貞操逆転世界での俺、気軽にヤれるビッチ♂だと盛りのついた女子たちの間で噂になっていく 〜お前らみんな、俺で処女捨てたくせに……〜   作:水卜みう

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第34話 ゆるキャン▲

 ファウンドワンからすぐ近くの場所に、でかいスーパー銭湯ができていた。

 風呂だけではなくサウナとか岩盤浴とか、リラックスできる施設がたくさんあるらしい。

 

「おおー、めちゃくちゃ広いな」

「でしょ? オープン前から結構噂になってて、土日とか混み過ぎて入れなかったんだよね」

「なるほど、この広さでかなり設備が充実しているわけだし、納得だな」

「平日だから空いてるしね。来るなら今日しかないって思ったわけ」

 

 ファウンドワンでいい汗をかいたので、広い風呂でのんびりできるのはありがたい。

 こう見えて俺、無類の風呂好きなので。

 

 受付を終えて料金を支払うと、店員さんから館内着を渡される。

 お風呂から出たあとも、休憩スペースでのんびりできるらしい。

 

「がーん……」

「どうしたんだよ」

「家族風呂いけるかなと思って聞いてみたら、学生同士の使用は駄目だって……」

「あたり前田のクラッカー」

 

 そりゃそうだろ。

 年頃の男女二人、裸で密室にぶち込まれたらヤることヤるに決まっている。

 入室して五秒で合体だよ。

 

「それじゃまた後で。お風呂から上がったら、畳の休憩スペースで漫画読んでるからよろしく」

「はいはい」

 

 凛々亜は意気揚々と女湯の暖簾(のれん)をくぐっていった。

 俺も男湯に向かうとするか。

 

「……なんかよくわかんないけど、元の世界と男湯の雰囲気が違うような」

 

 更衣室で衣服を脱ぐわけだが、なんだか違和感がある。

 具体的にこうだと言語化できないのがもどかしいが、元の世界より大人しい感じがしないでもない。なんだろうこの感じ。

 

 一糸まとわぬ姿になって浴場へ足を踏み入れると、その違和感がちょっとわかってきた。

 

「ああなるほど、そういうことか。そのへんで寝転がっているおっさんとか、脱衣所のイスに座って全裸で涼んでるおっさんがいないんだ」

 

 元の世界だとよく目にする光景。

 

 女子諸君はわからないかもしれないが(そもそもこれ、女子諸君は読んでいるのか?)、男湯って思った以上にだらしないと言うか、好き勝手やっている感じがある。

 

 貞操逆転したいうことは、今度は女湯のほうが大変な感じになっているのだろう。

 そのへんでおばちゃんが寝転がっているのを想像すると、なんか面白い。

 

「とりあえず湯に浸かるか。……てか、なんか風呂のバリエーション多くない? 薬湯とか(ひのき)湯とか、ミルク風呂まであるじゃん」

 

 この世界の野郎ども、結構風呂好きなんだな。なかなか話が分かるじゃないか。

 せっかくだし片っ端から楽しんでいこう。

 

 身体を洗って浴場内にある湯という湯を楽しんだ俺は、大変満足した気分で入浴を終えた。

 

 休憩所に行くと、館内着を着た凛々亜が畳の上でごろごろしながら漫画を読んでいる。

 今日は『ハートの(エース)』という野球漫画を選んだらしい。

 

 バスケはもういいのかよ。

 

「おかえりー、ずいぶん長風呂だったね」

「思ってたより湯の種類が充実してて楽しんじゃった。なんやかんや十種類くらいあったかも」

「へえ、男湯ってそんなに充実してるんだ」

「え? 女湯にはないの?」

「それなりに種類はあるけど、多分男湯ほどじゃないよ?」

「そ、そうなんだ……」

「そのかわり最近流行りのサウナが充実してたよ。……まあ、めっちゃ混んでたし、そのへんに寝転がりながら外気浴してる人だらけだったけど」

「お、おお……」

 

 女湯には先程俺が予想していた通りの光景が広がっているらしく、苦笑いするしかなかった。 

 

 でも、元の世界では若い男性にサウナが流行っていたから、貞操逆転世界では若い女性にサウナが流行っているんじゃないだろうか。

 それなら、女湯に踏み入るとそのへんで若い女性が寝転がって外気浴をしている……ということになる。

 

 なんだその光景、ちょっと興味あるぞ。

 さすがに貞操逆転世界とはいえ女湯には入れないけど。

 

 いや、清掃員とかになれば入れるのか……?

 元の世界でも男湯に清掃のおばちゃんがいたもんな……?

 

 まあいいか、今考えても仕方がない。

 

 俺はとりあえず畳の上でゴロゴロしてリラックスすることにした。

 

 畳は良いぞ。疲れが吸着されていくようだ。

 自宅には和室がないので、ここで思う存分楽しんでおこう。

 

 風呂で温まった身体、心地よい疲労感、安らぎを与える畳の香り。

 俺が眠りに落ちるまではそうかからなかった。

 

 

 ――ふと、目が覚めた。

 覚醒状態七割、睡眠状態三割のまだ寝ぼけた感覚。

 毎朝起床するときのように眠気が(まさ)っていて、あと五分だけ寝ていたいというそんな気分だ。

 

 寝返りを打ってもう一度微睡みのなかに落ちていこうとすると、何故か俺の目の前には凛々亜の顔があった。

 その表情は、なんだか心配そうな感じがしつつ、どこか恥ずかしそうな雰囲気もある。

 

「……んん? どうしたの? そんな顔して」

「あ、あのね平川くん……その……ちょっと言いにくいんだけどさ……」

「なんだよ、そんなに改まって言う話なの?」

 

 俺はおもむろに身体を起こそうとするが、凛々亜がそれを全力で止める。

 

「ちょ、ちょっと待って! 今は起き上がらないほうが良いから」

「なんでだよ……俺が一体どうしたっていうんだよ」

「どうしたもこうしたもないよ。ほら……」

 

 凛々亜がちょっと恥ずかしそうに視線を俺の下腹部に向ける。

 

 

 ……なるほど、意味がわかったぞ。

 

 

 健康な男子たるもの、朝起きたときに自分の自分が元気な状態になっていることがよくあるだろうかと思う。

 

 メカニズムは知らないが、それはもう生理現象なので自分の意志ではどうにもできない。

 

 そして俺は、さっきまで眠っていたせいで寝起き状態にある。

 

 ……要するに、平川朝陽(俺の)平川朝陽()平川朝陽(膨張)してしまっていたということだ。

 

 締め付けのゆるいダボッとした館内着のズボンには、丈夫そうなワンポールテントが出来ている。

 

「あっ……そういうことか」

「そういうことかじゃないよ! どうすんのそんなとこ見られたら! 超恥ずかしいじゃん!」

「まあ、黙っていれば収まるでしょ」

「そんな呑気なこと言ってられないでしょ! い、いいからこっち来て!」

 

 すると、凛々亜は俺の手をとってどこかへ連れて行こうとする。

 ご丁寧にテントが張られているのを隠すよう、壁の役割を果たしながら。

 

 ……えっ? 俺どこに連れて行かれるの……?

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