機動戦士ガンダムSEED DESTINY REVERSE   作:meitoken

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いよいよ、開戦です。


PHASE-9 驕れる牙

プラント最高評議会では大西洋連邦の要求に議会が紛糾していた。大西洋連邦はテログループの逮捕、引き渡しをプラント政府に要求した。

 

「既に全員死亡している」という調査報告を一度は了承したにもかかわらずだ。その上、地球各国への賠償金に武装解除、評議会への理事国の監視員常駐の承認など、到底飲める物ではなかった。

 

そもそも、一度了承した話をなかったことにして死者を引き渡せ等と荒唐無稽にも程がある。どう考えても、ブルーコスモスの意図があるのは明らかだ。

 

これでは不利な条件でもようやく得た自治をプラントは再び放棄せざるを得ない。いや、最初から呑むはずがないのを分かっているのだ。要は、只地球の敵を撃てという口実が欲しいだけだ。大西洋連邦とユーラシアは比較的被害が少ないから、こうやって被災地の声を利用できる。

 

デュランダルもこれには迎撃態勢を整えるという国防委員会の提案を了承した。

 

「ですが、あくまでも我々が目指すのは対話による解決への道のりです。こんな形でまたも先端を開けば、それこそユニウスセブンを落とした亡霊達の思うつぼだ。」

 

 

 

連合の要求があったその日から、カガリもフブキも必死だった。カガリはあの事件がプラントの意志でないことを連合側に主張したが聞き入れられず、フブキもまた来訪していた大西洋連邦官僚とその娘を通じ、アレが脱走兵の仕業であり、自分が法廷に証人として証言しても良いと訴えた。

 

だが、いずれも失敗に終わった。折悪く、ユニウスセブン落下と前後して発生したジャンク屋組合が接収、本部としていたヤキン・ドゥーエ戦で使用されたジェネシスの試作型、それが連合の基地を攻撃したのだ。

 

ジャンク屋組合はそれを事故と主張したが、連合だけでなくプラントまでもがジャンク屋組合がユニウスセブンを落としたグループに技術協力しているなどと言い出した。その根拠は、テログループのジンが装備していた剣がレアメタルを使用し、それをロウ・ギュールというジャンク屋組合のメンバーが自身が保有するMSで装備しているからだという。

 

カガリとフブキは彼を知っていた。前大戦でマルキオ経由で彼らは情報提供や物資の補給で協力してくれていた。彼はジャンク屋という職業に誇りを持っており、そのようなことをするような人物ではないと二人は信じていた。

 

しかし、彼の物と思しきMSも現場にいたらしく、世論はプラントだけでなくジャンク屋組合にまで怒りの矛先を向ける。更に、南米独立戦争で連合を脱走したエドワード・ハレルソンがプラントで拘束され、彼を匿ったニュースキャスター…ベルナデット・ルルーが反逆罪で逮捕、連合への引き渡しが行われる等という事態まで発生した。

 

これらは元オーブ五大氏族…サハク家のロンド・ミナ・サハクの全世界への発表、通称『天空の宣言』と前後して有耶無耶になった。しかし、それでも最悪の流れを止めるには至らなかった。

 

 

 

そして、その日が来た。大西洋連邦大統領ジョセフ・コープランドは『ユニウスセブンを落としたテログループを匿うプラント政府を武力を持って排除する』と全世界へ発表した。

 

プラントは勿論、オーブを初めとした各国もすぐに政府施設で対応に入った。

 

カガリの特使としてデュランダルとの早急な面会を求めたアスランもその声明を聞いており、間に合わなかった事を悔やんでいた。

 

 

 

大西洋連邦の発表に合わせて連合の月艦隊がプラントへ向けて侵攻しており、ザフト宇宙軍も迎撃態勢を整えていた。

 

宇宙用空母ゴンドワナに移乗したイザーク、ディアッカ、ニコルは搭乗機で既に出撃しようとしていた。

 

「結局はこうなるのかよ、やっぱり!」

 

〈被災地の報復感情という武器がありますからね。〉

 

ニコルの冷静な分析を聞くまでもない。あの連中は今頃、地獄で笑っているかと思うと腸が煮えくり返る。

 

〈にしたって……無茶にも程があるぜ。〉

 

被災地への救助や支援よりコーディネイターを滅ぼす方が先…プラントを撃てば後はどうとでもなると思っているのだろうか?それなら、コーディネイターが『宇宙の化け物』ならばブルーコスモスは『地上の化け物』ではないか。

 

化け物同士の食い合いなど、全く笑い話にもならない。

 

「…こちらシエラ・アンタレスワン!ジュール隊イザーク・ジュール、出るぞ!」

 

〈ジュール隊ディアッカ・エルスマン、ザク発進する!〉

 

〈ジュール隊ニコル・アマルフィ、出ます!〉

 

三人が出撃する直前にD装備を持ったMS隊の砲撃を連合のMS隊が撃ち落としたことで先端は開かれた。

 

