貞操逆転世界での俺、気軽にヤれるビッチ♂だと盛りのついた女子たちの間で噂になっていく 〜お前らみんな、俺で処女捨てたくせに……〜 作:水卜みう
「うっひょー! 右見ても左見ても高身長細マッチョしかいないっ……! ここは
「……何やってるの、外ヶ浜さん」
「う、うわっ!! びっくりしたあ!! ……って、平川くん? どうしてここに?」
「そのセリフ、そのまま返すよ……俺は晴人の応援に来たの」
気になったので凛々亜のところに近づいて見ると、案の定高身長細マッチョで目の保養をしていた。
あまりにも堂々とやっているので、ヤバい人と間違われそうである。
元の世界に置き換えると、盛りのついた男子高校生が女漁りをするためにバスケ――いや、新体操とかバレーボールのほうがリアルかな――の選手を舐め回すように見ていることになる。
……ふつーに捕まるぞ、こいつ。
「私ももちろん藤崎くんの応援だよ! そのために『SKY DUNK』とか『白子のバスケ』とか『かもめの空』を読み漁ったんだから」
「相変わらず予習に関しては抜かりないな……」
「んで、いつ試合やるか知らなかったから女子バスケ部の知り合いに聞いてここに来たわけ。今回は二日間開催で、今日は男子しかいないから間違いないなって」
要は誘われていないのに勝手に来たわけだ。晴人に近づく手順がすべて間違ってるよ。
その行動力をもっと正攻法なやり方に使えなかったのか……
「いやー、でもこの空間ヤバいね……高身長細マッチョのオンパレードだよ」
「そりゃ、バスケ選手しかいないからな」
「ほとばしる汗、ぶつかり合う筋肉、勝利の雄叫び……すべてが私の力になる……」
「『くず』もこんなやつに曲名を引用されるとは思ってないだろうよ」
相変わらずというか、節操ないというか。
別に凛々亜は晴人じゃなくても、高身長細マッチョなら誰でもいいんだろうとは思ってしまう。
それに晴人は雛世のことが気になっている。よほどの天変地異でもない限り、間違っても凛々亜に
それを伝えたところでこいつは撤退などしないだろうから、生暖かく見守ってやるのがいい。
「というか外ヶ浜さん、晴人には会いに行ったの?」
「……行ってない」
「だろうと思った」
「だ、だって直接誘われた訳じゃないし……私は藤崎くんを優しく見守りたいなと思って来たわけだから……かっこいい瞬間を写真に収められたらそれでいいかなって……」
「なんでアホみたいな行動力でここまで来ておいてそこは奥手なんだよ……」
ツッコミを入れつつ俺はため息をついた。
その時ふと、あることを思い出す。
「そういえば外ヶ浜さん、晴人のことを写真に撮りたいって言ったよね」
「うん。4K画質でばっちり撮ってやろうかなって」
「念の為言っておくけど、こういうスポーツの大会で許可のない撮影は禁止されてるよ」
「えっ」
以前晴人がそんなことを言っていた。
スマホで簡単に高画質な写真や動画が撮れるようになった今、中高生のスポーツ大会を盗撮する輩が増えているのだとか。
特に多いのは肌の露出が比較的多い水泳や陸上だが、バスケも結構狙われやすいらしい。
理由は凛々亜を見ればわかる。
この競技には必然的に高身長細マッチョが多いから。
元の世界でもスレンダー巨乳がたくさんいるバレーボールの大会とか、ちょっと心惹かれるだろ? え? 惹かれない? 嘘つくなよ。
「……そっか、なら仕方がないよね」
「おっ、案外素直だった」
「そりゃそうでしょ、こんなところで警察沙汰になんてなりたくないし」
「スレスレ(実質アウト)なことをやってきた人とは思えない発言だ……」
「失礼な。これでも一応イツメンでは常識人枠なんだからね」
「
凛々亜で常識人枠となると、他の三人は相当イカれているに違いない。
どんな感じに破天荒なのかちょっと興味はあるが、なんとなく近づいたら危ない気がする。男の勘。
「ひ、平川くん……! やっと見つけました!」
「あっ、西目屋さん。ごめんごめん、客席に怪しい人がいたからさ」
「誰が怪しい人だって?」
飲み物を買ってきた西目屋さんが戻ってきた。
俺が凛々亜のところにいたせいで、随分探させてしまったみたいだ。申し訳ない。
「も、もう……急にいなくなったのでびっくりしたんてすから……」
「ごめんごめん」
「平川くんに何かあったら、私は藤崎くんに会わせる顔がありません……」
「そ、そうだったね、気をつけるよ」
いかんいかん、自覚なく単独行動をしてしまった。
何も起こらないとは思うが、何か起こってしまったときに責められるのは雛世になってしまう。
本当に気をつけよう。
「へえー、西目屋さんと一緒に来たんだ」
「ああ、うん。晴人が二人で来てねって」
「ふーん……まあ二人とも、藤崎くんのご近所だもんね」
凛々亜はやや怪訝な表情で雛世のことを見るが、すぐに元に戻った。
コミュ力高くて誰でも分け隔てなく接するのが上手いからなこいつは。口下手な雛世相手でも、なんやかんや仲良くなってしまいそうだ。
「ひ、平川くん……どうして外ヶ浜さんが……?」
一方の雛世はビビって俺の影に隠れている。
陽キャラ一軍女子は苦手そうだもんな。仕方がない。
「外ヶ浜さんは目の保養に来たんだって」
「ちょ、ちょっとそんな言い方はないじゃん! ……合ってるけどさ」
「合ってるんかい」
「ついでにここ、家から近いし一石二鳥って感じ?」
「へえ、外ヶ浜さん、この辺に住んでるんだ」
「ま、まあね」
「わざわざ遠い高校に通うなんて大変だね」
「そ、そう? こっ、これくらいどうってことないけど?」
通学の話題を出した途端、急に言葉の端切れが悪くなる。
凛々亜的にこの話はしたくない感じなのだろうか。
ややこしいことには首をツッコミたくないので、ここは話を切り上げて元いた席に戻るとしよう。
「それじゃ外ヶ浜さん、くれぐれも粗相のないようにね」
「も、もちろんよ。マナーはちゃんと守るんだから!」
「本当かなあ……」
若干の不安を残しながら、俺と雛世は元いた席に戻る。
せっかく彼女が飲み物を買ってきてくれたので、晴人の試合が始まるまで一息つくとしよう。
「あっ、西目屋さん、マウンテンデューを買ってきてくれたんだ」
「は、はい、これかなーと思って……」
「ありがとう。俺これ好きなんだよね。炭酸が好きなんだけど、コーラよりこっち優先しちゃうんだ」
「そっ、そうなんですね。気に入ってくれて、よかったです……」
「西目屋さんは何を買ったの?」
「わ、私は……その……同じやつを……」
「へえ、意外。西目屋さんに炭酸飲料を飲むイメージないかも」
「で、ですよね、ハハハ……」
どこかぎこちなく笑う雛世。どうしたんだろ。
とりあえず俺はマウンテンデューがぬるくならないうちに封を開けてグビッとのどごしを楽しんだ。
一方の雛世はプルタブを開けたはいいものの、ちびちびと飲んでいる。
もしかして、炭酸苦手なのに俺に合わせて買っちゃった感じかな?
ちょっと申し訳ないことをしたかも。
俺はそんなことを思いながらマウンテンデューをもう一口飲む。
フロアでは、晴人の出場する試合が始まるホイッスルが鳴り響いた。
弾け飛ぶ