が巻き上がる。
そして、カチャンと弾が切れる音が次々に増えていき、ついに不良たちの想い(物理)は止まった。
「ふぅ...ありがとう、フォルゴレ先生」
『キミタチノオモイヲウケトメタノハコノワタシ、パルコフォルゴレサー』
不良たちはほろりと涙を流し、空で笑顔を浮かべている半透明のフォルゴレに向かって感謝の言葉を述べた。
ここはキヴォトス。
治安が最悪のこの街の不良に、フォルゴレの想いは通じたけど通じなかった。
「かっこいいと思ったら、すぐ情けないところを曝け出して...頼りになるんだからならないんだか本当に分からないわね...!!」
砂煙の奥から声が聞こえた。
呆れが混ざった声だったが、その芯にはフォルゴレに対する信頼を感じさせるような声だった。
「このような大人を見るのは初めてです」
「キヴォトスにもこんな人がいたなんて、信じられません」
「なのに、そんな人を踏み躙るような行為をする貴方達は許せない」
1人、また1人と声が増えていく。
不良たちは声の主たちに視線を向けた。
砂煙が晴れ、その正体があらわになった。
その声の正体は、先ほどまで不良たちが戦っていたユウカたちだった。
フォルゴレを守るように前に立つユウカたちは、銃を構え再び不良たちと戦いに入ろうとする。
「大丈夫ですか?フォルゴレ
「き、君たち...!!」
ユウカたちは、鼻水と涙をズビズビと流すフォルゴレにクスリと笑みを溢すも、フォルゴレが無事だったことに安堵した。
「ここは一旦彼女たちに任せて、今は下がりましょう。先生」
リンはユウカたちに視線を向けた後、倒れているフォルゴレの肩を持ちこの場から立ち去ろうとする。
だが———
「いや、私も一緒に戦うよ」
「先生!?」
フォルゴレはリンの腕を振り払い、ユウカたちの背後に立った。
「私が直接戦うことはできない。だけど、君たちをサポートすることはできる。なに、安心してくれ。
「......信じて良いんですね?フォルゴレ先生」
「ああ、信じてくれ。リン」
フォルゴレの覚悟を受け取ったリンはこくりと頷き、落ちていたシッテムの箱をフォルゴレへと差し出した。
フォルゴレはシッテムの箱を受け取り、
そして、フォルゴレの想いに呼応するように、シッテムの箱から光が溢れ出した。
「さぁ、行くよみんな!!」
「「「「はいっ!!」」」」
たくさんのお気に入りや感想、高評価ありがとうございます。
みんなフォルゴレが大好きなんだなって。
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モチベにも繋がりますので。
もしもフォルゴレが先生に着任した時、シッテムの箱は?
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あり(アロナと会話ができる)
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あり(タブレット機能しか使えない)
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なし(アロナ無しの超ハードモード)
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なし(大人のカードあり)