機動戦士ガンダムSEED DESTINY REVERSE   作:meitoken

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マハムール基地は省きます。代わりに、ガルナハンで少しオリジナルを加えます。


PHASE-16 ガルナハン…前編

カガリを連れ出したアークエンジェルはアスハ家と親交があり、先のオーブ戦でも支援の手を差し伸べてくれたスカンジナビア王国に匿ってもらっていた。アークエンジェルのブリッジでは主なメンバーが集まり、ニュースを聞いていたが、どれも連合絡みの混乱を伝えるニュースだ。連合に加入させられた中立国や大西洋連邦の強引なやり方に異議を唱える当初の連合加盟国すら市民感情が悪化の一途を辿っている。

 

「毎回毎回、テンション下がるニュースの嵐だねえ。もっとアイドルのスキャンダルみたいなの無いの?」

 

イリアの冗談にレナが答える。

 

「『人気アイドルがマネージャーと付き合ってる。』、みたいな?」

 

「その手の話はゴシップである事が殆どではないか?」

 

「事実という事もたまにあるけどね。」

 

フブキの冷めた答えにリュウが応じ、ユリが文句を言う。

 

「…もうちょっと健全な発想ないの?」

 

「水族館でシロイルカが赤ちゃんを産んだ、とか?」

 

「その方が微笑ましくて良いですね。」

 

「まあ、そこまでは言わんがね。」

 

バルトフェルドとナタルもコーヒーを飲みながら、話に入る。

 

「しかし、妙な気分だな。流れてくるのは連合の混乱を伝えるニュースばかりだぞ。プラントとの戦闘の方はどうなっているんだ?」

 

シュウから紅茶のカップを受け取ったカガリの懸念に通信席のラクスはインカムを外しながらチャンネルを変えて自嘲気味に笑う。

 

「プラントはプラントで、ずっとこんな調子ですからね。」

 

モニターにはハイテンポな音楽に合わせて歌い踊るラクスが映っている。いや、正確には贋者が。

 

「皆さんとても元気で、楽しそうですわ…」

 

滅多に見せないラクスの怒りに背中合わせのチャンドラが一瞬ギクリと反応する。

 

「でも、いくら何でもキャラが違いすぎるわよ。よく誰も疑わないわね…」

 

ユリがチャンドラに同情の目線を向けながら、ステージの前ではしゃぐザフト兵に呆れた言葉を掛ける。

 

「なんとかしたいけど……下手に動いたら見つかるし、スカンジナビア王国にも迷惑がかかるでしょ?」

 

リュウでさえ思うことだ。全員が分かっていることだ。

 

「そうね……ユニウスセブンの落下は確かに地球に深刻な打撃を与えた。でも、その後のプラントの姿勢は真摯だったわ。難癖のように開戦した、連合国が馬鹿よ。」

 

「ブルーコスモス、だろう?」

 

マリューの言葉をバルトフェルドが訂正する。だが、ナタルがさらに訂正する。

 

「そのブルーコスモスの言いなりなのが問題です。強引な同盟を結べば、どうなるかなど分かりきっていたはずなのに。」

 

かつて、軍人という枠に囚われて柔軟な発想が乏しかったナタルが言うと説得力がある。実際、連合軍や連合構成国の首脳、ブルーコスモスは分かっていないとさえ思わせる。あの大惨事さえ、コーディネイター絶滅の方便としか認識できていないのだろうか?

 

ユニウス条約締結から一年程度で戦争再開などすれば、厭戦気分が蔓延するのが普通だ。被災地への支援を効率よく行うため、等と言った同盟だって実際は連合の軍備増強だけが目的で各地への支援などはほぼおざなり。否、南米やアフリカ、赤道連合など加盟させられた国々は今も被災地への支援を優先している。

 

前大戦と違い、連合は全く統制が取れておらず、ユーラシアでさえ西側の混乱に手一杯だ。

 

「しかし、その難癖と核攻撃に対してもデュランダル議長は市民も議会もだなめて、最低限の防衛戦にとどめて、今も連合と停戦の交渉を試みている。俺から見ても理想的な穏健的指導者だよ。」

 

フブキがデュランダルの行動を賞賛し、レナも頷いた。

 

「うん、シーゲル様に近い考えって言うのも頷けるわ。」

 

亡き父を引き合いに出された、ラクスも頷いた。だが……

 

「そこだけ聞けば、だけどね。」

 

「実際に良い指導者だと思うぞ、デュランダル議長は。」

 

マリューにカガリも同調する。だが……

 

「というか、思ってた。ラクスの暗殺とこの件を知るまでは。アスランだって、それが分かっているからプラントに行ったんだし。」

 

「じゃあ、誰がラクスを殺そうとした?そして、これじゃあ僕には信じられない。そのデュランダルって人が……みんなを騙してる。」

 

「それが政治と言えば、政治なのかもしれんがね。」

 

「ヘリオポリスの件だって、政治と言えば政治だ。」

 

バルトフェルドとフブキがキラの直線的な意見に釘を刺す。が……

 

「けどま、そんなの聞かされてコレじゃあ誰だって疑うぜ。」

 

イリアの言うとおり。どう考えてもおかしい……

 

「だいたい、これをデュランダル議長が知らないはずないでしょうに。」

 

「それに会いに行ったアスランも、どこで油を売っているのやら。」

 

