機動戦士ガンダムSEED DESTINY REVERSE 作:meitoken
シンはZGMF-X56Sインパルスの装備の一つソードシルエットの対艦刀エクスカリバーでガイアに突っ込んだ。連結させた二本の剣の斬撃をガイアは一発目をかがみ、二発目を後ろへ飛んで躱す。
アナーはビームサーベルでカオスに斬りかかり、グラウンドが追撃を仕掛ける。だが、カオスもまたシールドと足のクローを駆使して二機の攻撃を躱した。
〈お前達!命令は捕獲だぞ!分かってるんだろうな!?アレは我が軍の…〉
「分かってますよ!でも、できるかどうか分かりませんよ!」
〈そもそも、どこの誰が手引きしたんですか!〉
アリスも荒っぽく問う。実際、その通りだ。どこのどいつが敵を手引きしたんだ!
〈とにかく、破壊でもしないと抑えられません!〉
カインも同じ意見だ。実際、アナーとグラウンドは二機がかりでようやくカオスと戦っているのだ。
「今はそんな話をしている場合ではないでしょう!?演習でもないのよ、気を引き締めなさい!」
タリア・グラディスの叱責にブリッジの空気がやや引き締まった。そのまま、タリアは港の部隊に確認を取る。
「強奪部隊だというのなら、外に母艦がいるはずです。そちらは?」
外ではナスカ級が二隻、哨戒にでていた。タリア・グラディスに言われるまでもなく、母艦がいるはずだからだ。だが、何故か見当たらない。ここから離れた宙域で待機しているのだろうか?
否、確かにいたのだ。しかし、彼らはそれに気づいた様子はない。それもそのはず……その艦は条約で禁止されているミラージュコロイドで身を隠しているのだから。
ミラージュコロイドで隠れた母艦ガーティ・ルーのブリッジで二人の男女がいた。一人は仮面を被った金髪の男、もう一人はバイザーをかけた黒髪の女……この部隊の隊長のネオ・ロアノーク大佐とエリス・ティーゲル中佐だ。彼らは地球連合軍だが、その所属は異色でもあった。
「よぅし、行こう!慎ましくな!」
クルー達が命令に答え、火器を起動して同時にMS隊も発進する。既に先発しているMSも慣性航行で港に近づいている。
「港に先行した部隊は?」
「攻撃開始と同時に動けます。」
エリスの問いに返答が来て、ネオとエリスが互いに頷く。
「主砲照準、左舷前方ナスカ級。発射と同時にミラージュコロイドを解除、機関最大!さぁて、ようやくちょっとは面白くなるぞ諸君。」
艦長のイアン・リーが苦笑して、命ずる。
「ゴットフリート、てぇー!」
地球軍艦の主砲として運用されるゴットフリートが火を噴き、ナスカ級を沈めた。そして、もう一隻のナスカ級にミサイルを撃ちながらガーティ・ルーはミラージュコロイドを解除する。
「MS発進後、回頭20。主砲照準、インディゴ…ナスカ級。あちらの砲に当たるなよ!?」
その指揮をリーの左隣の席でエリスは見つめていた。最初に出会ったとき、声を聞いて耳を疑った。声の似ている人間など、探せばごまんといるはず。だが、この男は……
言動や性格、型にはまらないやり方……
エリスのよく知る男そのものだ。そう考えながら、エリスは時計を確認する。
「港への奇襲もそろそろよ。」
こちらを察知したナスカ級からMSが発進し、相手も撃ってくる。ガーティ・ルーもGAT-02LダガーLを発進させる。前大戦で既にロールアウトされていた旧式のMSだが、まだ充分に前線で運用可能な機体だ。
そして、港に先行させていたダガーLの隠密行動用のダークダガーLが港に突入、発進しようとしたローラシア級のブリッジを破壊して司令室をまとめて破壊、更に港口を破壊して後続の艦を出せないようにして離脱していった。
〈スティング、さっきの!〉
「分かってる、お迎えの時間だろう!?」
情報にないMSが現れて、応戦しているところにアウルのアビスとイリーナのレイジがやってきた。
〈遅れてるみたい!早く行かないと乗り過ごしちゃうわ!〉
「分かってると言っただろうが!」
〈大体、ありゃなんだよ!新型は四機のはずだろう!?〉
〈もう、ネオもエリスも……こんなの想定外よ!〉
イリーナもぼやきながら、コンピューターが識別したグラウンドと戦う。
〈どうする?一機でも潰しておく?〉
「そうするしかねえだろうが!あの、白いのやるぞ!」
カオスが白と赤の機体インパルスに向かった。
「イリーナ!バクゥと戦闘機を抑えろ!」
〈もう、無茶言うんだから!〉
そうぼやきながら、レイジが二機…アナーとグラウンドの相手をする。肩のミサイルを撃ち、工廠のこれ以上の被害を恐れる相手は盾でそれを防ぐが衝撃で体勢を崩す。その間にグラウンドを体当たりで抑えた。
