貞操逆転世界での俺、気軽にヤれるビッチ♂だと盛りのついた女子たちの間で噂になっていく 〜お前らみんな、俺で処女捨てたくせに……〜   作:水卜みう

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第7話 ちょっと渋られながら結局ヤらせてくれる方が興奮するよね

「ヤらせてくださいって言われてもな……」

「本当にお願い……! こんなこと頼めるの、平川くんしかいないの!」

「なんで今まで名前間違えまくってきたのにこのタイミングでちゃんと正しい名前で呼ぶんだよ……ドラマだと俺死んじゃう感じのエモい演出じゃん……」

 

 外ヶ浜さんは土下座をしたまま頑なに顔を上げようとしない。それほどまでに彼女の意志は固いらしい。

 

 一方、元の世界の住人である俺にとって、これほどまでに美味しいイベントもない。

 一軍女子がわざわざ頭を下げてまでヤらせてほしいと懇願してくるのだ、嬉しくないわけがない。

 

 しかしここは貞操逆転世界。

 

 男のくせにヤりたいと喜んで飛びついてしまっては、逆に引かれてしまう可能性もある。

 元の世界でいえば、表現は良くないが簡単に股を開く尻軽女……という感じ。

 

 とにかく俺はそういうキャラクターではないので、「外ヶ浜さんに頼まれたから仕方がなく」という体をとったほうが自然だ。

 ちょっと押されるくらいがちょうどいい。

 

「ま、まあ、顔を上げてよ外ヶ浜さん」

「……ダメ。ヤらせてくれるって約束してくれるまで上げない」

「参ったなあ……そんなに恥をしのんで土下座してくるなんて思わなかった」

「自分でシてるところを見られてしまった私に、もう恥なんて概念はないからね」

 

 確かにそうだなと変に納得する。

 開き直ってしまったヤりたい盛りの女子高生は強い。

 

 実はこの女、とんでもないメンタルをしているのではないか。

 

 元の世界の男でも、「シコっているところを見られてしまったのでいっそのことヤらせてください」なんて奴はそうそういない。

 そんなのコミック快○天でしか読んだことがない。未成年は読んじゃダメだぞ。

 

 毒を食らわば皿まで……どころではない。テーブルクロスとか、ダイニングテーブルまで食い尽くす悪食だ。

 

 やっぱり外ヶ浜凛々亜はおもしれー女である。

 

「でもどうして俺なのさ。外ヶ浜さんの好みって晴人みたいな高身長の細マッチョでしょ? それに比べたら俺の身長は普通だし、別に特別身体を鍛えているわけでもないし」

「竿があればもうなんでもいいです」

「最低な返答だ」

「でも誰でもいいわけじゃないよ? 平川くん、なんだか今まで出会った男子の中でもかなり話しやすいし、その……あんまり私の情けないところを見ても引いてない感じがして、受け入れてくれそうだなっていう風に見えるから」

 

 それはそうだ。俺は元の世界の住人だもの。

 外ヶ浜さんが言う「情けないところ」なんていうのは、引くどころか興奮要素なのだ。

 

「まあ、外ヶ浜さんのことは結構意外だなと思ったけど、それくらいで嫌いになったりはしない……かな」

「でしょ? それに平川くんイケメンじゃないし、気軽にヤれるかなって」

「やっぱり最低だな!」

「ごめんごめん。でもお願い、もう私の閉ざされた門をこじ開けてくれるのは平川くんしかいないの……!」

 

 処女卒業の比喩表現が独特なことに笑いをこらえつつ、俺は凛々亜の言葉にちょっと嬉しさを感じていた。

 

 彼女の役に立てるのは自分しかいない。そう言われてしまうと、なんだか特別な存在になった気持ちになれる。

 

 今まで特に目立った存在になったことはなく、無難な人生をそれなりに生きてきた俺にとって、外ヶ浜さんの言葉に心動かされそうになってきていた。

 

 ……まあ、元からヤる気は満々なのだけれども。

 イケメン(美人)じゃないほうがヤれそうというのは、やっぱり元の世界と変わらないらしい。 

 

 あれ? ってことはつまり俺、ヤリチンの素質あり……?

