機動戦士ガンダムSEED DESTINY REVERSE   作:meitoken

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ここでファントムペインのオリジナルキャラとMSを出します。


PHASE-14 ひとときの休息

プラント本国首都アプリリウスの執務室でデュランダルはオーブ沖海戦におけるミネルバの戦闘報告を聞いていた。特に、シン・アスカのインパルスが空母二隻含む敵艦六隻を撃破という戦果に報告をしている士官も興奮していた。

 

しかし、デュランダルはその戦果を当然のように受け止めていた。シン・アスカにはそれだけの資質があり、それを活かせる機体を与えているのだから。

 

【Speriol Evolutionaly Element Distind・Factor】、略称【SEED】。以前学会誌で発表され論議を呼んだ概念であり、DNA解析の専門家であるデュランダルもこのことを知っていた。これはナチュラル、コーディネイターを問わず持つ者は皆持っている。そして、シンにそれがあるということも。

 

空母二隻含む敵艦六隻……【SEED】のファクターを持つ者としてはこの程度は当然の戦果だ…そして、もう一人も既にこちらの手中。

 

カイン・L・B・アルベルトとアリス・シュナイダー……この二人も【SEED】のファクターこそないが、その潜在能力は非常に高い。着実に育ちつつある駒の様子にデュランダルは安堵した。

 

 

 

「一体、どういうつもりだ!あなた方まで何故!!」

 

オーブを脱出したアークエンジェルでカガリはキラ達に詰め寄った。

 

「結婚式場から国家元首を攫うなど、国際手配の犯罪者だぞ!正気の沙汰か!!」

 

「ああ、そうだろうな。」

 

フブキが人ごとのようにつぶやき、カガリは掴みかかった。

 

「なんで、兄様まで!!どうせ、キラあたりが言い出したんでしょう!?」

 

「発案はキラだが、俺も賛成した。」

 

余りに、無責任な言い草にカガリは思わずフブキを殴ろうとしたが、レナが止める。

 

「カガリ、やめて。キラもユリも、フブキも…カガリにまで馬鹿なことをして欲しくなかったの。」

 

「馬鹿な、こと?何が馬鹿なことだ!私はオーブの代表だぞ!悩んで、考えて、それで!!」

 

だが、ユリが冷静に、されど冷たく問う。

 

「それが大西洋連邦との同盟とあいつとの結婚?それがオーブのためだと思うの?」

 

「…あ、当たり前だ!でなければ、誰が結婚なんかするか!!」

 

あんな、軟弱者の清楚な花嫁を演じる道など選ぶか!!

 

「もう、しょうがないんだ!リュウなら分かるだろう!オーブは再び国を焼くわけにはいかない…!」

 

今度はリュウが問う。

 

「それは分かるわ…でも、それで今度は……オーブがどこかでプラントや、他の国にやって良いの?それで、別の国で新しい私をカガリさんが作るの?」

 

カガリの脳裏に、父が理念を選んだ末に家族を喪ったシンの顔がよぎる。そのために、リュウはシンと生き別れて互いに死んだと想い続けてきた。

 

「で、でも…!」

 

レナが問う。

 

「ウズミ様、言ってたでしょ?このまま行けば、認めない者同士が際限なく争う世界になる……それじゃあ、結局オーブはまた巻き込まれる。」

 

レナに言われて、カガリは気づいた。あの頃、何も考えずに只オーブが戦争に加わるべきだと叫んだ。それが間違いだと悟った。なのに…その答えを、忘れて………

 

「キラやユリだけじゃない…俺だって、同じだ。お前に何もしなかったし、何もしてあげられなかった。」

 

フブキがいつも以上に沈痛な表情を浮かべる。

 

「キラも言っていた。まだ、俺達にも分からないことは多い。だが、分からないからこそ……間に合うと思った………」

 

そして、キラはポケットからある物を取りだした。

 

「選ぶ道を間違えたら、行きたいところにはいけないよ。」

 

「私もよ……私は、貴女とキラのお姉ちゃんだから。貴女の行きたい道を邪魔する石くらいは見つけてあげたい。」

 

キラが渡した物を見つめ、カガリは膝をついた。アスランがくれた指輪……裏切ってしまった証………

 

「だから、一緒に行こう。」

 

カガリは何も言えず、指輪を握りしめて泣き崩れた。キラが抱き締め、右からユリが頭をなでて左手からフブキが優しく語りかける。

 

