機動戦士ガンダムSEED DESTINY REVERSE   作:meitoken

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今度はロドニアのラボです。あの惨状を少し、文章ながら残虐に表現します。


PHASE-21 罪のありか

アスランはキラ達の言ったことが信じられなかった。最新鋭のMSを持つコーディネイターの特殊部隊?そんな、馬鹿な!議長がそんなことをするはずがない!!

 

「…ラクスが狙われたというのなら、それは確かにとんでもないことだ。でも、だからって議長もプラントも信じられないというのは軽率すぎるだろう?」」

 

キラとカガリの表情が変わった。まるで、信じていた人に裏切られたような顔だ。

 

なんだ、その表情は!ミーアを立てたのだって、ラクスが見つからなかったからだ。

 

そうだ、ユニウスセブンの連中のように父のシンパがラクスを殺そうとして、評議会か軍上層部に協力者がいたから最新鋭のMSを用意できた。

 

いや、そうだ。そうに決まっている。

 

キラ達は何も分かっていない!議長はブルーコスモスを裏で支える軍需産業複合体ロゴスにまで、目を向けておられるのだ!父の時とは違う!!

 

 

 

「それは、本当なんだな?」

 

「キラが撃退した後、自爆したわ。残骸は見た。機体の名前はアッシュ…」

 

アッシュ…その名前はシオンも聞いたことがある。ゾノとグーンの後継機種として配備が進んでいる機体だ。

 

「だとしたら……」

 

シオンの中で、キラ達の話を元にした図式が組み上がった。あの時、ディオキアでアークエンジェルの件をアスランに聞いていたのは、何かの方便でラクスを殺すため。そして、それならばアークエンジェルがあのようなやり方に出たのもうなずける。

 

「分かった…その件については、俺もアスランと話してみる。」

 

いくら頭の固いアスランでも、それを聞けば少しは動くはず。明らかに怪しい…ラクスが殺されそうになったタイミングに前後してあのミーアが現れる。ミーアはデュランダルを指示するラクスを演じている…となれば、本物を殺してしまえば真実を知る者は誰もいなくなる。

 

「とにかく、オーブ軍との戦闘については……」

 

「やめろ、といわれても聞かないぞ。」

 

フブキが先に出た。

 

「為政者らしくない考えなのは分かっている。だが、俺達のせいでこうなったんだ……死なずにすむ人間を増やせるなら、今からでもそうしたい。」

 

「フブキ…」

 

「……兄さん、兄さんもミサキもアスランも…オーブ軍と?」

 

「俺だって……俺だって……また、お前と戦うことには…!」

 

「だから、帰れ?代表誘拐で殺されろと?」

 

そう……カガリを連れ出したことが誘拐だ。今の政府がそれを主張すれば、レナ達は殺される。

 

「…どうして、こうなっちゃったの?」

 

ミサキの泣きそうな声を聞き、シオンも拳を握りしめる。

 

仲間達の思いを無駄にしたくない。他に出来ることがないから、また軍服を着た。なのに…待っていたのは「伝説のエース」の看板を言い訳に出来ないことを言い立てる兵士達、そして敵に回った祖国。

 

間違えたのかも…しれない。

 

 

 

アスランとシオンがアークエンジェルの行方を捜していた頃……ミネルバはシンとカインからの連絡を受け、問題の施設へ向かっていた。付近のザフト軍も急行し、内部の調査には現地の部隊が入っていた。

 

施設の調査を行うと、自爆装置らしき物が発見されてそれの解除を行う傍ら、新種のウィルスやガスの類を確認し、レイとルゥの異常を受けてシンとカインも検査を受けていた。

 

だが、調査部隊の報告から内部に夥しい数の死体があったという。どの遺体も腐っており、恐らく死んでからかなり時間が経っているのだろう。

 

セイバーとヘリが二機こちらにやってきて、アスラン達三人が降りた。

 

「港に戻ったら発進していると聞いて、何かあったんですか?」

 

 

 

「ロドニアのラボって…何?」

 

ステラは先ほど、ネオが部下から聞いた単語が気になりスティング達に聞いた。

 

「何って…私達がいた場所じゃない。」

 

「どうしたんだ、急に?」

 

「悪いことにザフトがって、ネオが…」

 

「何!?おい、ザフトがどうしたんだ!ステラ!」

 

アウルが突然、いつもと真逆になった。

 

「ネオに直接聞いた方が早いわ!!」

 

イリーナもいつものように面倒見が良い態度を見せず、アウルと一緒に飛び出そうとする。

 

「なんで、黙ってられるんだよ!ラボには母さんが!!」

 

