機動戦士ガンダムSEED DESTINY REVERSE   作:meitoken

47 / 82
ここでシオンの株が下がるようなことが起こると同時に、最初に書いたデュランダルシンパ共の駄目ぶりが加速します。


PHASE-28 デスティニー…前編

シン達三人をクルーの拍手が迎えた。アスラン達三人もそこに来ており、カインはそれを見て顔を伏せた。アリスは何を言えば良いのか分からない顔だ。

 

「任務を…果たし、ました。」

 

カインはそれだけ言って、アスランも去ろうとしたとき。

 

「仇は取りましたよ。」

 

シンがとんでもないことを言った。

 

「貴方のもね。」

 

「あんた!!」

 

ミサキが真っ先にシンに掴みかかった!!

 

「アスランやシオンの、私のあの人達との事を知ってて、良くも言えるわね!!」

 

「はあ?何のことだか。」

 

「良いじゃないか。」

 

「そうだぜ、敵なんだからよ。」

 

クルーがシンを擁護する。だが、それは火に油を注ぐだけだった。

 

シオンがクルー達を殴り倒した。

 

「貴様ら……俺がインド洋で言ったことを覚えているか!?」

 

「ああ…誰かの家族や恋人を殺してる、でしたっけ?アレにそんなのいました?」

 

「このクズやろう!!」

 

シオンが怒り狂い、ミサキを突き飛ばしてシンを殴り倒した。

 

「この!!」

 

シンが殴り返すが、シオンはそれを受け止めて鳩尾に蹴りを入れる。

 

「っっ…!お、俺達が撃たれれば良かったって言うのか!?」

 

「ああ、そうだ!!いいや、お前ら全てヤキン・ドゥーエの核で死ぬべきだったんだよ!!」

 

シオンの言葉に全員が絶句した。

 

「だったら…復隊なんかしなけりゃ良かったじゃないか!!」

 

「こうなると分かってたら復隊なんかしないさ!お前らの本性を知っててもしなかった!!」

 

「ええ…こんな連中を守るために死んだんじゃ、キールもラスティもミゲルも可愛そうよ!!」

 

「やめてください…!」

 

レイとルゥが間に入った。

 

「シンに非があるのは認めますが、シオンも言葉が過ぎます。」

 

「我々はザフトの軍人…貴方達の言葉は個人的な感傷だ。」

 

ルゥが諭し、更に続ける。

 

「貴方達の交友関係を知って、それを嘲ったシンを咎めるのは正しい。だが、貴方達はアークエンジェルへの想いが強すぎる。今の貴方達はあの艦のクルーではない。」

 

正論…それも極めて痛い正論だ。

 

「貴様…!」

 

「少し、落ち着いてください。では。」

 

レイとルゥが敬礼し、シンを連れて行く。

 

「あ……し…失礼します。」

 

アリスも後に続くが、カインは動かなかった。

 

「なんだ、まだ言いたいことがあるのか?」

 

「いえ………何も。」

 

 

 

プラント本国にあるザフト軍事ステーション、ロゴス打倒を今後の方針と定めたザフト軍ではアラスカに変わる新たな地球軍本部ヘブンズベースに逃げ込んだロゴスを叩くための準備が進められ、その降下部隊の指揮を執るジュール隊も作業に追われていた。

 

しかし、イザークは現在の方針に疑問を感じていた。あのブルーコスモスの母体でもあるロゴスを撃ち、戦争のない平和な世界を作る。確かに、己の利益のために戦争を起こす者は誰から見ても悪だし正しいだろう。

 

だが、それは『プラントへ核を撃ったナチュラルは悪だ。』と主張したパトリック・ザラの言葉と大差ない。デュランダルを支持するあのラクスの言葉もヤキン・ドゥーエの時と何かが違う。単に撃つ相手が地球軍からロゴスに変わっただけで本質的には何も変わっていないようにしか思えず、それを示すデュランダルの意図もイザークには分からなかった。

 

「しかし、ロゴスを討つとは言っても具体的には何をするつもりなんでしょうね?議長は。」

 

「名をあげた企業製品の不買運動かな?」

 

現在のザフトの方針になんの関心も持たず、物笑いの種にする士官達にイザークは相手が自分より10は年上であろう二人に怒鳴る。

 

「笑い事ではないわ!!」

 

