機動戦士ガンダムSEED DESTINY REVERSE   作:meitoken

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カインとアリスのデートです。


PHASE-17 見えない真実と不思議な出会い…後編

カインは助けた女性から半ば強引にレストランに誘われて、食事を取ることになった。女性はクレマンス・オルグレン……仕事でこの街に立ち寄ったらしい。

 

「じゃあ、クレマンスさんはジャーナリストか何か?」

 

「クレムって呼んで。ええ、そんなところ。色々回って、いい男にも会えるしね。その中でもあんたは極めつけよ。」

 

随分と馴れ馴れしいが、不思議と嫌な気分になる相手ではない。おおらかとも言えるこの雰囲気がなせる業か?

 

「そういえば、カインって言ったわね。あんたは?」

 

「ああ、俺…ザフトの軍人なんです。」

 

「へえ…駐留軍?」

 

少し、雰囲気が変わった。コーディネイターと生で出会って緊張したか?

 

「やっぱり、コーディネイターと話すのは嫌?」

 

「ああ、ごめん。そうじゃないの。今まで、生身のコーディネイターと会う機会なんてなかったから。」

 

なるほど。大昔に例えれば、初めて外国人に出会ったような感覚に近いのだろう。ナチュラルの祖父母がいる第二世代コーディネイターにとってはそういう感覚は馴染みがないのかもしれない。が…

 

「でも、オーブは行ったことないんですか?あそこはコーディネイターを公に受け入れているし、大洋州連合だって親プラント国家ですよ?」

 

「そっちはね…まだ、行ったことないから。」

 

やはり……何しろ大洋州連合といえばカーペンタリアがある。仕事とはいえ、生身のコーディネイターと会うのには尻込みするのだろう。ジョージ・グレンの誕生から百年近く経ってもなお、こうした妙な距離感が戦争にも繋がるのだろうか?

 

その観点でいえば、今のデュランダルの方針は軋轢をなくす一歩になるのだろうか?それこそ、シーゲル・クラインが提唱したようなナチュラルへの回帰も含めて。

 

 

 

アリスはぶつかった男性、グレン・フレイアから汚れてしまった服の弁償と新しい服の支払いをしてもらうことになり、そのためにブティックに入っていた。

 

少し高めの店で、シックなワンピースを着てみた。

 

「これ、どうです?」

 

「…ああ、俺はその方面に疎いから当てにするな?似合っていが、他のを試してみたらどうだ?」

 

カジュアルから、ビジュアルまで…何着か試してみて…最初のワンピースと少し肌を出したミニスカート系を選んだ。

 

「ごめんなさい、いくらお詫びだからって高いのを二着も。」

 

「気にするな…これでも財布はそこそこ余裕がある。」

 

グレンは無愛想だが、わざわざ汚した分まで持ってくれている。どことなく、シオンやレイに似ている気がした。

 

「どういう仕事してるんですか?ジャーナリスト…には見えないけど、傭兵か何か?」

 

「……ま、そんなところだ。大丈夫だ、連合から依頼を受けたわけじゃない。」

 

「そう…でも、今の情勢なら連合でもザフトでも傭兵は引っ張りだこじゃないですか?」

 

アリスも軍人だ。傭兵について多少の情報はある。それこそ連合、ザフト双方のMS三個小隊を相手にしても勝てるMS部隊……確か『サーペントテール』という名前の傭兵部隊があった。オーブのアストレイタイプを使っていることと、リーダーがコーディネイターという位しか知らないが、かつての戦争では民間のマスドライバー施設ギガフロートの防衛で連合とザフトの双方から守り抜いたという。

 

同僚を、といいたいが民間のマスドライバー施設を独占しようとする連合とザフトの双方から守るということは、それだけ宇宙に物資を運ぶ民間業者が救われるということだ。少なくとも、それは連合もザフトもやり過ぎだと思う。

 

南米独立戦争でもその傭兵部隊は南米政府から周辺の村を守るべく戦った。それだけ聞くと、その傭兵部隊は依頼とあれば何でも引き受ける傭兵部隊とは毛色が違う気がした。

 

この人も……そういうタイプの傭兵なのかしら?

