機動戦士ガンダムSEED DESTINY REVERSE   作:meitoken

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ちょっと駆け足気味で後半です。


PHASE-6 世界の終わる時…後編

セカンドシリーズを全く寄せ付けない七機の戦いぶりに、シンはただ唖然としていた。七機のザクは大して言葉を交わさず、見事な連携で最新鋭の機体を数回の攻撃で離脱に追い込んだ。

 

これが、ヤキン・ドゥーエを生き延びたパイロットの力……

 

同じく彼らの戦いぶりを茫然と見ていたアリスがおそるおそるカインに問う。

 

〈ねえ、……もしもあれと戦ったら、勝てる?〉

 

アリスの問いをカインはあっさりと否定する。

 

〈いや、無理だろう…瞬殺される。〉

 

それにはシンも同感であった。彼らは経験でもチームワークでも自分達の上を行くベテランだ。シンはアスランとイリアを臆病者呼ばわりしたのが間違いであることを悟ったが、ルゥの叱咤する声で我に返る。

 

〈何をぼーっとしている!?作業はまだ続いている!〉

 

シンは慌てて眼下に目をやる。戦闘に夢中で気がつかなかったが、ユニウスセブンはもう地球の目の前まで迫っていた。

 

 

 

一方、ボギーワンから帰還信号が上がったのをミネルバでも確認した。理由はこちらの言うことを信じてもらえたか、もう一つは高度だ。既に地球は目と鼻の先。破砕作業も続けられているが、もう限界だ。このままユニウスセブンに留まればあの強奪機体も地球の引力に引かれてしまう。それはミネルバも同じだ。タリアは後ろのカガリ達に振り返る。

 

「こんな時に申し訳ありませんが、議長方はボルテールへお移り下さい。」

 

デュランダルもこれには「艦長?」と問い返した。彼の問いに対するタリアの答えはカガリとデュランダルだけでなく、ブリッジクルーにも衝撃を与えた。

 

「ミネルバはこれより大気圏に突入し、艦首砲による限界点までの破砕を行いと思います。」

 

「大気圏突入を行いながら、ですか?」

 

「はい。」

 

フブキの問いにタリアはあっさりと答える。

 

 

 

破砕作業を続けるザフトのMS隊にもボルテールとミネルバから帰還信号が上がり、ディアッカが舌打ちする。

 

〈くっ、限界高度か!〉

 

「まだ撃ち込んでいないメテオブレイカーがあるのに!」

 

ニコルが言うとおり、まだ撃ち込んでいないメテオブレイカーもあるのにこんなところで戻れとは!このまま放っておけば地球にいる彼女は!

 

焦るニコルの元にボルテールからレーザー通信が入り、その電文を読んだニコルは息を飲み、イザークからも同じ反応がくる。

 

〈ミネルバが艦首砲を撃ちながら共に降下する?〉

 

しばしの沈黙の後、イザークが号令をあげる。

 

〈残念だがここまでだ!ジュール隊はボルテールに帰還せよ!!〉

 

 

 

シンもミネルバからの通信を聞き、ミネルバに戻ろうとしていた。しかし、レーダーを見るとまだユニウスセブンに残っているMSの反応が二つあった。すぐにそのポイントに向かうと、そこでは残ったメテオブレイカーを起動させようとしているブレイズザクウォーリアとスラッシュザクウォーリアがいた。アスランとイリアが搭乗している機体だ。

 

「何やってるんです?帰還命令が出てるんですよ。通信も入っているはずだ!」

 

〈ああ、君は早く帰投しろ。〉

 

〈俺達はコイツを機動させてから行くよ。〉

 

戻る様子のない二人にシンは念を押す。

 

「一緒に吹っ飛んでも良いんですか?」

 

〈ミネルバの艦首砲といっても外からの攻撃で確実とは言えない。これだけでも!〉

 

アスランとイリアの姿勢にシンは説得を諦め、メテオブレイカーを支える位置に着いた。

 

「貴方達みたいな人が何でオーブなんかに…!」

 

全く信じられない。これほどの人達があんな綺麗事だけの国に!

