機動戦士ガンダムSEED DESTINY REVERSE   作:meitoken

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駆け足ですが、いよいよキラも復活します。


PHASE-12 蘇る翼…前編

フブキはセイランからの通達を聞き、愕然とした。同盟締結と同時にカガリとユウナの結婚式を進めるというのだ。それだけではない。フブキを大西洋連邦の有力者の娘に婿入りさせることでより大西洋連邦との関係を強固にするつもりでいる。

 

聞こえは良いが、フブキは意味を悟った。要するにフブキを体よくオーブから追い出そうという魂胆だ。だが、既にフブキに発言権はなく、カガリに至っては既にセイラン家に嫁ぐのを半ば押し切られてしまった。

 

「アスランが帰ってきたら、なんて言えば良いんだ!」

 

明らかにアスランがいないのをこれ幸いとみたやり方だ。だが、もはやフブキに止めることは出来なかった。

 

 

 

ユリ・ヤマトはアスハ家の別宅を訪れ、母のカリダとラクスと共に野菜を採取していた。この国はとても静かで海も綺麗だ。しかし、そんな時間ももうすぐ終わろうとしていた。オーブは大西洋連邦との同盟に同意したのだ。そうなればコーディネイターの自分はプラントにしかいられなくなる。そうなれば恋人のシュウ・タキカワとは離れ離れになってしまう。それがユリの心に影を落としていた。採取した野菜を持ち帰ると、シュウがコーヒーカップを両手に出迎えてきた。

 

「お疲れ様。コーヒーを入れたけど、飲むか?」

 

「ありがとう、頂くわ。」

 

ユリは野菜をテーブルに置き、シュウから手渡されたカップに口を付ける。一口飲んだところでシュウが問いかけてくる。

 

「感想は?」

 

「……悪くないわ。」

 

「それは良かった。次は紅茶を頼みたいね。」

 

シュウは満足げに自分の分を口に運ぶ。二人はテラスに並んだ椅子に座り、しばらく談笑していたが、そこで大きな男の声が割り込んできた。

 

「よう、ご両人!同席しても良いかな?」

 

声を発した男は嘗て『砂漠の虎』と恐れられたザフトの将アンドリュー・バルトフェルド。後ろにいる栗色の髪の女性はかつて共に戦場をかけた戦艦アークエンジェルの艦長マリュー・ラミアスだ。お互い連れ合いを無くしたこの二人は戦後大人の友情という物を築いているようで、バルトフェルドはマリューによく自分のブレンドを飲ませているらしい。そして、先程シュウが言っていた師匠とは彼のことである。

 

「まあ、良いですけど…」

 

大人二人を交え、彼らは今後の生活などについて話していたが、やはりキラやラクス、バルトフェルドはプラントへ引っ越さなければならないようだ。無論ユリも例外ではない。二年間共にいた者達と離れるのはユリにとっても辛いことであった。

 

「ああ、なんなら君らも一緒にどうだ?」

 

「良いんですか?」

 

ナチュラルのマリューやシュウが来るのはまずいのではないだろうか?まだ二年しか経っていないのに。

 

「まあ、デュランダル議長ってのは話の分かる人みたいだから…馬鹿みたいなナチュラル排斥なんてことは考えやしないだろう。」

 

「そうですね……リュウも、どうなるか分からないし。カガリもフブキも、頑張ったのに…」

 

「どこかで平和に、静かに暮らして、死ねたら幸せだというのに、これ以上何が欲しいのかしら?私たちは……」

 

マリューの言葉はユリだけでなく今ここにはいないレナやフブキの胸の内にもある疑問だった。このままシュウやキラと共に静かに暮らしていければ本当に幸せだ。だが、人はまた何か新しい物を欲する。何も望まないなど所詮は夢でしかないのだろうか?

