機動戦士ガンダムSEED DESTINY REVERSE   作:meitoken

34 / 82
ハイネが死んだ後のミネルバ、そしていよいよあそこに踏み込みます。


PHASE-20 すれ違い…前編

ダーダネルスから移動し、ポート・タルキウスに入港したミネルバは修理を受けていた。今までと違うとすれば、発射寸前で破壊されたタンホイザーの爆発によって巻き込まれたクルー達が何人か死亡し、MS隊も配属したばかりのFAITHハイネ・ヴェステンフルスが犠牲になった。

 

軍服を初めとした遺品はシン達パイロットが整理し、基地が預かることになった。ハイネの遺品を積んだ車を見送り、艦に戻る中

 

「あいつらのせいだ……あいつらが変な乱入したせいで…」

 

「…あの、本当に彼らはあのアークエンジェルなんですか?」

 

カインの問いにシオンが頷いた。

 

「ああ、ストライクルージュとデュエルペイル………カガリさんとフブキだ。」

 

「今回の件で、何か知ってますか?」

 

ルゥがアスラン達三人を睨み、レイも同じ目だ。

 

「…分からないわ。ただ、カガリさんとフブキさんが本物である事………同盟が不本意だったことだけは間違いないわ。」

 

「だったら、最初から同盟にサインしなければ良かったじゃないか!」

 

シンが国の決定に異議を唱え、ルナマリアも頷くが……

 

「理念を取った結果に会ったばかりだぞ。」

 

「シオン…!」

 

シオンが冷徹な言い方でカガリを擁護し、アスランが窘める。

 

「……また、来るんでしょうか?」

 

アリスの疑念にレイが応える。

 

「オーブ軍が帰還しない限り、可能性としてはあるな。今度は俺達がああなるかもしれないぞ。」

 

 

 

アスランはシオン、ミサキと共にタリアに具申した。アークエンジェルの行方を探りたいと。

 

「艦長もご存じの通り、私達三人…いえ、イリア・カシムを含め我々クルーゼ隊の一部パイロットは先の大戦ではあのアークエンジェルと共にザフト、連合と戦いました。」

 

シオンの報告にはやや誇張が入っているようだが、間違っていない。アークエンジェルと一番因縁が深いザフトの部隊はクルーゼ隊だ。ディアッカもあので捕虜になったのを通じて彼らに賛同し、ヤキン・ドゥーエではイザークとニコルも加勢してくれた。

 

「あのクルー達もフリーダム、ブレイブ、アフェクションのパイロットも、オーブの代表兄妹も我々がよく知る人達です。」

 

ミサキに続いて、アスランが伝える。

 

「でもだからこそ、彼らの行動が理解できない。というよりも、納得できません。」

 

キラ達の目的はオーブ軍の戦闘停止、撤退だ。だが、それならば他にもやりようがあったはず。なのに、あんなやり方を。そのためにハイネが死んでしまった。

 

「彼らは何かを知らないのかもしれません。間違えているのかもしれません。」

 

「何?」

 

シオンがアスランの発言に思わず口を挟んだ。チラリと見るが、アスランは続ける。

 

「無論、司令部や本国も動くでしょうが…その前に彼らと話し、解決の道を探すのは私達の仕事です。」

 

「それはFAITHとしての判断だということ?」

 

「はい。」

 

タリアの問いにアスランが応えると、タリアは今度はシオンを見る。

 

「貴方は?アスランに何か言いたそうだけど?」

 

「……では、率直に。アスランのいうことも一理ありますが、私は逆の可能性も考えています。」

 

「逆?」

 

「彼らの目的については、私もアスランと同じ意見です。しかし、決定的に違う考えがあります。」

 

ミサキがシオンを見て、アスランは困惑した。

 

決定的に違う?一体、何のことだ?

 

「彼らは我々の知らない何かを知っているかもしれない……もし、我々が知らずに何かを間違えているのならば、彼らからそれを聞きだし、戦争は勿論オーブにも何か良い風を吹かせる可能性も無視できません。」

 

「お前、何を言ってるんだ?」

 

間違えているのがキラ達ではなく俺達?何故、そうなる?

 

シオンが無言でにらみつけてきて、アスランは思わず怯んだ。

 

「ここでの諍いはやめなさい……」

 

タリアが窘め、大きなため息をつく。

 

「貴方達三名の離艦、了承します。でも、良いの?貴方達だけで。」

 

「はい、三人の方が身軽で良いです。」

 

タリアの問いにミサキが答えて退室する。艦長室から離れて少しして、アスランは改めてシオンに問う。

 

「お前、本気であんなことを思っているのか?」

 

「お前こそ、何故俺達が間違っていないと言い切れる?」

 

「それは…」

 

「ユニウスセブンの後は連合が悪い?」

 

いいたいことを先回りされ、シオンがため息をつく。

 

「ガッカリだよ、アスラン。」

 

まるで、失望したような口ぶりだ。アスランは訳が分からなかったが、とにかくアークエンジェルの調査だ。アスランは一人、シオンとミサキは二人で行動をすることにした。アスランはセイバーで発進し、シオンとミサキはヘリで出た。

 

この時、三人は気づいていなかった。入れ替わりでレイとルゥがタリアにある具申をしていたことに

 

 

 

シオンとミサキは新聞を買い、まず読んでいた。オーブの連合側への増援を非難するような記事が書かれ、少し不愉快になった。が、やはり目新しい情報はない。ダーダネルスの近くの海に隠れている可能性はあるが、このあたりにはオノゴロのようなドックはない上に地域そのものがザフト寄りだ。見つけるのも一苦労だ。

 