二人の士官が驚いてこちらを見るが、イザークはそんな物を意に介さず睨み付ける。

 

「実際大変な事だぞ、これは!ただ連合と戦うより遥かに!!」

 

「イザーク、落ち着いて…」

 

ニコルがいさめるが、それすらイザークの耳にはノイズに聞こえていた。

 

「少しは自分でも考えろ!その頭はただの飾りか!!」

 

「フン!」と鼻を鳴らしてイザークは歩き出し、後ろからディアッカが茶化す。

 

「お前の頭は、今に爆発するぜ。」

 

「うるさい!!」

 

 

シオンはアークエンジェル撃沈以来、部屋に閉じこもったきりだった。椅子にもたれかかり、ただ天井をぼんやりと見上げるだけであった。無論、そのような状態の人間が食事などするはずもなく、精神的なショックも重なって第三者が見れば死人と見間違う程にまでやつれていった。心配したミサキが医務室まで連れ出した。支えられてレクルームを通りかかった時。

 

「頭おかしいだろ、アークエンジェルは敵じゃないなんて。」

 

頭がおかしい?誰がだ?

 

「大体、伝説のエースってたいしたことないじゃないか。アスラン・ザラって実は親の七光りで赤になったんだろう。」

 

「そうだな、アスラン・ザラがあれなんだからクルーゼ隊だって本当は大したことないんだぜ。隊長と副隊長だってヤキン・ドゥーエで死んだんだからよ。」

 

ラウとレイスを…アスランを……いや、クルーゼ隊の者達全員を侮辱している。

 

「シオン、聞いちゃ駄目…!」

 

「アークエンジェルだって、ただ尻馬に乗っただけだろう。ベルリンに出てきたのも自作自演だぜ、あのお姫様の腰巾着軍団。いや、ヤキン・ドゥーエもそうなんだよ。」

 

「そうだな!大体、司令部が撃てって言ったんならあれはロゴスだぜ。それが判らないんじゃたいしたことないよな。その前に昔の仲間ったってどうせナチュラルだぜ?」

 

「そうよね!ナチュラルなんて他にいくらでもいるんだから、いいじゃない!」

 

アークエンジェルがロゴス!?クルーゼ隊が大したことない!?あまつさえたかがナチュラルの戦艦一隻だからそこの人間が死んでもいいだと!?そこにいる人間が一人しかいないという事すら分からない!!挙げ句…俺達のあの戦い全てが自作自演だと!?

 

シオンはミサキを振り払い、今話していたクルーを殴りつけた。

 

「な、何をする…!」

 

抗議しようとしたクルーの腕を捻った。

 

「ぎゃああああ!!」

 

腕がおかしな方向に曲がったクルーを見向きもせず、もう一人の腕を更にへし折る。

 

「あぎゃいああああ!!うでが…うでがぁぁ!!」

 

顔面に拳をたたき込んで、何本か歯が抜けた。

 

「貴様らごときが……隊長やアスランを侮辱するなど………その罪の重さを思い知らせてやるのさ。」

 

「ぶ、侮辱って…そんな事言ってませんよ!」

 

クルーが弁解するが、シオンは唇を上げる。

 

「司令部が撃てと言ったからアークエンジェルはロゴス?アスランは親の七光り?」

 

今さっき言った言葉を復唱されてクルーの顔色が失せていく。

 

「ブレイブには俺の妹が乗っていた……俺の妹を…仲間を侮辱した罪を思い知れ…!」

 

もう一人のクルーの女の足を掴み、おかしな方向へ曲げた。更にそれを何度も踏み砕く。感覚で骨が砕けるのが分かる。

 

「ぎゃあああ!!あぎ!ぐげ!!や、やべ!!」

 

女の顔を踏み潰した。砕けてはいない。だが、更に頭を掴んで、膝蹴りをたたき込み、両の拳をたたき込んだ。

 

「ぶぎぃ!!ぐぶ!ぎびぃ!」

 

何度も何度も殴られ、もはや人の物とは思えない声が上がった。そして、その調子で他数人のクルーにも襲いかかり、腕を、足を折り、腹を蹴った。

 

絶叫するクルーを見下ろすシオンは嘲笑する。

 

「何そんなに大げさになってるんだ?コーディネイターならそんなの怪我に入らないだろう?進化した新たなる人類、コーディネイター様だろう?」

 