「俺は…まず、お前に幸せになって欲しい。兄として………あの祭壇で、お前が本当に誓いたい人と誓い合うのを見たいから。だから、俺も行くことにした。」

 

 

 

カーペンタリアに着いたミネルバは先のオーブ戦で損傷した船体の修理と補給を受けていた。それまでの間はオフということでクルーは上陸し、思い思いの形で楽しんでいた。

 

「え?じゃあさ。ミネルバの修理、もうじき終わるんでしょう?」

 

ドラッグストアで買い物をしているアリスは隣に立つメイリンに「そうじゃない?」と素っ気なく答える。

 

「じゃあいつ出港になるかわからないじゃない。やっぱ、今の内に買っておかなきゃ。」

 

そうは言っているが、すでにメイリンのカゴの中はシャンプーやらクリームやらがどっさり入っている。アリスは少しばかり彼女の財布が心配になった。後ろにいるルナマリアもため息をつく。

 

「あ、そう。全く。何が何でそんなにいるのかわからないけど。」

 

姉の皮肉にメイリンは「悪かったわね。」と頬をふくらませる。二人の籠の中身を見比べると、ルナマリアは中身が少なく、自分は二人の間といった具合だ。

 

「ねえ、話は変わるけどアリスってシオン先輩に告白したの?」

 

突然のメイリンの質問にアリスは「え?」とつぶやいた。話が聞こえたルナマリアも首を突っ込んできた。

 

「そうそう!どうなのよ?」

 

「あ、あの……もう、諦めちゃって…」

 

二人が同時に「ええ!?」と落胆した。

 

「あの人は…私のことを単なる後輩としか見てないし、何よりミサキ先輩がいるから……」

 

彼女の答えにルナマリアとメイリンは黙り込んでしまった。しばらく気まずい空気が流れるが、ルナマリアがそれを打ち消すように明るくなる。

 

「さあ!会計を済ませたら、何か食べましょう!」

 

「あ!それ良いわね!」

 

メイリンが姉の提案に乗り、二人に続く形でアリスもレジへ向かった。

 

アリスがシオンと出会ったのは彼とミサキがミネルバに配属された時だ。伝説のエースの一人に会えたという事実にアリスは胸が踊った。彼は顔立ちも整っており、性格も穏やかだ。そして、かつては特務隊FAITHに所属していたエリートである。その経歴にメイリンは興味津々であったが、アリスは彼の違う面に興味を抱いていた。何故軍に志願したのか、何故FAITHという地位を蹴ってまで脱走し、ラクス・クラインと共に戦う選択をしたのか。彼が何を思っているか知りたいと思った。そう思っている内に、彼を好きになっていた。そして、シオンの隣にミサキがいるのもすぐに気づき、諦めたつもりだったが、やはり諦めきれなかった。

 

二人にはああ言ったけど……やっぱり私は、あの人が好き。

 

 

 

カインはヨウラン、ヴィーノと食事を取った後、小説を買って中をぶらぶらしていたが、まだ準備中であるレストランにレイとルゥが入っていくのを見つけた。気になって後をつけてみると、中からピアノの音が聞こえてきた。入り口から覗き込むと、レイが弾いているようだ。

 

あいつがやると絵になるな…そういえば、アカデミーでも弾いていたっけ。

 

しばしピアノの演奏に聴き入っていると、一緒にハミングが聞こえてきた。どうやらルゥが演奏に合わせて歌っているようだ。カインは時間を忘れ、二人の奏でるハーモニーに酔いしれていた。数分後、演奏が終わるとカインは軽く拍手をしながら店内に入ってきた。

 

「良い演奏だったな。」

 

レイが探るように「聴いていたのか。」と訪ねてくる。

 

「まあな、もう一曲頼めるか?」

 

彼のリクエストに二人はしばし顔を見合わせ、ルゥが「判った。」と答えると、レイがピアノを弾き始め、ルゥが先ほどの歌声で歌い始めた。

 

それから暫くの間、そのレストランの中には綺麗な音楽が流れていた。

 

 

 

シオンとミサキはカフェで軽い食事とお茶をしながら雑談していた。

 

「ずいぶんと変わったわね……ここ。」

 

「そうだな。」

 

自分達が以前来た頃と比べて基地の中は大分変わっていた。

 

「娯楽が大事なのは判るけど、なんか戦争をしているって実感がないように見える……」

 