 

 

 

ナタル・バジルールはフブキに頼まれ、レナとイリアの様子を見に来ていた。

 

「ナタルさん、いらっしゃい。」

 

「副長が来るとは思いませんでした…レナの苦いコーヒー、ありますよ。」

 

ナタルは苦笑して、頷いた。

 

「そう来ると思って、クッキーを買ってきた。」

 

「さすがナタルさん。用意が良いですね。」

 

「君のコーヒーのきつさは身にしみている。バルトフェルド隊長の副官の苦労がよく分かったよ。」

 

今は宇宙にいる仲間を口に出し、三人はコーヒーを飲む。

 

「それで…どうなった?」

 

「はあ、同盟が決まっちまったからな。キラやユリは勿論、俺達もプラントに行かなきゃダメだろうよ。」

 

「ナタルさんはどうするんですか?」

 

レナが入れた強烈な苦いコーヒーを一口飲んで、ナタルは答える。

 

「フブキ様が大西洋連邦高官に婿入りする話も浮上している。なんとか、警護として同行したい。アスカ三尉はコーディネイターだから移住できぬ以上、私が行くしかないだろう。」

 

あの大戦で志願入隊したリュウはパイロットだから連合で言う少尉階級だから、軍人らしく呼ぶのは規律に厳しいナタルらしい。そう思いながら、レナはコーヒーを飲む。

 

「クールズ少尉のご両親はどうするのだ?」

 

「父さん達はモルゲンレーテの社員ですから、なんとか政府も融通してくれるけど…それもいつまで保つか。」

 

「……妙な気分だ。地球の国なら連合に着くべきと考えた私が、今はそれがおかしいと思っている。」

 

「………良い傾向じゃないんですか?馬鹿なナチュラルから脱却したって事で。」

 

ナチュラル蔑視のコーディネイターのような言い方をしたが、それがイリアなりのフォローなのはよく分かる。

 

「ま、正直こんな強引な開戦で連合支持の世論がいつまで続くか、俺も分からんけどな。」

 

最初の核攻撃で一気にプラントを滅ぼし、それで世論を黙らせるつもりだったのだろうが手痛いしっぺ返しを喰らって月艦隊は撤退。ジブラルタルとカーペンタリアを攻撃しようとした部隊も手が出せなくなって、ザフトは積極的自衛権として開戦に踏み切った。

 

「少なくとも、前のような事にはならなきゃいいんだがな。」

 

それにナタルも頷いた。

 

 

 

ユリとシュウが帰り、皆が寝静まった夜、屋敷の近くの海岸で蠢く影があった。それも一人二人ではなく、大人数で全員がゴーグルとライフルで武装していた。彼らは少しずつ、確実に屋敷に近づいていった。

 

「テヤンデエ!テヤンデエ!アカンデェー!」

 

警備代わりに外に置いたハロが騒ぎ出した。小説を読んでいたバルトフェルドは嫌な気配を感じ、素早く服を着て銃を片手に扉を開ける。向かい側の寝室からマリューも拳銃を持って出てきた。

 

「どこのお客さんだろうね。彼女と子供達を頼む。シェルターへ!」

 

「ええ!」

 

次にバルトフェルドは眠っていたキラの元へ向かう。同じように気配に気付いたのか寝間着姿のキラが部屋の中から出てきた。寝ぼけ眼だったキラはバルトフェルドが持っていた銃を見て目が見開き、怪訝な表情になる。

 

「どうしたんですか?」

 

「早く服を着ろ!嫌なお客さんだ!ラミアス艦長達と共にラクス達を!」

 

嫌なお客さんという言葉を聞いてキラは「はい!」と答えて部屋に戻った。バルトフェルドは家具に身を隠しながら移動し、来客の目的を考える。

 

狙いはマルキオ導師か、それとも……

 

ラクスと子供達を起こした後、キラはマリューに守られる形でシェルターへ向かっていた。状況が判らずに怯えている子供達を励ましながら少しずつシェルターへ向かう中、外に人影が見えた。すぐさまマリューが銃を撃ち、牽制する。

 

「大丈夫だから。さあ!」

 

キラは子供達を励まし、先を行く母とマルキオ導師を半ば追い越して先にも襲撃者がいるか警戒しながら進む。他にも屋敷内で銃声がいくつか聞こえる。おそらくバルトフェルドも襲撃者に遭遇したのだろう。バルトフェルドの身を案じながらもキラは子供達をシェルターへ誘導する。

 

 

 

バルトフェルドはマリュー達より早く客人に襲われた。テーブルに身を隠しながら応戦するが、相当な数だ。バルトフェルドは隣の部屋に逃れる中、襲撃者の正体を悟った。

 

こいつら、コーディネイターだ。しかも素人ではない。正規の訓練を受けた連中だ。だが、何が目的だ?

