機動戦士ガンダムSEED DESTINY REVERSE   作:meitoken

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いよいよベルリンです。


PHASE-25 ステラ…前編

司令部からシン、レイ、ルゥの三名に対する処分が届けられた。しかし、その内容を見たタリアは唖然とし、電文をアーサーが読み上げる。

 

「〈拘束中のエクステンデットが逃亡の末死亡した事は遺憾ではあるが、旗艦のこれまでの功績と現在の戦況を鑑み、本件については不問に付す。〉…って、ええ!?一体、どういう事ですか、これは!?」

 

いつもと同じく大げさに驚くアーサーをよそにタリアは司令部の意図を疑う。同時にかつて愛した男の顔が脳裏に浮かんだ。

 

(報告が書き換えられている……まさか、貴方が手を回したの?)

 

できれば銃殺だけは免れるように出したはずの文書であったはずが捕虜の無断返還という事実は揉み消され、あの少女が自力で逃げ出し死亡したという事にされている。

 

これでは軍紀違反もくそもない。ただでさえ、シンは自分のした事に問題があったと思っていないのだ。これでは増長し、彼自身のためにもならない。そんなこんなしている間に保安兵が件の少年を連れてきた。

 

 

 

「不問!?そんな、馬鹿な!」

 

シオンが声を荒げる。只でさえ、自分は悪くないと思っているのに…これではシンを甘やかしてしまう。今度は何をするか分かったものではない。

 

そこへ、シンがやってきた。

 

「色々とご心配をおかけしました。」

 

シンは明らかにアスランやシオンを見下している。

 

「司令部にも俺の考えを分かってくれる人がいるみたいで。貴方達の言う正しさだけが全てじゃないって事ですよ。」

 

「シン、いい加減にしろ!」

 

二人を嘲笑するカインが掴みかかった。

 

「なんだ、俺に文句があるのか?」

 

今度はカインを明らかに嘲笑する。

 

「殴りたいなら良いけど、お前の方が旗色悪くなるぞ?」

 

「シン!」

 

「あんた、いい加減にしなさいよ!!何様のつもりよ!!」

 

アリスもミサキも同調するが、レイとルゥが間に入る。

 

「アリス、よせ。」

 

「そうそう、元評議員のお嬢様だってアウトですよ?」

 

「シン、お前もだ。」

 

ルゥが窘めるが、シンはまるで反省しない。もはや、完全に暴君と化している。

 

「はいはい。」

 

だが、シンも含めここにいる誰もが予想だにしていなかった。シンの行いが既に最悪の事態を引き起こしていたことに。

 

 

 

ボナパルトから全長30m以上はあるであろう巨大なMAが発進しようとしていた。GFAS-X1デストロイ……スウェン・カル・バヤンが所属する部隊が運搬していたのはこれだ。

 

ジブリールを筆頭とした連合上層部…ブルーコスモスが切り札として開発した戦略兵器としての運用を目的とした機体だ。そして、この機体のパイロットはあのインパルスに乗っている少年が救いたい一心で返したステラだ。ネオの心に彼との約束を守れなかった苦い物が広がる。そんな彼の意志に構わず発進シークエンスが進む。

 

〈生体CPU、リンケージ良好。システム、オールグリーン。非常要員待機、X1デストロイ、プラットフォーム、ゲート開放。〉

 

デストロイがその巨体を雪原に表す。そして、それに続いてネオとエリスのウィンダム、カオス、アビス、ブラン、ミントの発進シークエンスも進む。

 

「よし、こちらも出るぞ。」

 

ネオが機体を調整している時、モニターに不機嫌そうなアウルとスティングの顔が映る。

 

〈けど、何で俺らにはくれねえんだよ、あれ?〉

 

〈僕かスティングの方が良いんじゃないの?〉

 

どうやら、アウルとスティングは自分達の方があの化け物に乗りたかったらしく、見ず知らずのステラが乗るのが気にくわないらしい。見ず知らず…その概念にネオは改めて自分達がした事の重さを知る。そんな彼の気持ちを察したかのようなタイミングでエリスが割り込む。

 

〈適正なのよ。あの子…ステラの方が効率よく動かせるの!〉

 

