機動戦士ガンダムSEED DESTINY REVERSE   作:meitoken

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運命編スタートです。


PHASE-1 怒れる瞳…前編

C.E.73……L4に点在するプラント、アーモリーワン。L5に存在するプラント本国とは別に建造されたこのプラントは軍事工廠の役割を担っており、ここでは戦後初の新型艦の進水式の準備を行っていた。

 

前大戦主力機のジンは式典用の装備で装飾される他、陸上MSザウートの後継機ガズウート……当時の最新鋭機ゲイツを改修したゲイツRなどが所狭しと並べられ、整備班が声高に叫び、MSが動き回っていた。

 

「なんていうか、ごちゃごちゃね。」

 

戦後入隊した軍服と同じ髪の少女ルナマリア・ホークが呆れと感嘆の混じった声を出す。

 

「しょうがないさ…こんなの久しぶりって、いうか初めての奴も多いんだし。俺達みたいに。」

 

「……戦時中ではそんな言い訳通じないぞ。」

 

後部座席で長い赤紫の青年シオン・クールズは不快感を露わに窘める。

 

「でも、ミネルバも就役か……月軌道艦隊配属かしら、やっぱり。」

 

恋人の少女ミサキ・グールドも複雑な心境を並べ、運転席のヴィーノ・デュプレとは真逆だ。

 

「そりゃ、伝説のエースが乗る艦だから…地球軍への牽制っていうかアピールになるでしょう?」

 

「俺は只のパイロットだ。」

 

前に座る二人がビクリと震えた。

 

「バカ……怒らせてどうするのよ?」

 

「う…だって、なんで怒るのさ?」

 

 

 

LHM-BB01ミネルバ……戦後に建造された最新鋭の戦艦だ。現行のナスカ級やローラシア級とは大きく異なるその特徴的なフォルムは地球連合軍のとある艦を彷彿とさせ、配属されたシオンとミサキには懐かしさと複雑な心境を齎していた。

 

その艦内で二人の赤服のパイロットが機体を確認していた。赤錆色のストレートショートと眼鏡の少年カイン・L・B・アルベルトとポニーテールにした紺色の髪と深緑の瞳の少女アリス・シュナイダー。戦後入隊したザフトの赤服パイロットだ。ルーキーでありながら、現最高評議会議長ギルバート・デュランダルの推挙でミネルバに配備された最新鋭機のパイロットでもある。

 

「じゃあ、後は実戦で動かすしかないって事ですね?」

 

「ああ、そうなるな。」

 

アリスの問いにメカニックが答える。制服の改造に寛容なザフトで、アリスは制服を一般の女性兵と同じスカートにしており、コーディネイターの中でも高い水準の容姿で男子生徒の人気も同期のルナマリアと月に配備されたもう一人に引けを取らない。

 

カインは生まれつき視力が低い…といっても、同タイプのテストパイロットだった彼女のように先天的な盲目ではないし日常生活に支障はない。二世代目コーディネイターでは比較的珍しいケースだが、彼はそれを苦にしていない温和で理知的な性格で、性別を問わず信頼が厚い。

 

「もうちょっとあの人の意見を聞きたかったかな?」

 

「気持ちは分かるよ……まあ俺達もできるだけ要望には応えるよ。」

 

この二人、実はそれぞれシオンとミサキに好意を寄せていた。アリスはまだ告白していないが、カインはミネルバ配属に合わせて告白した。とはいっても、既にシオンとミサキが交際関係にあるのは周知の事実であったために案の定玉砕。カイン自身も分かっていたことで、せめて言うだけでもしたかったという気持ちだ。

 

一部の同期はナチュラルみたいな感情論……挙げ句の果てに『地球生まれに負けた』と馬鹿にしていたが、彼自身はそれに反感を抱いた。大体、カインやアリスと同じくテストパイロットを経てそのまま正規パイロットになったもう一人だって地球の出身ではないか。そうした侮辱論がカインは大嫌いだ。

 

 

 

金髪の少年レイ・ザ・バレルと黒髪の少女ルゥ・カゲロウはミネルバにまだ搬入されていない最新鋭機ZGMF-1001ザクファントムの調整を行っていた。指揮官機及びエースパイロット用のMSで、一般用の1000…ザクウォーリアと共にジンとゲイツに代わるザフトの次期主力機だ。

 

レイは白、ルゥはダークブラウンに塗った機体を任されていた。今こちらに向かっているルナマリアは赤に塗装されたザクのパイロットで、エースのシオンはダークグリーン、ミサキはライトグリーンのザクを任され…二人の機体は既に搬入されている。

 

「ルゥ、議長だ。」

 

「来ているのか。」

 

二人は顔を明るくして、長い黒髪の若い男に敬礼する。現プラント最高評議会議長ギルバート・デュランダルだ。二人にとっては、国の指導者と言うよりも個人的な恩人……事実上の保護者であり、それぞれの恩人に並び大きなウェイトを占めていた。

 

 

 

アーモリーワンに到着したシャトルから少年と少女が二人ずつ降りて、青い髪の少年が金髪の少女に問う。

 

「服はそれでいいのか?ドレスも一応は持ってきているよな?」

 

「何でも良いよ……良いだろう、このままで?」

 

「女物のスーツなら俺が持ってきている。」

 

「流石兄様…用意がよろしくて。」

 

「マーナにどやされたくないからな。」

 

白髪の少年がからかうように銀髪の青年に語る。が、すぐに少女にささやく。

 

