貞操逆転世界での俺、気軽にヤれるビッチ♂だと盛りのついた女子たちの間で噂になっていく 〜お前らみんな、俺で処女捨てたくせに……〜 作:水卜みう
◆凛々亜(このマークがつくときはヒロイン視点です)
吾輩は処女である。経験はまだない。
――と、いつもなら自己紹介のときに自虐ネタをかますところなんだけれど。
なんとついに私、外ヶ浜凛々亜は処女を卒業することができました……!
えっ? 嘘でしょ?
こんなにあっさり卒業しちゃっていいの?
ここまでずっとこじらせてきたのに???
高校デビューしてなんとか一軍グループに入ったくせに、全然卒業の気配がないまま処女であることをひた隠しにしてきた私だよ?
自宅のベッドでボーっとしながら私はほっぺたをつねる。
うん、やっぱり夢じゃない。本当に卒業したんだ。
終わってみると、今日は運命の日だったみたいだ。
なんせ朝からイベントが盛りだくさんだった。
いつも通学のときに乗ってる電車には、ちょっと怪しい女が乗っている。
歳はたぶん三十代くらい。レディーススーツを着ているからサラリーマンなんだと思う。
この女、電車に乗るときはうちの高校の男子にわざと挟まれるようなポジション取りをしてくる。
スーツの胸元は不自然に開いていて、いかにも露出したがりという感じ。
いい年こいて処女こじらせてるんだろうなあ〜
……まあ、私もついさっきまで処女だったんだけど。
その女は痴女行為ギリギリのラインで男子生徒を見つけてはわざとらしく密着してくる。だから私はいつかこいつはやらかすぞとマークしていた。
そして今日、ついにその日がやってきた。
その女がターゲットにしたのは、うちのクラスにいる平や……平川くん。
あんまり目立つタイプではない人で、正直地味。背丈も普通、顔も普通、身体の鍛え具合もそれほどという、パッとしない感じ。
痴女はそういう大人しそうで目立たない人を狙うと誰かが言っていた。
陽キャラ男子ならばすぐに声を出して助けを求めたり仲間を連れて来たりするけれども、一人ぼっちでいる地味男子なら反抗する手段を持たないから狙われやすいのだとか。
そう考えると、あの女にとって平川くんは絶好のターゲットだったに違いない。
電車が揺れたとき、どさくさに紛れて女は平川くんの身体を撫で回し、自分の胸を押し付け始めた。
平川くんは痴女行為をされるなんて思っていなかったのだと思う。彼は表情を変えず、頑張って耐えているように見えた。
さすがの私もそんな卑劣な行為を見逃すわけにはいかない。電車を降りるときに女を捕まえて、平川くんを助けた。
幸い、駅員さんや周囲の人たちの協力もあって、女はすんなり連行されていった。平川くんに目立った被害がなくて良かったと思う。
痴女退治に時間を取られてしまって、遅刻寸前だった。
私は自転車があるからなんとかなるけれども、どうやら平川くんのほうは徒歩らしい。
……これはチャンス。男子と一緒に自転車で二人乗りできる。
いや、正直に言えばイケメン高身長細マッチョが良かったよ?
でもよく考えてみてよ、私はバキバキ処女。
男性に対する免疫なんて全然ないんだから、とりあえず慣れるためにもこのくらいの男子で練習しておくべきだと思った。
こんなこと、平川くんに言ったらぶっ殺されそう。
そんな地味男子の平川くんと一緒に自転車を二人乗りして学校へ急いだ。
ペダルを漕いだらスカートがめくれてパンツが見えちゃうのだから、せめてもうちょい可愛いのを履いとけばよかったなとこのときは悔やんだ。
まあ、追々それでよかったことになるんだけど。
途中、ちょっとよろめいたときに平川くんは私の腰を掴んできた。
……あれはやばかった。めちゃくちゃドキドキする。
だって男の人に腰を掴まれる時って……そういう時しかないじゃん。
たった一瞬掴まれただけなのに、処女をこじらせた私の頭の中は一気にピンク色になった。
そのまま私の腰を掴んで、めちゃくちゃにしてほしいという欲求でムラムラが止まらなかった。
おかげで平川くんに対して挙動不審な態度をとってしまった。今振り返るとめちゃくちゃダサくて恥ずかしい。
授業中も時折平川くんの方に視線を送ってみたりするのだけれども、彼はいつもどおりというか普通だった。
今朝あんなに痴女行為に耐えていたのだから、もう少しメンタル的なダメージを負っているのかと思ったけれども、案外彼はケロッとしている。
一方の私は電車の中で平川くんがされていたことや、自転車で腰を掴まれたことを何度も
早く家に帰って発散したいなとうずうずしていた。
それなのに放課後はイツメンに捕まりずっと駄弁っていて、気がついたら先生に「いい加減帰れ」と言われる時刻になってしまっていた。
玄関まで行って、私は忘れ物に気づく。
お弁当箱の入った袋を教室に置きっぱなしにしてしまっていた。
これが教科書とかノートだったら面倒だから置きっぱなしでいいやになるのだけれども、弁当箱ならそうもいかない。
明日も使うものだし、持って帰って洗わないと衛生的にまずい。
来た道を引き返すは億劫だなと思いつつ、私は一人教室に戻った。
今思うとこれが運命の分かれ道だった。
教室で弁当箱の入った袋を手にとった私は、ふと平川くんの席に目をやった。
そして、魔が差した。
ムラムラが限界だった私は、彼の机の角に自分のを押し付けて、欲求を発散させようとしてしまった。
やっばい、めっちゃイイ……
バレたら一発アウトというか人生終わるレベルのことをしている自覚はあったのだけれども、気持ちよすぎて止められなかった。
一気に達してしまい、私は平川くんの席に座り込んだ。
そしてそれほど経たないうちに、なんと平川くん本人が私の目の前に現れたのだった。
――やばい、人生終わったかもしれない。
その時の私は『社会的な死』を覚悟した。
でもまさか、あんなイベントが起こるだなんてその時の私は知る由もない。