エリスが吐き捨てるように先陣を切り、ネオもそれに続く。飛行能力のないアビスとミントはフライトユニットに乗り、ウィンダム隊がそれに続く。発進して暫くし、新型の陸上艦コンプトン級を旗艦としたザフトのMS隊が現れた。バクゥがミサイルとレールキャノンを、バビが胸部の副列砲とミサイルを、ジンやディンがライフルを撃ち、ガズウートとコンプトン級の砲撃がデストロイへと向かう。しかし、デストロイの頭部から発生した陽電子リフレクターが全ての攻撃をはじき返した。反撃に出たデストロイは背中にある巨大な四連装の砲を撃つ。戦艦の主砲など問題にならない程の出力のビームは最前線のMSだけでなく後方のディンや陸上艦もまとめて焼き払い、さらにはその後ろにある都市を一瞬で壊滅させた。

 

〈あ…あ……〉

 

普段落ち着いているエリスがその破壊力にただ唖然とし、スティングやグレンすらその圧倒的すぎる破壊力に言葉を失っていた。

 

 

 

エクステンデットの件が不問になって間もなく、メイリンがタリアを呼ぶ。

 

「艦長、司令部から緊急入電です!ユーラシア中央より地球軍が侵攻、既に三都市が壊滅。ザフト全軍は非常態勢を取れとの事です。」

 

「なんですって!?」

 

ユーラシア中央より西方面に侵攻するのはあり得ることだ。西側を抑えたいのは大西洋連邦やユーラシア中央政府も同じだろう。だが、短時間で都市を三つも!?」

 

 

 

ターミナルからユーラシア西部への地球軍侵攻の報を聞いたアークエンジェルにもそれは寝耳に水であった。ミリアリアがパネルを操作し、現在地球軍が進軍中のベルリンの映像が映る。それを見た途端、皆の顔色が失われた。

 

「こ、これは……」

 

ナタルが愕然と声を上げる。その光景はまさしく地獄と呼ぶに相応しかった。都市はもはや原形を留めておらず、中央には巨大な陰が立っていた。

 

「まさか……あれが?」

 

レナが呟いた。彼女に言われるまでもなく、これは誰の目にも明らかだ。あの化け物がこの地獄を作り上げたのだ。

 

『これはもはや戦争ではない。虐殺だ!』

 

かつてヤキン・ドゥーエで聞いたパトリック・ザラの演説の一文がキラの頭で響く。その通りだ。こんな事が許されて良いはずがない。

 

 

 

「どうです、圧倒的じゃないですかデストロイは?」

 

ジブリールは圧倒的な火力でザフトを蹴散らし、街を焼き払うデストロイの姿に酔いしれて祝杯を挙げていた。

 

〈確かにのう、全て焦土と化して何も残らんわ。〉

 

〈どこまで焼き払うつもりなんだ、これで?〉

 

ロゴスの老人達はこの光景に呆れ果てていたが、ジブリールはそれを意に介さない。

 

「そこにザフトがいる限り、どこまででもですよ。」

 

デストロイの火力を持ってすれば西側に駐屯する部隊は勿論、一機でジブラルタルを陥落させることだって可能だ。宇宙へ上げて、数を揃えれば核を用いずともプラントを完全に破壊できる。

 

「変に馴れ合う連中にはもう一度はっきり教えてやりませんと、我らナチュラルとコーディネイターは違うのだと。それを裏切るような真似をすれば地獄に落ちるのだということをね。」

 

そう、ここを終えたら今度はジブラルタルとカーペンタリア、そしてプラント本国。これに異を唱える地球の国もこれで焼き払ってしまえば良い。世界は我らロゴスのもの。否、私のもの。

 

否、それですらない!世界は私!そう、このロード・ジブリールこそが世界そのものなのだ!

 

 

 

ベルリン…いち早くこの街に急行したザフト軍は防衛戦を貼るが、この化け物の前にはそんな物は無意味であった。頭部を覆う円盤状のバックパックから放たれたビームはMSも街も人も何もかも焼き払った。

 

『でないと、怖い物が来て私たちを殺す。』

 

発進前にネオが掛けた言葉が蘇る。怖い物、敵……

 

「やっつけなきゃ、怖い物は…全部!」

 

群がってくるバビをミサイルで撃ち落とし、そのミサイルは地上にいるゲイツやザクも押しつぶす。体当たりを仕掛けてきたバクゥを踏みつぶし、ドラグーンシステムの役割を持つ腕が分離し、ディンを撃つ。

 

もう、怖い物はいない?安心しかけたステラの耳に警告音が響き、ステラは陽電子リフレクターで攻撃を防ぐ。撃った敵の姿が見えた青い翼のMS…ステラの眼にはそれが悪魔に見えた。

 

「なんだ…お前はぁーー!!」

 

デストロイから放たれる無数のビームはMSをかすめることなく、空を切った。

 

〈やっぱり来たわね…あの子達……〉

 

エリスが呟くのが聞こえたが、ステラには関係ない。こいつもやっつけるだけ。

 