その瞬間、アウルの心の何かが砕けた。

 

「ちょっと、どうしたのよ!?」

 

エリスがやってきた。

 

「アウル、アウルどうしたの!?」

 

「エリス、ロドニアのラボに何があったの!?」

 

「どうして、それを?」

 

「ステラが聞いたのよ!教えてよ!あそこに父さんが…!!」

 

イリーナが突然、硬直し…アウルと同じような状態になった。

 

「い、いや…父さんが…」

 

「か、母さんが…死んじゃうじゃないかーー!!」

 

死ぬ…母さんと呼んでいた人…アウルが懐いていた。イリーナが父さんと呼んでいた人も……ネオより年上のおじさんで、イリーナだけでなくスティングやステラにも優しかった。

 

「父さん…母さん…死んじゃう……」

 

ふと、ステラの脳裏に誰かの言葉が浮かんだ。

 

確か…守る。誰が言ってくれた?分からない…でも…守れば、死なない。

 

「守る…父さん…母さん…そうすれば、死なない?」

 

そうだ、守りに行こう。そうすれば、アウルの母さんもイリーナの父さんも死なない。ステラは飛び出して、ガイアに飛び乗った。

 

 

 

アリスとルナマリアはまだ戻らず、レイとルゥも安静にしているべきということでシンとカインにくわえてタリアとアーサー、戻ってきたアスラン、シオン、ミサキの七人で踏み込んだ。が……

 

内部の夥しい数の死体に腐敗臭に誰もが鼻をやられた。割れた窓からカラスやハゲタカが来ており、ネズミや野良犬もいた。何人かの遺体は既にその動物たちに食べられた跡さえある。

 

アーサーが瓶を蹴り飛ばし、悲鳴を上げる。そして、その先をライトで照らすとミサキが思わず息をのんだ。

 

「ひっ!!」

 

そこにあったのは機械で繋がれた子供の死体だ。一人や二人ではない…何人もいるのだ。

 

「ここは…一体……なんなんですか、ここは!?」

 

アーサーの悲鳴に、ハンカチで口元を押さえたタリアが冷静に分析する。

 

「内乱…ということでしょうね。自爆しようとして。」

 

シオンが膝をつき、死んだ研究員が持っていたと思しきタグを見つける。

 

「連合の、研究員みたいです……」

 

その認識タグのマークは間違いなく連合の物だ。が、カインが声を甲高くして叫ぶ。

 

「だとしても…子供の数が多すぎる!」

 

そう、死体の数は子供が圧倒的に多い。研究員と思しき大人達の傍には銃があり、子供達にはメスや鉄パイプがあった。

 

「うぐ…おぉおぇええ!!」

 

カインが照らした場所ではパイプで頭を貫かれて絶命した女や、ワイヤーか何かで首をちぎられた男の死体があった。残虐な殺し方だが、状況的に大人と子供で殺し合ったとみるべきだ。

 

その惨状を見て、アーサーが胃の中をぶちまけてしまう。アスランもそうなりそうだ。

 

「…さっき、連合の軍人の遺体もありました。」

 

ミサキのいうとおり、中には連合の軍人の遺体もあった。近くにナイフを持った子供の死体もあったことから、相討ちになったとみるべきだろう。

 

奥に進むと、そこには子供の物と思われる大量の脳がホルマリン漬けにされていた。さっきの死体の山とは別の意味で不快感を催す部屋だ。

 

「六十四年七月、十一、廃棄処分。三、入所  八月、七、廃棄処分、五、入所。」

 

「何ですか、それ?」

 

タリアが読み上げる言葉の意味をアーサーが問う。しかし、タリアの答えには戸惑いがこもっていた。

 

「被験体の…つまり、子供の…その、入出記録…ってことでしょうね。」

 

アスランとシオンがいち早く悟ったような顔になった。入出記録、入所、廃棄処分。それらの単語からミサキもアーサーとほぼ同時に悟った。

 

「被験体って……じゃあ、さっきの子達は!?」

 

「連合のエクステンデット…貴方達も聞いているでしょう?」

 

エクステンデット……遺伝子操作を忌み嫌う連合、ブルーコスモスがコーディネイターの身体能力に対抗するために薬や肉体改造で作り上げた兵士。戦うためだけに存在し、着いていけない或いは反抗して失敗した子供は処分される。そんなのが存在するという噂はあった。想像しただけで吐き気がする事だ。

 

シオンがおそるおそるタリアに問う。

 

「ここは、つまりその製造施設……生産工場ってことですか?」

 

タリアは一泊おき、「そう言う事ね。」と答えた。

 

