貞操逆転世界での俺、気軽にヤれるビッチ♂だと盛りのついた女子たちの間で噂になっていく 〜お前らみんな、俺で処女捨てたくせに……〜 作:水卜みう
まさか土下座して頼みこまれるなんて思わなかった。
その日の晩、自分の部屋。
俺は先程のイベントを思い出しながら、もう一回発散しておいた。
外ヶ浜凛々亜はスタイル抜群で、出るところが出て引っ込むところは引っ込んでいる。ルックスはもちろんのこと、肌もきれいだし、反応もかわいい。
元の世界ではありえない相手とありえないシチュエーションでクラスの美少女とヤれてしまったのだ。思い出さないのがもったいない。
これで俺も晴れて童貞卒業――いや、童貞喪失。
どうやらこの世界では童貞は『喪失』するものであって、『卒業』するのは処女のほうらしい。
この点も元の世界とあべこべだ。
どちらの世界でも童貞と処女の価値観の差に大きな違いがあるということは変わりないらしい。
それだからなのか、凛々亜は初めてとは言っていたものの、痛がる様子は全くなかった。
どうやらこの世界の年頃の女子たちは、道具を使って自分自身を慣らすらしい。その過程で痛みなど感じなくなるくらいほぐれるとのこと。
行為の最中に痛がるほうがムードを壊して最悪なのだとか。
元の世界で言う、緊張して萎えてしまうのと似たようなものか。
おまけに、元の世界では男が早々に果ててしまうことは情けないとされていたが、この世界ではどうやら違うらしい。
早く発射することにより、女子たちが自分自身の身体に価値があるという精神的満足感を得るのだ。
確かに元の世界に置き換えると、男が自分のテクで女の子を善がらせられるというのは自信になる。
相手から良かったって言われたら嬉しいのは、男女変わりないみたいだ。
そのおかげで俺の『早撃ち』がマイナスイメージにならなくてよかった。
俺は早い代わりに連発できるタイプなので、もしかするとこの世界の女子たちには嬉しいこと極まりない体質なのかもしれない。
貞操逆転世界万歳!
興奮してなかなか寝付けず、さらに発散してやっとのことで俺は眠りにつくことができた。
※※※
翌朝、いつもどおりに電車に乗ると、俺の乗ろうとした車両に凛々亜が乗っていた。約束どおり、痴女から守ってくれるようだ。
彼女、俺よりも遠いところから通っているらしく、予め俺と同じ車両に乗るように調整してくれているらしい。
俺とヤりたいがためにわざわざそこまでしてくれるのはなんだか嬉しい反面、ちょっと申し訳なさもある。
関係を単発で終わらせないための方策とはいえ、そんなことをしてくれなくても俺は痴女行為を苦に思っていないから。
まあ、痴女騒ぎで遅刻するよりはいいか。
「おはよう、外ヶ浜さん」
「お……おはよう、平川くん」
昨日の今日なので、凛々亜は緊張しているようだった。
俺も正直どういう顔をしたらいいのかわからなくてちょっと悩んだのだが、どちらかというと精神的優位に立っているのはこっちのほうなのでいつもどおりにしようと考えることにした。
「今日からよろしく頼むね。俺、狙われやすいから」
「う、うん。任せてよ。昨日みたいなのが出てきたらすぐにとっちめるから」
「ありがとう。外ヶ浜さんは頼もしくて助かるよ。まあ、ああいうのは出てこないのが一番いいんだけどね」
「そ、そうだね……あはは……」
そんなことを話しているうちに、電車は定刻どおり学校の最寄り駅に到着した。
そこからは別行動だ。凛々亜は自転車で俺は徒歩。
電車を降りてしまえば痴女被害のことは考えなくても大丈夫だろうし、一緒に登校して周囲から変に勘ぐられるのは避けたい。
身体の関係があるとはいえ、俺と凛々亜ではスクールカーストが違いすぎる。
周りから勘違いされてしまったとき、影響が大きいのは一軍女子である凛々亜のほうだ。
俺しか経験のない『ほぼ処女』であることが一軍女子グループにバレることだけは、凛々亜も避けたいと思っている。
俺はあくまでヤるだけの男。そうしておいたほうが、お互いにとって良い。
授業をこなして昼休みになった。
机をくっつけて晴人と昼飯。このルーティンはいつもどおり。
「昨日はちゃんと行った?」
いただきますと手を合わせるなり、晴人が質問を投げかけてきた。
俺は『ちゃんとイッた?』に一瞬聞き間違えてしまって焦ったが、すぐになんのことか理解して冷静になった。
「ああ、ちゃんと職員室に行って先生に報告したよ。学年主任とか生徒指導まで出てきて大変だった」
「刑事事件だからね、先生たちも躍起になるさ」
「そんなもんかね」
「そうだよ。んで、今日はどうだった? 何もなかった?」
「何もないよ。そんな毎日痴女に襲われてたまるか」
「いやいや、朝陽は本当に狙われやすいと思うから注意しないとだよ?」
再び晴人から忠告を受ける。だが、やっぱりその言葉は心に響かない。
注意する必要あるのかな……?
うーん……
おまけに今日から電車では凛々亜が護衛してくれるようになった。あれを見たら俺にうかつに手を出す人はいなくなるだろう。
俺は弁当の唐揚げを口に放り込む。
今日も美味い。
すると、今日も一軍女子の会話がバカに盛り上がっていることに俺は気づく。声がでかいので、内容が嫌でも耳に入ってきた。
「なんと! 今度は工業高校のバスケ部男子と合コンが組めそうです!」
「おおー、
「ママはやめて――――! 私まだJKなんだから!」
「はいはい。そんで、何人釣れたの?」
「今回は四人行けそう。だから
「い、行ける行ける! もう合コンしたくてうずうずしてた!」
「
「うん! 絶対に釣り上げる!」
よくもまあそんな下衆い話を白昼堂々大声でできるな。
てか、凛々亜のあだ名『外ヶ浜《ガハマ》』なんだ。今度それで呼んでみよ。
気分がいいのかわからないが、凛々亜のテンションの高さが昨日の比じゃない。
どうやら今まではバイトばっかりしていたせいで合コンに行けなかったらしい。
しかし昨日まで処女だったことを考えると、実はバイトだと言って合コンを断っていた可能性もある。自分に自信が持てなくて、合コンでボロが出るのを恐れていたのかも。
でもそれも昨日までのこと。
晴れて凛々亜は処女を卒業したのだ。これで何も恐れることなく合コンに参加できる。
わかりやすく態度が変わった凛々亜に対して、俺は心の中で笑いが止まらなかった。
お前、
……しかし、そのあとすぐ、凛々亜はまた俺を頼ることになる。
あれ……? もしかして俺、女の子ひとりを沼らせてしまった……?
あはは……そんなまさかな……