 

 

「なんて大きさだ、こんな!」

 

キラは唖然とした声を上げる。実際に見ると護衛として着いているカオスやアビスが小さく見えるほど、この惨状の主は巨大であった。更に、想像を遥かに超える火力と防御力を有している。あれだけの数のザフト軍がこの化け物の侵攻を止める事ができなかったのも頷ける。再び攻撃を仕掛けようとした時、MAの下半身が反転し、更に頭部からガンダムの顔が出てきた。

 

〈な!MS!?〉

 

その姿にレナが驚いた。だが、MSと呼ぶにはいくら何でも大きすぎる。その砲身も含めれば50mはあるだろう。その姿はまさしく本物の巨人と見間違えるほど圧倒的であった。

 

そして、巨大な機体が胸部と口の部分に位置するビーム砲を撃つ。フリーダム、ブレイブ、アフェクションは三方に散ってその砲撃を躱すが、まだ被害を受けていない都市部が消し飛んでしまった。

 

〈くっ!何故こんな酷い事を!!〉

 

ユリが叫び、MSに向かった。それをミントと青紫のウィンダムが阻み、キラはレナと共に援護へ向かうが、更にカオスと青い赤紫のウィンダムがフリーダムを、アビスとブランがブレイブを狙い、更に巨大MSが三機を指のビーム砲で三機を狙う。

 

「キラ君達を援護して!」

 

マリューが援護を命じ、CICのナタルが応じる。

 

「了解!ゴットフリート照準!てぇーっ!!」

 

アークエンジェルの主砲は確実にMSを捉えていた。しかし、巨大MSは腕からリフレクターを発し、それを受け流した。

 

「弾かれた…!」

 

副操舵席のシュウが呆然とした声を上げ、艦長席の横のカガリが席を立つ。

 

「私も出る!これではキラ達が!」

 

〈カガリ!アマギ達も出撃を希望している!〉

 

彼女の進言に乗じるようにアラートからクレタで壊滅したオーブ艦隊から合流したアマギ一尉らが既に出撃のために待機していた。

 

〈この戦い、オーブのための物ではありませんがこれをただ見ている事などできません!〉

 

彼らもこの連合の破壊を許す事はできないのだろう。カガリはそれを許し、ブリッジを出た。

 

「よし、行くぞ!」

 

 

 

グレンは怒りに震えながらブランを駆り、アフェクションにビームライフルショーティーを撃つ。同胞を裏切り、ミューディーとソウジを殺したコーディネイターに荷担するナチュラルを庇うアークエンジェル。ならばこいつらも青き清浄なる世界のために殺す。ビームアックスを抜き、アフェクションに斬りかかるが、敵は緑の翼を羽ばたいてあしらうように躱し、デストロイへと向かう。

 

別の場所ではアビスがアークエンジェルから発進したイージスとデュエルペイルに、カオスが三機のムラサメに行く手を阻まれ、ストライクルージュは市民を庇っていた。

 

「旧式共め!ファントムペインを舐めるな!」

 

敵の意図を理解できないグレンは再びアフェクションを狙うが、今度はその機体を狙ったデストロイの砲撃に攻撃を阻まれた。

 

 

 

ユリは巨大MSにレールガンを撃つが、リフレクターに阻まれてダメージを与える事はできない。ならばと対艦刀を抜いて近接戦闘を仕掛ければウィンダムや新型部隊が牽制する。だが、ミサイルを撃った青いウィンダムとすれ違った時、ユリに妙な感覚が来た。

 

何?この感じ…それにあの青いウィンダム。もしかして……

 

機体の動きにユリは見覚えがあった。あれのパイロットがもしそうだとするならば、説明もつく。だが、何故?

 

そう考えるユリをミントが狙撃し、シールドでそれを防ぐ。

 

 

 

レナはブレイブのビームライフルでアフェクションを狙ったミントを攻撃した。が、ミントはそれを買わして今度はこちらを撃つ。それを援護するように今度は大型がミサイルを撃つ。

 

「くっ!」

 

距離を置いてビームライフルでミサイルを撃ち落とす。

 

「なんて、火力!これじゃあ、近づけない!!」

 

市街地じゃあ、アークエンジェルも迂闊に動くことが出来ないし!かといって、陽電子砲のローエングリンを市街地で撃つことは出来ない。

 

 




ここで私の中でのシンの株は下がり始めました。只でさえ、我が儘で自分勝手だったのがここで更に。

カインとアリスも反論しても、もはや『司令部に認められている俺に逆らうのか?』ともはや完全に暴君として書きました。
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