機動戦士ガンダムSEED DESTINY REVERSE   作:meitoken

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遂に悪夢が到来しました。


PHASE-27 悪夢…後編

後方のコンプトン級とは全く別の方向から撃たれた弾が爆発した。

 

 

「センサーが!これは、ジャミング弾です!」

 

別方向からのジャミング弾、間違いなく別働隊の元へ誘導されている。

 

「取り舵10、降下!」

 

艦が高度を下げ、山を通り過ぎようとした瞬間、よく似たグレーの艦が目の前に現れた。

 

「ミネルバ!!」

 

因縁深い艦の登場に唖然としたマリューは指示を忘れてしまい、その間にミネルバの副砲が火を噴こうとしていた。

 

「くっ!!」

 

ノイマンが舵を切り、アークエンジェルは垂直姿勢のままミネルバの脇を通り過ぎた。

 

「そんな、何故あの艦が?」

 

唖然とするマリューの後ろでナタルが攻撃を命じる。

 

「ヘルダート、てぇーっ!」

 

ブリッジ後方のミサイルが発射された。そして、ミネルバのインパルス、アナー、グラウンドがフリーダムらに向かっていった。

 

 

 

アークエンジェルがミサイルで反撃し、爆発の衝撃で艦が揺さぶられクルーがコンソールにしがみつくが、タリアがさらりと言う。

 

「大丈夫よ、下手に動かなければ当たらないわ。」

 

タリアの言葉にクルー全員が彼女に注目する中、タリアはアークエンジェルの射線を読む。これまで通り、彼らの攻撃はあのダーダネルスの一発以外は戦闘力や機動力を奪う、または牽制が主だ。ウィラード隊のMSもフリーダム、ブレイブ、アフェクションの三機を中心に戦闘不能にはなっても撃墜されていない。彼らはこの状況になっても自身の流儀を貫いているのだ。

 

「やはり当てようとはしないのね……メイリン、国際救難チャンネルを開いて。」

 

「はい。」

 

メイリンが答え、タリアは通信機を手に取る。

 

「ザフト軍艦ミネルバ艦長、タリア・グラディスです。アークエンジェル、聞こえますか?」

 

アーサーが「ええ!?」と声を上げる。しかし、タリアは構わずに続けた。

 

「本艦は現在、司令部より貴艦の撃沈命令を受けて行動しています。ですが、現時点で貴艦が搭載機を含めた全ての戦闘を停止し、投降するならば本艦も攻撃を停止します。警告は一度です。以後の申し出には応じられません。乗員の生命の安全は保証します。貴艦の賢明なる判断を、望みます。」

 

自分でも驚いた行動だが、これはFAITHの特権だと自分にも言い聞かせ、アークエンジェルの返答を待った。

 

 

 

パイロットアラートでもタリアの降伏勧告は聞こえた。それを聞いたアスランの胸にアークエンジェルの降伏を願う心があった。そして、数分の後にモニターに見慣れたアークエンジェルの艦長の顔が映った。

 

〈アークエンジェル艦長、マリュー・ラミアスです。貴艦の申し入れに感謝します…ありがとう。ですが、残念ながらそれを受け入れる事はできません。〉

 

ルナマリアがマリューの答えに息を呑み、シオンとミサキも黙って聞いている。

 

〈本艦にはまだ仕事があります。連合か、プラントか。今また二色になろうとしている世界に本艦はただ、邪魔な色なのかもしれません。ですが、だからこそ今ここで消えるわけにはいかないのです。願わくば、脱出を許されん事を…〉

 

「…ラミアス艦長。」

 

シオンが呟き、ミサキが祈るように手を握った。

 

「お願い…逃げ切って。」

 

ルナマリアが唖然とシオンを見ていた。彼女は命よりも信念を選んだ。それは、キラとユリ、レナの力を信じているからだ。

 

頼むぞ……

 

アスランはキラ達の勝利を確信しながらも彼らが無事逃げ切る事を願った。

 

 

 

フリーダムはシンの攻撃を躱し、アークエンジェルの援護へ向かおうとするが、シンはビームライフルでその進路を阻む。

 

「逃げるな!」

 

インパルスはフリーダムに接近し、ライフルを撃ち続ける。フリーダムは相変わらずのスピードと正確な動きで全て躱し、ライフルを構えた。

 

シンは銃口の向きを読み、右腕を動かす。放たれたビームは右腕の下を通り過ぎた。頭、左腕、どの攻撃も全て躱した。

 

「いつも、そうやって!やれると思うなーーー!!」

 

不殺に見せかけて本心では優越感に浸って姉さんを騙し、ステラを殺したフリーダム!貴様は俺の手で!