ミサキが漏らした憂いにシオンも暗い表情になる。彼女とシオンがアスラン達と共に入隊したのは戦時中だったから、まだこういった場所では緊張感があった。しかし、シンやルナマリアが入隊したのは戦後だから無理のないことではあるが、どうしても違和感を覚えてしまう。この前のオーブ沖での戦闘をきっかけに自分達が戦争をしているという自覚を持ってくれればとミサキは思う。

 

「さて、辛気くさい話はこれくらいにして買い物に行きましょう。オーブではレナに会うのが忙しくて出来なかったから。」

 

シオンがやれやれといった態度で立ち上がり、ミサキは彼の腕に両腕を絡ませる。

 

「おいおい…」

 

「良いじゃない、恋人なんだから。」

 

ミサキは彼の顔を見上げて軽く甘える。シオンはため息をつき、苦笑いした。その顔にミサキは一瞬胸が高鳴った。

 

しばらく、見てなかったな……この顔。

 

以前から彼の笑顔や憂い顔にも惹かれていたが、彼女が好きなのはこの顔だ。久しぶりに見た恋人の苦笑顔を見たミサキは嬉しさからさらに強くしがみつき、シオンと共にカフェを出た。

 

 

 

地球軍空母J.P.ジョーンズのデッキでネオは三隻の空母がこちらに接近してくるのを視認した。そして、その横腹から三機のMSが飛び出し、こちらのデッキに着陸した。後ろにいるイリーナが問いかけてくる。

 

「何、この三機?」

 

「上がミネルバを沈めるために寄こした増援のMSよ。」

 

エリスが答える間に三機のハッチが開き、パイロットがラダーを使って降りてきた。甲板に足をつけた直後にパイロットの三人がヘルメットを脱ぎ、素顔を見せた。三人とも若く、スティング達より2、3年上といったところだ。先頭の青年が歩み寄り、敬礼する。後ろの二人がそれに習い、礼をする。

 

「第八十一独立機動群本部所属グレン・フレイア中尉です。」

 

「クレマンス・オルグレン少尉よ…クレムって呼んで。」

 

「ソウジ・ナカモト少尉。」

 

ネオは彼らに対して敬礼する。

 

「ご苦労、この部隊を指揮するネオ・ロアノーク大佐だ。」

 

「エリス・ティーゲル中佐です。私が貴方たちの指揮を任されています。それに伴い、私も貴方たちの母艦に……」

 

上から伝えられた旨を説明するエリスの脇を通り、クレムとソウジは後ろにいるスティング達の方へと歩いていった。

 

「へえぇ、こんな可愛い女の子が二人もいる部隊に寄こすなんて、オッサン達も気が利くねえ。」

 

「ねえ、後で親睦を深めるために貴方たちの部屋に来て良い?」

 

二人は挨拶もせずにスティング達に話しかけている。いや、アタックしている。グレンという青年はともかく、この二人は少々問題がありそうだ。

 

「ソウジ、クレム。コミュニケーションは後にしろ。では、大佐、中佐。我々はリンカーンに戻ります。何かありましたらまた後ほど。」

 

グレンがまじめに自分達の旨を伝え、二人に「行くぞ。」と呼びかけ、機体へ乗り込んだ。

 

隣接している空母リンカーンに戻る三機を見送りながらエリスがつぶやく。

 

「四機の強奪機体と新型が三機にウィンダム二十機……一部隊には過ぎた戦力ですね。」

 

「それだけ、上の連中があの艦を沈めたいってことだろ?」

 

ネオはいつもの調子でエリスの懸念を受け流し、不敵に笑う。

 

「ま、いざなりゃその辺の奴ら借りれば良いんだしね。」

 

 

 

シンは昼食を買った後、基地内をブラブラしながらミネルバに向かっていた。ふと、空を見上げると見た事のない機体がミネルバに向かっていた。MAかと思ったらその機体は変形し、インパルスとよく似た形態になった。

 

MS?一体誰が?