 

しかし、突然何者かが三人を狙撃した。既に誰もいないと思っていたが、その認識は違っていた。あのジンが三機接近してくるが、中央の機体以外は損傷していた。

 

シンは敵の往生際の悪さに苛立ちながらサーベルを抜き放ち、ジンへ向かう。アスランもビームトマホークを構え、メテオブレイカーを守る。ジンの撃ったビームがメテオブレイカーを揺さぶり、更にメテオブレイカーの前に出たイリアの機体の足を撃ち抜いた。

 

〈しまった!〉

 

〈イリア!もう無理だ!下がれ!!〉

 

仲間の被弾に気付いたアスランが焦りを募らせながら撤退を促す。

 

〈……おう!〉

 

イリアのザクが離脱していき、一機が彼に構わずにメテオブレイカーへ突っ込んでくる。そのジンからパイロットと思しき人物の声が聞こえた。

 

〈我が娘のこの墓標!落として焼かねば世界は変わらぬ!〉

 

通信が聞こえた頃には敵機はインパルスのサーベルで両断されていた。聞こえた後、シンは茫然と呟いた。

 

「娘?」

 

一機がアスランのザクと斬り合い、別のパイロットから通信が入る。

 

〈ここで無惨に散った命の嘆き忘れ、撃った者らと何故偽りの世界で笑うか!貴様らは!!〉

 

その糾弾がシンの胸に突き刺さった。

 

こいつらは…ザフトの?

 

この時、シンは彼らがユニウスセブンを落とそうとしている理由を理解した。彼らにはこのプラントを地球に落とそうとする正当な理由があったのだ。

 

 

 

〈軟弱なクラインの後継者共に騙され、ザフトは変わってしまった!!〉

 

アスランは一機のジンの重斬刀をシールドで受け止めながらパイロットの恨みを聞いていた。この男達は自分と同じだったのだ……

 

〈何故気付かぬか!我らコーディネイターにとってパトリック・ザラの取った道こそが唯一正しき物と!!〉

 

唯一正しい?違う者を、異を唱える者を、敵を全てあのミラーで滅ぼそうとした父が?

 

一瞬、アスランは完全に我を失いザクは無防備となった。ジンはシールドを押し切り、ザクの右腕を切り落とした。

 

衝撃で我に返ったアスランはインパルスがジンの腕を切り落とし、その機体にしがみつかれて自爆を受けたのを見た。

 

「シン!」

 

インパルスは爆発で吹っ飛ばされ、自爆したジンの残骸が設置の不安定だったメテオブレイカーに激突し、起動してしまった。しばし静観していた両者だったが、何も起こらなかった。最後のメテオブレイカーは不発に終わってしまった。アスランは諦めて戻ろうとしたが、再びジンが突撃してくる。

 

〈我らのこの思い、今度こそナチュラル共に!!〉

 

振り切ろうとしたが、ジンに足を捕まれ、ズルズルと機体が落ちていく。

 

だが、自爆のダメージから立ち直ったインパルスが飛来し、ザクの足を切り裂きユニウスセブンに向けて蹴落とした。ジンはそのままボディを真っ赤に焼いて地表に激突、爆散した。

 

インパルスがザクの腕を掴み、二機は重力から脱しようとスラスターを蒸かすが、既に逃れられないところまで来ており、二機は重力に引かれるまま、赤く燃えて見える地球へ落ちていった。

 

 

 

地球…オーブのとある島で一人の少年が空を見上げていた。ユニウスセブンの落下のニュースを聞いて、避難する準備を彼女が進めている。だが、彼は……キラ・ヤマトは既に地上からも見えたユニウスセブンを見上げていた。

 

 

 

オーブ連合首長国…国営企業モルゲンレーテの社員がシェルターへの退避を行っていた。その時、一人の少女が空を見上げた。

 

「…叔父さんと叔母さんのお墓が………落ちてくる。」

 

レナ・クールズは今、宇宙にいる兄にも思いをはせた。

 

「……兄さん。」

 

 

 

政府の誘導に混じり、軍と共に市民の誘導を行っている少女は空を見上げた。もう、肉眼でユニウスセブンが見えるところまで来ている。そして、少し前にメールが来た。あの子が、生きていた。ザフトの軍人になっていたのだ。

 

「シン…」

 

リュウ・アスカは死んだと思っていた弟の名前を口にした。

 

 

 

モルゲンレーテのジャケットを着た少女ユリ・ヤマトは恋人の少年、シュウ・タキカワと共に避難を行っていた。

 

「ユリ、こっちのグループは退避が終わった。」

 

「そう、じゃあ後は私達だけね?」

 

「ああ。」

 

ユリは肉眼で見えるユニウスセブンを見上げた。かつて、戦争をあの地獄まで発展させる発端となったプラント、今度はそれが地球に落ちてくる。一瞬、かつてユリの脳裏にあのバイザーの女の声が浮かんだ。

 

 




少し駆け足で、落下まで行きます。

ネタバレで、次はスターゲイザーの場面を重点的に入れます。
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