 

視界と頭がクリアになり、フリーダムの射撃を全てぎりぎりで躱す中、脳裏に特訓の中でレイとルゥが口にした三機の特徴が蘇る。

 

『あの三機、中でもフリーダムは特に動きが速い。射撃も正確だ。』

 

『だが、あの三機には一つの共通点がある。絶対にコクピットを狙おうとしない事だ。』

 

最初は偶然だと思った。殺さずに敵を撃退するなど、不可能だ。しかし、アスランやシオンの戦い方を思い出せば説明がつく。

 

『撃ってくるのは、決まって武装かメインカメラだ。インパルスならば、そこに勝機がある。』

 

フリーダムに斬りかかろうとしたところで赤い機体がライフルを構えて接近してきた。

 

〈シン!〉

 

「姉さん!」

 

シンはイージスの射撃をシールドで防ぎ、ライフルを撃ち抜いた。ライフルを失ったイージスがサーベルで斬りかかった。

 

「姉さん!もうすぐ俺が目を覚まさせてやるのに、何で邪魔をするんだ!?」

 

〈いい加減にしなさい!!私は自分で決めたこと!なんで、それが分からないの!?〉

 

「今からでも遅くない!俺と一緒に戦え!」

 

〈お断りよ!あれは敵だと叫んで討たせる!!議長の言葉はパトリック・ザラと同じよ!!〉

 

同じだと!?あの戦犯と議長が!?やはり、間違いない!姉さんは完全に奴らの術中にはまっている!早くあいつらを撃たなければ!!

 

そう思った瞬間、二機の間をビームが駆け抜けた。デュエルペイルがライフルとミサイルで援護をしてくる。その機体を見た瞬間、シンはフリーダムに抱いていた怒りをそちらへ向けた。

 

「お前が姉さんをーーー!!」

 

シンはサーベルを抜いてペイルに斬りかかる。ペイルが後退してビームライフルを撃つが、その射線を躱してサーベルを振るった。

 

 

 

インパルスの剣が右腕、頭、両足をペイルの胴体から切り離した。そして、インパルスがとどめと言わんばかりにはなった斬撃がペイルのコクピットを切り裂いた。

 

「フブキ!」

 

コクピット部分を切り裂かれたペイルはフェイズシフトダウンを起こし、真っ逆さまに落下していった。インパルスが更に攻撃を加えようとライフルを構える。

 

いけない!今の状態で撃たれればフブキは!

 

頭をクリアにしたリュウはイージスを変形させて急行した。インパルスがライフルを撃つより早くペイルをクローで掴み、アークエンジェルへ向かう。それをインパルスがライフルを手に背後から追ってくる。

 

〈何でそいつを庇うんだ!父さん達を殺したアスハを!!〉

 

「好きな人を助けるのが悪い事なの!?」

 

〈好きだと!?父さん達を殺したアスハの男がか!!〉

 

シンが苛立ちを露わにした。リュウもそれに声を荒げ、堂々と答える。

 

「ええ!私は彼の事が好きよ!!」

 

数秒の間、シンが黙った。しかし、次に発せられたシンの言葉にリュウは怒りと絶望を同時に味わう事となった。

 

〈姉さんの贋者め!俺の姉さんがアスハを助けるはずないだろーーー!!〉

 

インパルスがライフルを撃ち続ける。リュウは機体をひねるが、ペイルを掴んでいるために動きを制限され、躱しきれない。そして、数発のビームがイージスを撃ち抜いた。計器が爆発を起こし、強い衝撃がリュウを襲う。

 

私がフブキを助けない?贋者?それは貴方にとって都合の良くない私だからじゃない!

 

もう、言葉でシンを止める事は出来ないのだろうか…既に弟は周りを見ようとせず、聞こうとせず、自分だけが正しいと思い込んでいる。

 

そして、もし止める方法があるとすれば。

 

シン……もう、殺すことでしか、貴方を止められないの?

 

 

 

グラウンドに攻撃されていたユリはイージスがインパルスのビームに貫かれるのが見えた。

 

「リュウ!フブキ!」

 

インパルスの攻撃でイージスはペイルを掴んだまま落下していくが、何とか体制を立て直し、アークエンジェルへと着艦しようとする。さらに攻撃を続けるインパルスをフリーダムがプラズマ砲で牽制する。インパルスは再びフリーダムを狙い、その間にイージスとペイルは着艦した。

 

そこに隙が生じた。仲間を気遣う余り、今目の前で戦っているグラウンドから注意が逸れたのだ。気付いた時にはグラウンドのビームライフルが左腕を撃ち抜いた。

 

「くっ…!」

 

ユリは機体を立て直し、ライフルで反撃するがグラウンドは機体の一部を動かす事によって射撃を躱す。

 

 

 

確かにシンの言う通り、アフェクションはコクピットを狙わずに武装やメインカメラを潰そうとしている。しかし、それはこちらを撃つという意志がないという事か?いや!例えそうであってもこいつは敵だ!ハイネを死に追いやったザフトの敵なんだ!