 

新型の機体はミネルバへと着艦していった。気になったシンはミネルバに向かい走っていった。

 

ミネルバのドックでは突然やってきた新型に皆が気になり群がっていた。アスランはそれを見下ろしながらハッチを開け、ラダーで降りヘルメットを脱いだ。

 

「アスランさん!?」

 

自分の顔を見た瞬間、以前案内をしてくれたルナマリア・ホークが驚く。

 

「認識番号285002特務隊FAITH所属アスラン・ザラ、乗艦許可を。」

 

「ねえ!さっきの……あんた!」

 

後ろからシン・アスカが走ってきて後ろの機体セイバーの事について何か聞いているが、アスランの顔を見た瞬間、目の色を変える。

 

「なんだよ、これは!どういう事だ!」

 

荒っぽく事情を尋ねるシンの態度をとがめるようにミサキが足を踏みつける。

 

「ぃ!」

 

「口の利き方に気をつけなさい!アスランはFAITHよ!」

 

シオンとミサキが敬礼し、他のクルーもそれに習う。出遅れたシンも手荷物を後ろの少女に押しつけ、襟を直して敬礼する。その仕草に口元をゆるめ、アスランは最年長らしき整備士に尋ねる。

 

「艦長は艦橋ですか?」

 

「あ、はい。だと思います。」

 

シンに袋を押しつけられた少女が何か言おうとしたが、それより早くルナマリアが名乗り出る。

 

「確認して、ご案内します。」

 

「俺も付き合うぞ。」

 

「私も。」

 

突然のシオンとミサキの申し出にアスランは少々戸惑いながら「何故?」と聞く。するとシオンはアスランをにらみつける。

 

「俺が問い詰めない、とでも思ったのか?」

 

怒気さえ含んだその言い方にアスランは一瞬怯むが、シオンが無言でエレベーターへ向かうのでアスランは着いていく。

 

「ザフトに戻ったんですか?」

 

「そういう事に、なるかな?」

 

するとシンは答えが不満だったのか「何でです?」と聞き返してくる。アスランはそれに答えることなく、エレベーターへと入っていった。

 

三人に案内され、エレベーターに乗ったアスランは気だるそうに壁により掛かる。

 

「でも、どうして復隊なさったんですか?」

 

アスランはルナマリアの問いに少々戸惑いながら答える。

 

「あ、ちょっとプラントに行って議長と話を…それより、ミネルバは何時オーブを出たんだ?俺、何も知らなくて。」

 

「スクランブル掛けられたんだな?」

 

シオンの指摘にアスランは「ああ。」とうんざりしながら答える。ルナマリアも大らかに不平を口にする。

 

「もう!めちゃくちゃですよ、あの国!私達、地球軍の大部隊に待ち伏せされてたんですよ!!」

 

「けど、カガリがそんな!」

 

シオンが頷く。

 

「ああ、二人は白だろうよ。」

 

「何言ってるんですか?あんなのお芝居に決まってるじゃないですか。ガッカリだわ、カガリ・ユラ・アスハ。英雄って言うからどんなのかと思ったら…大西洋連邦と同盟結んで……お兄さんも領海までお供するなんて、見え透いたご機嫌取り」

 

シオンがルナマリアの襟首を掴んで、たたきつけた。

 

「黙れ、ガキが…!」

 

「ぁ…!!」

 

「シオン!」

 

「そう言うなら、お前がオーブで政界に入れよ。え?コーディネイターのお前なら、ナチュラルの二人より良い判断が出来るんだろう?」

 

「ぁがっ…ゅ……ゆるし、…て!!」

 

「ふん!」

 

ルナマリアが肩で息をするが、シオンはそれを害虫でも見るような目で見下ろす。

 

「俺の次はカガリさんとフブキ、そして今度はアスランか?」・

 

「シオン、やり過ぎよ…」

 

ミサキが窘めるが、シオンは聞かない。

 

「アスラン……お前には大西洋連邦との同盟より遙かに悪いニュースがある。」

 

「え?」

 

それを聞いたミサキもばつが悪そうに続ける。

 

「カガリさん…結婚、しちゃったの…」

 

「結婚!?」

 

アスランは鞄を落としたのにも気づかず、シオンとミサキに詰め寄る。

 

そんな!カガリが結婚!?俺に何も言わずに、誰と!?いや、考えるまでもない。あいつだ。アスランは胸にあの軟弱者に対する怒りがふつふつと煮えたぎってくるのを感じた。

 

しばし、アスランはエレベーターが指定した階についたのにも気づかず、立ち直ったルナマリアに「あの…」と言われてようやく降りた。更に、一緒に降りたシオンの言葉にまたも耳を疑った。

 

「でも…式の時か後に攫われて……今は行方不明だとか。」

 

攫われた!?一体誰が!?