 現に今、外ヶ浜さんに押されてるわけだし。

 

 だか、ここで押し切られて折れるのはまだ早い。

 もう少しだけ「仕方がないから外ヶ浜さんのお願いを受け入れた」風になるよう持ち込みたいところ。

 そこで俺はあることを思いつく。

 

「……それじゃあ、ひとつだけ外ヶ浜さんにお願いがあるんだけど」

「何? なんでも言って、私にできることなら何でもやるから」

「本当? 何でもやってくれるの?」

「もちろん。どのみちもう引き下がれないし」

 

 こいつは本当に覚悟ガンギマリ状態である。

 冗談混じりにお金がほしいから銀行行って強盗してこいと言っても実行してきそうな迫力だ。

 

「あの……電車に乗るときに痴女から守ってもらえないかな?」

「……えっ? そんなのでいの?」

「うん。今朝も助けてくれたことだし、その辺は外ヶ浜さんにとても感謝してるんだ。それで俺、どうやら痴女に狙われやすいらしいんだけど、あんまり対抗手段持ってないから外ヶ浜さんが助けてくれるとありがたいなあって……」

「やります! ヤらせてください! 毎日平川くんのこと護衛します! 任せてください!」

 

 自衛隊のレンジャー部隊みたいな声量で外ヶ浜さんは返事をする。どこから出てくるんだその声は。

 

 完全無償でヤらせてあげるより、何か小さなことを代償にしてヤらせてあげる。

 これはよく家電製品の販売などで用いられる「下取り」の心理と同じだ。

 

 無償だと失うものがないので(外ヶ浜さんはだいぶ失っているが)、信頼関係が築きにくくなあなあな関係で終わってしまいやすい。

 それに対してなにか小さくてもいいので見返りを求めると、継続した関係になりやすい。

 

 関係が深まれば、一発だけでヤり逃げされることもなくなるし、より踏み込んだこともできる。

 我ながらよく考えたなと思う。

 

 晴人いわく俺は痴女に狙われやすい男らしいし、毎朝痴女騒ぎで遅刻しかけるのも嫌だ。

 外ヶ浜さんが護衛してくれるならありがたい。

 

「じゃあ、交渉成立だね」

「いいの!? 本当にそんなのでいいの?」

「外ヶ浜さんは俺の恩人だもん。これからも助けてくれるなら、ヤらせてあげてもいいかなって」

 

 外ヶ浜さんはやっと土下座状態から顔を上げた。

 そのままガッツポーズをして、『プラトーン』の映画のポスターみたいになっている。本当に嬉しそう。

 

「じゃ、じゃじゃじゃじゃじゃあ、連絡先教えるから後日うちで……どうかな?」

 

 ヤれる約束を取り付けて興奮しているのか、鼻息荒く迫ってくる。

 元の世界の男子も、ヤらせてあげると女子から言われたらこんな感じなのだろうか。あまり想像したくない。

 

 しかしこれだけ土下座をしたくせに後日ヤろうと提示してくるのは、なんだか締まりが悪い気がする。

 恥はかき捨てだ。このタイミングで俺は欲求のリミッターを解除し始めた。

 

「あんなに頭下げたのにヤるのは後日なの? どうして?」

「えっ、あっ……いや、準備とかあるかなって…」

「俺は準備とかいらないよ。それに外ヶ浜さんの方はもう、準備万端でしょ?」

 

 そう言って俺は外ヶ浜さんのスカートをめくる。

 元の世界では絶対にできないことなので、俺の心臓はこれでもかというほど高鳴っていた。

 

 めくったスカートの中には、今朝も目にしたグレーのロゴテープショーツ。

 先程俺の机に擦りつけていたところがぐっしょりと湿っていた。

 

「ちょっ……ちょっと平川くん……」

「嫌だったかな……?」

「嫌じゃないけど……その、意外だったから……」

「そう? 男だって、実はこういうの興味あるんだよ?」

「もしかして平川くん、ヤり慣れてる……?」

「ううん、俺も外ヶ浜さんと同じく初めてだよ。こんなので良かったら、俺の初めてを貰ってやってよ」

「――!!」

 

 外ヶ浜さんはもうその一言でたまらなくなってしまったのか、俺をギューッと抱きしめる。

 

 一方で、俺はまるで元の世界でいう悪女にでもなったかのように不敵に笑ってしまっていた。

 実は女の子を(たぶら)かす才能があるのではないかと自覚し始めた瞬間であった。

 

 夕日がさらに傾いてきて、だんだん暗くなってきた教室の隅。

 俺と外ヶ浜さん……いや、凛々亜はこの日、お互い初めてを捨てあった。

 

 童貞卒業おめでとう、俺。

 そしてこれから、凛々亜との関係が始まるのだった。

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