 

カインは迷いを振り払い、サーベルでアフェクションのライフルを両断した。しかし、アフェクションはすぐさまサーベルを抜いて頭部を貫いた。

 

「まだまだ!」

 

モニターが補助カメラに切り替わり、飛行ユニットで飛ぶグラウンドをMAへと変形させる。

 

 

 

ブレイブはさっきからこちらの武装やメインカメラを破壊しようとしている。本当にコクピットを狙う気がないのだ。どうやら本当にこちらを撃つ気はないようだが、だからといって手を抜く気は無かった。

 

だが、レイやルゥの助言でそれを躱していた。武器やメインカメラを狙うなら、それを狙えなくすれば良い!

 

アナーをMAに変型させ、今回の戦闘のために装備したビーム砲でブレイブの右腕を撃ち抜いた。長期戦か、相手は消耗しているようだ。勝負はこちらに分がある。

 

ブレイブがシールドのアンカーを発射するが、アリスは機体をコブラ機動で回避させ、バルカンでアンカー部分を撃ち抜いた。

 

「シオンをたぶらかした魔女め…!」

 

 

 

レナはシールドを捨ててバルカンを撃つ。しかし、アナーは以前よりも高い機動性でその攻撃を躱し、MA形態のまま体当たりを仕掛けた。

 

「あぅ!」

 

再び来る衝撃に耐え、対艦刀を振るった。アナーがMSに戻り後退するが、その剣撃はアナーの右足を切り裂いた。しかし、反撃のビームライフルがこちらの左足を破壊した。レナは徐々に追い込まれていた。

 

 

 

「く!」

 

キラはインパルスから出てくる殺気に気圧されていた。パイロットの力量はまた更に上がり、リュウとフブキを一蹴した後再びこちらを狙い、射撃を正確に読んでいる。インパルスの斬撃を躱してサーベルが左腕と頭部を吹っ飛ばした。

 

だが、インパルスは上半身を分離しぶつけてきた。咄嗟にシールドでそれを受け止めるが、そこへ心臓になる戦闘機が機関砲を撃ち込み、上半身と背中の装備が爆発し、フリーダムを地面へとたたき落とした。その間にインパルスは装備を換装し、斬りかかってきた。

 

寸前で上空に逃れるが、インパルスが目の前に現れた。それは正に鬼神のごとき攻撃で、キラは翻弄される一方であった。斬撃を後ろに避けてサーベルを振るが、またもインパルスが分離した。一瞬の戸惑いの内に後ろから攻撃を受け、背中の翼が一部吹き飛んだ。

 

 

 

「何してるの……遊んでないで、いつものようにさっさとあしらってよ。」

 

キラ達が追い込まれていく状況に居ても立ってもいられなくなり、ブリッジへ上がったミサキは言葉を出してしまう。

 

フリーダムはインパルスの猛攻で翼を失い、ブレイブとアフェクションも機体を大きく損傷してアナーとグラウンドを振り切れず、アークエンジェルはウィラード隊の攻撃で白いボディが抉られていく。アーサーがじれた声でタリアを振り返る。

 

「間もなく海岸線です!逃げられます、艦長!」

 

海岸線という単語にミサキは僅かな希望を抱く。アークエンジェルのスピードなら沈められる前に潜航して振り切る事ができ、水中に対する攻撃オプションが無いに等しく潜航機能を有さないミネルバなら追撃はできない。安心しかけたところでタリアの命令に耳を疑った。

 

「タンホイザー機動!目標、アークエンジェル!」

 

タンホイザー!?そんな物を撃たれたらアークエンジェルは跡形もなく吹っ飛んでしまう!

 

お願い!アークエンジェル!早く海に逃げて!逃げ切って!!

 

祈る形に手を組むミサキの願いをあざ笑うかのように発射シークエンスが進む。しかし、アークエンジェルの船体も海へと沈んでいく。

 

「急げ!潜られたら終わりだ!」

 

数秒の沈黙の後、恐れていた言葉が発せられた。

 

「てぇーー!!」

 

ミサキは思わずアーサーに飛びついた。

 

「やめてぇぇぇーーー!!」

 

 

 

「早く!早く潜ってくれ!!」

 

シオンは海岸線ぎりぎりで潜航するアークエンジェルを見守っていた。既にミネルバはタンホイザーを撃つ体制を取っている。もしも、タンホイザーが直撃すればアークエンジェルは…そうなればマリューは!カガリとフブキは!