「シオン!もうやめて!!」

 

ミサキが腕を掴み、シオンは振り返った。

 

 

 

シオンの顔を見たミサキは背筋が震えた。シオンは笑っていた。いや、笑いながら涙を流している。

 

壊れちゃう…このままじゃシオンが……

 

「何で邪魔をするんだ……こいつらはキラとレナを………クルーゼ隊長達を侮辱したんだ!!その罪を思い知らせてやるーー!!」

 

シオンがナイフを手に斬りかかるが、ミサキは正面から抱きついて抑える。

 

「やめて!お願い!!」

 

「離せぇぇ!!殺してやるうぅっぅぅ!!!殺させろーーー!!なんでだよ!何でこんなウジ虫共が生きてラスティやミゲルが死ななきゃいけないんだーーーーー!!!!」

 

暴れるシオンをミサキは必死に抑え、もう一人誰かが加わったような気がした。

 

「シオン、やめろ!!」

 

アスランが後ろから押さえたのだ。しかし、二人分の力もシオンは振り払い斬りかかる。

 

「死ねーーーーー!!!!」

 

クルーが逃げるが、足を折られたクルーは逃げられずに床を転がって避ける。

 

「コーディネイターめ……宇宙の化け物めーーーーーー!!!」

 

再びナイフを刺そうとするが、ミサキとアスランが押さえつける。

 

「邪魔ヲスルナー!何で化け物を庇ウンダーーー!!皆殺シニシテヤルーーーーー!!!」

 

シオンは二人を振り払うが、また抑えられる。

 

「アークエンジェルはロゴスじゃないいい!!!敵ジャナイイイ!!キサマラ、コロシテヤルウウウウ!!!」

 

再び襲い掛かろうとした時、突然シオンの身体が倒れ込んだ。

 

「シオン…!」

 

ミサキはシオンを支え、アスランを見る。

 

「アスラン?」

 

「殴って気絶させた…早く部屋まで連れて行こう。」

 

 

 

シオンが暴れ出して数名のクルーに怪我を負わせたことはタリアの耳にも入った。全員重傷で、骨を徹底的に砕かれたり、内臓を潰されたり、女性クルーは顔面を徹底的に破壊され、もはや元に戻らない程にやられた。一言で言えば、再起不能だ。その原因は一緒にいたミサキが報告をした。

 

「かつてのクルーゼ隊の仲間やアスランを侮辱したのを許さないのは判るわ。」

 

しかし、ミサキが憤怒の表情になった。

 

「判るですって?アンタだってラミアス艦長達を殺したんでしょう!!アンタなんかに同情する資格無いわよ!!私だって今あんた達を殺してやりたいんだから!!ブレイブのパイロットは…シオンの妹だったのよ!!」

 

「い、妹!?」

 

「どうせ、あんた達は出任せって言うんでしょ!?でもって、事実でもシオンの妹なのにザフトに付かなかった裏切り者の報いだって決めつけるって最初から分かってるのよ!!あんた達の頭はそういう風に出来てるんだから!!大体、あいつらは死んだ私達の仲間を侮辱した!!プラントを守るために戦って、死んだのに!!キール達の代わりに、お前達が死ねばよかったんだ!!」

 

「ミサキ、口の聞き方に…」

 

アーサーを制し、タリアは一息ついてミサキに命ずる。

 

「貴女達の主張をでたらめだという気はありません。でも、彼がしたことは軍法違反であることに変わりありません。シオン・クールズには営倉入りを命じます。貴女から伝えて。」

 

ミサキは「はいはい!」と答えて敬礼もせずに出て行った。

 

 

 

シオンがアークエンジェルとクルーゼ隊を侮辱したクルーを殺そうとしたことはすぐに艦内でも噂で広がった。アリスもそれを聞いて営倉に運ばれたシオンの様子を見に行った。営倉に入ると、シオンは俯いたまま座り込んでいる。アリスは慎重に言葉を選びながらシオンに話しかける。

 

「あ、あの…シオン?」

 

シオンは何も答えない。

 

「アークエンジェルの事……その…」

 

「気を落とすなとでも言いたいのか…?」

 

「え?」

 

シオンは虚ろな目で見てくるが、その目は怒りと憎しみに染まっているのが見えた。

 

「妹を殺したお前にそんな事を言う資格があるとでも思うのか?阿婆擦れめ。」

 

「そ、そんな事は…!」

 

「ここまで判らないとはな…いや、貴様らの本質を見抜けなかった俺が愚かだったんだな。失せろ、メス豚。」

 

睨み付けてくるシオンの視線は敵意しかなかった。その眼を見たアリスは悟った。シオンはもう自分を…仲間だと思っていない。

 

もう、私はシオンにとって敵でしかない?