インパルスはガイアの攻撃をいなし続ける中、カオスが近づいてくることに気づいた。対応しようとしたとき、カオスはジャンプした。後ろにいたアビスが砲撃し、それを回避したところで飛んだカオスが足のビームクローで襲いかかり、それをはじいたところでガイアの追撃を受け、アビスがとどめを刺そうとビームランスを振るった。
「フブキ、行くぞ!?」
「ああ、俺に構うな!」
インパルスがあのままでは撃破される。それまで様子を見ていたイリアは援護にでた。アスランのザクがアビスに体当たりを仕掛け、イリアのザクもカオスにトマホークで斬りかかった。アビスは吹き飛ばされ、カオスもトマホークの一撃を躱すが、そのまま腰に固定装備されたグレネードを投げつけ、爆発で吹き飛ばされる。アスランもまた、ガイアにトマホークを投げて怯ませるが、そこでアビスが反撃に胸のビーム砲を撃った。盾と一緒に左腕を持って行かれたザクはハンガーにたたきつけられた。
〈カガリ!〉
アスランの声が聞こえた。今のでカガリに何かあったようだ。
「アスラン、カガリがどうした!?負傷したか!?」
〈ああ!〉
フブキの問いにアスランが答えた。
「まずい…逃げるぞ!」
イリアは残ったグレネードを全て投げつけ、爆発で四機の目眩ましを起こして先に離脱したアスランの後を追った。
カインは先ほど助け船を入れてくれた二機のザクが離脱したのを見届けた。誰が乗っているかは分からないが、今のでシンが助かったことに感謝した。
「くそっ、奴ら離脱する気だ!」
〈止めないと!〉
〈当たり前だ!〉
インパルスが真っ先に後を追い、アナーとグラウンドが続く。レイジがビームサーベルで斬りかかり、グラウンドがシールドで受け止める。
「ここまで来たら、もう破壊してでも止めるぞ!」
〈そうね、これだけ乗りこなせる相手を捕まえろなんて無茶よ!〉
その間にアビスがビーム砲を発射した。インパルスはシールドで受け止め、グラウンドとアナーは回避した。しかし、下にいた友軍のMS部隊が砲撃を受けてしまった。
そこへ……三機のザクがやってきた。白、赤、ダークブラウンの機体。レイ達だ……
〈このぉ、良くも舐めた真似を!〉
ルナマリアがビームライフルを撃ち、ルゥのザクがビームトマホークでレイジに接近戦を仕掛ける。
〈スティング、このままじゃ数で不利よ!〉
イリーナに言われるまでもない。元々、彼らの任務は新型を持ち帰ることだ。情報漏れがいたって、それはネオや他の奴らのせいだ。
〈離脱するぞ!ステラ、そいつを振り切れるか!?〉
「すぐに沈める!」
ステラは目の前の敵に怒りを震わせていた。
「こんな……私が………私がこんな!」
〈ステラ!いい加減にしなさい!〉
イリーナも制止するが、ステラは耳を貸さない。だが…
〈じゃあ、お前はここで死ねよ!〉
死ね……その一言でステラは思考が止まり、操縦も止めてしまった。
インパルスがビームブーメランを投げつけたのにも気づかず、カオスがはじき返す。更にアナーとグラウンドの攻撃にレイジがアサルトシュラウドの二連装レールガンで牽制する。
〈ネオとエリスには僕から言っておいてやる。さよならってな!!〉
「死ぬ?わたし……」
〈アウル、お前!〉
〈止まらないんだもん、しょうがないじゃん!〉
〈五月蠅い!余計なことを言うんじゃないわよ!〉
スティングとイリーナがアウルと言い争っているがステラは目の前にいる敵にも構わず敵に背を向ける。
「いやあああぁぁ!!」
ステラは先ほどと打って変わってプラントの外壁めがけてガイアを飛ばした。
〈逃がすか!〉
突然挙動がおかしくなったガイアの行動に呆気にとられていたが、アリスも慌ててシンの後を追う。そこで、後ろから追ってくるルナマリアのザクがスラスターから火を噴いた。
「ルナマリア、戻って!!」
〈で、でも!〉
「その状態じゃ空中で爆発しかねないわ!ミネルバでもどこでも良いから!」
〈…分かったわ!〉
ルナマリアのザクが離脱し、残りの五機で追跡を再開した。
スティングが面倒見の良い長男なら、イリーナはほどよく肩の力を抜ける長女役のイメージです。
ネタバレですが、カインとアリスもシンと同様にファントムペインと絡めます。ただし……シンとは全く異なる展開です。
後……運命編はニコルやナタルのようにいくメンバーはいません。特に連合組………あの措置では。今日明日でどうこうなる問題じゃないし、助かってもそのまま本編リタイアしかできないので。代わりにオリジナルで助かる連合メンバーはいます