 

アークエンジェルのブリッジが海に入る瞬間、タンホイザーが臨界点を越えた光を放った!それを見た瞬間、シオンは叫んだ。

 

「撃つなーーーーーー!!!!」

 

彼の叫びも虚しく女神の無慈悲な炎は大天使を焼き尽くそうと海面を伝い、水しぶきが上がる。

 

 

 

インパルスがソードシルエットのブーメランを投げ、エクスカリバーを手に取る。海中に潜ろうとしたフリーダムはシールドを構え、ビームブーメランを防ぐが、衝撃で体勢を崩してしまい、その隙を突いてインパルスがエクスカリバーを手に突っ込んだ。

 

剣はフリーダムを貫き、貫かれた天使は海へと没した。フリーダムの方へ気を取られたアフェクションはグラウンドが振り下ろしたビームサーベルに対応できなかった。シールドがある左腕を失ったもう一人の天使もその身体を真っ二つに切り裂かれた。

 

そして、ブレイブも海へ潜ろうとしたところで後ろからアナーが武器のリミッターを外した全開のビーム砲で機体を撃たれた。三機のMSは海に沈み、大きな爆発が同時に起こり、大きな衝撃がミネルバを襲った。

 

 

 

爆発の後の光景にミサキはその場にへたり込んだ。

 

「あ…ああ……」

 

空中で起こった大きな爆発、それは紛れもなくかつてユニウスセブンを焼いたあの核の爆発だ。核爆発……この戦場でそれが意味するのは…

 

「嘘…嘘よ…こんなの……こんなの嘘!!」

 

ミサキはメイリンの脇から割り込み、通信回線をオープンにする。

 

「アークエンジェル!応答して!アークエンジェル!!」

 

皆が唖然と振り向くが、今のミサキは隣にいるメイリンの視線にすら気付かなかった。

 

「キラ!ユリ!レナ!聞こえる!?カガリさん!!フブキさん!!ラミアス艦長!!バジルール副長!!イリア!!バルトフェルド隊長!!誰か応えて!!」

 

シオンはアラートのモニターから海岸に転がっている物を見た。それは見慣れた機体、フリーダムとアフェクション、どちらの物か判らない翼と、最愛の妹が駆る機体の折れた剣が突き刺さっていた。

 

そんな、馬鹿な……レナが…殺されたなんて……アークエンジェルも沈んだ…こんな事が……

 

通信機からミサキがアークエンジェルを呼ぶ声が聞こえ、シオンはただ海を見つめていた。海面には更に多くの残骸が浮かんでいた。見間違えるはずもないアークエンジェルの一部だ。そして、フリーダムやアフェクションの翼と腕、ブレイブの足もその中に含まれていた。

 

「い…いやだ……」

 

〈目標の撃破を確認!これより調査に入る!!〉

 

ウィラード隊のディンが調査に現れた。シオンはそれから逃げるように背中を丸め、頭を抱える。

 

「イヤダ…コンナ……コンナノ…イヤダ…」

 

「イヤダーーーーーーーーーーーーー!!!」

 

 

 

その爆発の中から姿を現したのは大破したインパルス、そして同じく大破して海岸に横たわったアナーとグラウンドの姿だった。更に直後に海中から爆発が上がった。その光景をアスランはただ呆然と見つめた。

 

フリーダムは?ブレイブ?アフェクションは?アークエンジェルは?どこにいる?どこに消えたんだ?姿がない、戦場でそれが意味するのは…

 

嘘だ…そんなはずがない。キラが、ユリが負ける……殺されるなんて…アークエンジェルが沈むなんて…あるはずがない……キラとカガリが。ラクスが。ユリが殺されて、もういないなんて…

 

信じられない。信じたくない。アスランの胸にはその二つが渦巻いていた。しかし、現実に彼らはもう………

 

「キラァーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

 




逆恨みでキラをやったシン、そしてリュウのことも自分を認めないから贋者呼ばわり。

アリスはシオンへの気持ちからレナに嫉妬して逆恨み、カインは任務と言うことでユリを撃破。ある意味で、カインだけまともです。

そして、無茶な戦闘と爆発に巻き込まれたまたは武器のオーバーロードでアナーとグラウンドはここで出番は終わりです。
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