 

考えているバルトフェルドは後ろからの殺気に気付き、左腕を構える。

 

「くぅ!」

 

襲撃者のナイフが腕に食い込む。右手で相手の腕を掴み、バルトフェルドは蹴飛ばす。しかし、敵はすぐに体勢を立て直して斬りかかるが、先に銃弾が敵を打ち倒した。

 

「まさか、本当に役に立つとはね…」

 

バルトフェルドは自慢の左腕から出ている銃を嬉しげに眺める。先の大戦で左腕と片足を失った彼だが、もし万が一のことがあったらということで左腕には銃を仕込んでおいたのだ。本当に使うとは思わなかったが……

 

左腕を戻してマリューらに合流しようとしたところで敵の耳から外れたインカムから声が聞こえた。

 

〈目標は子供と共にエリアEへ移動。〉

 

目標?コーディネイターで狙う人物だとすればまさか!

 

〈武器は持っていない。護衛は女一人だ。早く仕留めろ!〉

 

まずい!コーディネイターの部隊相手にナチュラルのマリューではかなり不利だ。キラは身体能力ではともかく銃の腕は当てにならない。

 

バルトフェルドはシェルターの入口まで急いだ。

 

 

 

マリューが敵の足を止めていてくれたおかげで何とかシェルターの入口に辿り着いた。現在マルキオがロックを外す操作をしているが、敵の数は増える一方だ。ふと、キラの背後のドアが開いた。敵かと思って身構えるが、現れたのはバルトフェルドだ。彼は通路脇からマリューと共に応戦する。彼らが食い止めている間にシェルターのロックが外れ、扉が開いた。

 

「さあ、早く!」

 

ラクスとカリダが子供達を促し、シェルターに入れる。キラは銃撃がやみ、バルトフェルドとマリューが入口にくるのを待っていた。銃撃がやみ、二人は入口前に来る。

 

「急げ!かなりの数だ!」

 

バルトフェルドに急かされ、ラクスを連れて入ろうとしたところで、キラは通気口から覗く銃口を見つけた。

 

「ラクス!」

 

キラは叫んでラクスを抱きかかえて飛ぶ。銃弾はギリギリのところでキラの髪を掠め、撃った主はバルトフェルドとマリューに撃ち殺された。キラはラクスを守りながらシェルターに駆け込み、最後に入ったバルトフェルドがシェルターの扉を閉じ、ロックする。

 

完全に扉が閉じたところでマリューが膝を折った。子供達はまだ先程の銃撃戦の恐怖が残っており、怯えている。ラクスはカリダやマルキオと共に怯えている子供達を宥めているが、マリューはうんざりした口調で襲撃者の正体を口にする。

 

「コーディネイターだわ……」

 

マリューの答えをバルトフェルドも肯定する。

 

「ああ、それも素人じゃない。ちゃんとした戦闘訓練を受けた奴らだ。」

 

「ザフト軍、ということですか?」

 

しかも、先程の狙撃から標的がラクスであることは明らかだ。襲撃した者達がザフトだとするのなら何故ラクスを?前大戦時に失脚したザラ派の部隊がクライン派の象徴であるラクスを狙ったというのだろうか?

 

「コーディネイターの特殊部隊なんて……最低。」

 

マリューがうなだれた。確かに連合の軍人だったとはいえ、ナチュラルのマリューが相手をするのは厳しかったはず。無傷でここまで逃げ切ったのが奇跡に等しい。

 

 




掲示板時代はナタルの場面を入れてなかったから、ナタルは元部下のレナに会いに来た形で情勢を語ってました。抜けたおかげで、連合が最初からダメだと実感したのはある意味、連合軍人家系のナタルにとっては不本意でしょうが、今はそれが良いと思っています。

アスランがアークエンジェルのおかげで今の自分があるように、ナタルもまたアークエンジェルで学んだのでしょうね。
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