 

ルナマリアが離れ、艦長室に入ろうとしたところでシオンとミサキが教える。

 

「カガリさんを攫ったのはフリーダムとアークエンジェルっていう話よ。」

 

「…キラが?」

 

「多分、フブキやレナも一緒だろう。早々連合やオーブ軍にやられることはない。だから、ひとまずは安心して良い。」

 

 

 

その後、FAITHとして着任したアスランからデュランダルの旨を伝えられたタリアは彼の持ってきた命令書を見つめていた。その内容はタリアをFAITHにし、ミネルバはカーペンタリアを出た後、ジブラルタルに向かいスエズの駐留軍支援に迎えという命令だ。そこは連合からの脱退を叫ぶユーラシア西部の紛争で今最も混乱している場所で、徴兵や弾圧と現地住民は酷い目に遭わされていたのだ。そこに行けとは………

 

何を考えてるのかしら、あの人…

 

あくまで今回のザフト側の大義名分は積極的自衛権の行使であり、以前のオペレーション・ウロボロスのような領土拡大戦ではないし、マスドライバーを潰すのを主目的とした戦いではない。

 

だが、そうしたところに行かねばならない。FAITH二人を乗せた艦が。

 

 

 

アスランがFAITHとして復隊し、タリアもFAITHになったという噂は瞬く間に艦内に広まった。今もレクルームではクルーの少年達がはしゃいでいた。

 

「凄いよな、FAITHが二人なんて!」

 

「俺達には関係ないぞ…」

 

「え?関係ないの?」

 

ヴィーノのきょとんとした言い方にシオンは深いため息をついた。

 

「FAITHは個人が任命されるんだ。戦績著しく、人格面で相応しい人間が選ばれる。正真正銘の実力優先だ。」

 

「元議長の息子だからじゃないんですか?」

 

「それなら、外国の留学生の俺が任命されるわけないだろう。俺は自分が認められたこと自体が不思議だ。」

 

「でも、アスラン・ザラとシオン・クールズが揃うなら、もうこの戦争は勝ったも同然だな!」

 

その言い草にシオンは声を荒げた。

 

「いい加減にしろ!俺にもアスランにもそんな力はない!!迷惑なんだよ!実際の能力以上の期待をして、出来なければ難癖をつけやがって!!」

 

 

 

カインはMSデッキでアスランの乗機セイバーを見上げていた。カオス、アナーと同じ高機動戦闘用の可変MSでセカンドシリーズの一機だ。カインはこのMSが腑に落ちなかった。進水式で発表される新型は強奪された四機を含めて七機だったはず。八機目があるなんて聞いた事がない。

 

そもそも、何故議長はこの機体の存在を隠していたんだ?まさか、最初から強奪がある事を知っていた?いや、そのスパイは訓練の時に逃亡を図りデブリに衝突して死んだ。ということは……最初から彼を乗せる気でいた?

 

……まさかな。そんな事があるはず無いか。

 

カインは自分の頭によぎった懸念を振り払い、部屋へ戻った。

 

 

 

海風に当たりたく、デッキに出たルゥは、慣れ親しんだ色の髪を見つけた。レイだ。

 

「ここにいたのか、レイ。」

 

「ルゥか…」

 

少年は相変わらずの端的な態度で応じ、海風で髪をなびかせていた。ルゥは隣に移動し、今日着任した青年について問う。

 

「レイ、ギルは何故アスラン・ザラをFAITHにしたと思う?」

 

「簡単だ。彼にそれだけの力があり、それが彼にとって最も幸福だからだ。」

 

とても人に対して言うようには思えない言葉だがレイはそれを当然のように口にし、ルゥも「そうね。」と頷く。

 

「人は、生まれた時からその運命は決まっている。足掻くだけ無駄なのに……」

 

「だが、ギルはそれを断ち切ってくれる……そうなれば、もう俺たちのような存在が生まれる事もない。」

 

まるで遠い物を見つめるレイをルゥは見て、カモメの鳴く海に向く。

 

そう……己のさだめに従い生きる事。それが、最も幸せな人生…

 

 

 

そして、ミネルバは基地からボズゴロフ級を一隻随行に着けてもらい、まず最も近いマハムール基地へ向かう事となった。




前半部分はアークエンジェル、後半部分はミネルバです。

尚、ここからシオンはどんどん孤立していきます。始まった時点で破綻仕掛けてましたから。アスランの復隊がメンタルケアになるどころか逆効果になっています。掲示板時代、ジ・エッジの部分も入れたけどちょっと今回は色々配慮して省きました。



尚、新しいファントムペインパイロットの三人はスターゲイザーやΔの五人と同じです。=搭乗機はお察しください。
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