 

「そういうお前は?俺が傭兵だと思うあたり、ザフトの軍人か?」

 

「あ、はい……詳しい所属は言えないけど、こっちに来て。」

 

「地球はどう思う?」

 

「どうって…」

 

祖父母から色々と聞いたが、実際に生で見るのは初めてだ。気象がコントロールされるプラントとは全く異なり、予想だにしないことが多すぎる。海一つとっても、プラントでは津波なんて起りようがない。

 

「津波の心配もないプラントの感覚でいうと、ここの人達は海沿いでよく生活できますね。」

 

「海が近くにあるということは、魚や貝を捕れるということだ。せっかくだ、地元の料理でもおごるぞ?」

 

「え、でも?」

 

「気の済むところまではやらせろ。」

 

 

 

カインとクレムは食事を取って、また暫く海沿いを歩いていた。

 

「良い眺め…」

 

「ああ、そうだな。」

 

「プラントではこんなのつまらない?」

 

「いや……こういう景色だけは、絶対にプラントは地球に勝てない。実際に来てそう思った。」

 

クレムは知らずに助けてくれた敵兵カイン・L・B・アルベルトの言葉に呆然とした。

 

どうして……所詮ナチュラルの環境とかっていうんじゃないの?

 

ちょっと、かまをかけてみるか?

 

「まあ、地震や雷なんて物騒な物とは無縁でしょ?」

 

「でも、壁に穴が空いたらあの世。地震や津波と違って、逃げようがない。ユニウスセブンのせいで、嵐のような二次災害が起きている。コーディネイターの技術だって、そればかりはどうしようもない。落とした側がいうのも妙な話だけど。」

 

「……別にあんたが落としたわけじゃないのに。」

 

「でも、地球に来てからずっと思う。パトリック・ザラやそのシンパは地球の環境もコーディネイターの技術で治せるって思ってたんじゃないかと。だとしたら、いくら何でも酷い思い上がりだよ。」

 

何故、そう思う?宇宙の人間もどきが随分と人間みたいなことを言うじゃないか。

 

「ごめん、変なこと言ったかな?」

 

「ううん、別に。生のコーディネイターと話してみるのがちょっと新鮮だったから。」

 

「できれば、雪を見てみたいな。プラントでも降らないわけじゃないけど……やっぱり生をね。」

 

生の自然を体験してみたい……宇宙に住んでいる人間だから、そう思うのだろうか?

 

「こっちはこっちでめんどくさいわよ?」

 

「でも体験してみたいんだ。」

 

 

 

グレンは知らずに出会った敵兵アリス・シュナイダーと食事を取っていた。ここで妙なそぶりを見せれば、疑われるからだ。施設でコーディナイターが悪魔だと教えられ、それを殺す訓練は受けてきた。だが、こうして民間で出くわしたからには誤魔化すべき。教官からはそう教わっていた。

 

魚介をふんだんに使われたパスタやサラダ、スープのセットを頼み舌鼓を打っていた。

 

「おいしい……」

 

「プラントでだって、養殖はしてるだろう?」

 

「そうだけど…こういう港で採れた物とかは食べたことないから。」

 

そういう物か?地球の自然で作った食べ物がそんなに珍しいのだろうか。

 

「コーディネイターなら、地球の自然より上を簡単に作れるだろうが。」

 

「そう思うけど……でも、自分達だけでここまで育つってのは凄いと思うの。」

 

「……さっき言った海沿いで生活する意味が分かったか?」

 

「うん、確かにこういう場所なら食べ物に困らないわね。それに海に住んでいるなら嵐や津波という危険が常について回るから、対策しやすいのかも。」

 

そういう学び方か。コーディネイターだからか、思い至るのが早いのか?