旧式のジンやシグーがまだ多いとはいえ、ザフトはやはりパイロットの能力は高い。スペックで勝るダガーLを相手に善戦し、三機で一機のダガーLを撃墜する。ロールアウトがすすみ、大戦時からの熟練パイロット達が乗るザクはダガーLの部隊を圧倒している。

 

そのなかで、オレンジのザクファントムが対空迎撃をくぐり抜けてネルソン級を撃ち落とした。前大戦時のエースパイロットの一人、ハイネ・ヴェステンフルスだ。

 

部下のザクもそれに続いて、ドレイク級とダガーLを次々と撃ち落としていく。

 

イザークのザクはビームガトリングでダガーLを撃ち落とし、ディアッカはオルトロスでドレイク級を沈める。ニコルもブレイズウィザードのミサイルで弾幕を張り、その隙を突いてダガーLをビームトマホークで両断する。

 

 

 

評議会ビルではデュランダルも含めた議員と国防委員会が防衛戦の状況を逐一、確認している。避難警報は出していない。いや、出せないと言っても良い。

 

「脱出したところで、我らには行くところなどないのだ!」

 

そう、今地球はコーディネイター憎しに染まりきっているし、他の宙域のコロニーや月都市に行ったところで受け入れてもらえないだろうし、受け入れてもらったところでプラントの全住民が入りきらない。

 

「なんとしても、プラントを守るのだ!」

 

 

 

「本隊、戦闘を開始しました。」

 

別働隊旗艦、ネタニヤフのブリッジで司令官はほくそ笑む。

 

「よし、予定通りだな。こちらも行くぞ。」

 

別働隊が移動を開始した。月艦隊が交戦している位置から完全な死角だ。

 

ネタニヤフを初めとした戦艦から連合の最新鋭量産機GAT-04ウィンダムがミサイルケースを装備して、発進する。

 

「この青き清浄なる世界にコーディネイターの居場所などないということを、今度こそ思い知らせてやるのだ!」

 

ウィンダム部隊の装備したミサイルケースには、あのマークが刻まれていた。

 

 

 

指揮所をかねているゴンドワナは敵が軍令部と首都アプリリウスを狙っているという分析が強いが、まだ分からない。哨戒に出ていた偵察ジンも別の場所で隠れて様子をうかがっている。

 

「極軌道哨戒機より入電です。敵別部隊にマーク5型、核ミサイルを確認!」

 

それを聞いたとき、すぐに司令官は命令を下す。

 

「全軍、極軌道からの敵を迎撃しろ!奴らは核を持っている!一基たりともプラントを撃たせるな!」

 

 

 

「核攻撃隊、極軌道からだと!」

 

〈じゃあ、こいつらは全て囮かよ!〉

 

〈ここからで間に合うんですか!?〉

 

完全な死角だ。前線から遠すぎる。気づいたザフトのMS隊の迎撃にも連合のMS隊が行かせまいと立ち塞がった。

 

 

 

「レッド22ベータにナスカ級3!ですが、一隻は見慣れぬ装備をつけています!」

 

ネタニヤフのブリッジで司令官は報告を聞き、首をかしげる。

 

どういうことだ?確かに第一攻撃隊の正面に位置しているが、たった三隻。MSもなしだと?

 

一隻だけ持っている装備……核迎撃用の新装備か?

 

 

 

ウィンダム隊が核ミサイルを一斉に発射した。ザフトのMS隊もミサイルを狙うには遠すぎる。それでも撃ちまくった。だが、ミサイルもビームも遠すぎて、一発もあたらず核はプラントへ向かった。

 

その時……突然核ミサイルが全てプラントへ到達する前に爆発した。何かのエネルギー輻射のようだ。

 

エネルギー輻射はそのまま後方の艦隊を次の核ミサイルごと爆発させ、核攻撃部隊を全滅させた。

 

ニュートロン・スタンピーダー……核迎撃用にザフトが開発した新兵器だ。特殊な電波を発生させ、核分裂を暴走させることで核攻撃を防ぐものだが、それには膨大な量のNジャマーキャンセラーのベースマテリアルが必要だった。ザフトは核を搭載した試験運用MSのほぼ全てを解体することで完成にこぎ着けたが、虎の子の一発だった。しかし、この一発は大きい。この一発で連合は不用意に核攻撃を行うことが出来なくなった。

 

評議会でもこの報告を聞き、肩の力を抜いた議員達にデュランダルは独り言をこぼす。

 

「これで終わってくれると良いのですが……とりあえずは。」

 

 

 

 




スタンピーダーはアレ一発しかないとはいえ、やはりアレは大きい。どれくらい残ってるか分からないから、連合も不用意に核を撃つことは出来なかったのは大きい。

ある意味、スタンピーダーは核という武器に対しての抑止力ですね。核も含め、強力な武器はその方が良いんでしょうが
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