 

そんな…ブレイブを撃ったのに、シオンはそこまであいつらにたぶらかされていたの?

 

 

 

レイはデッキに上がり、ルゥと対面した。ルゥが黒い髪をなびかせて先日の件について問う。

 

「レイ、アスラン・ザラは……」

 

「ああ…とても力を出して役割を果たすとは思えないな。そっちはどうだ?シオン・クールズは。」

 

「もう無理だな。」

 

ルゥの報告にレイは二人に対して哀れみと愚かさを感じた。

 

何故余計な事を考えるのだ?何も考えずにただ定められた役割を全うすれば何も悩み、苦しまずにすむというのに。

 

「ギルに報告する?」

 

ルゥの確認にレイは「ああ…」と答える。

 

「ああ…処分はそれからだな。その証拠になる物もある。」

 

しかし、彼らは気付いていなかった。この話を影で聞いている人物がいた事を。

 

 

 

カインはシオンが暴れた件をクルー達から聞いた。

 

「そんなことを言ったら、怒るのが当たり前だろうが。」

 

だが、カインのもっともな意見にシンが

 

「なんだよ、あいつらの肩を持つのか?」

 

「そうじゃない!一緒に戦った仲間を侮辱したら…怒るのは当然だ。」

 

「はあ?そんなの、アレと一緒に戦ったあいつらが悪いんだろうが。」

 

「そうだぜ。」

 

シンだけでなく、他のクルー達も同調する。

 

「まさかそこまで性根が腐っているとはね。」

 

「あ、ミサ」

 

カインがその名を呼ぼうとしたら、睨まれた。

 

「アークエンジェルと一緒に戦い、クルーゼ隊にいた私達の自業自得?つまり、あんたは自分には関係ないって言いたいのね?」

 

「なんだよ、違うのか?」

 

シンは最強のフリーダムを撃墜して、完全に天狗になっている。だが…

 

「『自分の家族のことをカガリさんは関係ないなんて大間違い、くだらないなんて言わせない』って言っておいて、『私達の仲間を殺して、侮辱したことは自分は関係ない、くだらない』。」

 

「なんだよ!俺は正しいし、何も悪くないんだ!悪いのはアレと一緒に戦ったあんた達だ!!」

 

他のクルー達も同調するが、カインは内心で侮蔑した。余りに身勝手な責任転嫁だ。言い出せずにいるが、あのデストロイのパイロットがステラならば、シンはあの惨状を招いた張本人だ。自分が引き起こした結果をなかったかのようにしている。

 

カインの中では、シンはもはや自分勝手で我が儘放題の幼児にしか見えていなかった。

 

 




掲示板時代であったのを少し訂正しましたが、シオンが怒り狂いました。



そして、カインはミネルバで唯一にして最後の良心になりました。と言っても、既にその前の騒動でシオンはザフトと言うよりプラントを信用しなくなりました。つまり、カインのそれさえも自分を懐柔する芝居にしか映らなくなっています。そして、デュランダルを支持するので、全人類=シン・アスカになりかけてしまってます。

こういう場合…どこまでが良いんでしょうね?

レベルを設けるならば、①シンやルナマリアを殺す、②ミネルバの奴らを皆殺し、③ザフト(イザーク達は除外)を皆殺し、④プラント皆殺し、⑤プラントも支持者も皆殺し、⑥人類皆殺し

ラウとレイスは⑥でしょうが、個人的には⑤がギリギリだと思います。



元々、シオンはこうなる予定でした。尚、戦死した友軍の兵士をその同じ部隊の人間の前で愚弄するなんて……軍人としてやっちゃいけないと思います。軍紀の範囲外でしょうが、そいつらこそ軍人の資格なんてないかもしれません。

ちなみにまだ終わらず、次は根拠のないコーディネイター万能論潰しです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。