新聞をたたんで歩き出そうとしたとき…見知った顔を見つけた。

 

「すみません、ちょっと良いですか?」

 

焦げ茶色の髪の少女に声をかけると、振り返ると同時に声が出た。

 

「え、シオン?ミサキ?」

 

「メイ?メイ・ハーベストなのね!」

 

 

 

アスランは車を借り、アークエンジェルがいそうな海域付近のデータを確認した。そして、車でまず沖合を目で確認しようと走っていたとき…髪が外側にはねた少女を見つけた。その顔をアスランは知っていた。

 

「ミリアリア!ミリアリア・ハウ!?」

 

呼び止められた少女が振り返る。

 

「アスラン・ザラ?」

 

間違いない。アークエンジェルのクルーだったミリアリア・ハウだ。

 

 

 

シオンとミサキは久しぶりに出会ったかつての仲間とコーヒーを飲んでいた。

 

「驚いたよ……オーブのカレッジを出て、フリーのジャーナリストになったっていうのは聞いたけど。」

 

「ええ、連合に取材もしたかったけど…私は立場が立場だから。」

 

確かに、彼女はオーブの学生だったが父親が連合それもブルーコスモスの将校だ。しかも、ラクスの同志として連合の核攻撃を阻止する側に回っていたのだ。連合に取材しよう物なら殺されてもおかしくない。

 

「そっちも…ニコルとは?」

 

「ええ、メールは何度か。貴女のこと、心配してたわ。」

 

ミサキからニコルの名前を聞き、メイは頬を染める。

 

「そうよね……暫く、会ってないし。」

 

あの後、メイはニコルと自然と距離を縮めて今はたまにメールのやりとりをしていた。が、今のこの状況では難しいだろう。

 

「それで、アークエンジェルのこと…何か知ってる?」

 

 

 

アスランもミリアリアと再会し、アークエンジェルのことを話した。

 

「あの介入のおかげで…」

 

「混乱した?」

 

ミリアリアがバッグから写真を何枚か出した。

 

「知ってるわよ、全部見てたから。」

 

フリーの報道カメラマンになったと聞いているが、実際によく撮れている。ハイネのグフが撃墜されたあの瞬間までも。

 

「でも、アークエンジェルを探してどうするつもり?」

 

まるで疑われているようだ。

 

「話したいんだ…キラとも、カガリとも。」

 

「今はまた、ザフトの貴方が?」

 

それを言われ、ようやくアスランはミリアリアが自分を疑っているのを悟った。旧知であることを利用し、捕えるのではないかと疑っているのだ。

 

思えば、彼女はあの戦争で恋人を失った。そして、その恋人を殺したのは他でもないアスランだ。それがまた恋人を殺したときの立場に戻っただけでも、彼女にとっては大きい意味があるのだ。

 

 

 

「何があったか、聞きたいんだ。レナにも、フブキにも。」

 

「私も…」

 

「……分かったわ。手があるの、詳しいことは教えられないわよ?」

 

「それでいい。」

 

メイが取材のレポートや写真を見ながら、つぶやく。

 

「条約が締結されて一年ちょっとでまた戦争……喜ぶ人なんか、いるはずないもの。ウチの父さんでもなければね。」

 

既にいない父を非難している。ヤキン・ドゥーエで彼女は父を亡くした。それを彼女はなんとも思っていない。元々破綻同然だったのが、ヘリオポリスでザフトに保護されたという理由だけで絶縁されてしまったのだ。その上、特殊な生い立ちでブルーコスモスを恨むフブキの手で彼女の父親は死んだ。メイも了承の上でだ。

 

とんでもない親子だ……

 

と言いたいが、プラントに保護されたという理由だけで絶縁するどころか娘がいるかもしれないプラントを核で攻撃するなど正気の沙汰ではないとシオンも思う。娘に愛想を尽かされるのが当たり前だ。実際、別居扱いにされた母は戦後に連合側の配慮で慰謝料と弔慰金を受け取った。父は自らの死によって、家族どころか部下への横暴さも暴露されて、連合内部の信用を死後になって完全に失ったのだ。

 

 

 

アスランが突然シオンとミサキと共にミネルバを離れ、アリスとルナマリアも艦を出た。残ったシン、レイ、カイン、ルゥの四人はアーサーから司令部直々の命令で探索任務に出ていた。

 

場所はポート・タルキウスから少し離れた場所にあり、人の出入りもあったという。

 

「全く、現地の部隊に任せれば良いのに。」

 

〈まだ言うのか、シン?〉

 

〈我が儘も大概にしたらどうだ。〉

 

〈お前、アカデミーの頃からのそのくせいい加減にしろ。〉

 

レイ、ルゥ、カインの三人から一斉に叱責される。

 

「俺のお守り役か?」

 

〈でなければ、なんだ我が儘小僧。〉

 

飛行ユニットを装備したグラウンドがライフルで小突き、シンは引きつる。この三人が一緒では息が詰まる。とにかく、優等生というか小言がうるさい。アカデミーの頃から、それにはシンも悩まされた。

 

アーサーは武装勢力がいたらどうする?なんて言っていたが、いくら何でもザフト軍基地のすぐ近くになど……あのインド洋の建設中の基地じゃあるまいし。

 

 

 

 




ここに来て、アスランはシオンとミサキとさえ距離が狂い始めます。

本編見たから、この頃既にデュランダルの狗になったアスランとディオキアとミーアで疑い始めたシオンとミサキの決定的な差でしょう。

尚、再登場したメイは私の勝手なやりかたですが、ニコルとは付き合いが続いて、ニコルはメイの意志をある程度尊重しています。

ここは心配しすぎで振られたディアッカとの差かも(笑)。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。