貞操逆転世界での俺、気軽にヤれるビッチ♂だと盛りのついた女子たちの間で噂になっていく 〜お前らみんな、俺で処女捨てたくせに……〜   作:水卜みう

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第17話 指を咥えて見ているくらいならイケメンのチン――

「――納得いかない!」

 

 放課後、マクドナルドの二階席に半ば強引に連れ込まれた俺は、なぜか凛々亜の愚痴を延々と聞かされていた。

 

 内容はあれだ、凛々亜の性癖ドストライクである晴人が、前髪を切った雛世に急にアプローチを仕掛けてきたことについて。

 

 親友である俺からしても、あれだけ晴人が女子に対して積極的になるのは珍しいなと思った。

 虎視眈々と彼のことを狙っている凛々亜からしたら、いても立ってもいられない状況なのだろう。

 

 ……だからって俺に愚痴をぶちまけるのはよくわからないが。

  

「……いや、納得いかないもなにも、それは晴人の気持ちなんだから仕方がないだろ」

「でもでもでもでも超超超超超超超超地味な西目屋雛世が急に前髪切ってきたんだよ!? あんなの藤崎くんの気を引きたいに決まってるじゃん! ああ見えて手練よ手練、西目屋雛世は実はプレイガールに違いないわ!」

 

 凛々亜はまくしたてるように喋ったあと、フライドポテト――それも、キャンペーンで全サイズ同一価格になっていたので有無を言わさずLサイズを二個購入したうちのひとつを口に放り込む。

 

 燃料を食べながら怒りを燃やしていて、その姿はさながら薪ストーブのよう。 

 そんな状態なので、雛世が前髪を切った原因が俺の一言である、とはさすがに言えなかった。

 

 俺は本来なら凛々亜のこんな話など聞き流すのだが、雛世の前髪を切らせた若干の責任を感じで仕方がなく愚痴に付き合っている……ということなのだ。

 

「ま、まあ、西目屋さんを責めたところで仕方ないよ」

「それは……そうだけどさ」

「なにか心配なことでも?」

「あの子……西目屋さん、どうせ陰キャだから大したことないんでしょ? って思ってたけど、実際よく見ると結構いい素材してるのよね……私が男だったら犯してるレベルよ。油断ならないわ」

「思考が危なすぎる……ってか、油断も何も、すでに西目屋さんのほうが前を行っている気がするけど」

「だから納得いかないのよ!」

「話が最初に戻ってきたなあ!」

 

 俺はため息を一つつく。

 なにも注文しないのは不自然なので、俺の手元にあるのは百円のホットコーヒーだけ。

 少しの砂糖とたっぷりのミルクを入れた、俺仕様にカスタマイズされたそれをすする。

 

「とにかく、そんなに晴人が気になるなら西目屋さんを警戒するんじゃなくて、外ヶ浜さんがどうアプローチするかが大切なんじゃないかな」

「……まあ、その通りなのは、間違いないんだよね。不本意ながら」

「晴人の気を引くためになにか行動を起こしたほうがいいと思うよ」

「じゃあやっぱりデートに誘うしかないよね。藤崎くんバスケ部だから、焼肉とか?」

 

 初デートのコースでいきなり焼肉をチョイスするあたり、やはり凛々亜のセンスはいい感じにバカっぽくて安心した。

 

 いや、安心してはダメだ。

 そもそも晴人と話したことないだろ、まずは接触するところからじゃないのか。

 

「その前にどうやって話すきっかけを作るところからじゃない?」

「それなら昼休みに一緒にお弁当を食べれば解決っしょ。平川くんもいるし?」

「いやいや、それすっごく不自然だって。いつもあの女子グループで騒いでるのにいきなりこっちに来るとかあからさまでしょ。しかも外ヶ浜さんが緊張して俺にばっか話振って結局晴人と話せなかったってオチが見える」

「そ、そこは私なりに頑張るし……めっちゃ話しかければ、それなりにいけるっしょ?」

「どうかな……晴人、わりとおとなしい方が好きだし……外ヶ浜さんとそもそもの波長が合わない気が……」

「もうなんなのよ! 押せば押すほど無理じゃない! もう私は指を咥えて見てろってこと? 私が咥えたいのは自分の指じゃなくて高身長細マッチョ男子のチン――」

「はいそこまで!!!! ここマクドナルドだから! 下ネタを叫んじゃダメだから!」

 

 学校の昼休みに仲間内で話すときのテンションで叫ぶな。

 ここのマクドナルドは他店に比べて民度が高いと評判なのだ。さすがに放送禁止用語を叫ばれては格が下がる。

 

「じゃあもう私はどうすりゃいいわけ? そんなに言うなら、いい方法のひとつくらいあるんでしょうね?」

「いい方法……というか、自然に接触機会を作る方法ならあるにはある」

「本当っ!? なになに教えてよ! どんな得策?」

「い、いや、普通に考えて晴人はバスケ部だから、試合とか見に行けばいいんじゃないかなって」

 

 至極当たり前のことを言ってみたのだが、凛々亜は「その手があったか」と目を見開く。

 ミステリーのトリックがわかった瞬間みたいなリアクションをするな、大したことじゃないぞ。

 

「試合に行けば会話のネタもできるしさ、外ヶ浜さんもバスケに興味を持てば自然に晴人と距離を縮められる気がするんだよね」

「す、すごい、合理的すぎる……! 平川くん実は東大狙ってたりする?」

「東大はそんな安っぽいところじゃないよ」

「よーし、方法がわかったなら早速行動に移すべし!」

「えっ? 今から晴人のところに行くの?」

「ううん、違うよ」

「じゃ、じゃあどこに行くのさ?」

「まずはバスケのことを知らないといけないから、バスケ漫画を読みに行かないと」

「情報収集の手段が漫画なんだ……」

「平川くんの言う通りなら、バスケ漫画だって会話のネタになるかもだしね。やるっきゃない」

「おお、外ヶ浜さんにしてはまともな考えだ……」

「そういうわけで行くよ、ついてきて」

「え? 俺も行くの? ってか、どこに?」

 

 俺が問いかけると、凛々亜は窓の向こうにあるビルの看板を指差した。

 その先には『快楽CLUB』の文字。――つまりネットカフェだ。

 

 なおさら俺一緒に行く意味なくない?

 あそこって個室みたいになってるんじゃないっけ?

 

 俺は頭の中に疑問符を浮かべながらも凛々亜に手を引かれ、ネットカフェへと向かうことになった。

 

 

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