「カガリ……別に派手におしとやかにやれとは言わないが、お前は俺の上司でオーブの国家元首だ。」

 

「兄様に言われなくても分かっていますよ。」

 

カガリ・ユラ・アスハとフブキ・クラ・アスハ……『オーブの獅子』ウズミ・ナラ・アスハの子供達でカガリは現在オーブの代表になっている。フブキはその補佐……ということになっている。

 

護衛についているのはアスラン・ザラとイリア・カシム……オーブ国内在住のコーディネイター、と銘打っているが彼らは二人にとっては上下関係を超えた盟友だった。

 

宇宙港と内部を行き来するエレベーターに座り、カガリが案内に問う。

 

「明日は戦後初の新型艦の進水式と聞く。そのような時期にこんなところでとは、恐れ入る。」

 

「代表、お言葉が過ぎます。」

 

ずけずけというカガリにフブキが窘める。

 

「内々、且つ緊急にとお願いしたのはこちらなのです、アスハ代表。」

 

「ええ、代表は国際的に名声をお持ちです。本国へ赴かれては問題が多く生じます。デュランダル議長のご配慮に感謝すべきでしょう。」

 

アスランとイリアが同調した。

 

フブキはこの状況を見て、内心ため息をつく。妹のこうした性格を好ましいとは思うが、政治の世界ではこの性格はマイナスにしかならない。下手をすれば、フブキが代表でカガリは付き添いだと思われかねないという危機感さえフブキは抱いていた。

 

 

 

「やあ、これは姫…王子。遠路お越しいただき、申し訳ない。」

 

「…いや、議長にもご多忙のところありがたく思う。」

 

カガリとフブキと握手し、デュランダルに招かれて二人はソファーに腰を下ろした。

 

「で、このような時期に代表はどういったご用件で?我が方の特使の話によれば、大分複雑な案件とのことですが…」

 

「複雑か……私にはさほど複雑な事とは思えぬのだが。」

 

「代表……」

 

フブキが再度窘め、言葉を続ける。

 

「ええ、議長もご存じのことと思いますが…我が国はかのオーブ戦の折に流出した様々な技術、情報、人的資源の利用について問題を抱えております。その件について、改めて議長からお話をお伺いしたいと思い、会談をお願いした次第です。」

 

まだ拙いが、フブキは慎重に言葉を選んでデュランダルに用件を伝える。見ていたアスランはカガリでは直球で伝えてしまうと思った。

 

評議会の議員達も、フブキの方が代表らしい…と言いたげな表情をしているのが分かる。

 

 

 

あるハンガーで金髪の青年が忌々しげに舌打ちする。マーレ・ストロード……今回、配備される新型機のテストパイロットを経て、そのまま正規パイロットに任命されたザフトのエースパイロットの一人だ。

 

が、彼自身は花形中の花形とも言うべき機体のパイロットを望んでいた。議長が決めた異常は逆らえないが、実戦経験のないルーキーが任されるのが気に入らない。

 

同時に、地球生まれの汚らわしい奴が同じ艦に乗る上にナチュラルと馴れ合う雌まで一緒だ。まあ、いい……戦場に事故はつきもの。機を見て、始末して……

 

その時、銃声が入り口から響いた。四人の少年少女がナイフや銃を手にこちらに向かってきて、整備クルーや保安兵が撃ち殺される。マーレは構えようとしたところで撃たれた。

 

 

 

ライトグリーンの髪の少年スティング・オークレーは水色の髪の少年アウル・ニーダに警告する。

 

「アウル、上だ!」

 

「はい、イリーナも右!」

 

「ええ!」

 

灰緑色の髪の少女イリーナ・クレインもハンドガンで向かってきた警備兵を撃ち殺した。そして、最後の金髪の少女ステラ・ルーシェは掃除を終えて、ナイフと銃を捨てる。

 

「スティング!」

 

「ようし、行くぞ!」

 

四人はこのハンガーにあるMSのコクピットに飛び込んだ。まず、スティングがZGMF-X24Sカオスのシステムを立ち上げる。

 

「量子触媒反応スタート、パワーフロー良好!」

 

 

 

アウルは欲しかった玩具を動かすようにZGMF-X31Sアビスの武器をチェックする。

 

「全兵装アクセス、オールウェポンズフリー。」

 

 

ステラはZGMF-X88Sガイアを淡々と立ち上げ、OSも調整する。

 

「システム、戦闘ステータスで機動。」

 

 

 

「アサルトシュラウド、接続確認…オールグリーン。」

 

イリーナはZGMF-X55Sレイジのアサルトシュラウドをチェックした。

 

 

 

間もなく、四機のMSが起き上がってPSを展開して色が変わる。その状況で、辛うじて生きていた整備クルーが最後の力を振り絞って警報のボタンを叩いた。

 




新オリジナルキャラのカインとアリスはそれぞれガンダムのパイロット。レイの相棒とも言うべきルゥはカタカナ表記ではレイから一文字ずつ動いた名前で、ちょっと東洋っぽくしました。

アーモリーワン訪問…掲示板時代はカガリとアスランにイリアが着いたけど、こっちではフブキもつけました。本来の警護役のリュウはちょっとストーリーの関係上…留守番です。



尚、掲示板に記載した時期の関係から、アストレイとスターゲイザーの要素を少し絡めていきます。



そして、シオンは心理面…二年の間に精神が摩耗してラウに近い状態になってしまいます。ネタバレですが、事と次第ではキラとアスランだってなっていたと思うのをやります。



カインが言っていたあの人とはガイアのテストパイロットの彼女です。
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