貞操逆転世界での俺、気軽にヤれるビッチ♂だと盛りのついた女子たちの間で噂になっていく 〜お前らみんな、俺で処女捨てたくせに……〜   作:水卜みう

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第40話 あんたに笑顔を持ってきたー!

 ――ピンポーン。

 

 乾いたインターホンの音。

 

 快楽地獄で意識が飛んでしまいそうな俺にとって、救いの鐘の音みたいな音だった。

 

「ちっ……なによこんな時に」

 

 女は無視しようとしたが、ピンポンを連打されてついに痺れを切らした。

 苛立ちながらインターホンのボタンを押し、応対する。出てきたのは宅配業者のようだ。

 

『ヤマカワ急便でーす』

 

 やっぱりインターホンを押したのは配送業者だった。今どきらしいというか、この世界ではよくあるのか、女性の配達員の声だ。

 なんだか聞き覚えがあるような気がしないでもないが、インターホンの音質では聞き分けがつかない。

 

「そこに置いといてもらえる? 今ちょっと立て込んでるのよ」

『すみません、本人確認が必要なお荷物でして……』

「ちっ……面倒ね。またあとにしてもらえない?」

『そう言われましても……』

 

 俺は外部に助けを求めるチャンスだと思い、いま自分が出せる最大限の声でインターホンに向かって叫ぶ。

 

「――助けてくれえ!!!」

「こ、こら! 黙りなさい!」

「捕まって監禁されてるんだ! 助けてくれ!」

「うるさいわね……乱暴な真似はしたくなかったけど、仕方がないわ」

 

 女はガムテープを出してきて、即座に俺の口を塞いだ。

 

 ……ちくしょう、さっきの叫び声が配達員に聞こえていなかったら、万事休すという感じだ。

 

『あのー、どうかされましたか?』

「なんでもないわ。とにかくまた後で来てちょうだい、今は無理なの」

『そうですか……ではまた失礼します』

 

 くそっ……駄目だったか……

 何か他に方法は――

 

「……ふう、とんだ邪魔が入ったわね。まあでも関係ないわ、このままもっと楽しいことを続けましょ」

 

 そう言って女は椅子に座っている俺の太ももに跨がる。

 目隠しで見えてはいないが、顔と顔が対面状態で、とっても密着度の高い姿勢だろう。

 

 女の熱い体温と息遣いを感じる。

 視界を奪われているので、余計にはっきりわかってしまう。

 

 ……めちゃくちゃ興奮してるんだなこの人。

 なんだか俺の身体で興奮しているらしい。

 どう考えても平凡な男子高校生なんだけどな、俺。

 

 何度も膨張と破裂を繰り返してクタクタになりかけてはいるものの、若いおかげなのかあっさりと復活してしまう。

 

 再びムクムクと興奮が(あらわ)になると、それが女の下腹部に当たって突っぱね返される感触を覚えた。

 

「ふふふ……『当ててんのよ』ってやつね……本当にやる子は初めて見た。すっごいわぁ……」

 

 それ、やっぱりこっちだと意味合い変わるんか……

 こんなので喜ぶ女の人がたくさんいるのかもな……参ったな、ちょっと楽しそうじゃないか。

 

 ……じゃなくて!

 

 待て待て、このままこの女に食われちゃうのか俺!

 いくら俺が元の世界の男といえども、こういうヤられ方はよくないって!

 

 気持ちいいのかもしれないけれど、こう何発も射撃を繰り返したら命の危険がある!

 さすがの俺でも搾り取られ過ぎたら死ぬど!

 

 もう少し、こう、何というか、手心というか……

 

 そう考えている間にも女は俺に密着して身体を擦り付けている。何も見えていない俺にとって、柔らかい触感というのが余計に際立って感じ取られる。

  

 めちゃくちゃそのへんが湿っぽくてぬちゃぬちゃしてきていた。

 機械でいったらもうグリスアップバッチリで、スイッチさえ入れてしまえばOKという状態。

 

「もう私も限界っ……キミの、もっとたくさんちょうだい……!」

「ん゙ん゙……! ん゙〜〜!!!」

 

 ガムテープを口に貼られてしまったので、声にならない声で暴れる俺。

 とにかく音を出して周囲の人間が気づけばいいなと思った。

 

 しかしそんな足掻き虚しく、女はゆっくりと腰をおろしてくる。

 

 先っぽだけ! 先っぽだけでいいから!