ナタルも同様の疑問を口にして、ユリもため息をつく。あれ以来、アスランからは音沙汰がない。あの時点ではまだカガリの特使だから、戻ってきたってセイランに追い出されることはない。オーブ本国にはエリカ・シモンズら当時のアスハ寄りの軍人やモルゲンレーテ社員、議員達もいる。彼らから、アスランが戻ったという連絡さえない。

 

確かにデュランダル議長はあの第一波攻撃の後でも最低限の防衛戦のみを行い、今も停戦に向けて色々と手を打っている。どう見ても良い指導者だ。そこだけを聞けば……

 

でも、ラクスさんが襲われてこの子が同じようなタイミングで出てくる……ということは。

 

リュウだけでなく、ここにいる誰もがそう考えるであろう。ユーラシア西部の状況を見るとザフトに味方したくなるが、キラとユリがそれをよく思わず、デュランダル自身も何を考えているのか判らない以上、動くわけにも行かない。ラクスの件がある以上、味方しても後ろから撃たれる可能性もあるのだ。

 

「アスランが戻ってくれば、プラントの情報も聞けるかもしれないが……どうしてるんだろうな、あいつ…」

 

「……戻れなくさせられた、とか?」

 

恋人の安否を心配するカガリの指に光る指輪を悲しげに見つめながらリュウも自分と同じ色の瞳の弟を案じながら、アスランの状況を推測する。

 

シン……戦争は貴方の知らないところでどんな風に動くか分からないわ。これも、どんな風に作用するのか…

 

 

 

インド洋を抜けたミネルバはジブラルタルへ向かう一方、マハムール基地へ停泊した。そこで聞かされたのは連合側が間に位置する街、ガルナハンに陽電子砲と陽電子リフレクターを装備したMAを配備してスエズの駐留軍支援を分断しているとのこと。

 

だが、それに留まらず現地住民からの反発は凄まじく、各地にレジスタンスが展開してザフトと連携を取っているとのこと。

 

基地への上陸を許されたシオンは荒野と海の間の風に当たりながら、基地付近の救護テントを見つめる。おそらく、レジスタンスの治療もかねているのだろう。

 

「妙な物だな…ユニウスセブンでコーディネイターへの報復を叫ぶ声が大多数だったはずなのに、今はコレだ。」

 

既に連合方面の混乱のニュースは世界中に広がっている。ユニウスセブン落下の被災地への支援を蔑ろにして、プラントへの報復を優先した事が中立国やザフトが支援する被災地からの連合への反発に代わり、南米フォルタレザを代表するザラ派シンパのテロに対するプラントへの報復感情も沈静化している。

 

ここまで短期間で立場が逆転するのも空恐ろしい気がする。シオンも、デュランダルのいたずらに戦火を拡大するべきでないという方針それ自体は支持している。だが…あのラクス・クラインのライブ。

 

「どう思う、あのラクス・クライン?」

 

ミサキがため息をつく。

 

「どう見たって、贋者よ。アスランを問い詰めるどころじゃなくなってるけど。」

 

そう、アスランがプラントに行っていた時期と彼女が現れた時期は重なる。大体、アスランがオーブに渡ったのを知っているならラクスについてだって見当がついているはず。なのに、何故こんな回りくどい手を使う?アスランは何か知っているだろう。

 

「ガルナハンを突破したあたりで、アスランに聞いてみるか。」

 

「そうね。」

 

二人の間では、デュランダルに対する疑念が根付き始めていた。

 

それから間もなく、ミネルバはマハムール基地司令官ヨアヒム・ラドルとの合同作戦でガルナハン・ローエングリンゲート突破作戦を敢行する事になる。

 

 

 

「現地協力員って、つまりレジスタンス?」

 

「そうじゃない?酷い状態らしいから、ガルナハンって。」

 

シン達がミネルバのブリーフィングルームで着席して間もなく、アスランとシオンが入ってくる。この地域寄りの肌の色の小柄な少女を伴って。

 

「レジスタンスって……子供?」

 

カインの言葉に少女は不快な表情になり、シオンが紹介する。

 

「コニール・アルメタ…彼女が抵抗勢力を代表し、我々に協力してくれる。」

 

「…着席。さあて、いよいよだぞ。」

 

ガルナハン・ローエングリンゲート突破作戦の肝はローエングリン以外に陽電子リフレクターを装備したMA…YMAG-X7Fゲルズゲーが配備されている。

 

「この砲台とMA…つまり、強固な槍と盾によってこの地区の防御は成り立っている。正面からの突破は困難である。」

 

「要するに、そのMAを潰してその砲台をぶっ壊して、ガルナハンに入れば良いんでしょ?」

 

シンが不機嫌を露わにシオンとアスランの説明に割り込み、シオンが挑発する。

 

「………ではお前はどうやってここを攻略する気だ?」

 

「やれますよ、やろうと思えば。」

 

まるで答えになってない。だが、シオンが変化球を投げる。

 

「なるほど、オーブ沖でよほど自信をつけたようだ。アスラン、こいつがやってくれるそうだ。俺達は邪魔らしい。」

 

「な!?」

 

普段、無愛想でアスランとミサキ以外とのコミュニケーションが少ないシオンがアスランにシンを実行役に推薦する。それでも尚、シンはアスランとシオンに食いつくが、その場はアスランの叱責で収まり、同じように反発するコニールにもシオンとミサキがフォローを入れてその場は収まる。

 

「ったく、我が儘小僧が。」

 

シオンが毒づき、アリスやカインも申し訳ない表情になっていた。




後半はローエングリンゲートです。

この頃は、まだシオンも一応のコミュニケーションは取ってます。ただし、後半で孤立の最大の一歩が始まります。
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