貞操逆転世界での俺、気軽にヤれるビッチ♂だと盛りのついた女子たちの間で噂になっていく 〜お前らみんな、俺で処女捨てたくせに……〜 作:水卜みう
「あの……西目屋さん……?」
「は、はひぃ!」
「さっきのお茶なんだけど、なんか変なもの入ってたりしない……?」
「は、母の趣味でブレンドしたお茶なので……実は何が入ってるかわからない……です」
ええ……本当に大丈夫なのかこれ?
「なんか身体が熱いんだよね……火照っている感じというか……」
「あっ……それはもしかして……」
「なに? 心当たりでもあるの?」
「い、いえ、そういえばあのお茶は美容に良いと母が言っていたような気がしたので……」
「美容に良いなら、こんなふうにはならないのでは……」
「いえその……美容に良いというのは、身体の血の巡りを良くするというか……若さを保つために本能に働きかけるというか……」
「本能……? 本能ってことは……まさか」
「そのまさか……かもしれません」
俺は驚きを通り越してため息が出た。
美容に良いというのは肌ツヤが良くなるとか、身体の老廃物を外に出してくれるデトックス効果があるとか、そういうことばかりだと俺は思っていた。
しかしここは貞操逆転世界。
女性の美容法はそれだけではないのだ。
男性に抱かれる(抱く?)ことにより女性ホルモンや幸せホルモンを多く分泌させ、内面からきれいになる方法が流行っている。
つまりこのお茶は美容に良いと言いつつ、本能――すなわち血行を促進させてムラムラさせる働きがあるということだ。
わかりやすくいえば、『
こういうのはその成分に慣れていない若い人のほうがより効果が現れやすいと何かで見た。
俺がいまこんな感じで火照っているのは、多分そのせいなのだろう。
「ごめんなさいごめんなさい、ひ、平川くん、だだ大丈夫ですか……?」
「うん……なんとか。具合が悪いわけじゃないから問題ないよ」
「ご、ごめんなさい、私が何も気にせずお茶を出したばっかりに」
「いいよいいよ謝らないで。しばらくしたらもとに戻ると思うから」
雛世も悪気があってやったわけじゃないだろうし。
たまたまそういうお茶がストックされていただけだ。事故だよ事故。
とりあえず今はこの火照りをやり過ごすことが大事。
俺はかばんから下敷きを取り出して、扇ぐことで熱くなった身体を冷まそうとした。
ふと、ローテーブルの上に置かれたお茶のグラスを見る。
雛世が持ってきたお茶は俺と彼女のぶんの計二つ。
片方のグラスは半分程残っていて、もう片方は空になっていた。
俺のお茶は飲みかけだったから、空になっているのは雛世のものということになる。
ん? 雛世、全部飲みきっているのか?
……おいおい、もしかして雛世、俺よりヤバい状態なのでは?
隣を見ると、頬が赤くなって上気している状態の雛世が、呼吸を荒くしながらライトノベルらしき本を読んでいた。
こいつまさか、お茶で煽られた欲求を理性でなんとか抑えようと戦っているのか……?
そうだとしたらなかなかの精神力だ。
俺はグラス半分のお茶でこの状態なのだ。
元の世界の住人なだけあって、なにかの拍子にリビドーが刺激されたらもうブレーキをかけられる自信がない。
貞操逆転世界の女子である雛世はグラス一杯飲みきっている。
効き目に個人差はあるだろうが、何も影響が出ないなんてことはありえないだろう。
「に、西目屋さん……? 大丈夫? あのお茶、全部飲んじゃったんでしょ……?」
「だだだ、大丈夫……ですよ……? ただ、私もちょっと熱くなってきちゃいました……」
「そうだよね、半分飲んだ俺でこのザマなんだから、全部飲んじゃったら……」
「と、とにかく、私じっとしてますから……大丈夫です……! 平川くんは落ち着いたらササッと帰って構わないので……」
そうは言うものの、雛世はやっぱりしんどそうに見える。
このまま我慢していたらかえって身体に毒だ。
手を打ってしまったほうがいい気がする。
「西目屋さん……その、辛くないかな?」
「ま、まあ……思っていたよりしんどいです」
「だよね。じゃあさ、俺からひとつ提案があるんだけど」
「提案……ですか?」
「うん。もう今日のことは事故ってことで割り切ってさ、火照った身体を収めるためにシちゃったほうが……」
「だっ、駄目ですよ! そんなことしたら私、歯止めがかからなくなるかもしれないですし……」
「でも辛いんでしょ? 俺も我慢するの結構しんどいんだよね。こんな状態のまま帰ったら、電車に乗るとき痴女に襲われる可能性もあるし……それより西目屋さんが相手のほうが、安心できるかなって……」
我ながらよくこんなセリフが出てくるなと感心する。
着々と女の子を
「そ、そそ、そんなこと言われたら、本当に私、勘違いしちゃうので……」
「勘違いじゃないよ。今日のことは事故なんだから、気にしなくていいんだよ」
「そ、それに私、前も平川くんを半分脅すような形で……やっぱり駄目ですこんな女。早く見捨てて帰ったほうが――」
もじもじと言い訳をする雛世の口を、俺は自分の唇で塞いでしまっていた。
無意識だった。そんなに物欲しそうにしていたらこっちだって我慢ならない。
お互いに欲求が表面張力で溢れないようギリギリを保っていたが、そのキス一回で歯止めが効かなくなってしまった。
やり方など全然わからないが、とにかく自分の舌先と雛世の舌先で追いかけっこをする。
湿度が高く淫靡な水音が部屋に響き渡り、いつの間にか俺は雛世を押し倒してしまっていた。
主導権を握ってゴリゴリにリードしてくる凛々亜とは違い、雛世はやや受け身。
俺はこだわりがないのでどちらでもいいのだが、元の世界の男としては、こっちのほうが自然に女の子をリードできる感じがする。
長く甘いキスのあと、唇を離すと唾液が糸を引いて垂れる。
雛世の表情は、色々な感情が入り混じってぐちゃぐちゃだ。だがそれはとても俺のリビドーを刺激してくる。
めちゃくちゃエロい顔しやがって……!
「西目屋さん……もう……いいよね?」
「はぅ……」
「これは事故だよ。避けられないんだ。だからこうするしか方法がない。お互いに気持ちよくなれば解決するんだ。だから協力してくれるかな?」
「はぅぅ……」
そう、これは事故。
雛世の身にもしものことがあったら、悲しむ人がたくさんいる。家族とか、友達とか、晴人とか、もちろん俺だって悲しい。
だからなんとかしないといけない。
こうしないと、解決できない。
これは事故、これは事故だと言い聞かせながら、雛世と触れ合う。
「西目屋さん、準備……できたよ」
「は、はい……そ、それじゃあ、いきますね……」
そんなヤリチンのようなセリフ、この世界だと女の子側が言うのかぁ。なるほど。
そんな思考が頭をよぎったが、それが瞬時に吹き飛ばされてしまうほど、俺はとろとろになった雛世を楽しんだ。
これは事故、これは事故……
……だよね?