 と、元の世界のヤリチン共が言いそうなセリフが聞こえてきそうだ。

 

 本当にその先っぽが接触しようとした瞬間、俺の背後から窓ガラスか何かを破壊する音が聞こえてきた。

 

「な、何っ……!?」

 

 女は驚いて俺から離れた。

 俺もあまりに突然の出来事だったので、臨戦状態から萎えきってしまう。

 

 あとちょっとでおっ始まるところだったので生殺しといえば生殺しなのだが。

 これ以上回数が積み重なったらマジで命の危険もあったので、これはこれで安心すべきだろう。

 

「ちょっとあんた! 平川くんに何してくれてんの! 監禁して絞るだけ絞り取ろうなんてそんな羨まし――じゃなくて卑劣なこと、絶対に許さないからね!」

 

 部屋に響き渡るそれは、まごうことなき凛々亜の声だった。

 

 マジか……! 助けに来てくれたのか!

 でもどうしてここが……?

 

 いや、その前にこいつ今、「羨ましい」って言おうとしなかったか……?

 

 ツッコミたいところは色々あるがあとにしておこう。

 

 どうやら凛々亜は部屋の裏からガラスを割って入ってきたらしい。

 もしかしてさっき宅配業者を装って呼び鈴を鳴らしていたのは凛々亜だったのかも。

 インターホンのマイク越しだったから凛々亜の声と判別できなかったけれど、今思い出せばそんな気がする。

 

 正面突破しようとして玄関払いを食らったのに、裏からガラスを割って進入――

 

 ……これ、まるっきり『ラフ・メイカー』じゃねえか!

 おいそこの空席にカバン置いてんじゃねえ!!!

 

「くっ……窓ガラスを割って進入とか……ありえない! それよりもまず、どうしてここに……!?」

「ふっふーん、私と平川くんはね、アツーい友情で繋がっているんだから! それくらい簡単にわかるのよ」

 

 友情……フレンド……

 俺はそのセリフを聞いてピンときた。

 

 凛々亜は『SENLY』でフレンドになっている俺の位置情報を見てここに駆けつけたんだ。

 ナイス文明の利器。フレンド登録しておいてよかった!

 

「さあ覚悟しなさい痴女犯のおねーさん。今度こそ牢屋行きなんだから!」

「ぐぬぬっ……! こうなれば逃げるのみっ!」

 

 痴女犯の女は逃げ出そうとする。

 しかしすぐに「アアアァァァァ!!」という断末魔とともに倒れる音がした。

 

 そのあとすぐ俺は誰かに目隠しを外され、後ろを振り返った。

 そこには凛々亜ではなく、もう一人俺を助けに来てくれた人がいた。

 

「ひ、平川くん、大丈夫ですか……?」

 

 俺の目隠しを取ってくれたのは雛世だった。

 

「に、西目屋さん? なんでここに……? それに、痴女犯の人を締めているのって……あやめさん!?」

「はい、外ヶ浜さんが窓ガラスを割って進入して、私が藤崎くんのお姉さんのロープを切って解放したんです。あの人、レスリングでインターハイに出たことあるって聞いたので」

「な、なるほど……」

 

 改めて痴女犯の方を見ると、あやめさんがガチガチにホールドを決めて抑えつけている。

 見るからに痛そうだ。インターハイ出場選手となれば、生半可なものではないはず。南無三。

 

 雛世はすでに警察を呼んでいるようなので、すぐにこの場も収まるだろう。

 これで一安心だ。痴女犯の女も今度こそは罰金刑で済まないだろうから、俺の生活も安泰ってところだろう。

 

 めでたしめでたし。

 

 俺は緊張から解放され、安堵してため息をつく。

 すると、なぜか雛世が恥ずかしそうに耳打ちしてきた。

 

「と、とにかく、平川くんは……その……」

「ん? どうしたの……?」

「ええっと……ふ、服を着てください……」

「あっ……」

 

 女に身ぐるみ剥がされたっきり、ほぼ裸のような格好だったのをすっかり忘れていた。

 慣れてきたと思っていたが、どうやらまだ俺は貞操逆転世界に順応しきっていないらしい。

 

 まあ、これはじきに慣れるだろう。

 俺の戦いはまだまだこれからだ!

 

 ……だがこれが女難の序章であることを、俺はまだ知らない。

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