状況が分かった。この施設の存在を気づかれるのを恐れた連合は施設を自爆させ、子供達を諸共消そうとした。だが、何かの理由で子供達にそれがばれてしまい、子供達は死にたくないがために反抗した。その結果があの惨状だ。

 

 

 

「ほんとにもう、信じられませんよ。」

 

シンが怒りを露わにしていた。

 

「コーディネイターは自然の摂理に背く間違った存在だとか言っておきながら、自分達はこれですか!?」

 

シンの怒りはもっともだ。コーディネイターという理由でさえ理不尽だろう。

 

「遺伝子をいじらなければ、何をしても良いなんて!!なんなんですか、ブルーコスモスってのは!!」

 

全くだ…こんな施設の存在、世間に公表できるわけがない。身寄りのない子供達を選んだのも足が着かないからだろう。今の情勢なら孤児など……実験体などいくらでも調達できる。連合が預かるなら安心だと思う人々も多い。

 

これは世界に訴えなければならない。連合の上層部だって、これに関与しているはずだ。やはり、これを明らかにするには議長の下にいるしかない。オーブが片棒を担がされる恐れもある。

 

やはり、俺は間違っていない!キラ達だって、これを伝えれば分かるはず!!議長が正しいということを!!

 

アスランはフブキがブルーコスモスの施設にいたのを聞いている。もし、フブキがこんな場所にいたのならば尚のこと、キラ達は議長の下に来るべきなのだ!

 

 

 

シオンは艦内に戻り、あの異臭を落としたくてシャワーに入っていた。

 

まだ、アスランとは話せていない。だが、まさか連合があそこまでのことをしていようとは。

 

あのデータの中に以前の戦争で見かけたMSのデータもあった。一緒に映っていた少年……恐らく、あの機体GAT-X370レイダーのパイロットもあそこで育成されたのだろう。

 

あんなおぞましい研究をしていた地球軍……世間はこの事を知らないであろう。いや、連合が世間に漏らそうとするはずがない。コーディネイターは化け物という言葉はブルーコスモスの決まり文句だ。オーブにいたときも決してそのような非難がなかったわけではない。だが、どこから連れてきたか判らない幼い子供に薬を投与し、脳や肉体を改造して意にそぐわなければ処分するなど遺伝子操作とは比べものにならないくらい倫理に反している。

 

そういえば、フブキはブルーコスモスの施設にいたという。まさか、フブキもあの研究所のような施設に入れられて逃げ出したというのか?もし、フブキがそうだと知れば連合は躍起になってフブキを殺そうとするかもしれない。何しろ、自分達の所業の生きた証拠だ。

 

フブキ……これを公表するなんてことをするなよ?

 

シャワーのコルクを閉め、服を着替えていると、ブリッジのメイリンから通信が入った。

 

「なんだ?」

 

〈施設に接近するMSがあります!ガイアです!〉

 

「ガイア?後の三機と新型は!?」

 

〈いいえ、一機だけです。既にセイバーとインパルスが迎撃に出ています。〉

 

施設の破壊?それにしても単機で出撃するとは一体……シオンは敵の意図を考えながらメイリンに自分の意志を伝える。

 

「判った。俺達も搭乗機で待機している。必要なら発進する。状況などは随時報告を頼む。」

 

〈はい!〉

 

 

 

ガイアの襲撃を聞いたシンとアスランは既に迎撃に出ていたが、ガイアの様子はおかしかった。施設の破壊を目的としているのなら何か特殊な装備を持っているはずだが、見たところそれらしい物は何もなく、動きもめちゃくちゃだ。そんなMSがシンとアスランを相手に勝てるはずもない。二機の連携にガイアは徐々に追い込まれていき、遂にインパルスのビームサーベルがコクピットを切り裂き、ガイアは地上へと落下していった。コクピットハッチを斬っただけで、パイロットは無事だったが、カメラに写ったパイロットの姿にシンはある種の戦慄を覚えた。

 

「まさか…」

 

カメラをズームにし、再確認する。間違いない。金髪の少女、以前ディオキアで会ったあの子…

 

「ステラ!?」

 




イリーナのブロックワード…女で且つアウルと対照的で父親にしました。

掲示板はそこまで及ばなかったので。



尚、シオンとミサキはアスランと違いデュランダルを疑い始めています。

ただ、シオンとアスランは一つ違いで考えは差が出ました。連合が悪いからプラントのやっていることは良い戦争がアスラン、シオンは連合が悪いから良い戦争をしているとは思わないようにしている……立場も思考もザフトのアスラン、立場はザフトでも心はアークエンジェルのシオン、というところでしょう
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