貞操逆転世界での俺、気軽にヤれるビッチ♂だと盛りのついた女子たちの間で噂になっていく 〜お前らみんな、俺で処女捨てたくせに……〜   作:水卜みう

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第36話 リッチ……しよ?

 平穏な一週間が過ぎ、今日は週末の金曜日。

 

 いつものように教室で弁当を食べていると、スマホにメッセージが入った。

 送り主はあやめさん。

 

 晴人に見られたら面倒なことになりそうだなと思ったが、その心配はいらなかった。

 彼は既に昼食を終え、体育館に自主練と称してバスケをしに行っている。

 

 ドカ食いしたのに気絶せずガンガン動き回る。それが藤崎晴人である。

 

 スマホのロックを解除して改めてメッセージを確認する。

 あやめさんのアイコンは、幼少期に晴人と一緒に撮ったツーショット写真だ。

 

 ……どんだけブラコンなんだこの人。

 

『やっほー! この間のお礼の件なんだけど、朝陽くん明日ヒマ?』

『ヒマです』

『じゃあちょっといいランチをごちそうするから、お昼に駅前に来てくれない?』

『わかりました、楽しみにしてますね』

 

 先日、あやめさんが晴人に依存しすぎてしまっている状態をなんとかするための相談に乗ったわけなのだが、今回はそのお礼ということらしい。

 

 俺としてはあまり良いアドバイスをしてあげられたわけではないので、お礼なんて別にしてくれなくてもいいのだが、『ちょっと良いランチ』と聞いたら心が揺らいでしまった。

 美味しいものの引力はすごいのだ。

 

 ウキウキであやめさんにメッセージを返信し終えると、ふと隣の席の雛世が目に入った。

 

 今週の彼女はなんだかテンションが低そうに見える。

 ずっとスマホの画面を見つめては、たまにため息をついている感じだ。

 

 ちょっと声をかけてみようか。

 

「西目屋さん、なんか浮かない顔してるけどどうしたの?」

「はひぃ!? い、いえ、なんでもないです……よ?」

「そう? 悩みがあるなら話聞くよ?」

「だだだ大丈夫です」

「大丈夫そうには見えないんだけど」

「た、大した事ないですよ。え、えーっと、位置情報が……じゃなくて……そうだ……! ちょ……ちょっとバイトの店長が厳しくて参ってしまって……ははは……」

「バイトって、あのカラオケの?」

「は、はい……」

「そうなんだ。それで落ち込んでいたんだね」

「ま、まあ……」

 

 どこに行っても嫌な人はいるものだ。

 そういうのは気にすれば気にするほど病んでいくので、忘れるためにパーっと遊んだほうが良いと俺は思う。

 

「そういうときは遊ぶのが一番いいと思うよ。せっかくの高校生活、悩むことに時間を使うのがもったいないし」

「そ、そうですよね……でも私、友達いなくてあまり遊ぶ機会とか全然ないので……」

「じゃあさ、俺と明日出かけない? お昼にランチに行く用事があるから、それ以降になるんだけど」

「い、いいんですか?」

「うん。買い物でもゲーセンでも、なんでもいいよ」

「じゃ、じゃあ、映画……とか、いいですか? 観たいのがあるんですけど……一人だと配信されるまで待っちゃおうかってなっちゃって」

「いいね映画。どうせなら音響すごいやつ観ようよ」

「じゃ、じゃあ、夕方くらいからの上映時間が良いですよね。よ、予約したらまた連絡しますね……!」

「うん、ありがとう。よろしくー」

 

 せっかくの土曜日だ。

 あやめさんからランチをごちそうになってから雛世と映画。

 イベントごとは多いほうが楽しくて良い。

 

 俺はウキウキしながら午後の授業を過ごした。

 

 ……時折、神妙な面持ちでスマホを眺める雛世の姿が少し気になったが。

 きっと、ねちっこくてめんどくさい店長なんだろうな。気の毒に。

 

※※※

 

 土曜日の昼前になって、俺は駅前であやめさんを待っていた。

 

 彼女いわく『ちょっと良いランチ』とのことなのでかなり期待が高まる。

 胃袋のコンディションは完璧だ。寿司でも焼肉でもかかってこい。

 

「ごめんねー、待ったー?」

「あやめさんこんにちは。そんなに待ってないですよ」

「ほんとー? 私いつも時間ギリギリになる癖があるから待たせちゃうんだよねー」

「俺も似たようなものなんで、大丈夫ですよ」

「そっかー、ならちょうどいいね」

 

 そんな感じで談笑をしていると、何やらお店の名前の書かれたワンボックスカーが俺達の目の前に停まった。

 

 ……この店名見たことあるぞ。ちょっと良い値段のする中華料理店だ!

 

「というわけで今回は送迎付きでーす」

「マジですか……! なんかVIPみたいですね!」

「だよねー、リッチな感じ満載で贅沢だよね」

「いいんですか……? めちゃくちゃ高そうなのに」

「いいのいいの。この中華料理屋さんね、私のバイト先の系列だから社割があるんだよね。しかもランチならお手頃だし」

「な、なるほど……!」

 

 というわけで、俺はあやめさんのご厚意によって高そうな中華料理店の送迎車に乗り込んだ。

 

 俺、中華料理大好きなんだよな。

 チャーハンとか野菜炒めひとつとっても、家で作るやつとぜんぜん違う。

 

 何が出てくるのかなあ……

 

 俺としては、唐揚げか油淋鶏(ユーリンチー)あたりが出てきたら優勝です。北京ダックなんか出てきたら、昇天するかも。

 

 鶏を揚げたもの、好物なので。

 

 

 そう胸を踊らせながら、送迎車はお店へと向かっていった。

 

 ……ワクワクしている俺の胸よりも、車の振動によるあやめさんの胸の揺れのほうが圧倒的に踊っていたのだが。

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