深夜の公園に一人の男である『相川優斗』が上裸姿で走り回っていた。
「ヤッホォォォ!」
男は叫びながら気持ちよさそうに凄い速さで、公園を何周もしていた。この公園は、都会から外れた位置にあるため人通りは全くない。それでも完全にゼロということでもなく、時折人が現れることもある。
「いやぁ~やっぱり露出って、なんでこんなに気持ちいいんだろうかぁ!それにしても、あの時の事件で露出がこんなに楽しいことだと知れて俺はなんて幸運だったんだろうか!」
絶好調な男はクスリでもしているかのように、テンションがハイになっていた。
そのまま百メートルでも走っているかのような全力疾走のペースで、何十分も持続して走っていた。傍から見れば驚異的な運動能力だろう。
「ハァハァ、もっと……もっと、刺激が……ん?人の気配……」
優斗は遠くから来る人の足音と気配に気づき走るのを止めた。そして素早くTシャツを着てから、逃げるように隠れた。
数分経つ深夜のランニング中の中年女性が来た。そして、優斗は気配を悟られないように慎重に公園から逃げるように離れた。
「いやぁ~今日も楽しかったなぁ!また、やりたいなぁ~」
懲りもせずに優斗は、また露出をやりたいと歩きながら独り言を呟いた。そして、彼は家から徒歩二時間掛かる距離をゆっくりと時間を掛けて先ほどの露出経験を振り返りながら帰宅した。
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制服姿の優斗は、教室でスマホで新しい露出場所を探しながら朝のホームルームを待っていた。数分経つと彼以外の学生がチラホラと入室してきた。
『おはよう』
『おはよう~』
朝の挨拶は大切である。親密度を上げるのにも効果的であるし、そもそも挨拶が出来なければ建築も出来ないという言葉がある通り非常に重要なものだ。
優斗にも友人はいるのだが、彼がスマホを操作している時は誰の声も届かないと教室の生徒は知っているため彼に声を掛ける者はいない。
だが、一つだけ驚異の優斗の集中力を阻害するものがあった。
それは……。
「おはよう」
凛とした声が教室に届く。特別大きいわけでもなく一言だけなのに、教室の端まで聞こえた。それは彼女の声が美しいからかもしれないが、もしかしたら存在感が違うからなのかもしれない。
『姫川さん、おはよう!』
『おはようございます!』
全員が彼女に向かって挨拶をしているのではないかと思うほどに騒がしかった。学年一の美少女である『姫川有栖』は、周囲からの反応と視線に慣れたように対応していた。彼女は大企業の社長の令嬢だからか、他の生徒とは気品が違った。
長い栗色の髪がきれいで、モデルみたいに整った顔立ちの美少女。クールな雰囲気で優斗の学年で一番の成績で入学した才女でもある。
そして、どれだけ騒がしてくても集中出来る優斗を乱すものとは……彼女の匂いだった。それは、甘いような女性の匂いと柑橘系のシャンプーの匂い。それが融合したかのような男を惑わすような匂い。
しかも席が優斗の隣なのだから、逃れることは出来ない。
「おはよう、相川君」
「……おはよう、姫川さん」
『やっぱり、相川は姫川さんには反応するんだな』
『まぁ姫川さんには嫌われたくないって気持ち俺には痛い程分かるぜ』
彼女が隣に居るだけで、授業にすら集中出来ないため家での勉強する時間が増えていた。そして、ストレス発散するための露出する回数も比例するかのように増えていた。
(早く席替えしてくれ……。これ以上は、俺のアレが……)
反応しそうになる自分の息子をそれとなく抑えつける。そして、内閣総理大臣の裸を想像しながら、何度も気持ち悪い映像を脳内に浮かび上がらせる。こうでもしないと、有栖の刺激的すぎる魅力を打ち消せないのだ。
(俺の性欲って……なんで、こんなに強いんだろう……。泣きたくなるよ)
そんな悩みを抱えながら目を瞑って妄想している優斗をチラリと有栖は見つめていた。周りの学生から視線を集める彼女は、ジッと見つめることはしないから優斗が気づくことはなかった。
ただ、その優斗を見つめる視線は軽蔑したかのように冷たい視線であった。