 

「だが、プラントに限らずコロニーは壁に穴が空く危険があるだろう?」

 

「それを言われると……でも、極端なことを言えば核でも撃たれたら本当に終わりでしょ?地球にはそういう対策のシェルターはあっても、プラントにはないから。」

 

それを言われれば、確かに。プラントは核ミサイルで破壊された。あのユニウスセブンだ。

 

「いくら来ると分かっていても、逃げられなければ意味がないのは地球も一緒ではないか?実際、ユニウスセブンの津波やその爆発で大勢の死者が出た。」

 

アリスの食事の手が止まった。どうやら、痛いところを突かれたようだ。しかし、落とした側ではないか。

 

「そうね……結局、核ミサイルでも津波でも同じなのかも。」

 

「何が?」

 

「核は人間が造った物で、津波はあの時は別だけど自然に起こるものが多い。どっちみちナチュラルだろうがコーディネイターだろうが、あんな物に襲われれば簡単に死んじゃう。」

 

その言葉にグレンは何かが突き刺さった気がした。

 

ナチュラルもコーディネイターも、簡単に死ぬ?本気でそんなことを言っているのか?Nジャマーを開発したプラントのコーディネイターが。

 

「コーディネイターで、随分ナチュラル寄りのことを言うな。」

 

「ブルーコスモスから見れば、そうじゃないけど……でも、ナチュラルもコーディネイターも撃たれたり頭を殴られたら死ぬんだから。ここに核爆弾が落ちたら、私も貴方も消し炭でしょ?」

 

随分と極端なたとえが出てきた。だが、それは分かる。ここに核が落ちたら自分達どころか街の人間など大半が消し炭だ。

 

どちらも撃たれれば死ぬ、か。

 

妙な気分に浸ったとき、時計のアラームが鳴った。

 

「すまない、仲間と落ち合う予定だ。」

 

「そう………ねえ、また会える?」

 

「……俺は傭兵だからな。確約できないよ。」

 

「あ、そう…よね。」

 

アリスが少し寂しそうな表情をしており、グレンはやや後ろ髪を引かれる思いがした。

 

 

 

クレムはカインの事がとても興味深かった。初めて出会った生身のコーディネイター。地球の自然に興味を持ち、自分がやったわけでもないのにユニウスセブンの件を気にしている。

 

「おーい、いつまで遊んでるんだ?」

 

ソウジだ。

 

「ごめんね、もうお開きみたい。」

 

「そうか……こんな情勢だから、余り無理な取材はしないでよ?」

 

「それは軍人のあんたでしょ?……ちょっと、お守りに。」

 

頬にキスをした。自分でも驚いた。コーディネイター相手にこんなことをするなんて。

 

「じゃ、もしどこかで会ったらデートしましょ。」

 

「は、はあ……」

 

ソウジの車に乗りこむと、早速ソウジが茶々を入れてきた。

 

「お前、現地の男でも喰ったのかよ?」

 

「失敬な…あんたこそ、ナンパに失敗したんじゃないの?」

 

「ぐ!」

 

いつものやりとりをしながらも、クレムはカインが印象に残っていた。

 

あの子……生きてるけど、良いコーディネイターに見えた。

 

 

 




中々オリジナル同士は難しいところです。只、カインはカインなりに色々と考えてます。当時のシンやルナマリアと比べて遙かに大人、或いは二人が考えなしだったかは意見が割れそう。

シンとステラ、入れるつもりだったけどカインとアリスに集中しすぎて力尽きてしまい、申し訳ございません。ただ、シンとアスランはイリーナを入れた三人と会っています。



ただ、その代わりグレンとクレムは今まで聞かされたのと全く違うイメージのコーディネイターと出会いました。ミューディー曰く「良いコーディネイターは死んだコーディネイターだけ」だったのが、「生きている良いコーディネイター」という印象を抱いてます。
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